スケールアウト ファイル サーバーを実装する
高可用性の Hyper-V VM または SQL Server データベースを展開する場合は、パフォーマンスと回復性を最適化することが重要です。 これを実現するには、SOFS の使用を検討してください。
スケールアウト ファイル サーバー
SOFS は CSV ベースの Windows Server フェールオーバー クラスタリングの役割です。 SOFS には次のようなメリットがあります。
- スケーリングの向上。 クライアントから共有フォルダーへのアクセスは複数のノードを介して行われるため、アクセス要求の量が増えた場合は、SOFS にさらにノードを追加できます。
- 使用率の負荷分散。 すべてのフェールオーバー クラスター ノードで、1 つ以上の SOFS を対象とするクライアントの読み取り要求と書き込み要求を受け付けて処理できます。 それらの帯域幅とプロセッサ能力を組み合わせることにより、単一のノードより高い使用率を実現できます。 SOFS ではすべてのクラスター ノード全体で対応できる数のクライアントをサポートできるため、1 つのフェールオーバー クラスター ノードがボトルネックになる可能性がなくなります。
- 無停止でのメンテナンス、更新、ノード障害への対応。 ディスク破損の問題の修正、メンテナンスの実行、更新、またはフェールオーバー クラスター ノードの再起動により、SOFS の可用性が影響を受けることはありません。 また、SOFS では、ノードの障害後の透過的なフェールオーバーも提供されています。
- CSV のキャッシュ。 この機能を使用すると、システム メモリをライトスルー キャッシュとして割り当てることができます。 これにより、特に仮想デスクトップ インフラストラクチャ (VDI) のシナリオで、VHD にアクセスするときの Hyper-V などのアプリケーションのパフォーマンスが向上します。
- クライアントの自動再調整。 SOFS では、SMB クライアント接続を追跡し、使用率が最も低いクラスター ノードにクライアントがリダイレクトされます。
- ノードごとの複数の SMB インスタンスのサポート。 既定の SMB インスタンスでは、受信した SMB クライアント トラフィックが管理され、各クラスター ノード上の追加の SMB インスタンスでは、ノード間の CSV トラフィックが管理されます。 この機能により、クラスター ノード間の CSV トラフィックのスケーラビリティと信頼性が向上します。
- 簡素化された管理。 SOFS では、SOFS クラスターを作成し、そのストレージを CSV に追加して、ファイル共有を作成します。 クラスター化された複数のファイル サーバーを作成する必要はありません。それぞれが個別のクラスター ディスクを使用するようにして、すべてのクラスター ノードで負荷が分散されるように配置ルールを設計します。
VM 用に SOFS を実装する
SOFS を実装する前に、Windows Server フェールオーバー クラスターをセットアップする必要があります。これは、ファイル サービスの役割がインストールされている 2 つ以上のノードで構成されます。 クラスターでは、CSV を介してアクセス可能な共有ストレージをホストする必要があります。 その時点で、フェールオーバー クラスター マネージャーを使用して、アプリケーション データ サーバーの種類にスケールアウト ファイル サーバーを使用して、ファイル サーバーのクラスター化された役割を作成できます。 構成の一部として、ファイル サーバーのクライアント アクセス ポイントとして機能する名前を指定する必要があります。この名前は、クライアントで共有にアクセスするために使用されます。
注意
クラスター化されたファイル サーバーの役割では Windows ベースのサーバーがエミュレートされるため、Windows コンピューターの名前と同様に、その名前が 15 文字を超えることは許可されません。
ファイル サーバーの役割を作成したら、それを高可用性の共有に追加する必要があります。 このためには、フェール オーバークラスター マネージャーを使用できます。 共有を作成する場合は、[SMB 共有 - アプリケーション] プロファイルを選択します。これは、Hyper-V VM ファイルと SQL Server データベース ファイルに最適化されています。 この手順が完了したら、ディスクと構成ファイルが新しく作成された共有に配置されるように、新しい VM を展開するか、既存の VM を移行することができます。
デモンストレーション
次のビデオでは、以下のことを行う方法について説明しています。
- グラフィカル ツールを使用して SOFS を実装する。
- Windows PowerShell を使用して SOFS を実装する。
このプロセスの主な手順は次のとおりです。
AD DS 環境を作成します。 それぞれに 4 つのデータ ディスクを持つ、3 つのドメイン メンバー サーバー (3 番目のサーバーを含む) を含む、単一ドメインの Active Directory Domain Services (AD DS) フォレストを作成します。
Windows PowerShell を使用して Windows Server フェールオーバー クラスターを作成します。 最初の 2 つのドメイン メンバー サーバーを使用して、2 ノード クラスターを作成します。
iSCSI ターゲットを設定します。 3 番目のドメイン メンバー サーバーを使用して iSCSI ターゲットを設定します。
iSCSI 記憶域を設定します。 3 番目のドメイン メンバー サーバーで iSCSI 仮想ディスクを作成し、クラスター ノードの iSCSI イニシエーターで使用できるようにします。
iSCSI イニシエーターを設定します。 クラスター ノードで iSCIS イニシエーターを構成して、共有ストレージを設定します。
CSV を構成します。 フェールオーバー クラスター マネージャーを使用して CSV を構成します。
フェールオーバー クラスター マネージャーまたは Windows PowerShell を使用して、高可用性のファイル サーバーの役割を作成します。
フェールオーバー クラスター マネージャーを使用して、アプリケーションのデータ共有をホストするようにスケールアウト ファイル サーバーを構成します。
Windows PowerShell を使用して、クラスターの共有ボリュームをスケールアウト ファイル サーバーとして使用する既存のフェールオーバー クラスターを構成し、スケールアウト ファイル サーバーをオンラインにするための追加の IP アドレス リソースを構成します。