Windows Server AppFabric コマンドレットの概要

AppFabric 用 Windows PowerShell コマンドレットは、AppFabric の管理や、WAS でホストされる WCF サービスと WF サービスの管理に使用されるシンプルなコマンドです。

コマンドレットによって実行されるアクションと、その操作対象は、コマンドレット名に示されています。各コマンドレットの名前には、そのコマンドレットによって実行されるアクションを示す動詞と、操作対象を示す名詞が含まれています。たとえば、Stop-ASAppServiceInstance というコマンドレットの場合、動詞は「stop」、名詞は「ASAppServiceInstance」で、パラメーターに指定されたサービス インスタンスを停止することを示しています。「stop」という動詞を含むコマンドレットは制御コマンドレットと見なすことができ、「ASAppServiceInstance」という名詞を含むコマンドレットはインスタンス コマンドレットと見なすことができます。つまり、Stop-ASAppServiceInstance コマンドレットは制御コマンドレットであり、インスタンス コマンドレットでもあります。すべての AppFabric コマンドレットは、実行内容と操作対象で分類できます。

AppFabric コマンドレットとそのアクション

AppFabric コマンドレットによって実行される 3 つの基本アクションは、構成、制御、およびクエリです。これら 3 つのアクションは、アプリケーション、AppFabric データベース、およびシステム サービスを管理するための基本機能を提供します。コマンドレット名に含まれる動詞は、そのコマンドレットによって実行されるアクションの種類を示します。

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一部のコマンドレットは 2 つのアクション カテゴリに分類できます。たとえば、Enable が付く一部のコマンドレットと Disable が付く一部のコマンドレットは、制御コマンドレットであると同時に、状況により構成コマンドレットでもあります。

構成コマンドレット

構成コマンドレットでは、1 つ以上の構成ファイルに対して操作を実行します。IIS では、多くのサーバー、サイト、アプリケーション、仮想ディレクトリ、およびサービス機能が、構成ファイル内のエントリによって決定されます。構成コマンドレットを使用すると、これらのファイル構成要素を追加したり、それを編集したり、削除したりできます。構成コマンドレットは、適用するアプリケーションやサービスを返す Get-ASApplication、Get-ASAppService、Get-ASAppServiceEndpoint などのクエリ コマンドレットと共に使用することがあります。構成コマンドレットは次の構成ファイルに対して操作を実行します。

  • アプリケーションおよびサービスを構成する場合は、Web.config ファイルを仮想ディレクトリ、アプリケーション、サイト、またはサーバー レベルで操作します。

  • 一部のサーバー構成設定では、machine.config を操作します。

  • アプリケーション レベルで自動開始を構成する場合は、applicationHost.config を操作します。

WCF/WF 構成の実行には、構成ファイルと WCF/WF API のどちらでも使用できる場合があります。この場合、AppFabric では処理を単純で透過的にするために構成ファイルを使用し、API を使用しません。

AppFabric の構成コマンドレットでは通常、Microsoft Web Administration (MWA) を使用して構成設定を調整します。MWA は、Web.config ファイルの階層を編集する API です。AppFabric で MWA を操作するには、フォルダー <drive>:\Windows\System32\intersrv\config\schema にあるスキーマ ファイルを使用します。MWA の詳細については、「IIS 7.0 の MWA および MWM の概要」を参照してください。

制御コマンドレット

制御コマンドレットは、サービス インスタンスやアプリケーションに対して制御操作を実行します。サービス インスタンスに対する操作には、サービス インスタンスの再開、キャンセル、終了、一時停止などがあります。アプリケーションに対する操作には、開始や停止などがあります。

インスタンス制御コマンドレットは非同期的に作用します。コマンドはキューに登録され、バックグラウンドで実行されます。インスタンス制御コマンドレットは、インスタンス制御エンドポイントに対して WCF/WF API を実行します。制御コマンドレットは WCFEndpoint サービス経由で動作します。サービス インスタンスの状態やコマンドレットの性質によっては、インスタンス制御コマンドレットでサービス インスタンスを保存したりメモリから削除したりする場合もあります。

クエリ コマンドレット

クエリ コマンドレットは、SQL データベースや場合によっては構成ファイルに対してクエリを実行し、列挙一覧や監視メトリックを取得します。クエリ コマンドレットには、アプリケーション コマンドレット、追跡クエリ コマンドレット、およびパフォーマンス コマンドレットがあります。これらのコマンドレットは、インスタンス (永続的または追跡対象)、サービス、エンドポイント、追跡対象イベント、アプリケーション、サイト、および仮想ディレクトリを取得できます。このようなコマンドレットの動詞は Get です。たとえば、Get-ASAppServiceInstance と Get-ASAppServiceTrackingProfile は、データベース クエリから結果を取得します。構成ファイルからも結果を取得するクエリ コマンドレットには、Get-ASAppServiceTrackingProfile、Get-ASApplication、Get-ASAppService、Get-ASAppServiceEndpoint などがあります。

データベース管理コマンドレット

データベース管理コマンドレットは、永続化データベースと監視データベースの両方に対して操作を実行します。データベースの初期化、データベースの消去または削除、接続文字列の設定などの操作があります。

AppFabric コマンドレットの操作対象

AppFabric コマンドレットは、サービス、アプリケーション、およびサーバーという 3 つの基本スコープに対して操作を実行します。

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  • サービス管理コマンドレット: サービス管理コマンドレットは、サービスとサービス インスタンスを操作します。サービス インスタンスには、サービス構成、サービス インスタンス制御、サービスやインスタンスの列挙およびメトリックなどがあります。サービス管理コマンドレットの名詞には通常、「service」や「instance」という言葉が含まれます。

  • アプリケーション管理コマンドレット: アプリケーション管理コマンドレットは、アプリケーションの構成、列挙、およびメトリックを実行します。アプリケーション管理コマンドレットの名詞には通常、「application」という言葉が含まれます。

  • サーバー管理コマンドレット: サーバー管理コマンドレットは、永続化データベースや監視データベース、およびシステム サービスを操作します。これらのコマンドレットは、データベースやシステム サービス (ワークフロー管理サービスやイベント コレクション サービス) を構成するために使用するユーザー インターフェイスによって実行されます。サーバー管理コマンドレットの名詞には通常、「database」や「event collector」という言葉が含まれます。

コマンドレットのセキュリティ

AppFabric コマンドレットはセキュリティ検証を実行しません。その代わりに、コマンドレットの基盤でありコマンドレットが依存する次の一覧のテクノロジによって、セキュリティ検証が実行されます。コマンドレットのセキュリティの詳細については、「セキュリティと保護」を参照してください。

  • 構成コマンドレットは、承認に関してファイルシステムに依存しています。また、特権の昇格が発生しないように、MWA を使用しています。MWA のセキュリティ対策によって、制限付きサイトやアプリケーションへの不正ユーザーによるアクセスを防ぐことができるからです。

  • 制御コマンドレットは、コマンドレットの呼び出し元を承認するサービスに依存しています。

  • クエリ コマンドレットは、承認に関する SQL セキュリティ グループを使用しています。

  2011-12-05