監視ストア

アプリケーションの正常性の監視やアプリケーションの問題のトラブルシューティングに必要なデータは、監視ストアに格納されます。このトピックでは、追跡対象のデータおよび関連するクエリと、Windows PowerShell の監視コマンドレットについて説明します。

監視データベースでの追跡対象データ

AppFabric になる前は、複数のサービスやコンピューターが含まれる分散アプリケーションのトラブルシューティングは困難でした。サービスごとにトレースを有効にし、アクティビティを実行し、トレースをオフにしてからすべてのトレース ファイルを収集し、サービス トレース ビューアーでそれを表示する必要がありました。

AppFabric では、イベント コレクション サービスの 1 つまたは複数のインスタンスで監視ストアを使用して、アプリケーションのトラブルシューティングを簡単に行うことができます。WCF およびワークフロー サービスのすべてのイベントが、監視ストアに保存されます。複数の WCF およびワークフロー サービスのインストルメンテーション イベント データを 1 つの監視ストアに格納することも、アプリケーションごとに異なるストアを使用することもできます。

監視ストアに格納されるインストルメンテーション イベント データには次のものが含まれます。

  • WCF サービスの監視、トラブルシューティング、および調整に役立つ WCF ランタイム トレース イベント。このカテゴリには、サービス間のメッセージ フローを再構成できるトレース イベント (転送) が含まれます。

  • インスタンス ID によって関連付けられる、WF 追跡レコードからのイベント。

  • サービス ホスト イベント。このカテゴリには、WCF サービス ホストまたはワークフロー サービス ホストによって生成されるイベントが含まれます。

WCF 拡張機能およびバインド構成によって WCF サービスのメッセージ パターンを変更されることは、珍しいことではありません。このため、監視ストア内のイベントは、ビジネス ロジックから生成されたものではない場合があります。たとえば、ワークフロー管理サービス (WMS) によって管理される永続ワークフローが公開する制御エンドポイントにより、WMS は net.pipe メッセージを使用してサービスにコマンドを送信できます。このようなメッセージが処理されると、ビジネス メッセージが処理されるときと同じ方法でイベントが生成されます。Web でホストされるサービスがメッセージを送信または受信するときは常にこのようになります。

監視データベースによってサポートされるクエリ

監視ストアは、さまざまなサービス メトリックのクエリをサポートします。多くの可能なクエリのうちの一部を次に示します。

サービスのメタデータは、コンピューター名、サイト名、アプリケーション名、およびサービスの仮想パスです。クエリに対する共通の入力パラメーターには、サービス メタデータ、メトリック名、および期間が含まれます。

  • 特定の WF インスタンス ID、イベントの状態、またはイベントの種類と関連付けられた WF イベントのクエリ。

  • サービスのメタデータによるクエリ。特定の期間に開始されたインスタンスの数、特定の期間にアクティブであったインスタンスの数、特定の期間におけるインスタンスの平均有効期間、など。

  • 追跡レコード イベント ID、WF インスタンス ID、またはサービス メタデータに基づく、インスタンスまたはサービスに対する変数および追跡対象ユーザー データのクエリ。

  • WCF 分析トレース イベントの種類による WCF サービス メトリックのクエリ。

  • 指定したアクティビティ ID のメッセージ フローを再構成するためのクエリ。

  • ワークフロー サービス インスタンスから抽出されたユーザー データおよび変数に基づくクエリ。

  • 特定のワークフロー サービス インスタンスに関連する WCF イベントのクエリ。

ヒント

クエリから返されるフィールドの値が Null の場合、そのフィールドに割り当てられている値はありません。一方、フィールドの値が空の場合は、空の値 "" がそのフィールドに渡されたことを示します。

データベース スキーマ

監視スキーマとは、Initialize-ASMonitoringDatabase コマンドレットが新しい監視ストアを初期化するときに作成されるすべてのオブジェクトのことです。監視スキーマのオブジェクトをユーザーが変更または拡張することはできません。

監視ストアに対して SQL クエリを直接実行して、イベント データを表示できます。

監視ストア スキーマは、永続化ストア スキーマと 1 つのストアに共存できます。

データベース コマンドレットの監視

監視ストアは AppFabric コマンドレットを使用して管理します。以下に関するコマンドレットが存在します。

データベース管理

  • Initialize-ASMonitoringDatabase
    新しい監視ストアを作成して初期化します。
  • Remove-ASMonitoringDatabase
    監視ストアを削除します。ストアが監視ストア専用の場合は、ストアが削除 (ドロップ) されます。ストアが別のスキーマと共有されている場合は、監視スキーマのみが削除されます。

削除とアーカイブ

監視ストアのアーカイブ構成を管理するには、このグループのコマンドレットを使用します。

  • Clear-ASMonitoringDatabase
    監視ストア内の指定したデータを削除します。事前に (Set-MonitoringDatabaseArchiveConfiguration を使用して) 構成してあるアーカイブ ストアにデータを送信できます。
  • Set-ASMonitoringDatabaseArchiveConfiguration
    監視ストアと送信先のアーカイブ ストアを関連付けます。送信先のアーカイブ ストアは、既に存在している初期化済みの監視ストアである必要があります。
  • Get-ASMonitoringDatabaseArchiveConfiguration
    特定の監視ストアのアーカイブ ストアに関する構成情報を取得します。構成は、先に Set-MonitoringDatabaseArchiveConfiguration を使用して設定されている必要があります。
  • Remove-ASMonitoringDatabaseArchiveConfiguration
    監視ストアのアーカイブ ストアに関する構成情報を削除します。

関連項目

概念

データベース管理
監視データベースのビューおよびテーブル

  2011-12-05