Azure リソースのコストを監視および制限する

完了

Contoso は、料金計算ツールを使用して、Azure リソースをデプロイする前にコストを見積もることができます。 しかし、デプロイ後も、Azure のリソース コストを管理できるようにすることは重要です。 Contoso は、さまざまな Azure ツールを使用して、Azure リソースのコストを監視および制限することができます。

Azure Advisor とは

Azure Advisor では、デプロイしたリソースとサービスが分析され、これらの各分野で環境を改善する方法が特定されます。 Azure Advisor では、次についての推奨事項が提供されます。

  • 高可用性
  • セキュリティ
  • パフォーマンス
  • オペレーショナル エクセレンス
  • コスト

Advisor により、次の表の記載内容を含む、コストに関する推奨事項が作成されます。

ヒント

考えられる推奨事項の完全な一覧については、「Azure Advisor を使用してサービス コストを削減する」を参照してください。

推奨 Description
プロビジョニングが解除された ExpressRoute 回線を排除してコストを削減する。 Advisor によって、プロバイダーの状態が 1 か月以上 "未プロビジョニング" になっている ExpressRoute 回線が特定されます。 その後、接続プロバイダーで回線をプロビジョニングする予定がない場合は、回線の削除が推奨されます。
アイドル状態の仮想ネットワーク ゲートウェイを削除または再構成してコストを削減する。 Advisor は、90 日を超えてアイドル状態にある仮想ネットワークのゲートウェイを特定します。 これらのゲートウェイは 1 時間単位で課金されるため、今後使用する予定がない場合は、再構成または削除を検討する必要がありあす。
従量課金制のコストより節約するために予約 VM インスタンスを購入する。 Advisor によって、過去 30 日間の VM の使用状況が確認され、Azure の予約を購入することで今後のコストを節約できるかどうかが判断されます。 Advisor によって、最も節約できる可能性があるリージョンとサイズが特定され、節約額の見積もりが表示されます。
使用率が低いインスタンスをサイズ変更またはシャットダウンして VM の支出を最適化する。 Advisor によって、VM の使用状況が監視され、使用率が低い VM が特定されます。 中央処理装置 (CPU) の平均使用率が 5% 以下で、ネットワークの使用率が 2% 以下 (7 日間) の VM は、使用率が低い VM と見なされます。 推奨される操作は、評価されるリソースに応じて、シャットダウンまたはサイズ変更することです。

次の記述が当てはまる場合は、Advisor で VM のシャットダウンが検討されます。

  • 稼働時間の 95% にわたって、CPU 使用率の最大値が 3% 未満である。
  • 7 日間にわたって、ネットワーク使用率が 2% 未満である。
  • メモリ負荷がしきい値を下回る。

Advisor では、次の条件下において、現在の負荷を (同じ SKU ファミリ内の) より小さな SKU またはより少数のインスタンスに収めることができる場合、VM のサイズ変更が検討されます。

  • 現在の負荷において、ユーザー向けでないワークロードの使用率が 80% を超えない。
  • 現在の負荷において、ユーザー向けのワークロードの使用率が 40% を超えない。

Advisor では、両方の推奨される操作 (サイズ変更またはシャットダウン) によるコスト削減の見積もりが提示されます。 サイズ変更の場合、Advisor により現在とターゲットの SKU 情報が提供されます。

ヒント

使用率が低い VM をより積極的に特定する場合は、サブスクリプションごとに CPU 使用率ルールを調整できます。

Azure Advisor を使用してコストに関する推奨事項を確認するには、次の手順を実行します。

  1. Azure portal で [すべてのサービス] を選択します。

  2. [Advisor] を検索して選択します。

  3. [Advisor] ブレードの [Recommendations](推奨事項) セクションで、[コスト] を選択します。

    Note

    評価が完了していないか、Advisor に存在しない場合、コストに関する推奨事項が Advisor から返されないことがあります。

    Screenshot of Azure portal Advisor blade with five category boxes for recommendations: Cost, Security, Reliability, Operational excellence, and Performance.

  4. [コスト] タイルを選択します。 この操作により、Advisor からの詳細な推奨事項が表示されます。

    Screenshot of Azure portal Advisor recommendations blade with the cost recommendations. Currently there are two high-impact VM recommendations for using reserved instances, and right-size or shutdown of underutilized VMs.

  5. 推奨事項を選択すると、その特定の推奨事項の詳細に移動します。 その後、コスト削減のために VM のサイズを変更するなど、特定の操作を実行できます。

    Screenshot of Azure portal Advisor with several specific VMs to resize or shut down, and their potential savings.

Microsoft Cost Management とは

Microsoft Cost Management を使用すると、Azure リソースのコストが最も高いのはどこか、詳しい分析情報を取得できます。 どのサービスに最もコストがかかっているのかに関する履歴情報を確認できるほか、自分が設定した構成済みの予算に対する支出を追跡することもできます。 Cost Management にアクセスするには、次の手順を実行します。

  1. Azure portal で、[コストの管理と請求] を検索して選択します。
  2. [コストの管理と請求] ブレードで、[Cost Management] を選択します。
  3. [Cost Management] ブレードで、[コスト分析] を選択します。 しばらくすると、現在の請求期間における、お使いの Azure リソースの累積コストを確認できます。 これが既定のレポートです。
  4. このレポートを変更するには、メニューの [ビュー] ボックスの一覧で、[累積コスト][リソースごとのコスト][1 日あたりのコスト][サービスごとのコスト][請求書の詳細] から選択します。
  5. [日付] フィールドで、確認する期間を選択します。
  6. コストの確認に使用するグラフの種類を選択することもできます。 既定ではですが、、またはを選択することもできます。

Screenshot of Azure portal Cost analysis section of the Cost Management pane in which an area cost chart is rising steadily.

支出を制御するために予算を構成する場合は、[コスト管理] セクションで [予算] を選択します。 その後、[+ 追加] を選択することで、さまざまな Azure リソースの予算を作成できます。 また、支出のアラートを構成する場合は、[通知の設定] タブを選択します。そこから、アクションがトリガーされたときに使用するアクション グループを選択します。 アクション グループでは、予算の上限に近づいたときに実行される適切なアクションが定義されています。

Screenshot of Azure portal Set alerts tab in the Create budget blade.

Note

予算を設定し、支出が予算の上限に近づいたときのアラートを作成できますが、これによって料金が発生しなくなるわけではありません。 使用実績に対して警告されるだけです。

使用制限を使用する

一部の Azure サブスクリプションには、月々のクレジットが関連付けられています。 これらには、Azure 試用版アカウントが含まれます。 これらのサブスクリプションには、クレジットを使い果たした後に課金されないようにするための "使用制限" があります。

Note

Azure の使用制限は、サブスクリプション、サービス、またはリソース グループの制限およびクォータとは異なります。 詳細については、「Azure サブスクリプションとサービスの制限、クォータ、制約」をご覧ください。

各請求期間内にアカウントのクレジットを使い果たすのを防ぐために、使用制限機能が提供されています。 Azure の使用量が、含まれている月々のクレジットを使い果たす額に達すると、デプロイしたサービスは、残りの課金期間、Azure によって無効になります。 新しい請求期間が開始された後、クレジットを使用できる状態であれば、Azure によってリソースが再アクティブ化され、デプロイされます。

サブスクリプションの使用制限に達した場合は、Azure から電子メール通知が送信されます。 また、Azure portal を使用して、クレジット使用に関する通知を確認することもできます。

重要

使用制限機能は、月々の Azure クレジット割り当てを含むサブスクリプションに固有のものです。 従量課金のみのサブスクリプションでは利用できません。

使用率が低い VM のサイズを適切に設定する

VM の適切なサイズ設定とは、より適切なサイズに変更するプロセスです。 たとえば、Contoso には、Standard_D4s_v3 としてサイズ設定された、ドメイン コントローラーとして実行されているサーバーがあります。 ただし、ほとんどの時間、この VM は 90% のアイドル状態で動作しています。 この VM のサイズを Standard_D2s_v3 に変更することで、Contoso はコンピューティング コストを 50% 減らすことができます。 この場合、インスタンス シリーズをもっと安価な VM シリーズに変更することで Contoso のメリットがさらに増加する可能性もあります。

Note

コストは線形であり、同じシリーズ内ではサイズが 1 つ大きくなるごとに 2 倍になります。

Azure VM のサイズの余剰は、一般的に見られるものの不要経費であり、簡単に修正できます。 Azure portal、Azure PowerShell、または Azure コマンド ライン インターフェイス (Azure CLI) を使用して、VM のサイズを変更することができます。

Note

VM のサイズを変更すると、VM が再起動され、変更が反映されます。 これは、サイズ変更の大きさによっては数分かかる場合があります。 停止を計画するか、このタスクの実行中に別のインスタンスにトラフィックをシフトします。

ヒント

サイズを変更する前に VM を停止すれば、VM が実行されているときよりも多くのサイズ変更オプションを選択できます。

使用されていない VM の割り当てを解除する

常に使用するわけではないが、定期的に実行している VM ワークロードがある場合、不要な Azure コストが発生しています。 これらの VM をシャットダウンし、スケジュールを使用した再起動を必要に応じて検討してください。 VM が割り当てを解除された状態で停止している間は、その VM のコンピューティング リソースに対する料金は発生しません。

VM の割り当てを解除するには、構成する VM を Azure portal から見つけ、[Operations](操作) セクションで [自動シャットダウン] を選択します。 次に、自動シャットダウンのプロパティを構成します。

Screenshot of Azure portal Auto-shutdown section of a virtual machine pane, with a shutdown time enabled for 7:00:00 PM.