AppFabric IIS マネージャー拡張機能

AppFabric は、拡張機能のアプリケーション管理 UI を IIS マネージャーに提供します。これらの拡張機能により、WCF サービスまたは WF サービス、またはその両方を含むアプリケーションに高度な管理機能が提供されます。この拡張機能では、Web アプリケーション管理タスクで使用しているものと同じ UI を使用して AppFabric 管理タスクを実行できます。AppFabric 管理 UI では、IIS マネージャーの機能ビューの [AppFabric] 領域にはアイコンが、操作ウィンドウ内にはコマンドが含まれています。IIS マネージャー用の AppFabric 拡張機能の目的は、運用管理ツールではなく、アプリケーション管理ツールとしての使用です。

AppFabric IIS マネージャー拡張機能は、Windows PowerShell ホストとして実装されています。AppFabric アプリケーション管理 UI で実行する多くの操作は、1 つ以上の対応する Windows PowerShell コマンドレットを実行します。つまり、AppFabric UI は、IIS 構成ファイル、WCF または WF 操作、データベース、または他のバックエンド コンポーネントに対して実行される AppFabric コマンドレットのフロント エンドになります。すべての AppFabric アプリケーション管理タスクを IIS マネージャーの UI で実行できるわけではありません。IIS マネージャーに提供されていないアプリケーション管理タスクは、他の Windows PowerShell コマンドレットを使用して実行できます。AppFabric および AppFabric コマンドレットにおける Windows PowerShell インフラストラクチャのアーキテクチャの詳細については、「AppFabric の Windows PowerShell」を参照してください。

AppFabric のアプリケーション管理タスクは、3 つの領域に分けることができます。アプリケーション構成、サービス インスタンスとアプリケーションの制御、および監視クエリです。

アプリケーション構成

AppFabric では、1 つの構成ダイアログ ボックスに、IIS 接続階層の各レベルの構成設定が配列されたタブが含まれています。つまり、サービス、仮想ディレクトリ、アプリケーション、Web サイト、およびサーバーです。サービスは直接、構成することができます。また、仮想ディレクトリ、アプリケーション、サイト、およびサーバーの各レベルに定義されている既定の構成設定を適用することもできます。構成ダイアログ ボックスを表示するには、機能ビューでサービスを選択するか、接続ウィンドウでアプリケーション、サイト、またはサーバーを選択して、IIS マネージャーの操作ウィンドウで [構成] コマンドをクリックします。サービスを右クリックして [構成] をクリックするか、またはアプリケーション、サイト、またはサーバーを右クリックして [WCF サービスと WF サービスの管理] をクリックし、[構成] をクリックすることもできます。

構成設定を適用するために、AppFabric は、仮想ディレクトリ、アプリケーション、サイト、およびサーバーに関連付けられている Web.config ファイルに要素を設定します。これらのレベルの Web.config ファイルにより、サービスに適用される構成階層が形成されます。サービスの構成を直接定義すると、アプリケーションの Web.config ファイルの名前付きビヘイビアーに構成値が設定されます。サービスが既定値から構成を継承する場合は、仮想ディレクトリ、アプリケーション、サイト、およびサーバー (定義されている場合) の Web.config ファイル内の名前なしビヘイビアーから構成が結合されます。別のレベルの関連値が適用される場合は、1 つのレベルで構成フィールドの一部が使用できなくなります。その場合、使用できないフィールドは UI で灰色表示になります。サービス構成の詳細については、「AppFabric での構成プロセス」を参照してください。

IIS 接続階層の各レベル、つまりサービス、仮想ディレクトリ、アプリケーション、サイト、およびサーバーの構成ダイアログ ボックスは、IIS マネージャーの Microsoft AppFabric 1.1 for Windows Server モジュールにより提供されます。このダイアログ ボックスには、AppFabric が WCF または WF ベースのサービスで必要とする構成設定の種類ごとにタブが含まれています。これらは、全般、監視、ワークフロー永続化、ワークフロー ホスト管理、自動開始 (アプリケーション スコープのみ)、スロットル、およびセキュリティです。サービス構成の詳細については、「アプリケーションとサービスの構成」を参照してください。

サービス インスタンスとアプリケーションの制御

IIS マネージャーの操作ウィンドウの AppFabric コマンドにより、サービス インスタンスまたはアプリケーションのコントロール操作を実行できます。また、サービス インスタンスのショートカット メニューからもコントロール操作を実行できます。

サービス インスタンスのコントロール操作には、インスタンスの再開、キャンセル、終了、または中断が含まれます。これらのコントロール コマンドの 1 つを実行すると、AppFabric により WCF または WF 操作が実行されるか、Web.config ファイルやその他の構成ファイルが変更されます。コントロール コマンドは、非同期で処理されます。つまり、制御メッセージがメッセージのキューに追加され、順次、実行されます。コマンドの種類に応じて、サービス インスタンス データが永続化データベースに保持されるか、または永続化データベースからプルされます。どのコントロール操作が許可されるかは、永続化データベースに保管されているサービス インスタンスの状態によって異なります。

アプリケーションのコントロール操作には、停止および開始が含まれます。アプリケーションを停止すると、有効なプロトコルの一覧および自動開始メカニズムの状態が保存されます。これにより、開始コマンドを使って、アプリケーションを元の状態で再開できます。停止コマンドと開始コマンドは、.NET Framework 4 WCF および WF ベースのアプリケーションを含むすべてのアプリケーションに適用されます。

監視クエリ

AppFabric ダッシュボードの列挙およびカウントの表示と、AppFabric IIS マネージャー拡張機能の他の画面により、WCF および WF のアプリケーションとサービスの管理に関連する項目の一覧およびカウントが提供されます。AppFabric の列挙には、永続化ワークフロー サービス インスタンス、追跡対象ワークフロー サービス インスタンス、WCF 呼び出し、サービス、サービス インスタンス エンドポイント、および追跡対象イベントが含まれています。これらの一覧には、WCF または WF アプリケーションの状態にアクセスできるデータが含まれています。一覧の項目に関連付けられたメトリックが AppFabric ダッシュボードに表示され、表示されたサービス インスタンスを制御するためのコントロールが操作ウィンドウに提供されます。AppFabric ダッシュボードおよび列挙一覧の監視データは、監視データベース、永続化データベース、構成ファイルなどの各種ソースから集約されます。AppFabric は、データベースに対してクエリを実行するか、構成ファイルからデータをプルするか、またはその両方によりデータを取得します。

AppFabric 列挙画面には、以下が含まれています。

  • 列挙されている項目の種類の一覧。

  • クエリ制御。既定では、表示された一覧を生成するために使用された要素が表示されますが、カスタム クエリが実行されるように変更できます。

  • 詳細ウィンドウ。列挙一覧で選択された項目について、指定したデータが表示されます。

AppFabric モジュールの委任

機能は、IIS マネージャー内でモジュール単位でグループ分けされます。モジュールは委任の単位で、これにより管理者は特定のレベルで接続しているすべてのユーザーに対して、特定の機能へのアクセス権限を許可します (委任によってユーザー ポリシーが強制されることはありません)。既定では、Microsoft AppFabric 1.1 for Windows Server モジュールの委任プロパティは、読み取りと書き込みです。つまり、既定では、このモジュールのすべての機能が、すべてのユーザーに対して読み取り可能および書き込み可能になります。

機能ビューの管理領域で、機能の委任アイコンをクリックすると、委任プロパティが表示されます (表示する権限が許可されている場合)。管理者は、機能を右クリックして適切な設定を選択することにより、機能の委任ページで委任プロパティを変更できます。

  2012-03-05