アプリの合成

完了

アプリの合成は、ソリューション アーキテクトに必要とされる判断の中で最も重要なものの 1 つです。 アプリの合成は、アプリの数と種類を決定するプロセスです。 アプリに含めるアプリの数と機能を判断することは、プロセスにおける重要な検討事項です。

アプリの数と種類を決定する

ソリューション アーキテクトは、次の原則に従って構築するアプリを選ぶ必要があります。

  • 大規模なモノリシック アプリは、構築すべきではありません。
  • 小規模なアプリを多数構築すると、ユーザーがコンテキストを頻繁に切り替える必要がある場合に混乱する可能性があります。
  • 複数のアプリで使用できるようにコンポーネントを作成すると、アプリを合成してユーザー固有の要件を満たすことができます。
  • オフィスを離れる時間が長いユーザー グループのために、モバイル アプリを用意しましょう。

重要

ソリューション アーキテクトは、どのユーザー コミュニティがどのアプリを使用し、そのアプリをいつ、どのデバイスで使用するかを考慮する必要があります。 アプリの数と種類の決定に役立つ方法でアプリをマップしてみると、効果があるかもしれません。

既存のアプリの拡張と新しいアプリの作成の比較

Dynamics 365 アプリには、営業ハブや Customer Service ハブなどのアプリが付属しています。 これらのアプリを使用して拡張することも、独自のアプリを作成することもできます。

既存のアプリを使用し変更することには、次の特徴があります。

  • 更新プログラムのリリース時に、新しい機能をチェックする必要がある。
  • 不要な機能が含まれる。
  • カスタム アプリで再利用または複製できないコンポーネントがある。

新しいアプリを作成することには、次の特徴があります。

  • すべての機能を完全にコントロールできる。
  • アプリのナビゲーションに新しい機能を自分で追加する必要がある。
  • カスタム フォームやビューを使用して構成をコントロールできる。

作成するアプリの種類を決定する

モデル駆動型アプリは、Dataverse 環境内のデータ モデルをベースに構築します。 モデル駆動型アプリのビューや詳細画面は、アプリのデータ構造をベースに作成します。 そのため、アプリ作成者はあまり苦労しなくても、画面が切り替わる際の表示や動作を、ユーザーから見て一貫性の高い方法で作成することができます。

モデル駆動型アプリは、ビジネス ロジックが複雑である次のようなシナリオに便利です。

  • 高度なデータ モデル。
  • ビジネス プロセス管理。
  • データに関連付けられた活動の追跡。

キャンバス アプリは、Dataverse を使用しても、しなくても作成できます。 データやサービスへのアクセスは、コネクタを使用して行います。 キャンバス アプリは、芸術家が絵を描くときのように空白の画面から作成を開始し、各画面を自分でレイアウトしていきます。 そのため、作成者はキャンバスの要素の配置をすべて自分でコントロールできます。

ユーザー エクスペリエンスをカスタマイズする必要があるのなら、キャンバス アプリを選ぶべきです。それには次のような理由があります。

  • インターフェイスがグラフィカルで直観的である。
  • ユーザーの要件に基づき、UI をオーダーメードで作成できる。
  • コネクタを使用して、複数のシステムを統合できる。

メモ

ユーザーがキャンバス アプリを特に必要としない場合は、モデル駆動型アプリを作成することをお勧めします。 モデル駆動型アプリを使用すると、UI を自分で作成する必要がないため、アプリをすばやく作成できます。

ビジネス プロセスで複数のアプリが必要になる場合があります。 次のサンプル シナリオで、経費精算書を作成および表示するためのソリューションが必要なケースについて説明します。 多数のタスクを洗い出し、それらを複数のユーザー ロールで実行する必要があることがわかりました。

ビジネス プロセスの各ステップのタスク。

経費精算書ソリューションに、いくつもの異なるタスク セットを含める必要があるため、複数のアプリを作成することを検討しなくてはなりません。 すべてのユーザーが同じデータを使用しますが、ユーザー エクスペリエンスは特定のシナリオやペルソナに合わせて調整する必要があります。

経費フォームに入力を行う従業員向けには、キャンバス アプリが最も適しています。キャンバス アプリであれば、Lee のようなユーザーが、魅力的で使いやすくオフラインでも使用できるモバイルアプリから経費精算書を提出することができます。

経費精算書を作成するキャンバス アプリ。

先の画像からわかるように、Abhay には次の要件があります。

  • すべての経費精算書と領収書をレビューできる必要がある
  • すべての経費精算書をコンプライアンスに準拠させる責任がある
  • データ量が増加しても、情報をすばやく処理できることが必要である
  • 経費支払後の予算の残高を報告できることが必要である

プロセスの作業量が多く、情報をすばやく処理する必要があるため、Abhay にはモデル駆動型アプリが最も適しています。 モデル駆動型アプリであれば、Abhay は提出された経費精算書のすべての情報をすばやく確認したり、予算の残高を評価したり、仕入先データなどの関連する情報を調べたりできます。

経費精算書を処理するモデル駆動型アプリ。

このサンプル シナリオでは、キャンバス アプリとモデル駆動型アプリを組み合わせる例を説明しました。 これらは種類の異なるアプリですが、いずれのデータも Dataverse という 1 つの場所で集中管理されます。

データを Dataverse に格納する 2 種類のアプリのスクリーンショット。