式ツリー (C#)

式ツリーでは、コードがツリー状のデータ構造で表示されます。各ノードは 1 つの式に対応しています。たとえば、メソッドの呼び出しや x < y のような二項演算などです。

式ツリーで表されるコードはコンパイルおよび実行できます。 これによって、実行可能なコードの動的な変更、さまざまなデータベースでの LINQ クエリの実行、および動的クエリの作成が可能になります。 LINQ の式ツリーの詳細については、「How to: Use Expression Trees to Build Dynamic Queries (C#)」 (方法: 式ツリーを使用して動的クエリをビルドする (C#)) を参照してください。

また、式ツリーを動的言語ランタイム (DLR) に使用することで、動的言語と .NET Framework 間の相互運用性が実現し、コンパイラ ライターで Microsoft Intermediate language (MSIL) ではなく式ツリーを出力できるようになります。 DLR の詳細については、「動的言語ランタイムの概要」を参照してください。

匿名のラムダ式に基づいて、C# と Visual Basic コンパイラで式ツリーを作成できます。または、System.Linq.Expressions 名前空間を使用して手動で式ツリーを作成できます。

ラムダ式からの式ツリーの作成

ラムダ式が Expression<TDelegate> 型の変数に割り当てられている場合、コンパイラはラムダ式を表す式ツリーを構築するコードを出力します。

C# コンパイラは、式形式のラムダ (つまり単一行のラムダ) からのみ式ツリーを生成できます。 ステートメント形式のラムダ (つまり複数行のラムダ) は解析できません。 C# のラムダ式の詳細については、「ラムダ式」を参照してください。

次のコード例は、ラムダ式 num => num < 5 を表す式ツリーを C# コンパイラで作成する方法を示しています。

Expression<Func<int, bool>> lambda = num => num < 5;  

API を使用した式ツリーの作成

API を使用して式ツリーを作成するには、Expression クラスを使用します。 このクラスには、特定の型を持つ式ツリー ノードを作成する静的ファクトリ メソッドが含まれます。たとえば、変数またはパラメーターを表す ParameterExpression や、メソッドの呼び出しを表す MethodCallExpression などです。 ParameterExpressionMethodCallExpression などの式固有の型も、System.Linq.Expressions 名前空間で定義されます。 これらの型は、Expression 抽象型から派生したものです。

次のコード例は、API を使用して、ラムダ式 num => num < 5 を表す式ツリーを作成する方法を示しています。

// Add the following using directive to your code file:  
// using System.Linq.Expressions;  

// Manually build the expression tree for   
// the lambda expression num => num < 5.  
ParameterExpression numParam = Expression.Parameter(typeof(int), "num");  
ConstantExpression five = Expression.Constant(5, typeof(int));  
BinaryExpression numLessThanFive = Expression.LessThan(numParam, five);  
Expression<Func<int, bool>> lambda1 =  
    Expression.Lambda<Func<int, bool>>(  
        numLessThanFive,  
        new ParameterExpression[] { numParam });  

.NET Framework 4 以降の式ツリー API は、割り当て式、制御フロー式 (ループ、条件ブロック)、および try-catch ブロックもサポートしています。 API を使用すると、C# コンパイラのラムダ式から作成できる式ツリーよりも複雑な式ツリーを作成できます。 次の例は、数値の階乗を計算する式ツリーを作成する方法を示しています。

// Creating a parameter expression.  
ParameterExpression value = Expression.Parameter(typeof(int), "value");  

// Creating an expression to hold a local variable.   
ParameterExpression result = Expression.Parameter(typeof(int), "result");  

// Creating a label to jump to from a loop.  
LabelTarget label = Expression.Label(typeof(int));  

// Creating a method body.  
BlockExpression block = Expression.Block(  
    // Adding a local variable.  
    new[] { result },  
    // Assigning a constant to a local variable: result = 1  
    Expression.Assign(result, Expression.Constant(1)),  
    // Adding a loop.  
        Expression.Loop(  
    // Adding a conditional block into the loop.  
           Expression.IfThenElse(  
    // Condition: value > 1  
               Expression.GreaterThan(value, Expression.Constant(1)),  
    // If true: result *= value --  
               Expression.MultiplyAssign(result,  
                   Expression.PostDecrementAssign(value)),  
    // If false, exit the loop and go to the label.  
               Expression.Break(label, result)  
           ),  
    // Label to jump to.  
       label  
    )  
);  

// Compile and execute an expression tree.  
int factorial = Expression.Lambda<Func<int, int>>(block, value).Compile()(5);  

Console.WriteLine(factorial);  
// Prints 120.  

詳細については、「Generating Dynamic Methods with Expression Trees in Visual Studio 2010 (Visual Studio 2010 での式ツリーによる動的メソッドの生成)」を参照し、Visual Studio 2010 以降のバージョンについても同じ方法を適用してください。

式ツリーの解析

次のコード例は、ラムダ式 num => num < 5 を表す式ツリーを各部分に分解する方法を示しています。

// Add the following using directive to your code file:  
// using System.Linq.Expressions;  

// Create an expression tree.  
Expression<Func<int, bool>> exprTree = num => num < 5;  

// Decompose the expression tree.  
ParameterExpression param = (ParameterExpression)exprTree.Parameters[0];  
BinaryExpression operation = (BinaryExpression)exprTree.Body;  
ParameterExpression left = (ParameterExpression)operation.Left;  
ConstantExpression right = (ConstantExpression)operation.Right;  

Console.WriteLine("Decomposed expression: {0} => {1} {2} {3}",  
                  param.Name, left.Name, operation.NodeType, right.Value);  

// This code produces the following output:  

// Decomposed expression: num => num LessThan 5  

式ツリーの不変性

式ツリーは変更できません。 つまり、式ツリーを変更するには、既存の式ツリーをコピーしてツリー内のノードを置き換えることで、新しい式ツリーを作成する必要があります。 式ツリー ビジターを使用して、既存の式ツリーを走査することができます。 詳細については、「方法: 式ツリーを変更する (C#)」を参照してください。

式ツリーのコンパイル

Expression<TDelegate> 型に含まれる Compile メソッドにより、式ツリーが表すコードを実行可能なデリゲートにコンパイルします。

次のコード例は、式ツリーをコンパイルして結果のコードを実行する方法を示しています。

// Creating an expression tree.  
Expression<Func<int, bool>> expr = num => num < 5;  

// Compiling the expression tree into a delegate.  
Func<int, bool> result = expr.Compile();  

// Invoking the delegate and writing the result to the console.  
Console.WriteLine(result(4));  

// Prints True.  

// You can also use simplified syntax  
// to compile and run an expression tree.  
// The following line can replace two previous statements.  
Console.WriteLine(expr.Compile()(4));  

// Also prints True.  

詳細については、「方法: 式ツリーを実行する (C#)」を参照してください。

関連項目

System.Linq.Expressions
方法 : 式ツリーを実行する (C#)
方法: 式ツリーを変更する (C#)
ラムダ式
動的言語ランタイムの概要
プログラミングの概念 (C#)