2017 年 1 月から Azure Media Services のエンコード料金モデルを改定

執筆者: Anil Murching (Senior Program Manager, Azure Media Services)

このポストは、11 月 23 日に投稿された New pricing model for encoding with Azure Media Services coming in January 2017 の翻訳です。

 

お客様からのご意見やご要望にお応えして、2017 年 1 月 1 日から Azure Media Services でオンデマンドでのメディア エンコードの料金モデルを改定することになりました。

今後は、エンコーダーから出力されたメディア ファイルの合計時間に基づいて Standard Encoder および Premium Encoder の料金が計算されます。アダプティブ ストリーミング向けの高品質動画のエンコードを行う場合、標準的なユーザー シナリオでコスト モデリングと分析を行った結果、合計時間で算出される新しい料金設定では約 40 ~ 50% もコストダウンできることがわかりました。値下げの割合は、シナリオや元の料金設定により差があります。

また、メディア占有ユニットの料金が大幅に引き下げられ、料金は 1 分ごとの使用時間に基づいて計算されるようになります。この記事では、新しい料金モデルについて例を交えながら詳しく説明します。

エンコードの新料金モデル

2017 年 1 月 1 日から、エンコード ジョブの料金が、エンコーダーが出力したメディア ファイルの合計時間で計算されるようになります。新しいモデルは自動的に適用されるため、アプリケーション コードを変更する必要はありません。料金はデータ センターによって異なります。詳細は、2017 年 1 月 1 日以降に料金ページをご確認ください。

出力 1 分ごとの料金

エンコード タスクの料金は、出力ファイルの合計分数に下記の係数を掛けると求められます。

出力時間の計算の係数

画質 係数
音声出力のみ x 0.25 20 分の音声ファイルの場合 5 分の SD 画質の動画として計算
SD (1280 × 720 未満) x 1 20 分
HD (1280 × 720 ~ 1920 x 1080) x 2 20 分の HD 画質の動画の場合 40 分の SD 画質の動画として計算
UHD (4096 x 2160 以下) x 4 20 分の UHD 画質の動画の場合 80 分の SD 画質の動画として計算

Standard Encoder の料金計算の例

Standard Encoder は、さまざまな形式の動画ファイルや音声ファイルをスマートフォン、タブレット、PC、テレビなどの各種デバイスでの再生に適した形式にエンコードする場合に最適なオプションです。メディア プロセッサ (Standard Encoder) の機能の詳細については、こちらのドキュメントを参照してください。

エンコーダーの使用料金を合計する場合、入力の動画ファイルの時間と解像度、エンコードのプリセットを把握しておく必要があります。ここで、解像度が 1920 x 1080p で長さが 20 分の高画質 QuickTime 動画をエンコードする場合について考えます。アダプティブ ストリーミング (英語) プロトコルを使用してこの動画をさまざまなデバイスでの再生に適した形式にエンコードする場合、"H264 Multiple Bitrate 1080p" (英語) などのプリセットが一般的です。プリセットで設定されている各出力ファイルの画質とビットレート、および動画の解像度によって決定される係数を掛けた値に基づいて料金が計算されます。上記のプリセットの場合、適用される係数は次のようになります。

画質 解像度 係数
HD 動画 1 1920 x 1080 x 2
HD 動画 2 1920 x 1080 x 2
HD 動画 3 1280 x 720 x 2
SD 動画 1 960 x 540 x 1
SD 動画 2 960 x 540 x 1
SD 動画 3 640 x 360 x 1
SD 動画 4 640 x 360 x 1
SD 動画 5 320 x 180 x 1
音声のみ x 0.25
合計 x 11.25

上の表から、前述の QuickTime 動画をエンコードすると出力の合計分数は 11.25 × 20 = 225 分となります。2017 年 1 月 1 日以降に料金ページで公開されるデータ センターの 1 分あたりの料金に 225 を掛けた値が合計額となります。

Premium Encoder の料金計算の例

放送業界や映画業界で広く使用される形式にエンコードする場合や動画のワークフローで複雑なロジックを使用する場合、Premium Encoder が適しています。2 種類のエンコーダーの相違点については、こちらのドキュメントを参照してください。また、こちらのブログ記事ではエンコーダー選択手順のフローチャートを掲載しています。たとえば、時間が 20 分、解像度が 1920 x 1080p で英語とスペイン語の 2 つの音声トラックを持つ高画質の ProRes/QuickTime の動画があるとします。この動画を、Premium Encoder でビデオ トラック 1 つ、音声トラック 2 つを持つシングル ビットレートの MXF ファイルにエンコードします。この場合の係数は 2 (HD 動画) + 2 × 0.25 (オーディオ トラック) = 2.5 となります。従って、前述の QuickTime 動画を MXF ファイルにエンコードすると出力の換算分数の合計は 20 × 2.5 = 50 分となります。2017 年 1 月 1 日以降に料金ページで公開されるデータセンターの 1 分あたりの料金に 225 を掛けた値が合計額となります。

サムネイルの料金計算の例

このサンプルのように、通常のエンコード作業の一貫としてサムネイルを作成する場合には、追加料金は発生しません。しかし、出力に動画や音声が含まれないなど、サムネイルのみを作成する作業の場合、出力ごとのイメージを 1 秒 (1/60 分) として料金が発生します。

メディア占有ユニットの新料金モデル

1 つまたは複数の動画を同時に処理する場合は、Media Service アカウントにメディア占有ユニット (MRU) を追加する必要があります。MRU の数を増やして並列処理するか、S3 などの高速な MRU を使用することで、サービス全体のスループットが向上します。詳しくはこちらのドキュメントを参照してください。お客様からのご意見やご要望にお応えし、実際の使用状況をより正確に反映するため MRU の料金モデルが変更されます。2017 年 1 月 1 日以降、アカウントに割り当てられた各 MRU が実際に使用された時間に基づいて 1 分単位で料金が計算されます。

MRU の料金計算の例

以下では、MRU が実際に使用された時間に基づいて料金を計算する場合の例を示します。最初は MRU が設定されておらず、ある日の午前 10 時にアカウントに S1 の MRU を 2 個設定したとします。その後さらに動画が追加されたため、午後 1 時 15 分にアカウントの設定を S3 の MRU 4 個に変更しました。午後 4 時にすべての動画の処理が終了したため、アカウントに設定されている MRU をすべて無効化 (MRU の設定数を 0 に変更) しました。この日の MRU の使用料金は下記のようになります。

  • S1 MRU: 2 個 メディア占有ユニット 3.25 時間 (午前 10 時~午後 1 時 15 分) = S1 × 6.5 時間分
  • S3 MRU: 4 個 × 2.75 時間 (午後 1 時 15 分~午後 4 時) = S3 * 11 時間分

2017 年 1 月 1 日以降に料金ページで公開される S1 と S3 の 1 時間あたりの料金に、それぞれ 6.5 と 11 を掛けて合算した値が合計額となります。

お問い合わせ

エンコード機能の詳細については、今後も Azure Media Services ブログ (英語) でお伝えしていきますのでご注目ください。

ご意見や機能についてのご要望は、UserVoice ページ (英語) でお待ちしております。