Azure Data Factory を使用した SAP HANA からのデータ移動

Note

この記事は、Data Factory のバージョン 1 に適用されます。 現在のバージョンの Data Factory サービスを使用している場合は、V2 の SAP HANA コネクタに関するページを参照してください。

この記事では、Azure Data Factory のコピー アクティビティを使って、オンプレミスの SAP HANA からデータを移動する方法について説明します。 この記事は、コピー アクティビティによるデータ移動の一般的な概要について説明している、データ移動アクティビティに関する記事に基づいています。

オンプレミスの SAP HANA データ ストアから、サポートされている任意のシンク データ ストアにデータをコピーできます。 コピー アクティビティによってシンクとしてサポートされているデータ ストアの一覧については、サポートされているデータ ストアの表をご覧ください。 Data Factory が現在サポートしているのは、SAP HANA から他のデータ ストアへのデータの移動だけで、他のデータ ストアから SAP HANA への移動はサポートしていません。

サポートされているバージョンとインストール

このコネクタは、任意のバージョンの SAP HANA データベースのほか、 SQL クエリを使用した、HANA 情報モデル (分析ビュー、計算ビューなど) および行/列のテーブルからのデータ コピーをサポートしています。

SAP HANA への接続を有効にするには、次のコンポーネントをインストールします。

  • Data Management Gateway: Data Factory サービスは、Data Management Gateway と呼ばれるコンポーネントを使用した、オンプレミスのデータ ストア (SAP HANA を含む) への接続をサポートしています。 Data Management Gateway の詳細およびゲートウェイの設定手順については、オンプレミスのデータ ストアとクラウド データ ストアの間でのデータ移動に関する記事をご覧ください。 SAP HANA が Azure IaaS 仮想マシン (VM) でホストされている場合でも、ゲートウェイは必要です。 ゲートウェイはデータ ストアと同じ VM にインストールできるほか、ゲートウェイがデータベースに接続できれば別の VM にインストールしてもかまいません。
  • SAP HANA ODBC ドライバー: ゲートウェイ コンピューターにインストールします。 SAP HANA ODBC ドライバーは SAP ソフトウェアのダウンロード センターからダウンロードできます。 "SAP HANA CLIENT for Windows" というキーワードで検索してください。

作業の開始

さまざまなツール/API を使用して、オンプレミスの SAP HANA データ ストアからデータを移動するコピー アクティビティを含むパイプラインを作成できます。

  • パイプラインを作成する最も簡単な方法は、コピー ウィザードを使うことです。 「チュートリアル:コピー ウィザードを使用してパイプラインを作成する」を参照してください。データのコピー ウィザードを使用してパイプラインを作成する簡単なチュートリアルです。
  • また、次のツールを使用してパイプラインを作成することもできます。Visual StudioAzure PowerShellAzure Resource Manager テンプレート.NET APIREST API。 コピー アクティビティを含むパイプラインを作成するための詳細な手順については、コピー アクティビティのチュートリアルをご覧ください。

ツールと API のいずれを使用する場合も、次の手順を実行して、ソース データ ストアからシンク データ ストアにデータを移動するパイプラインを作成します。

  1. リンクされたサービスを作成し、入力データ ストアと出力データ ストアをデータ ファクトリにリンクします。
  2. コピー操作用の入力データと出力データを表すデータセットを作成します。
  3. 入力としてのデータセットと出力としてのデータセットを受け取るコピー アクティビティを含むパイプラインを作成します。

ウィザードを使用すると、Data Factory エンティティ (リンクされたサービス、データセット、パイプライン) に関する JSON の定義が自動的に作成されます。 (.NET API を除く) ツールまたは API を使う場合は、JSON 形式でこれらの Data Factory エンティティを定義します。 オンプレミスの SAP HANA データ ストアからデータをコピーするときに使用する Data Factory エンティティの JSON 定義のサンプルについては、この記事の「JSON の使用例: SAP HANA から Azure BLOB へのデータのコピー」を参照してください。

次のセクションでは、SAP HANA データ ストアに固有の Data Factory エンティティの定義に使用される JSON プロパティについて詳しく説明します。

リンクされたサービスのプロパティ

次の表は、SAP HANA のリンクされたサービスに固有の JSON 要素の説明をまとめたものです。

プロパティ 説明 使用できる値 必須
server SAP HANA インスタンスが存在するサーバーの名前。 カスタマイズされたポートをサーバーが使用している場合は、server:port を指定します。 string はい
authenticationType 認証の種類。 string。 "Basic" または"Windows" はい
username SAP サーバーにアクセスするユーザーの名前 string はい
password ユーザーのパスワード。 string はい
gatewayName Data Factory サービスが、オンプレミスの SAP HANA インスタンスへの接続に使用するゲートウェイの名前。 string はい
encryptedCredential 暗号化された資格情報の文字列。 string いいえ

データセットのプロパティ

データセットの定義に利用できるセクションと&プロパティの完全な一覧については、データセットの作成に関する記事をご覧ください。 データセット JSON の構造、可用性、ポリシーなどのセクションは、データセットのすべての型 (Azure SQL、Azure BLOB、Azure テーブルなど) でほぼ同じです。

typeProperties セクションはデータセット型ごとに異なり、データ ストアのデータの場所などに関する情報を提供します。 RelationalTable 型の SAP HANA データセットに対して、サポートされている型固有のプロパティはありません。

コピー アクティビティのプロパティ

アクティビティの定義に利用できるセクションと&プロパティの完全な一覧については、パイプラインの作成に関する記事を参照してください。 名前、説明、入力テーブル、出力テーブル、ポリシーなどのプロパティは、あらゆる種類のアクティビティで使用できます。

一方、アクティビティの typeProperties セクションで使用できるプロパティは、各アクティビティの種類によって異なります。 コピー アクティビティの場合、ソースとシンクの種類によって異なります。

コピー アクティビティのソースの種類が RelationalSource (SAP HANA を含む) である場合は、typeProperties セクションで次のプロパティを使用できます。

プロパティ 説明 使用できる値 必須
query SAP HANA インスタンスからデータを読み取る SQL クエリを指定します。 SQL クエリ。 はい

JSON の使用例: SAP HANA から Azure BLOB へのデータのコピー

次の例は、Visual Studio または Azure PowerShell を使用してパイプラインを作成する際に使用できるサンプルの JSON 定義です。 このサンプルは、オンプレミスの SAP HANA から Azure Blob Storage にデータをコピーする方法を示します。 Azure Data Factory のコピー アクティビティを使用して、こちらに記載されているシンクのいずれかにデータを直接コピーすることもできます。

重要

このサンプルでは、JSON のスニペットを使用します。 データ ファクトリを作成する手順は含まれてません。 手順については、記事「 Data Management Gateway を使用してオンプレミスのソースとクラウドの間でデータを移動する 」を参照してください。

このサンプルでは、次の Data Factory のエンティティがあります。

  1. SapHana 型のリンクされたサービス。
  2. AzureStorage型のリンクされたサービス。
  3. RelationalTable 型の入力データセット
  4. AzureBlob 型の出力データセット
  5. RelationalSourceBlobSink を使用するコピー アクティビティを含むパイプライン

このサンプルでは、SAP HANA インスタンスから Azure BLOB に 1 時間おきにデータをコピーします。 これらのサンプルで使用される JSON プロパティの説明はサンプルに続くセクションにあります。

最初の手順として、データ管理ゲートウェイを設定します。 設定手順は、 オンプレミスの場所とクラウドの間でのデータ移動 に関する記事に記載されています。

SAP HANA のリンクされたサービス

このリンクされたサービスでは、SAP HANA インスタンスをデータ ファクトリにリンクします。 type プロパティは SapHana に設定されます。 typeProperties セクションは、SAP HANA インスタンスの接続情報を示しています。

{
    "name": "SapHanaLinkedService",
    "properties":
    {
        "type": "SapHana",
        "typeProperties":
        {
            "server": "<server name>",
            "authenticationType": "<Basic, or Windows>",
            "username": "<SAP user>",
            "password": "<Password for SAP user>",
            "gatewayName": "<gateway name>"
        }
    }
}

Azure Storage のリンクされたサービス

このリンクされたサービスでは、Azure ストレージ アカウントをデータ ファクトリにリンクします。 type プロパティは AzureStorage に設定されます。 typeProperties セクションは、Azure ストレージ アカウントの接続情報を示しています。

{
  "name": "AzureStorageLinkedService",
  "properties": {
    "type": "AzureStorage",
    "typeProperties": {
      "connectionString": "DefaultEndpointsProtocol=https;AccountName=<accountname>;AccountKey=<accountkey>"
    }
  }
}

SAP HANA 入力データセット

このデータセットでは、SAP HANA データセットを定義します。 Data Factory データセットの型は RelationalTable に設定します。 現時点では、SAP HANA データセットに対して型固有のプロパティは指定しません。 コピー アクティビティ定義のクエリでは、SAP HANA インスタンスからどのデータを読み取るかが指定されます。

external プロパティを true に設定すると、このテーブルが Data Factory の外部にあり、Data Factory のアクティビティによって生成されたものではないことが Data Factory サービスに通知されます。

頻度と間隔のプロパティでは、スケジュールを定義します。 この場合、データは 1 時間ごとに SAP HANA インスタンスから読み取られます。

{
    "name": "SapHanaDataset",
    "properties": {
        "type": "RelationalTable",
        "linkedServiceName": "SapHanaLinkedService",
        "typeProperties": {},
        "availability": {
            "frequency": "Hour",
            "interval": 1
        },
        "external": true
    }
}

Azure BLOB の出力データセット

このデータセットでは、出力 Azure BLOB データセットを定義します。 type プロパティは AzureBlob に設定されます。 typeProperties セクションは、SAP HANA インスタンスからコピーしたデータの格納場所を示しています。 データは新しい BLOB に 1 時間おき (頻度: 時間、間隔: 1) に書き込まれます。 BLOB のフォルダー パスは、処理中のスライスの開始時間に基づき、動的に評価されます。 フォルダー パスは開始時間の年、月、日、時刻の部分を使用します。

{
    "name": "AzureBlobDataSet",
    "properties": {
        "type": "AzureBlob",
        "linkedServiceName": "AzureStorageLinkedService",
        "typeProperties": {
            "folderPath": "mycontainer/saphana/yearno={Year}/monthno={Month}/dayno={Day}/hourno={Hour}",
            "format": {
                "type": "TextFormat",
                "rowDelimiter": "\n",
                "columnDelimiter": "\t"
            },
            "partitionedBy": [
                {
                    "name": "Year",
                    "value": {
                        "type": "DateTime",
                        "date": "SliceStart",
                        "format": "yyyy"
                    }
                },
                {
                    "name": "Month",
                    "value": {
                        "type": "DateTime",
                        "date": "SliceStart",
                        "format": "MM"
                    }
                },
                {
                    "name": "Day",
                    "value": {
                        "type": "DateTime",
                        "date": "SliceStart",
                        "format": "dd"
                    }
                },
                {
                    "name": "Hour",
                    "value": {
                        "type": "DateTime",
                        "date": "SliceStart",
                        "format": "HH"
                    }
                }
            ]
        },
        "availability": {
            "frequency": "Hour",
            "interval": 1
        }
    }
}

コピー アクティビティのあるパイプライン

パイプラインには、入力データセットと出力データセットを使用するように構成され、1 時間おきに実行するようにスケジュールされているコピー アクティビティが含まれています。 パイプライン JSON 定義で、source 型が RelationalSource に設定され (SAP HANA ソースの場合)、sink 型が BlobSink に設定されています。 query プロパティに指定されている SQL クエリは過去のデータを選択してコピーします。

{
    "name": "CopySapHanaToBlob",
    "properties": {
        "description": "pipeline for copy activity",
        "activities": [
            {
                "type": "Copy",
                "typeProperties": {
                    "source": {
                        "type": "RelationalSource",
                        "query": "<SQL Query for HANA>"
                    },
                    "sink": {
                        "type": "BlobSink",
                        "writeBatchSize": 0,
                        "writeBatchTimeout": "00:00:00"
                    }
                },
                "inputs": [
                    {
                        "name": "SapHanaDataset"
                    }
                ],
                "outputs": [
                    {
                        "name": "AzureBlobDataSet"
                    }
                ],
                "policy": {
                    "timeout": "01:00:00",
                    "concurrency": 1
                },
                "scheduler": {
                    "frequency": "Hour",
                    "interval": 1
                },
                "name": "SapHanaToBlob"
            }
        ],
        "start": "2017-03-01T18:00:00Z",
        "end": "2017-03-01T19:00:00Z"
    }
}

SAP HANA の型マッピング

データ移動アクティビティ に関する記事のとおり、コピー アクティビティは次の 2 段階のアプローチで型を source から sink に自動的に変換します。

  1. ネイティブの source 型から .NET 型に変換する
  2. .NET 型からネイティブの sink 型に変換する

SAP HANA からデータを移動する場合、SAP HANA 型から .NET 型に対する次のマッピングが使用されます。

SAP HANA の型 .NET ベースの型
TINYINT Byte
SMALLINT Int16
INT Int32
bigint Int64
real Single
DOUBLE Single
DECIMAL Decimal
BOOLEAN Byte
VARCHAR String
NVARCHAR String
CLOB Byte[]
ALPHANUM String
BLOB Byte[]
DATE DateTime
TIME TimeSpan
timestamp DateTime
SECONDDATE DateTime

既知の制限事項

SAP HANA からデータをコピーする場合、既知の制限事項がいくつかあります。

  • NVARCHAR 文字列は、Unicode 文字の最大文字数である 4,000 文字に切り詰められます
  • SMALLDECIMAL はサポートされていません
  • VARBINARY はサポートされていません
  • 有効な日付は 1899/12/30 ~ 9999/12/31 です

ソース列からシンク列へのマップ

ソース データセット列のシンク データセット列へのマッピングの詳細については、Azure Data Factory のデータセット列のマッピングに関するページをご覧ください。

リレーショナル ソースからの反復可能読み取り

リレーショナル データ ストアからデータをコピーする場合は、意図しない結果を避けるため、再現性に注意する必要があります。 Azure Data Factory では、スライスを手動で再実行できます。 障害が発生したときにスライスを再実行できるように、データセットの再試行ポリシーを構成することもできます。 いずれかの方法でスライスが再実行された際は、何度スライスが実行されても同じデータが読み込まれることを確認する必要があります。 リレーショナル ソースからの反復可能読み取りに関するページをご覧ください。

パフォーマンスとチューニング

Azure Data Factory でのデータ移動 (コピー アクティビティ) のパフォーマンスに影響する主な要因と、パフォーマンスを最適化するための各種方法については、「コピー アクティビティのパフォーマンスと&チューニングに関するガイド」を参照してください。