編集長より

基本 (Basic) に立ち返る

Michael Desmond

Michael Desmondマイクロソフトが昨年 11 月ニューヨークで開催した Connect(); イベントでは、.NET のコア ランタイムとライブラリをオープンソースにするなど、重要な開発テクノロジが多数発表されました。これを受け、最新情報を提供すべく MSDN マガジン特別号を発行しました。この特別号では、Visual Studio の最新クロスプラットフォーム ツール、ASP.NET 5 と Azure SDK 2.5 の詳細、そして、もちろん C# と C++ の最新バージョンについて取り上げました。

しかし、特別号には収め切れなかった情報があったため、1 月号でも Connect(); で発表された開発関連の記事取り上げています。それが、Lucian Wischik の「Visual Basic 14 における強化点トップ 14」、Omid Afnan の「マイクロソフト開発者向けの Hadoop サポート」、および Manoj Bableshwar の「TFS による Web ベースのテスト ケース管理」の 3 本です。

個人的には、マイクロソフトがバージョン 14 のリリースで Visual Basic を抜本的に作り直したという Wischik の記事に特に興味があります。この記事を書いた Wischik は、マイクロソフト Visual Basic/C# 言語設計チームのメンバーです。Wischik によると、チームは 4 年以上の歳月を費やして、これまで C++ で作成されていたこのプログラミング言語を Visual Basic で全面的に書き直したと言います。彼はこの作業を振り返り、チャンスでもあり挑戦でもあったと表現しました。ネイティブ リファクタリングやアナライザーのサポートなど、強力な新機能は "Roslyn" コンパイラ テクノロジによって実現されていますが、このテクノロジを利用するために言語の書き直しが必要だったそうです。今回の大規模な更新では、グループが数年かけて学んできたことを基盤として、言語をゼロから設計し直すチャンスに恵まれたとも話しています。

しかし、書き直しに伴うリスクは決して小さくはありませんでした。「エンドユーザーに新しい価値を提供するためとはいえ、既にある機能を取り戻すためだけに、開発者として何年もの時間を費すことになりました。また、だれもが気付かないうちに依存している古いコードベースのおかしな点やバグを漏れなく再現できないかもしれないというリスクもありました」とも話しています。

さらに事態を難しくしたのが、Visual Basic の驚くべき複雑さです。文化的ルーツは古典的な Visual Basic にありながらも、多岐にわたる機能が年々蓄積されていました。チームは、Visual Basic で開発者としての経験を再現すると同時に近代化するという困難な課題に直面したと Wischik は語っています。

Wischik は、Visual Studio 2015 のリリース後、IDE をさらに強化することを考えています。「チームは、すぐに実験やプロトタイプの作成が可能な高性能イメディエイト ウィンドウの Read-Evaluate-Print Loop (REPL) に取り組んでいて、もっと多くのアナライザーや別のプラグインを記述したいとも考えています」と話します。

Wischik は、Visual Studio 2015 へ移行することを Visual Basic の開発者に強く勧めています。Visual Studio 2015 には、高速コンパイルやアナライザー サポートなどの多くのメリットがあるだけでなく、Visual Studio 2013 へのコードの回帰も可能です。そこから、文字列補間や NameOf、?. 演算子などの新機能を特長とする Visual Basic 14 に移行することができます。

結局のところ、マイクロソフトが見せた Visual Basic への確固たる取り組みこそが、最新の Visual Basic における最も重要な進化と言えるかもしれません。

「これは、マイクロソフトが示す最大の提案だ」と Wischik は言います。「私たちの製品には、今開発者としての年月をすべて注いでもかまわないほどの明るい未来が今後数十年にわたって続くと信じています」


Michael Desmond は MSDN マガジンの編集長です。