Exchange 電子情報開示の検索不能アイテム

製品: Exchange Server 2013

Exchange Server 2013 と Exchange Online のインプレース電子情報開示における検索不能アイテムとは、Exchange Search でインデックス付けができない、または、部分的にしかインデックス付けがされていないメールボックス アイテムです。 検索不能アイテムには一般的に、電子メール メッセージに添付された、インデックス付けができないファイルが含まれます。 ファイルに検索用のインデックス付けができず、電子メール メッセージに添付すると検索不能アイテムとして返される理由のいくつかを以下に示します。

  • ファイル形式にインデックスを付ける検索フィルター ( IFilter とも呼ばれます) がインストールされていないため、ファイルの種類はインデックス作成ではサポートされていません。
  • この種のファイルのインデックス付けが無効になっている。
  • この種のファイルのインデックス付けはサポートされているが、特定のファイルでインデックス付けエラーが発生した。
  • ファイルが Microsoft 以外のテクノロジで暗号化されている。
  • ファイルがパスワードで保護されている。

正しく電子情報開示検索を行うには、組織で検索不能アイテムを確認する必要がある場合があります。 電子情報開示の検索結果を探索メールボックスにコピーするとき、または、結果を PST ファイルにエクスポートするときに検索不能アイテムを含めるかどうかを指定できます。

ビットマップ ファイルや MP3 ファイルなど特定の種類のファイルには、インデックス付けが可能なコンテンツが含まれていません。 そのため、Exchange Search はこのような種類のファイルに対してフルテキスト インデックス付けを実行しません。 この種のファイルはサポートされない種類のファイルと見なされます。 既定でまたは管理者によって、フルテキスト インデックス付けが無効になっている種類のファイルもあります。 サポートされない種類のファイルと無効になっている種類のファイルは、電子情報開示検索の検索不能アイテムと見なされます。 この種のファイルは、電子メール メッセージに添付されることが多く、検索結果のコピーやエクスポート時に検索不能アイテムを含めると結果セットに表示されます。 サポートされているファイル形式と無効になっているファイル形式の一覧については、「Exchange Search によってインデックス処理されるファイル形式」を参照してください。 Exchange Server 2013 では、管理者が Set-SearchDocumentFormat コマンドレットを使用してサポートされているファイル形式のインデックス付けを無効にできます。 このコマンドレットは Exchange Online では使用できません。

特定のメールボックス内で検索不能アイテムを特定するには、Get-FailedContentIndexDocuments コマンドレットを実行して、検索結果に検索不能アイテムを含めるように指定した場合にコピーまたはエクスポートされるアイテムの一覧を取得します。

検索結果で返されるサポートされていない種類のファイルを含むメッセージ

サポートされていない添付ファイルを含むメッセージのすべてが自動的に検索不能アイテムとして返されるわけではありません。 これは、ファイル名など他のファイル プロパティにはインデックスが付けられており、検索に使用できるためです。 たとえば、"financial" のキーワード検索では、そのキーワードがファイル名に含まれていれば、サポートされていない添付ファイルを持つメッセージが返されます。 キーワードが添付ファイルの本体にしか含まれていない場合、そのメッセージは検索不能アイテムとして返されます。

同様に、インデックスが付けられ検索が可能なメールボックス アイテムの他のプロパティが検索条件を満たしていれば、サポートされていない添付ファイルを持つメッセージは検索結果に表示されます。 検索用のインデックスが付けられたメッセージ プロパティには、送信日と受信日、送信者と受信者、添付ファイルの名前、およびメッセージ本文のテキストが含まれます。 そのため、メッセージの添付ファイルが検索不能であっても、他のメッセージ プロパティの値が検索条件を満たしていれば、そのメッセージは通常の検索結果に表示されます。 実際には、検索できない添付ファイルを持つメッセージが通常の検索結果に表示されることはよくあります。

検索用のインデックスが付けられた電子メール メッセージ プロパティの一覧については、「Exchange Search によってインデックス処理されるメッセージのプロパティ」を参照してください。

検索結果に検索不能アイテムを含める

組織で検索不能アイテムの種類、内容、および関連性を特定するために、検索不能アイテムを識別して追加の処理を実行する必要がある場合があります。 電子情報開示の検索結果に検索不能アイテムを含めるには、検索結果のコピーまたはエクスポート時に検索不能アイテム オプションを使用します。 Exchange または Exchange Online でインプレース電子情報開示を使用している場合に検索不能アイテムを含めるには、検索結果を探索メールボックスにコピーするとき、または検索結果を PST ファイルにエクスポートするときに、 [検索できないアイテムを含める] オプションを選択します。 SharePoint または SharePoint Online で電子情報開示センターを使用している場合に検索不能アイテムを含めるには、 [暗号化されているアイテムまたは認識されない形式のアイテムを含めます] オプションを選択します。

検索不能アイテムをコピーまたはエクスポートするときには次の点に注意してください。

  • 検索不能アイテムを探索メールボックスにコピーすると、すべての検索不能アイテムが、検索結果が格納されているフォルダー内の Unsearchable という名前の別のフォルダーにコピーされます。 検索結果をエクスポートするときに検索不能アイテムを含めた場合は、検索不能アイテムが別の PST ファイルにエクスポートされます。

  • 検索結果に検索不能アイテムを含める場合は、検索条件に関係なく、検索対象のメールボックス内のすべての検索不能アイテムが返されます。

  • 検索結果にすべてのメールボックス アイテムを含めるよう指定した場合、または検索クエリでキーワードが指定されていないか日付範囲しか指定されていない場合は、検索不能アイテムを含めるオプションを選択しても、検索不能アイテムが Unsearchable フォルダーにコピーされないことがあります。 これは、検索不能アイテムを含む、すべてのアイテムが自動的に通常の検索結果に含まれるためです。

  • 前述したように、メッセージ プロパティとメタデータにはインデックスが付けられているため、キーワード検索は、検索できないファイルが添付されたメッセージのプロパティまたはメタデータにキーワードが含まれていれば、結果を返します。 この場合は、同じメールボックス アイテムの 2 つのコピーも検索結果に含まれます。 このような重複を避け、通常の検索結果にアイテムのコピーを 1 つしか含めないようにするには、検索結果をコピーまたはエクスポートするときに [重複除去を有効にする] オプションを選択します。

  • 検索結果に検索不能アイテムを含めると、表示される予想検索結果にも影響する可能性があります。 検索結果のコピー時に検索不能アイテムを含めた場合は、予想アイテム数の合計と予想サイズの合計に検索不能アイテムが含められます。

検索結果に検索不能アイテムを含める方法の詳細については、以下を参照してください。

検索不能アイテムの詳細

  • Exchange Search でサポートされているファイルの種類で、フルテキスト インデックスが付けられている場合でも、インデックス付けエラーや検索エラーが原因でファイルが検索不能アイテムとして返される場合があります。 たとえば、大容量の Excel ファイルの検索が途中でサイズ制限を超えて失敗することがあります。 この場合は、同じファイルが検索結果で返され、同時に検索不能アイテムとしても返されることがあります。

  • Microsoft テクノロジで暗号化された添付ファイルは、Exchange Search によってインデックスが作成され、検索されます。 Microsoft 以外のテクノロジで暗号化されたファイルは、検索不可として返されます。

  • S/MIME を使用して暗号化された電子メール メッセージは、インデックスが付けられないため、検索不能アイテムと見なされます。 これには、添付ファイルの有無に関係なく、暗号化されたメッセージが含まれます。

  • Information Rights Management (IRM) を使用して保護されたメッセージは、Exchange Search でインデックスが付けられるため、クエリのパラメーターと一致した場合に検索結果に含まれます。 IRM の詳細については、「Information Rights Management」を参照してください。

  • 前述したように、メッセージ プロパティとメタデータにはインデックスが付けられているため、キーワード検索は、そのキーワードがインデックス付きメタデータに含まれていれば、結果を返します。 ただし、サポートされていないファイルの種類である添付アイテムのコンテンツにしかキーワードが含まれていない場合は、同じキーワード検索で同じアイテムが返されない可能性があります。 この場合は、アイテムが検索不能アイテムとしてしか返されません。

  • Exchange 2010 の電子情報開示には、 セーフリストの概念があります。 これらは、検索できないコンテンツを含むファイルの種類であり、Exchange Search ではインデックスが作成されません。たとえば、Windows Media Video (.wmv) ファイルや波形オーディオ (.wav) ファイルなどです。 これらの種類のファイルには検索可能なコンテンツが含まれていないため、Exchange 2010 では検索できないアイテムとは見なされません。 これらのファイルの種類を含むメールボックスアイテムは検索不可能なアイテムとして返されておらず、検出メールボックスにコピーされませんでした。

    Exchange 2013 または Exchange Online ではセーフリストが廃止されています。 ファイルの種類は、インデックス付けに対して有効/無効になっているか、サポートされていないかのどちらかです。 無効になっている種類のファイルとサポートされていない種類のファイルは、検索不能アイテムと見なされます。