April 2016
Volume 31 Number 4
編集長より - BUILD の大胆な方向性
Michael Desmond | April 2016
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3 月 30 日、マイクロソフトは毎年恒例の BUILD カンファレンスをサンフランシスコで開催します。多数の開発テクノロジ、開発プラットフォーム、開発戦略の最新情報やガイドを提供する予定です。ある意味、マイクロソフト開発者の新年度はこの日から始まるといってもよいでしょう。
言うまでもなく、マイクロソフトによる Xamarin の買収と Xamarin そのものは、BUILD の最も大きなトピックです。BUILD では、広範囲にわたる Xamarin のテクノロジ スイートを活用、統合してクロスプラットフォーム モバイル開発を強化するという、マイクロソフトの計画の詳細が明らかになります。買収の発表を受け、Forrester Research 社のバイス プレジデント兼プリンシパル アナリストの Jeffrey Hammond は次のように述べています。「マイクロソフトは Microsoft Azure パブリック クラウドと接続されるモバイル インフラストラクチャ サービスの強固なポートフォリオを作り上げた。Xamarin を手中に収めたことで、マイクロソフトは自社に合ったモバイル アプリのフロントエンド開発が可能になる」と語っています (詳しくは、Jeffrey Hammond のブログ bit.ly/1oW6CQC (英語) をお読みください)。
事実、Xamarin の買収は、クロスプラットフォームを実現しようとする、マイクロソフトの数ある取り組みの中でも最も新しい試みの 1 つに過ぎません。特筆すべきは「.NET Core」です。これを構成するのは、モジュール方式のクロスプラットフォーム ランタイムと、クロスプラットフォームの Web アプリ、ライブラリ、コンソール アプリをビルドできるようにする一連の API です。BUILD カンファレンスでは、.NET Core について多くの発表が予定されています。MSDN マガジン執筆者の Phillip Carter と Zlatko Knezevic が今月の特集記事に書いているように、.NET Core は開発者に新たな扉を開き、アプリとサービスを Windows、Mac、Linux の各コンピューターに配置するシナリオを実現します。
マイクロソフトの .NET チームでプログラム マネージャーを務める Carter は、次のように語っています。「開発者は、好みの OS で開発、配置できるようになることを心から願っている。配置先として Windows 以外の OS もサポートしなければならないケースは数多く存在する。また、Windows と .NET を専門にしてこなかった開発者にも .NET Core は魅力的に映ると確信している」
マイクロソフトは Visual Studio Tools for Apache Cordova (TACO) によってクロスプラットフォーム ハイブリッド アプリ開発をサポートすることにも取り組んでいます。Adam Tuliper は「Ionic と TACO によるクロスプラットフォーム モバイル アプリの作成」で、開発者がハイブリッド アプリ向けに魅力的な UI を作成する方法を説明しています。さらに、新しくリリースされた IntelliSense 用の Cordova Tools 拡張機能と、Visual Studio Code のデバッグについても取り上げています。
これに加え、マイクロソフトのクラウド ソリューション アーキテクトの Eugene Chuvyrov は、マイクロソフトがビッグ データ分野でクロスプラットフォームを実現している方法を紹介しています。彼の特集記事「Spark でのデータ処理と機械学習」では、Linux ベースのオープン ソースのフレームワーク Spark によって、Azure と Visual Studio で最先端の分析と機械学習が可能になるしくみを解説しています。
よく考えてみれば、これは驚くべきことです。Chuvyrov は次のように語っています。「Azure でオープン ソースのプロジェクト (Hadoop、Spark) がマネージ サービスとして実行され、SLA の保証とエンタープライズ サポートも提供されているという事実が見過ごされている」
マイクロソフトはこの 10 年で大きな成長を遂げてきました。BUILD 2017 が開催されるころには、いったいどこまで進化しているのかこの目で確かめるのが楽しみです。
Michael Desmond は MSDN マガジンの編集長です。