マイクロソフトのビッグデータ戦略と Power BI for Office 365 販売開始について

(この記事は 2014 年 2 月 26 日にThe Official Microsoft Japan Blogに投稿された記事のクロスポストです)

 

 皆さん、こんにちは。こんにちは。Office ビジネス本部のキャロライン ゴールズ です。

 本日はマイクロソフトのビッグデータビジョンと、そのビジョンに基づいて提供開始となるサービス、「Power BI for Office 365」が、お客様にもたらす価値についてお伝えします。

 

競争優位をもたらすビッグデータ活用

 この10年で働く人々を取り巻く環境は大きく変化しました。インターネットの普及とワイヤレステクノロジの発展にともない、モバイルデバイスが爆発的に普及し、ソーシャルネットワーキングとクラウドサービスの出現により、新たなコミュニケーション手段が登場しています。そしてこの変化は、データ量の膨大化や、従来と異なる消費者のパーソナルなデータなどをもたらすなど、企業のマーケティング活動の在り方にも大きな影響を及ぼしています。今やビッグデータ活用の成功が、競争優位に直結する意思決定をもたらすとまで言われています。

 

全ての従業員が自らデータ活用することが重要

 ビッグデータ活用を成功させるためには何が必要でしょうか? IT部門主導のプロジェクトでは、データの膨大さや高度な分析技術が取り上げられるかもしれません。またデータサイエンティストなどの専門家の育成が成功の鍵であるという意見もあるかもしれません。しかしマイクロソフトではビッグデータ活用の成功のポイントは、ビジネスの主役である一人ひとりの社員が、自ら手軽にデータを活用できる環境を整えることにあると考えています。消費者の行動やニーズにどのような変化が起こっているのか?そういったデータを引き出す上で、仮説は欠かせません。どのようなタイプの消費者に特徴的な傾向が表れるのか?どのようなイベントが消費者行動に影響を及ぼしているのか?そのような仮説は、ビジネスの当事者である社員であるからこそ出てくるものです。しかもそのような仮説は思いついたときに手元のツールを使って検証でき、思うような傾向がでなければ、すぐに次の仮説を試せるものでなくてはいけません。

 つまりビッグデータは、ビジネスの主役である現場の社員が自らデータを扱えることが、成功の鍵となります。そしてそのためには、従業員が自ら扱うことができる、手軽で使い勝手の良いツールでデータを分析する必要があると考えています。

 

使い慣れた Excel への機能強化

 私たちは、「Power BI for Office 365」を本日より提供開始します。

 全世界10億人のユーザーが利用しているMicrosoft Office の Excel のデータ分析機能を強化することにより、使い慣れたExcel のインターフェースを通じて、ユーザーが手軽にデータを活用できるサービスを提供します。Excel をベースにしているので、ユーザーがツールの習熟のために頭を悩ますことはありません。

 またデータ活用は、企業内に存在する管理された膨大なデータとの連携や、チームメンバーとのデータ共有が不可欠です。Office 365 の各クラウドサービスは、管理された企業内のデータと、チームでのスムーズな情報共有をスマートに実現します。Office 365 はすでに日経225銘柄の60%の企業で採用が進んでおり、Power BI for Office 365はExcel と Office 365、どちらも使い慣れたサービスのインターフェースで、手軽で高度なデータ分析環境を提供します。

 

 

 Office 365 Enterprise をご利用のお客様は追加でライセンスを購入することなく、Power BI向けに強化されたExcel アドインが提供されます。さらにPower BI for Office365をご利用いただくことで、Excel アドインに加えて、Office 365 上のBIポータルや自然言語による検索やモバイルデバイス対応を利用できます。

価格:

  • Power BI for Office 365 (E3/E4 契約者向けアドオン):1,640円/月(期間限定キャンペーン価格)※
  • Power BI for Office 365 (SharePoint Online (プラン 2) Yammer機能付き) :3,290円/月
  • Power BI for Office 365(SharePoint Online (プラン 2) Yammer機能付き) + Office 365 ProPlus:4,450円/月

※ Office 365 E3/E4 ユーザー向けのキャンペーン価格です。2014 年 6 月 30 日までの期間限定。
サービスの詳細はこちらをご参照ください。

 

お客様事例

 Power BI for Office 365 はすでに多くのお客様にご評価いただいています。その中から日本テレビ放送網株式会社様と、株式会社東急百貨店様の事例をご紹介します。

  • 日本テレビ放送網株式会社様 - ビッグデータを Excel で可視化し、顔が見える番組作りを
    日本テレビ放送網株式会社は、「JoinTV」と呼ばれる、テレビと SNS を組み合わせて体験する同社オリジナルのソーシャル エンターテイメント サービスを提供しています。同社では JoinTV を活用して、視聴者の許可を得たうえでスマートフォンから視聴者のプロファイルや視聴開始時間、離脱時間、滞在時間などのデータを取得。そのビッグデータの分析に、Power BI for Office 365 が用いられています。フロントエンドとして Excel を利用できるので、最前線のスタッフが「番組がどう視聴されているか」を簡単に分析できます。また、各種データを地図にマッピングして分析できる Power Map も積極的に活用。たとえば、番組が放送された時間の地域、年代別参加者数の時間経過グラフを作成、放送中に参加者がどう遷移したかといったことを分析しています。
    ビッグデータの分析は、これまで個人に最適化したデータを扱うのが苦手だったテレビというメディアを変革します。同社では、ビッグデータを活用した今後の取り組みを「O 2 O 2 O (On Air to On Line to Off Line)」と呼んでいます。人の心をさらに動かすために、視聴者の反応を活かした、顔が見える番組作りを進めて行く考えです。
        
  • 株式会社東急百貨店様 - SNS 上の顧客の声を、現場が慣れ親しんだ Excel で分析
    株式会社東急百貨店では、ソーシャルメディアの VOC(Voice of Customer)分析に、Power BI for Office 365 を活用しています。Power BI for Office 365 を採用された理由は、Excel を使ってパワフルな BI が推進できるからでした。IT の専門家がほとんどいない組織ながら、Excel には慣れ親しんでいたのです。これを同社では、「ビッグデータの民主化」「全社員のデータサイエンティスト化」と呼んでいます。百貨店では、日々数え切れないほど販売、接客、売上に関するビッグデータが生まれています。そこに経験、センス、感性を掛け合わせて売場を運営しているのが、バイヤー、売場マネージャーといった現場の人間です。より現場に近い人間がビッグデータを分析できるようにすることで、新たなマーケティング手法やビジネスチャンスが生まれやすくなります。
    具体的には、収集したデータを基幹の POS データや CRM データを SQL Server 経由で連携させ、対話型のデータ調査、Power BI for Office 365 のビジュアル化ツールである Power View などを使って関係性を見ていきます。同社が目指しているのは、アジャイル マーケティングの実現です。日々、現場の人間がデータに触れて迅速にさまざまな仮説を立て、PDCA サイクルを回し売場を活性化させていく企業風土の醸成。VOC というビッグデータをどこよりも速く分析し、手数を多く繰り出すことで、この分野でまだだれも手にしていない成功を収めることを目標とされています。