クラスターの構成設定 (Windows Server AppFabric キャッシング)

Windows Server AppFabric では、XML で、または Windows PowerShell を直接使用して、キャッシュ クラスターの構成設定を編集できます。このトピックでは、使用できるクラスター構成設定と、XML または Windows PowerShell でのその指定方法について説明します。クラスター構成の変更方法の詳細については、「キャッシュ クラスターの構成 (Windows Server AppFabric キャッシュ)」を参照してください。

クラスター構成設定で構成される設定には 4 つの種類があります。

  • クラスターの設定: キャッシュ クラスターに関する設定を記述します。

  • キャッシュの設定: クラスター内の各キャッシュに関する設定を記述します。

  • ホストの設定: クラスターのメンバーである各キャッシュ ホストに関する設定を記述します。

  • クラスター構成の保存場所の設定: 保存場所について記述し、クラスター管理の役割を指定します。クラスター管理の役割の詳細については、「リード ホストとクラスター管理 (Windows Server AppFabric キャッシュ)」を参照してください。

ヒント

Export-CacheClusterConfig Windows PowerShell コマンドによって生成される XML ファイルのことを、このトピックでは "XML ファイル" と呼びます。

重要

以下で説明する属性と要素の多くでは、大文字と小文字が区別されます。これらの設定を変更するときは、以下の表で示されているとおりに大文字と小文字を使い分けることが重要です。

クラスターの設定

クラスターを作成してその初期設定を指定する唯一の方法は、Windows Server AppFabric をインストールし、少なくとも 1 つのキャッシュ ホストで AppFabric 構成ウィザードを実行することです。

クラスター自体の記述に使用する設定は、名前とサイズ (小、中、大) の 2 つです。XML ファイルでは、これらの設定は dataCache 要素の属性として定義されており、クラスターの最初のキャッシュ サーバーで AppFabric 構成ウィザードを実行すると割り当てられます。

設定 XML による構成箇所 設定が割り当てられるタイミング

クラスター サイズ

dataCache 要素の size 属性。指定できる値は、SmallMedium、または Large です。

クラスター サイズは、AppFabric キャッシュ サービスを最初のキャッシュ サーバーで構成するときに割り当てられます。

キャッシュの設定

キャッシュを作成し、その初期設定を指定する唯一の方法は、Windows PowerShell ベースのキャッシュ管理ツールである New-Cache コマンドを使用することです。

キャッシュの設定は、クラスター レベルで格納されます。そのため、XML ファイルでのこれらの設定は、caches 要素の子になっています。Windows PowerShell では、キャッシュの構成設定を表示するには Get-CacheConfig コマンドを使用し、キャッシュの設定を変更するには Set-CacheConfig コマンドを使用します。

ヒント

XML ファイルまたは Set-CacheConfig コマンドでキャッシュの構成設定を変更する場合は、Windows PowerShell の Restart-CacheCluster コマンドでクラスター全体を再起動する必要があります。また、Windows PowerShell を使用してキャッシュを削除し、同じ名前で (違う設定の) キャッシュを再作成した場合は、クラスターを再起動する必要はありません。

次の表は、各キャッシュで使用可能な設定の一覧です。

設定 XML による構成箇所 Windows PowerShell での構成の場所

キャッシュ名

cache 要素の name 属性。

New-Cache コマンドの CacheName パラメーターで割り当てます。この設定を表示するには、Get-CacheConfig コマンドと CacheName パラメーターを使用します。

キャッシュの通知が有効かどうか

serverNotification 要素の isEnabled 属性。指定できる値は true または false です。serverNotification 要素は policy 要素の子で、後者はさらに cache 要素の子です。

New-Cache コマンドの NotificationsEnabled パラメーターで割り当てます。このパラメーターを指定すると、通知が有効になります。この設定を表示するには、Get-CacheConfig コマンドと CacheName パラメーターを使用します。

高可用性機能が有効かどうか

cache 要素の secondaries 属性。高可用性は、この属性を 1 に設定すると有効になり、0 に設定すると無効になります。または、この属性を削除すると高可用性機能が無効になります。

New-Cache コマンドの Secondaries パラメーターで割り当てます。高可用性は、Secondaries1 にすると有効になり、Secondaries0 にすると無効になります。この設定を表示するには、Get-CacheConfig コマンドと CacheName パラメーターを使用します。

キャッシュの種類

cache 要素の type 属性。使用できる値は Partitioned (既定値) のみです。

New-Cache コマンドの Type パラメーターで割り当てます。使用できる値は Partitioned (既定値) のみです。この設定を表示するには、Get-CacheConfig コマンドと CacheName パラメーターを使用します。

削除の種類

eviction 要素の type 属性。指定できる値は、最近最も使用されていないものを示す LRU または None です。eviction 要素は policy 要素の子で、後者はさらに cache 要素の子です。

New-Cache コマンドの Eviction パラメーターで割り当てます。指定できる値は、最近最も使用されていないものを示す LRU または None です。この設定を表示するには、Get-CacheConfig コマンドと CacheName パラメーターを使用します。

有効期限が有効かどうか

expiration 要素の isExpirable 属性。指定できる値は true または false です。expiration 要素は policy 要素の子で、後者はさらに cache 要素の子です。

New-Cache コマンドの Expirable スイッチで割り当てます。指定できる値は true または false です。この設定を表示するには、Get-CacheConfig コマンドと CacheName パラメーターを使用します。

既定のオブジェクト タイムアウト (分)

expiration 要素の defaultTTL 属性。指定できる値は true または false です。expiration 要素は policy 要素の子で、後者はさらに cache 要素の子です。

New-Cache コマンドの TimeToLive パラメーターで割り当てます。この設定を表示するには、Get-CacheConfig コマンドと CacheName パラメーターを使用します。

ホストの設定

ホストを作成してその初期設定を指定する唯一の方法は、Windows Server AppFabric をサーバーにインストールした後、AppFabric 構成ウィザードを実行してキャッシュ サービスを構成することです。新しいキャッシュ クラスターを作成するか、既存のキャッシュ クラスターに参加できます。

キャッシュ クラスターは、クラスターのメンバーである各キャッシュ ホストを追跡する必要があります。XML ファイルでは、host 要素を使用してクラスター内の各ホストを指定します。Windows PowerShell では、Get-CacheConfig および Set-CacheConfig コマンドを使用して、キャッシュ ホストの構成を表示または再構成します。

各キャッシュ ホストで使用できる設定は次のとおりです。

設定 XML による構成箇所 Windows PowerShell での構成の場所

キャッシュ サーバー名

host 要素の name 属性。host 要素は hosts 要素の子です。

コンピューター名に基づいて割り当てられます。この設定を表示するには、Get-CacheHostConfig コマンドを使用します。

キャッシュ ホスト名 (ホスト サービスの名前)

host 要素の cacheHostName 属性。既定値は DistributedCacheService です。host 要素は hosts 要素の子です。

インストール時に割り当てられます。この設定を表示するには、Get-CacheHostConfig コマンドを使用します。

キャッシュ ポート番号 (既定値は 22233)

host 要素の cachePort 属性。host 要素は hosts 要素の子です。

インストール時に割り当てられます。この設定を再構成するには、Set-CacheHostConfig コマンドの CachePort パラメーターを使用します。この設定を表示するには、Get-CacheHostConfig コマンドを使用します。

クラスター ポート番号 (既定値は 22234)

host 要素の clusterPort 属性。host 要素は hosts 要素の子です。

インストール時に割り当てられます。この設定を再構成するには、Set-CacheHostConfig コマンドの ClusterPortNumber パラメーターを使用します。この設定を表示するには、Get-CacheHostConfig コマンドを使用します。

リード ホストの指定

host 要素の leadHost 属性。指定できる値は true または false です。host 要素は hosts 要素の子です。

インストール時に割り当てられます。この設定を表示するには、Get-CacheHostConfig コマンドを使用します。

キャッシュ サイズ (MB) (キャッシュ ホストでデータの格納用に割り当てられる総領域)

host 要素の size 属性。host 要素は hosts 要素の子です。

インストール時に割り当てられます。この設定を再構成するには、Set-CacheHostConfig コマンドの CacheSize パラメーターを使用します。この設定を表示するには、Get-CacheHostConfig コマンドを使用します。

警告をリセットさせる値

host 要素の lowWaterMark 属性。host 要素は hosts 要素の子です。

インストール時に割り当てられます。この設定を再構成するには、Set-CacheHostConfig コマンドの LWM パラメーターを使用します。この設定を表示するには、Get-CacheHostConfig コマンドを使用します。

警告を発生させる値

host 要素の highWaterMark 属性。host 要素は hosts 要素の子です。

インストール時に割り当てられます。この設定を再構成するには、Set-CacheHostConfig コマンドの HWM パラメーターを使用します。この設定を表示するには、Get-CacheHostConfig コマンドを使用します。

クラスター構成の保存場所の設定

構成の保存場所の設定は、AppFabric キャッシュ機能が初めて構成されるときに割り当てられます。この設定では、保存場所が記述され、クラスター管理の役割が指定されています。

XML ファイルでは、これらの設定は、partitionStoreConnectionSettings 要素で指定します。この要素は dataCache 要素の子である advancedProperties 要素の子です。

Windows PowerShell では、Use-CacheCluster コマンドでクラスターのコンテキストを設定するときに、プロバイダー名と接続文字列を指定する必要があります。Windows PowerShell でこれらのパラメーターを指定しないと、クラスター構成の保存場所から取得されます。

これらのプロパティに関連する設定は次のとおりです。

設定 XML による構成箇所 設定が割り当てられるタイミング

クラスター管理の役割

advancedProperties 要素の子である partitionStoreConnectionSettings 要素の leadHostManagement 属性。使用できる値は、リード ホストの場合の true と、SQL Server の場合の false です。クラスターの構成設定が共有フォルダーに格納されている場合は、有効な値は true のみです。

クラスター管理の役割は、構成時に、クラスターの構成設定が格納されている場所に基づいて割り当てられます。詳細については、「リード ホストとクラスター管理 (Windows Server AppFabric キャッシュ)」を参照してください。

セキュリティ プロパティ

キャッシュ クラスターのセキュリティ プロパティは、advancedProperties 要素の securityProperties ノードに設定されます。mode 属性は、None または Transport のいずれかに設定できます。protectionLevel 変数は、NoneSign、または EncryptAndSign のいずれかの値に設定できます。

クラスターの既定値は、Transport モードおよび EncryptAndSign 保護レベルです。securityProperties ノードが提供されていない場合、またはどちらの属性も欠落している場合、既定値が適用されます。セキュリティ プロパティは、Set-CacheClusterSecurity Windows PowerShell コマンドで変更できます。

関連項目

概念

クラスターの構成設定の編集 (Windows Server AppFabric キャッシング)
クラスター構成の保存オプション (Windows Server AppFabric キャッシュ)
Windows PowerShell を使用した Windows Server AppFabric キャッシュ機能の管理
アプリケーション構成設定 (Windows Server AppFabric キャッシング)
キャッシュ クラスターの構成 (Windows Server AppFabric キャッシュ)
Windows Server AppFabric のキャッシュの概念
キャッシュ クライアントを開発する (Windows Server AppFabric キャッシュ)

  2011-12-05