記憶域の移行とは

完了

注意事項

この記事では、間もなくサポート終了 (EOL) 状態になる Linux ディストリビューションである CentOS について説明します。 適宜、使用と計画を検討してください。 詳細については、「CentOS のサポート終了に関するガイダンス」を参照してください。

Contoso の IT スタッフは、オンプレミスの VM を移行するだけでなく、記憶域を移行するうえでも最善の方法を探っています。 そこであなたに対し、Windows Server Migration Service について調査してほしいと依頼しました。

Windows Server Storage Migration Service は、Windows Admin Center (WAC) の一部を構成するサービスです。 このサービスを使うと、Windows Server のレガシ バージョンから、サポートされているプラットフォーム (オンプレミスまたは Azure) に移行するプロセスを自動化することができます。

記憶域の移行は、常に難度の高いプロセスです。最も重要なデータは、変更の頻度も最高であるのが常であるからです。 アクセスが発生している最中にデータを移行するのであれば、計画と管理を慎重に進める必要があります。

Storage Migration Service を使用する理由

(1 台ないし複数台の) サーバーをそれよりも新しいハードウェアや VM に移行する場合には、Storage Migration Service の使用をお勧めします。 Storage Migration Service は、その作業を次のような形でサポートするように設計されています。

  • 複数のサーバーにインベントリを実施し、そのデータを洗い出す。
  • ソース サーバーからファイル、ファイル共有、およびセキュリティ構成をすばやく転送する。
  • 必要に応じて、ユーザーやアプリが既存のデータにアクセスするうえで何の変更もしなくて済むよう、ソース サーバーの ID を引き継ぐ (これは、"カットオーバー" とも呼ばれます)。
  • WAC ユーザーインターフェイスから 1 件または複数件の移行を管理する。

Storage Migration Service のプロセスのしくみ

移行は 3 段階のプロセスです。

  1. サーバーにインベントリを実施し、そのファイルと構成に関する情報を収集する。
  2. ソース サーバーから宛先サーバーにデータを転送 (コピー) する。
  3. 新しいサーバーへのカットオーバーを実行する (省略可能)。

アプリやユーザーが何も変更をしなくて済むよう、宛先サーバーでは、ソース サーバーの以前の ID を引き継ぎます。 ソース サーバーはメンテナンス状態に入ります。このメンテナンス状態では、それまでと同じファイルを保持しつつ (ソース サーバーからファイルを削除してはなりません)、ユーザーやアプリからは利用できないようにします。 このようにすることによって、好きなタイミングでサーバーを廃止できます。

必要条件

Storage Migration Service を使用するには、次のものが必要です。

  • ファイルとデータの移行元となるソース サーバーまたはフェールオーバー クラスター。
  • Windows Server 2019 または Windows Server 2022 (クラスター化またはスタンドアロン) を実行している移行先サーバー。 Windows Server 2016 または Windows Server 2012 R2 を使用することもできますが、どちらの速度も Windows Server 2019 または Windows Server 2022 の約 50% です。
  • 移行を管理するための Windows Server 2019 または Windows Server 2022 を実行しているオーケストレーター サーバー。

ヒント

少数のサーバーのみを移行していて、いずれかのサーバーが Windows Server 2019 または Windows Server 2022 を実行している場合は、それをオーケストレーターとして使用できます。 もっと大量のサーバーを移行する場合には、オーケストレーター サーバーとしての機能を果たすサーバーを別個に用意することをお勧めします。

  • Storage Migration Service のユーザー インターフェイスを稼働させるために WAC を実行する PC またはサーバー (移行管理に Windows PowerShell を使用する場合には不要です)。

Note

オーケストレーターと宛先のコンピューターには、コアまたは仮想 CPU (vCPU) を 2 つ以上備え、かつ、メモリが 2 ギガバイト (GB) 以上のものを使用することを強くお勧めします。 プロセッサの数やメモリの容量が増えると、インベントリや転送の処理速度が大幅に上がります。

セキュリティ要件、Storage Migration Service のプロキシ サービス、ファイアウォール ポート

Storage Migration Service を使用するためのセキュリティ要件、Storage Migration Service のプロキシ サービス、ファイアウォール ポート設定は次のとおりです。

  • ソース コンピューターとオーケストレーター コンピューターの管理者になっている移行アカウントが必要です。
  • 宛先コンピューターおよびオーケストレーター コンピューターの管理者になっている移行アカウントが必要です。
  • オーケストレーター コンピューターは、インバウンドについて [ファイルとプリンターの共有 (SMB 受信)] ファイアウォール規則が有効になっている必要があります。
  • ソース コンピューターと宛先コンピューターでは、インバウンドについて次のファイアウォール規則が有効になっている必要があります (既に有効にしている可能性もあります)。
    • ファイルとプリンターの共有 (SMB 受信)
    • Netlogon サービス (NP 受信)
    • DCOM-In (Windows Management Instrumentation)
    • WMI-In (Windows Management Instrumentation)
  • コンピューターが AD DS ドメインに所属している場合は、いずれも同じフォレストに所属している必要があります。 このほか、カットオーバーの際にソース サーバーのドメイン名を宛先サーバーに移転する場合には、宛先サーバーとソース サーバーが同じドメインに所属している必要があります。 ドメインが異なる場合でもカットオーバーは技術的に可能ですが、宛先の完全修飾ドメイン名 (FQDN) がソースと別物になります。

ソース サーバーの要件

ソース サーバーでは、Windows Server 2003 から Windows Server 2022 までの Windows Server OS を実行している必要があります。 これには、各バージョンの Small Business Server も含まれます。 ただし、Windows Small Business Server と Windows Server Essentials はドメイン コントローラーである点にご注意ください。 Storage Migration Service は、現時点ではドメイン コントローラーからのカットオーバーに対応していません。もっとも、ドメイン コントローラーのファイルを洗い出したり、転送したりすることは可能です。

オーケストレーターが Windows Server の 1903 以降を実行している場合や、それよりも前のバージョンの Windows Server を KB4512534 をインストールした状態で実行している場合には、さらに次の種類のソースも移行できます。

  • Windows Server 2012、Windows Server 2012 R2、Windows Server 2016、Windows Server 2019、または Windows Server 2022 を実行しているフェールオーバー クラスター
  • Samba を使用している Linux サーバー。 テストが完了しているものは次のとおりです。
    • CentOS 7
    • Debian GNU/Linux 8
    • Red Hat Enterprise Linux 7.6
    • SUSE Linux Enterprise Server (SLES) 11 SP4
    • Ubuntu 16.04 LTS および 12.04.5 LTS
    • Samba 4.8、4.7、4.3、4.2、3.6

宛先サーバーの要件

宛先サーバーでは、次のいずれかのオペレーティング システムを実行している必要があります。

  • Windows Server 半期チャネル
  • Windows Server 2022
  • Windows Server 2019
  • Windows Server 2016
  • Windows Server 2012 R2

Azure VM の移行

WAC では、Azure VM をデプロイし、VM のデプロイを記憶域移行サービスに統合することができます。 ワークロードのデプロイ前に Azure portal 内で新しいサーバーと VM を手動で作成するやり方では、必要な手順や構成を飛ばしてしまいかねません。WAC を使えば、Azure VM のデプロイ、記憶域の構成、ドメインへの参加、ロールのインストール、分散システムの設定を自動的に行えます。