Windows 9x デスクトップを Windows 2000 Professional にアップグレードする

オペレーティング システム

シナリオ ガイド

要約

このシナリオ ガイドでは、Microsoft Windows 95 または Windows 98 オペレーティング システムのデスクトップ環境を Windows 2000 Professional オペレーティング システムにアップグレードする場合に考慮すべき点について説明します。特に、Windows 2000 Server や Active Directory サービスを使用して管理されているクライアント、およびこれらのサービスを使用していない管理されていないクライアントに対して Windows 2000 Professional を展開するための計画と方法に重点を置いています。

トピック

はじめに
展開の段階
アップグレード プロセス 概要
アップグレード プロセス 移行
展開方法
まとめ

はじめに

この導入ガイドには、ネットワーク環境で Microsoft Windows 2000 オペレーティング システムのアップグレードの準備をする際に役立つ情報が記載されています。このガイドは、Windows 2000 Professional オペレーティング システムを多くのコンピュータにインストールする情報システム部の担当責任者を対象としています。

アップグレードを解説するにあたり、ある中小企業をモデルとして、既存の Windows 9x デスクトップを Windows 2000 Professional にアップグレードする事例を取り上げます。この企業では、現在 Windows NT 4.0 Server ベースのシングル ドメイン ネットワークが稼動しており、将来的には Windows 2000 Advanced Server にアップグレードする予定です。

アップグレードの際には、可能な限り多くの設定を新しいシステムに移行します。Windows 9x と Windows 2000 Professional の間には大幅な相違があるため、インストールされている Windows 9x のすべての機能とカスタマイズされた設定が、アップグレードの後でも移行される保証はありませんが、すべてのコンポーネントは正常にアップグレードされます。また、セットアップには移行ダイナミック リンク ライブラリ (DLL) をサードパーティのアプリケーション べンダに提供するメカニズムがあるので、Windows 9x 用に作成されたサードパーティ製アプリケーションを 2000 Professional 上でも動作させることができます。

移行 DLL を使用しない場合、インストール済みのすべてのアプリケーションがアップグレード後も動作する保証はありません。アップグレード シナリオでアプリケーションをテストすることが、アップグレード後の互換性を確認する唯一の方法です。

このガイドでは、新しいコンピュータや、フォーマットした直後のディスク、または既存のインストールの新規ディレクトリに行う、 "クリーン" インストールについては説明していません。

また、このガイドでは、サーバー インフラストラクチャのアップグレード、または Windows 2000 Active Directory サービスへのアップグレードについては説明していません。

このガイドと併せて、"Windows 2000 システム展開ガイド" も参照してください。

用語の定義

このガイドの中で使用されている "アップグレード" および "移行" という用語は、インストール済みのオペレーティング システムを Windows 2000 のアップグレード機能を使用して置き換えることを意味しています。"クリーン インストール" は、ディスクをフォーマットし、オペレーティング システムおよびすべてのアプリケーションを再インストールすることを指します。このガイド全体を通して使われている "Windows 9x" という表記は、Microsoft Windows 95 および Microsoft Windows 98 を総称しています。

シナリオの要件

このガイドでは、ユーザーが Windows 9x、Windows 2000 Professional、および Windows NT 4.0 Server の特長、機能、および利点についての理解があることを前提としています。

シナリオの定義

このシナリオでは、LitWare, Inc. という架空の企業をモデルとして取り上げます。

LitWare, Inc. は現在、合計 500 台のデスクトップがあり、デンバーとシアトルの 2 か所に物理的にまたがるシングル ドメインを所有しています。その 2 か所は、高速で信頼性の高い専用線により接続されています。

シナリオの目標

このガイドでは、LitWare, Inc. が利用可能な展開オプションと、それらのオプションが選択された理由を説明します。このガイドでは、事前計画とアップグレードの考慮すべき点、展開の段階、セットアップ作業を主に説明しています。

展開の段階

オペレーティング システムの展開やアップグレードには、情報収集、事前計画と設計、テスト、試験運用、実運用環境への展開 (ロールアウト) といったいくつかの段階があります。これらの段階について、以下の項で説明します。

情報収集

Windows 2000 ベースのデスクトップ環境の事前計画とテストにあたり、現在のネットワーク オペレーティング システム、インフラストラクチャ、デスクトップ環境、および慣例を念入りに評価することが重要です。デスクトップおよびネットワーク環境について正確な状況を把握していないと問題が生じる可能性があります。次の情報に関する文書を必ず作成してください。

  • ビジネス組織および地理的要件

  • テクノロジ アーキテクチャ

  • 相互運用性

  • 現在および将来にわたるネットワークとアプリケーションの標準

  • ユーザーの種類 (移動、モバイル、リモート、タスク ベース、知識ベースなど)

  • サポート プロセス

  • 名前付け規則

    ハードウェア構成と標準

    • ブランド名とモデル、プロセッサの種類とスピード、メモリ サイズ、ハード ディスクの空き領域、BIOS のリビジョン番号など

    アプリケーション構成と標準

    • インストール済みの Service Pack とホット フィックス、すべてのサードパーティ製アプリケーション、レジストリ エントリに行なわれた変更など
  • ユーザー設定およびユーザー データ

オペレーティング システムの検討

2 つ以上のオペレーティング システムがインストールされているコンピュータ (デュアルまたはマルチブート コンピュータ) は、Windows 2000 Professional にアップデートすることができません。Windows 2000 Professional をインストールする場合は、ハード ディスクのパーティションを再フォーマットし、クリーン インストールを実行する必要があります。そのパーティション上のあらゆるプログラムおよびユーザー データは、あらかじめ適切なバックアップを行ってから再インストールしないと失われることになります。

Windows 3.x からアップグレードした Windows 9x システムには、Windows ディレクトリに多数の残存ファイルがありますが、アップグレード中に削除されることはありません。アップグレードするかクリーン インストールするかを決定する前に、実際のネットワーク環境でテストすることをお勧めします。

共有サーバー インストールで実行している Windows 9x システムは、ローカル インストールではないためアップグレードすることができません。このシステムの場合は、クリーン インストールを行う必要があります。

ハードウェ アの検討

ハードウェアが、Windows 2000 Professional の動作に必要な条件を満たしていることを確認します。Windows 2000 をインストールし、設計どおりに動作させるには、少なくとも以下の要件を満たしている必要があります。

  • Pentium クラス 133 MHz 以上のコンピュータ

  • 64 MB の RAM

  • 850 MB の空き領域があるハード ディスク

  • 圧縮されていないハード ディスクのパーティション。Windows 9x が格納されているハード ディスクが圧縮されている場合は、アップグレードできるように圧縮を解除しておく必要があります。

さらに、周辺機器が Windows 2000 Professional と互換性があること、および BIOS が Advanced Configuration and Power Interface (ACPI) および Windows 2000 Professional システムのほかの新機能をサポートしていることを確認します。

アプリケーションの互換性の検討

必要なすべてのアプリケーションが Windows 2000 Professional で動作することを確認します。アプリケーションの互換性に関して Microsoft が行ったテストの結果を確認するには、ソフトウェア互換性リストを参照してください。ソフトウェア ベンダの独自のテストによる互換性については、対象ベンダにお問い合わせください。アプリケーションによっては、ベンダがアップデートの提供や推奨をしている場合もあります (このアップデートは移行 DLL とも呼ばれます)。

企業内のアプリケーションは、互換性を確認するためにテストを行う必要があります。16 ビット アプリケーションは Windows 2000 Professional の仮想 DOS マシン (VDM) で実行されるので、そのアプリケーションから直接ハードウェアを呼び出すことや、仮想デバイス ドライバ (VxD) を使用することはできません。

Windows 2000 Active Directory 環境を準備するには、アプリケーションが Windows 2000 および Microsoft Active Directory の機能とメリットを十分に活用できることを調査してください。

LitWare のデータ収集結果

LitWare では、社内の IT 管理者と広範囲にわたるディスカッションを行い、すべてのハードウェアおよびアプリケーションの一覧表を作成したところ、シアトルのサイトでは数年前にデスクトップとモバイル マシンの標準構成を決めていたことが判明しました。シアトルのサイトでは毎年、マシンの約 3 分の 1 をリプレースしています。この更新対象は、ビデオ カード、モニタ、ネットワーク インターフェイス カード (NIC)、CD-ROM ドライブ、およびハード ディスク ドライブなど広範囲にわたりますが、それらのほとんどは標準的な製品です。このような標準化により、シアトルのサイトではスムーズな移行を行うことができます。

デンバーのサイトには合計 100 台の Windows 9x ワークステーションがあり、Service Pack 1 および 2000 年問題修正プログラムがインストールされています。デンバーでは最近になってシアトルと同様にハードウェア ポリシーを導入し、ハードウェア互換性リスト (HCL) にあるハードウェアを購入するようになりました。そのため、デンバーのサイトには多くのメーカーから購入したさまざまな種類のハードウェアがあり、社内で作成したマシンや新旧のハードウェアが混在したマシンもあります。このように標準化ポリシーが導入されていないため、アップグレードには一層の困難が予想されます。

シアトルとデンバーのいずれのサイトでも、同じ基本アプリケーションがワークステーション上で動作しています。共通のアプリケーションには、Microsoft Office 97 Service Release 2、Microsoft Internet Explorer 3.02、4 つのサードパーティ製アプリケーション、および社内で開発したカスタム アプリケーションが 2 つあります。そのうちの 1 つは仮想デバイス ドライバを使用しています。社内の開発部門には、現在マルチブートのデスクトップが 10 台あります。

事前計画と設計

事前計画と設計の段階には、多くの課題があります。この段階に入る前に、まず製品の機能を理解し、新旧両機能の設定方法および使用方法を習得する必要があります。Windows 2000 Professional では多くの変更が加えられています。新しいインターフェイスやプロセスに完全に慣れるためには、すべての機能を何度もテストすることをお勧めします。

さらに、展開に向けて目標を設定する必要もあります。Windows 2000 Professional を導入することにより達成される目的、また、これらの目的に到達するには Windows 2000 Professional のどのような機能が社内で役立つのかを明確にしてください。

ネットワーク構成図とマニュアルを確認してください。これらの資料がない場合は、この 2 つを作成し、内容が正確であることを確認します。構成図とマニュアルは、展開方法を計画するために、この段階で使用されます。ネットワーク アクティビティの停止や混乱を招くことなく Windows 2000 を適切に展開するためには、ネットワークの長所および短所を把握しておく必要があります。この知識は、ネットワークを介した展開とデスクトップでのインストールの割合を決定するのに役立ちます。

デスクトップのオペレーティング システムを変更することにより、ネットワーク環境が受ける影響について理解する必要があります。Windows 9x では、ドメインに参加するのにマシンの承認は必要ではありませんでした。しかし、Windows 2000 Professional では、マシン アカウントを使用してドメインに参加するために ワークステーションが承認される必要があります。承認を受けるためのいくつかの方法については、このガイドの後半で説明します。

新しいオペレーティング システムとその機能の使用により、ネットワーク トラフィックが受ける影響を見積もります。オフライン フォルダ、スタートアップ、ログオン、ログオフ、またはシャットダウン スクリプトなどの機能は、ネットワークのパフォーマンスに影響を与えることがあります。

オペレーティング システムのアップグレードにより、アプリケーションが受ける影響について理解します。テスト段階で Windows 2000 Professional 上のアプリケーションを徹底的にテストする計画を立てます。

互換性のチェック

アップグレード計画の初期段階で、ソフトウェアおよびハードウェアの Windows 2000 との互換性を調査することが不可欠です。この調査により、アップグレード、修正、または置き換えの必要があるアプリケーションおよびハードウェアを特定します。Microsoft Systems Management Server のようなシステム管理ソフトを使って、この作業を行うこともできます。さらに、Windows 2000 ハードウェア/ソフトウェアの互換性確認サイトを参照したり、Windows 2000 セットアップをチェック専用モードで実行したり、Windows 2000 対応アナライザを実行することもお勧めします。

Windows 2000 互換性リスト

Windows 2000 システムで使用する予定のハードウェアおよびソフトウェアが Windows 2000 ハードウェア/ソフトウェアの互換性確認サイトに掲載されていることを確認してください。このサイトに掲載されていないハードウェアまたはソフトウェアを使用している場合は、Windows 2000 対応のバージョンまたはアップデートが入手可能かどうかをベンダに問い合わせてください。ハードウェアまたはソフトウェアに互換性はあっても、単にテストが実施されていないだけということもあります。その場合は、自社でテストを実行し、さらにベンダからの支援を得て互換性を確認してください。

新たに購入するすべてのハードウェアおよびソフトウェアが Windows 2000 に対応していることを必ず確認してください。購入決定の際に、この確認を購買部の用いる判断基準の 1 つにするよう検討することをお勧めします。

Windows 2000 対応アナライザ

Windows 2000 対応アナライザは、システムを分析し、Windows 2000 との互換性がないハードウェアやソフトウェアを検出します。このツールは、システム上のデバイスとアプリケーションを既知の非互換性リストと照合します。このチェックは Windows 2000 のセットアップ中にも行われますが、確実にインストールするためにも、インストールを開始する前にダウンロードしてシステムをチェックすることをお勧めします。対応アナライザは、Windows 2000 の CD-ROM が手元になくてもシステム全体をチェックできます。このツールは Windows 2000 対応アナライザのサイトからダウンロードできます。

: Windows 2000 対応アナライザは、主に個々のパーソナル コンピュータで使用するように設計されています。ただし、次のように自動プロセスの一部として使用することにより、企業内の複数のパーソナル コンピュータからアナライザの結果を収集することができます

Windows 9x システムのチェック

互換性を確認するには、Microsoft ハードウェア互換性リスト (HCL) のコンポーネントを検索してください。HCL には、Microsoft が現在サポートしているすべてのハードウェアが含まれています。ハードウェアがリストに掲載されていない場合は、ベンダに問い合わせてドライバの有無を確認してください。コンポーネントが 16 ビット ドライバを使用している場合は、32 ビット ドライバを入手する必要があります。

Windows 2000 Professional のセットアップ プログラムを使用してハードウェアの互換性をチェックすることもできます。チェック専用モードでセットアップを起動すると、互換性のないハードウェアとソフトウェア、およびアップデートが必要なデバイス ドライバを示したログ ファイルが作成されます。アップグレードのチェック専用モードのコマンド ラインは次のとおりです。

winnt32 /checkupgradeonly

Windows 9x から Windows 2000 のセットアップを実行する場合、作成されたレポートを 1 か所にまとめて保存することができます。レポートを保存するには、次のコマンド ラインを入力します。

Winnt32.exe /unattend: :< 応答ファイル名 >

この <応答ファイル名> は、Windows 2000 セットアップの最小の応答ファイルの完全修飾ファイル名です。最小の応答ファイルの例は以下のとおりです。作成されたレポートの結果は <レポート ファイル名> で指定した完全修飾名で保存されます。

[Unattended]

Win9xUpgrade=yes
[Win9xUpg]
ReportOnly=Yes
SaveReportTo= < レポート ****** ファイル名 >
<レポート ファイル名> は作成するレポート ファイルの完全修飾ファイル名です。パス内の任意の場所に %computername% を使うことができます。Windows 2000 のセットアップでは、アップグレード チェックを実行中に、この文字列をシステムのコンピュータ名に展開します。以下に例を示します。

SaveReportTo=\\server\share\%computername%.txt

Windows 2000 のセットアップが "Caroline" というコンピュータ名のシステムで実行されると、作成されるレポートの完全修飾ファイル名は \\server\share\caroline.txt となります。

応答ファイルを指定しなかった場合、ローカル ハード ディスクの Windows ディレクトリの Upgrade.txt ファイルにアップグレード レポートが作成されます。セットアップは既知の非互換性についてのみチェックします。レポート結果にかかわらず、プログラムが Windows 2000 と互換性があるかどうかについては、すべてテストする必要があります。互換性チェックでは、限定されたデータベースに基づいてレポートが作成されるので、すべてのアプリケーションの互換性を確認することはできません。レポートは、Microsoft が現時点の Windows 2000 について行った互換性テストで確認された互換性の問題を事前に特定するために役立ちます。

: Windows 2000 のセットアップをチェック専用モードで起動すると、アップグレードまたはインストールを続行することはできません。

LitWare の設計と計画の決定

事例として取り上げた LitWare は、ラボ環境で Windows 2000 Professional の機能のテストと学習を終えた後、以下のような展開目標を設定しました。

  • Windows 2000 Professional が提供する優れたパフォーマンス、向上した操作性、および数々の拡張能を利用して生産性を高める。

  • Windows 2000 Active Directory サービスの環境を整え、管理の負担を軽減する。

  • アップグレードを機に、シアトルとデンバーの両方のサイトにあるデスクトップのハードウェアおよびアプリケーションの標準化を行う。

ハードウェアおよびソフトウェアについて、Microsoft の互換性リストをチェックしました。winnt32.exe /unattend:<応答ファイル名> がすべてのシステムで実行され、レポートは集中して作成および保存されています。このレポートには、互換性のないハードウェアおよびソフトウェアが記録されます。これらのシステムを一定の仕様に高めるための計画が作成されています。

開発部門にある 10 台のマルチブートのデスクトップには、ハード ディスクのパーティションをフォーマットした後、Windows 2000 Professional をクリーン インストールします。テスト済みのすべてのアプリケーションが再インストールされます。

テスト

事前計画と設計の段階と同様に、テスト段階にも多くの課題があります。テスト段階では、実運用環境の規模を小さくしたもので構想のとおりに動作することを確認します。管理者にとってテスト段階は、Windows 2000 Professional での変更と追加を評価する最初の機会です。

テスト環境では、実運用環境と同じようにクライアント コンピュータを混在させて使用する必要があります。これにより、サーバーの拡張機能も同時にテストすることができます。

クライアントを段階的に展開する場合、展開期間中に存在するようにクライアントを混在させてください。たとえば、Windows 95 クライアント と Windows 2000 Professional クライアントを混在させます。

実運用環境で使用する機能と特徴をテストできるように、コンピュータ ラボを設計します。稼働環境と同じ種類のハードウェア、アプリケーション、およびネットワーク構成を含めてください。このセクションでは、Windows 2000 Professional のテストを実施するためのラボの設計にあたり、考慮すべき点をいくつか取り上げます。ただし、ここで扱う問題が、すべての Windows 2000 Professional の実装に該当するわけではありません。

ハードウェアの互換性

Windows 2000 を実運用環境で実行する予定のクライアント コンピュータをベンダおよびモデルごとに少なくとも 1 台含めてください。社内でラップトップ コンピュータ、ドッキング ステーション、またはポート レプリケータを使用している場合は、それらのベンダおよびモデルも必ず含めます。実運用環境で使用している周辺機器の代表的なモデルもテストの対象に含めてください。たとえば、同じ機種のプリンタとスキャナとそのドライバなどが含まれます。

既存のハードウェアにより何らかの問題が生じる可能性を調べる必要があります。すべてのコンピュータが Windows 2000 Professional の実行に必要な最小要件を満たしていることを確認してください。古いハードウェアの中には Windows 2000 Professional と互換性のないものがあります。たとえば、システムを正常に動作させ、Windows 2000 Professional の新機能を利用するために、BIOS のアップデートが必要なハードウェアもあります。これらの問題を確認するには、アップグレードを行う前に、ハードウェア ベンダまたは製造元に問い合わせて適切なドライバを入手するか、ハードウェアの一部を取り替える必要があります。

展開計画の一部として、Windows 2000 Professional の標準的なハードウェア構成の構築をお勧めします。ラボ テストを実施することで、標準的な構成の定義やその見直しをすることができます。ハードウェア構成を定義する際、コンポーネントに Windows 2000 との互換性があることを確認してください。たとえば、次のコンポーネントの互換性を確認する必要があります。

  • USB (Universal Serial Bus) 接続のデバイスおよび周辺機器

  • CD-ROM ドライブおよび DVD-ROM ドライブ

  • サウンド アダプタ

  • ネットワーク アダプタ

  • ビデオ アダプタ

  • 大容量記憶装置コントローラ (SCSI、RAID)

  • リムーバブル記憶域デバイス

  • 入力デバイス (マウス、トラックボール、タブレットなど)

アプリケーションの互換性

この中には、商用アプリケーションとカスタム アプリケーションが含まれます。

アプリケーション テストの目的は、現在のプラットフォームで動作しているすべてのアプリケーションが Windows 2000 でも稼動することを確認することです。以前のバージョンの Windows 用に作成されたアプリケーションは、Windows 2000 の新機能を利用できなくても、アプリケーション本来の機能は果たす必要があります。

製造元が動作確認済みで互換性があると言われているアプリケーションでも、必ずテストを行ってください。テストにあたっては、企業内でそのアプリケーションを使用する方法、企業内で使用する構成、頻繁に使用される機能、および共に使用されるアプリケーションの組み合わせを重点的にテストします。

詳細な情報については、後の「アプリケーションの移行」を参照してください。

アップグレード テスト

ハードウェアおよびアプリケーションの互換性の問題を特定し、解決してから、オペレーティング システムのアップグレード テストに移ります。この段階ではいくつかの分野を評価し、文書化する必要があります。

まず初めに、手動アップグレードと比べて自動アップグレードの実現可能性を評価します。ハードウェアが標準化されている場合は、容易に自動インストールを実行できます。LitWare, Inc. のデンバー サイトのようにさまざまなハードウェアが混在している場合は、テストの複雑化や、混在するハードウェア用の自動インストールの作成には多くの要素が関係するため、手動インストールの方がより適している場合もあります。

オペレーティング システムのコンポーネントは、実装計画に含めていないものも "すべて" インストールしてください。これらのコンポーネントを使用してロード シグネチャのテストを行い、将来実装する可能性のあるオペレーティング システムの機能にワークステーションが対応できるかどうか確認します。オペレーティング システムのすべてのコンポーネントについて、クライアントのディスクの空き領域およびパフォーマンスの基準を設定することによって、将来、追加機能を実装する場合に必要となるものを把握することができます。

テストに関する詳細な情報については、『Windows 2000 システム展開ガイド』の第 21 章を参照してください。

LitWare のテスト

LitWare は、デンバー サイトからは一般的なデスクトップを 3 台、シアトル サイトからはすべて標準のデスクトップを 4 台、テスト用に選定しました。すべての標準的なハードウェアおよびソフトウェアをテストします。独自のアプリケーションのテストは、アプリケーション開発者やアプリケーションの技術管理者、ビジネス管理者が参加して実施されます。このテストにより、アップグレードが展開される前に、アプリケーションが適切に動作することを確認することができます。

インストールの成否はすべて、ユーザー教育、企業内のヘルプ デスク、およびそれぞれのサイトのコンピュータ技術者にかかっています。ユーザーに対して、ディスカッションを行ったり、作業内容、サポート手順、予定時間を説明する電子メールにより、プロセス全体についての教育を行います。

シアトルのサイトではすべてのデスクトップが標準化されているので、unattend.txt ファイルを使用した無人アップグレードが行われます。デンバーのサイトでは、異種のハードウェアへの無人インストールが困難なため、Windows 2000 を手動でインストールします。すべてのインストールには、ネットワーク帯域幅の飽和レベルに応じてあらかじめ設定されているユーザー数にアクセスを制限した配布サーバーを使用します。

テストを実行し、すべての標準的な 32 ビット アプリケーションをインストールし、正常に動作することを確認しました。正常に動作しないときは、ベンダが提供する移行 DLL を使用して問題を解決しました。仮想デバイス ドライバ (VxD) を使用していたカスタム アプリケーションは、アップグレード後に新しい 32 ビット バージョンのものに入れ換えられます。

試験運用

試験運用段階では、計画した Windows 2000 Professional の展開を行い、小規模な実運用環境でのテストを行って適切に動作することを確認します。

この段階では、限られた環境で小人数のユーザーをターゲットにします。実運用環境に応じて、少なくとも 1 つのサイトで 30 ~ 60 クライアントを決定します。実運用環境での使用と同様に、通常の運用業務や実装手順を実行してください。

試験運用では、実運用環境下と同じポリシーを問題解決および管理タスクのすべてに適用します。常に手順を評価し、必要に応じて調整します。管理方法の変更やワークフローの管理など、試験運用において関連するすべてのグループと協力します。

最終的に、チーム環境を作り上げます。試験運用に対してフィードバックや協力を得る必要があるので、試験運用に同意するユーザーを選び、協力を要請します。謝礼として、シャツなどの景品を用意するのもいいアイデアです。しかし最も重要なのは、ユーザーに対して誠実であることです。物事が常に完璧に進むわけではないことをユーザーに警告してください。

LitWare での試験運用

LitWare が作成した試験運用環境は、デンバーのサイトから注意深く選定された 10 台のデスクトップと、シアトルから選定された 40 台のデスクトップで構成されています。それらのデスクトップは、実際の環境で運用させるデスクトップの大部分をカバーする代表的なサンプルとして選択されました。各事業所には、アップグレードの期間、試験運用ユーザーの教育およびサポートを行うサポート チームを用意します。

運用環境への展開

この段階では、試験運用から得られた知識を用いて設計を調整します。可能な限り物事がすべてスムーズに運ぶようにすることが重要です。この段階では、展開に関係のあるメンバー全員に電子メールを送信してスケジュールと予想される混乱を通知します。関係のあるメンバーにはユーザー サポート、ネットワーク管理者、システム管理開発者、サーバー管理者、および設計に携わるスタッフなどが含まれます。

最終的な展開手順は、試験運用の展開の場合とよく似ています。全面的に展開するときにすべてのデスクトップのアップグレードが円滑に行えるようにするため、配布サーバーを使用している場合はそのセットアップが必要です。予定されているインストールをユーザーに通知し、Windows 2000 Professional のトレーニングを実施し、ユーザー インストール スクリプトをカスタマイズします。さらに、必要に応じて、クライアント コンピュータのハードウェアのアップグレードや、会社のポリシーに準拠しないソフトウェアの削除を行い、クライアント コンピュータにある重要なデータおよび構成ファイルをバックアップする必要があります。その上で、クライアント コンピュータが完全に動作し、ネットワークが稼働していることを確認し、必要に応じてウイルス チェック、ディスク スキャン、ハード ディスクの最適化を実行する必要があります。

アップグレード前のチェック リスト

Windows 2000 Professional にアップグレードする前に、以下の作業を行ってください。

  1. 稼動中のシステムでウイルス スキャンを実行する。

    既にウイルス スキャンが定期的に実行されているはずですが、アップグレード前にもう一度ウイルス チェックを実行し、コンピュータにウイルスに感染しているファイルがないことを確認します。ウイルス チェックの情報が最新の状態にアップデートされていることを確認し、コンピュータ上のすべてのファイルをチェックするように設定します。

  2. すべてのファイルをバックアップする。

    安全対策として、新しいオペレーティング システムをインストールする前に、ハード ディスク上のすべてのファイルに対してバックアップを行ってください。

  3. すべてのアプリケーションを終了し、ウィルス スキャンを無効にする。

    アップグレードを開始する前にすべてのアプリケーションを終了するのが最も安全です。

アップグレード プロセス 概要

Windows 9x からのアップグレードは、Windows 9x がインストールされているコンピュータで、有人セットアップまたは無人セットアップのどちらも可能です。全社的なネットワークに Windows 2000 Professional を展開するときは、Windows 2000 Professional でサポートされている自動インストールの利用を検討してください。

Windows 9x と Windows 2000 は異なるオペレーティング システムなので、アップグレード プロセスは Windows 9x 上に何がインストールされているのかを確認し、次にシステムの認識された部分のアップグレード、およびディレクトリやレジストリ情報を Windows 2000 システム上の適切な場所への移動を実行しようとします。この結果、アップグレード プロセスはレポート段階とセットアップ段階の 2 つに大別できます。

レポート段階では、セットアップ中に、サードパーティ製の移行 DLL、およびそのままでは Windows 2000 上で動作しないインストール済みのアプリケーションやデバイスを修正するファイルを指定することができます。インストールされているすべてのアプリケーションおよびデバイスについて Windows 9x システムをスキャンし、Windows 2000 との互換性がない場合には通知します。既定のユーザー アカウントを含むマシン上のすべてのユーザー アカウントについて既存のインストールをスキャンします。次に、ユーザーに対して、互換性のないデバイスとアプリケーションについてのレポートを表示します。移行 DLL がある場合は、それらの移行 DLL を処理するために WINNT32.EXE を再起動する必要があります。次に、アップグレード プロセスのセットアップ段階で使用される応答ファイルが作成され、Windows 2000 のブート ローダがインストールされて、Windows 2000 インストール ファイルがローカルのハード ディスクにコピーされます。

この最初の情報とレポート段階が完了すると、マシンが再起動します。次に、第 2 段階であるセットアップが開始されます。この段階は、テキスト モードと GUI モードという 2 つの部分に分かれます。

テキスト モードでは、従来の Windows 9x インストールと同じディレクトリに Windows 2000 のベースがインストールされます。通常は C:\Windows ディレクトリです。対象ディレクトリは、アップグレード中に変更することはできません。次に、Windows 9x のレジストリ ファイルおよびプロファイルが一時ディレクトリ (%windir%\setup\temp) に移動されます。

次にシステムが再起動して GUI モードになります。ここでは、保存されている設定がセットアップにより Windows 9x システムから Windows 2000 レジストリに移行されます。次に、Windows 9x の段階で提供された移行 DLL を使用してアプリケーションを移行し、すべてのユーザー アカウントを Windows 9x から Windows 2000 に移行します。

これで、アップグレード プロセスが完了します。

アップグレード プロセス 移行

アップグレード プロセスには、多くの側面があります。中でも最もよく習熟しておく必要のあるものには、アプリケーションの移行、および Windows 2000 アップグレード プロセスがユーザー アカウントとプロファイルを扱う方法があります。これらを十分に理解することが、ネットワーク環境をテストするための準備となります。

このセクションでは、さまざまな状況における移行プロセスの理解を助け、さらに社内のテストをチェックするための基準を提供します。

ユーザー アカウントとプロファイルの移行

Windows 9x システム上のすべてのユーザー アカウントおよび非移動ユーザー プロファイルは Windows 2000 に移行されます。移行には、各ユーザーのレジストリおよびプロファイル情報を以下のルールに従って Windows 2000 システムに移動することが含まれます。

ケース 1

Windows 9x 上の既定のユーザー アカウントが一度もアクセスまたは使用されていない場合、Windows 9x の既定のユーザー設定は Windows 2000 の既定のユーザー設定に移行されません。

ケース 2

Windows 9x をインストールしたユーザーが最初のログオン プロンプトで Esc キーを押した場合、そのマシンを使用するユーザーには次の起動時以降ログオン プロンプトが表示されません。

これは、そのマシンを使用するすべてのユーザーが Windows 9x の既定のユーザー設定に基づいて、同じレジストリとプロファイル情報を共有することを意味します。レジストリとプロファイル設定を含む、このデフォルト設定は、Windows 2000 の administrator アカウントと既定のユーザー設定に移行され、アップグレード後もデスクトップとシステムの整合性が維持されます。

ケース 3

Windows 9x をインストールしたユーザーが最初のログオン プロンプトで Esc キーを押さなかった場合、次の起動以降もログオン プロンプトが表示されます。

Esc キーを使用したログオン プロセスのスキップ

ユーザーがログオン プロセスをスキップして Windows 9x システムにアクセスした場合、ユーザーのレジストリ設定は Windows 9x の既定のユーザー設定に保存されます。

アップグレードの際、Windows 9x の既定のユーザー プロファイルは Windows 2000 の既定のプロファイルとして保持されます。Windows 9x の既定のユーザー プロファイルを Windows 2000 の既定のプロファイルとして使用しない場合は、Unattend.txt ファイルを使用してこの動作を無効にすることができます。その場合、新規インストールの場合と同様に、Windows 2000 が独自の既定のユーザー プロファイルを作成します。

Unattend.txt ファイルでは、次のように記述します。

[Win9xUpg]

MigrateDefaultUser=no

Microsoft ネットワークのクライアントとしてログオンする

複数のユーザーがユーザー名、パスワード、およびドメインを使用して Microsoft ネットワークのクライアントとしてログオンする場合、それぞれのユーザーが同じ基本設定とデスクトップ設定を使用していたり、異なる基本設定とデスクトップ設定を使用していることがあります。

同じ基本設定とデスクトップ設定を使うユーザーについては、アップグレードの際に共通のレジストリ設定が Windows 2000 の Microsoft ネットワーク クライアント アカウント用の既定のレジストリに移行されます。また、Windows 9x の %windir%\スタート メニュー プロファイルは Windows 2000 の %windir%\Profiles\All Users\スタート メニューに、同様に %windir%\デスクトップ プロファイルは %windir%\Profiles\All Users\デスクトップ に移行されます。

異なる基本設定とデスクトップ設定を使うユーザーについては、%windir%\Profiles\<ユーザー名>\スタート メニュー および %windir%\Profiles\<ユーザー名>\デスクトップ が Windows 2000 上に残ります。

Microsoft ネットワーク クライアント アカウントのレジストリは、Windows 2000 の対応するレジストリに移行されます。

ドメイン内のマシン アカウントは、セットアップ中またはアップグレードを実行する前に作成する必要があります。セットアップ中にマシン アカウントが利用できず、マシンがドメインではなくワークグループに参加した場合、以前のドメイン ユーザー設定は失われます。

ワークグループ クライアントまたは Microsoft ネットワーク以外のクライアントとしてログオンする

複数のユーザーがユーザー名、パスワードを使用して、ワークグループ クライアントまたは Microsoft ネットワーク以外のクライアントとしてログオンする場合、それぞれのユーザーが同じ基本設定とデスクトップ設定を使用していたり、異なる基本設定とデスクトップ設定を使用していることがあります。

同じ基本設定とデスクトップ設定を使うユーザーについては、アップグレードの際に共通のレジストリ設定が、Windows 2000 の対応するローカル アカウント レジストリに移行されます。さらに、Windows 9x の %windir%\スタート メニュー プロファイルが Windows 2000 の %windir%\Profiles\All Users\スタート メニュー に、同様に %windir%\デスクトップ プロファイルが %windir%\Profiles\All Users\デスクトップ に移行されます。

異なる基本設定とデスクトップ設定を使うユーザーについては、%windir%\Profiles\<ユーザー名>\スタート メニュー および %windir%\Profiles\<ユーザー名>\デスクトップ プロファイルが Windows 2000 上に残ります。

インストール ディレクトリ

アップグレードの実行中は、インストール ディレクトリを指定することはできません。Windows 2000 は、Windows 9x がインストールされていたのと同じ場所にインストールされます。たとえば、Windows 95 が c:\windows にインストールされていて、Windows 2000 にアップグレードする場合、Windows 2000 も c:\windows にインストールされます。応答ファイルの [Unattended] セクションにある TargetPath キーは無視されます。

マシン アカウント

Windows 9x とは異なり、Microsoft ネットワーク ドメインに参加する Windows 2000 コンピュータにはドメインのマシン アカウントが必要です。

Windows 2000 にアップグレードする Windows 9x コンピュータ用のマシン アカウントを作成するには 3 つの方法があります。アップグレードを実行する前に、ドメインにマシン アカウントを作成しておくのが望ましい方法です。他には、セットアップの winnt32 の段階でマシン アカウントを作成する、またはアップグレードが完了してからマシン アカウントを作成することもできます。いずれの方法も、手動または自動で実行することができます。

アップグレードを実行する前にマシン アカウントを作成する

ドメイン管理者は、Windows NT または Windows 2000 のドメイン コントローラのサーバー マネージャ管理ツールを使用して、マシン アカウントを手動で作成することができます。この方法は、コンピュータの数がごくわずかな場合を除き、膨大な時間がかかるため、通常はこの処理を自動化します。

ADSI (Active Directory Services Interface) を使用すると、データベースからコンピュータ名とドメイン名を抽出し、自動的にマシン アカウントを作成するような、スクリプトやユーティリティプログラムを作成することもできます。

アップグレード中にマシン アカウントを作成する

無人応答ファイルで参加するドメインを指定するか、ユーザーに必要な情報を伝えておくか、または runonce コマンド ラインでリソースキットのユーティリティ Netdom を使用することにより、アップグレード中にマシン アカウントを作成することができます。

これら 3 つの方法に共通する欠点は、マシン アカウントを作成する許可が与えられているアカウントのユーザー名とパスワードが必要なことです。応答ファイルを使用している場合、または Netdom ユーティリティで自動化している場合は、これらのユーザー名とパスワードが集中して保存されていることがあります。いずれの場合も、これらの詳細情報をファイルに保存すること、またはユーザーに自分のマシン アカウントを作成する許可を与えることによるセキュリティへの影響を十分考慮する必要があります。

無人応答ファイルにドメインのアカウントとパスワードを入力すると、アップグレード後、これらの情報はコンピュータに残っている応答ファイルのローカル コピーから自動的に削除されます。したがって、アップグレード用に特別なアカウントを作成し、アップグレードが完了した後にそのアカウントを削除することもできます。

セットアップ完了後にマシン アカウントを作成する

アップグレードの実行前または実行中にマシン アカウントが作成されていないと、コンピュータはドメインに参加できません。代わりにワークグループに参加することになります。このプロセスは、無人応答ファイルを使用して制御することができます。ドメインは、ワークグループの Windows 2000 コンピュータにログインしているユーザーを認証しません。ユーザーは、ローカル ユーザー アカウントで、ローカル コンピュータまたはワークステーション ドメインにより認証されます。ドメイン リソースにアクセスするには、ユーザーは自分のドメイン アカウントを使用して明示的にドメインの認証を受ける必要があります。ドメイン モデルを使用する最大のメリットの 1 つは、ローカル コンピュータ、(ユーザー ドメイン アカウントを含む) ログオン ドメイン、およびログオン ドメインを信頼するドメインにアクセスするユーザーの認証にシングル ログオンが可能なことです。この方法により、ユーザーは複数のドメインにまたがるリソースへシームレスにアクセスすることができます。

アプリケーションの移行

アプリケーションの移行は、Windows 9x から Windows 2000 へアップグレードするプロジェクトの中で、成否の鍵を握る重要な要素です。アップグレード プロセスでは、16 ビットおよび 32 ビット アプリケーションを正常に移行するメカニズムを提供しています。

通常、実行中に Windows 9x固有の関数呼び出しを行わない 16 ビット アプリケーションを移行するには、追加の作業は必要ありません。16 ビット アプリケーションが仮想デバイス ドライバ (VxD) を使用しているか、またはハードウェアを直接呼び出している場合、Windows 2000 上では正常に動作しません。そのようなアプリケーションは、Windows 2000 対応のアプリケーションと置き換える必要があります。

32 ビット アプリケーションの中には、しばしば Windows 9x と Windows 2000 で異なるレジストリに書き込みを行う (レジストリの値が異なることもあります。) ものがあるため、アップグレード後のシステムで動作させるために追加の作業が必要なものがあります。また、Windows 9x と Windows 2000 で異なるファイル (DLL、EXE など) がインストールされたり、2 つのシステムに共通するファイルでも異なるバージョンがインストールされることがあり、Windows 2000 では使用できない Windows 9x のオペレーティング システム固有の呼び出しを行うこともあります。

このような動作をするアプリケーションについては Migration Extension Interface が提供されており、ベンダはこのような動作を修正するために移行 DLL を作成することができます。

: リアル モード コンポーネントなどの互換性のないコンポーネントに依存するアプリケーションは、これらのコンポーネントが Windows 2000 では利用できないため、サポートされていません。

Migration Extension Interface

Migration Extension Interface はセットアップ API (アプリケーション プログラミング インターフェイス) の拡張機能で、これを使用すると Windows 9x に Windows 2000 をインストールした後も、カスタム アプリケーションを正常に動作させることができます。Migration Extension Interface を使用するには、移行 DLL (Migrate.dll) を作成してセットアップ プログラムが必要な変更を行えるようにする必要があります。ベンダはこれらの DLL を該当するアプリケーション用に提供する必要があります。移行 DLL の中には、Windows 2000 に含まれているものもあります。

移行 DLL の概要

移行 DLL は、Windows 9x から Windows 2000 へアップグレードするためのメカニズムを提供します。これらの DLL は、アップグレード プロセスの一環としてユーザーとアプリケーションの設定を Windows 2000 に移行します。

理論的には、このアップグレード プロセスは簡単でわかりやすいものです。ユーザー アカウントが作成され、アプリケーション レジストリ システムが Windows 2000 レジストリに移行され、すべての 32 ビット実行可能ファイルが \system から \system32 ディレクトリに移動されます。しかし、実際には、Windows 9x 固有の関数を実行するアプリケーションや、Windows 9x と Windows 2000 で異なってインストールされるアプリケーションが数多くあります。

社内で開発したカスタム アプリケーションに対応する移行 DLL を作成しなければならないことがあります。移行 DLL の作成とテストに関する詳細については、msdn online で、キーワード "移行 DLL" を使用して検索を行ってください。

展開方法

手動アップグレード

多くの場合、手動アップグレードが必要になります。たとえば、ネットワークに接続されていないスタンドアロンのコンピュータの場合や、多種のハードウェアやアプリケーションが混在するためテスト シナリオが複雑になる場合などがあります。

このような場合は、セットアップ マネージャ ウィザードを使用して、手動操作の必要な、部分的に自動化したインストールを作成できます。各デスクトップに技術者を派遣し、CD-ROM またはネットワーク共有からインストールを実行します。または、CD-ROM またはネットワーク共有からインストールを実行する方法をユーザーに教えます。

手動インストールを行った場合、デスクトップの動作に影響が生じることがあります。また、コンピュータの再構成が必要となることがあり、余計に時間のかかることがあります。セットアップ マネージャ ウィザードと応答ファイルを使用して、可能な限り多くの項目を自動化することをお勧めします。この詳細については、次に説明します。

自動アップグレード

自動展開方法

Windows 2000 Professional は、自動インストール スクリプト、ディスク イメージング (複製)、リモート インストール、および Systems Management Server (SMS) を使用した電子配布をサポートしています。

自動インストール スクリプト

適切に設計された自動アップグレードを使用すると、各デスクトップを巡回したりインストール中にユーザーから受ける質問に答えたりする手間が省けるので、時間とリソースの節約になります。自動インストール スクリプトを作成する最も簡単な方法は、Windows 2000 Professional のセットアップ マネージャを使用することです。これは総合的なウィザード形式のツールで、管理者がカスタム セットアップ スクリプトを作成する案内をします。管理者はセットアップ マネージャを使用して、セットアップを完全に自動化する応答ファイル パラメータの大部分を設定することができます。自動インストール スクリプトには Unattend.txt ファイルと、必要な場合、一意データベース ファイル (UDF) および cmdlines.txtが含まれます。これらのファイルは、手動アップグレードを実行するときに表示される通常のセットアップ用の質問に応答し、ネットワーク環境と各コンピュータの設定をカスタマイズするために使用されます。また、アップグレードの直後にインストールする必要があるアプリケーションなど、追加コンポーネントをインストールするときに、GUI モードが起動するコマンドを実行するためにも使用されます。

セットアップ マネージャ ウィザードを使用して自動化される機能の中には、ユーザー操作のレベル設定や、複数のコンピュータでの Windows 2000 のインストールを自動化するための応答ファイルの作成が含まれています。このウィザードは、事前に構成されたシステムから構成情報を応答ファイルに展開し、その応答ファイルを使用してほかのコンピュータに構成を複製することもできます。ネットワーク インストール用の配布共有ポイントを作成することもできます。このネットワーク共有インストールには、Windows 2000 インストール ファイルのほかに、追加のアプリケーション、ドライバ、セットアップ終了時に実行するコマンド、およびシステム管理者が指定するほかのカスタム コンポーネントを含めることもできます。

応答ファイルには、既定のユーザー情報やデスクトップの外観、ネットワーク アダプタ、ビデオ アダプタ、および Internet Explorer 5 の設定など、多くの設定が含まれています。

unattend.txt ファイル設定の詳細については、『Windows 2000 システム展開ガイド』を参照してください。

大規模な無人アップグレードを設定する場合、unattended.txt ファイルは 1 人のユーザーを参照するので、各ユーザーに一意の ID を追加することは困難です。ただし、一意データベース ファイル (UDF) を使用して、ソフトウェアのインストール時に GUI セクション用の応答ファイルを結合または置換することができます。UDF は ASCII ファイルなので、コマンド プロンプトで起動する Edit のようなシンプルなテキスト エディタを使用して簡単に修正することができます。UDF は、UniqueID セクション、およびファイルで指定した各 UniqueID パラメータのセクションに分割できます。UniqueID セクションは、応答ファイルに含める一意の ID、および UDF が結合または置換する応答ファイルを識別します。UniqueID パラメータ セクションは、UDF が応答ファイルに配置する特定のデータを定義します。

リスト 1」は、UDF.txt の例です。UDF.txt は、Bob1 および Bob2 という 2 つの一意の ID が付けられた UDF で、それぞれ [Userdata]、[GuiUnattended]、および [Network] という 3 つのセクションが含まれています。これらのセクションは、Unattended.txt ファイルの対応するセクションを結合または置換します。最初に、UDF.txt は一意の ID および置換ファイルの渡し先である unattended.txt のセクションを定義します。次に、UDF.txt は置換データを渡します。UDF.txt の各セクションは、一意の ID で始まり、コロンと UDF.txt のセクションのデータが参照する unattended.txt セクション名が続きます。UDF は、これらのパラメータが unattended.txt ファイルにないので、unattended.txt データを置換せずにパラメータを Unattended.txt に結合します。パラメータが既に unattended.txt ファイルに存在する場合は、「リスト 2」に示すように、UDF パラメータが Unattended.Txt の既存のパラメータを置き換えます。

リスト 1: UDF.txt

[UniqueIDs]

Bob1 = Userdata,GuiUnattended,Network
Bob2 = Userdata,GuiUnattended,Network
[Bob1:UserData]
FullName = "Bob Smith"
ComputerName = "Clyde1"
[Bob1:GuiUnattended]
TimeZone = " (GMT-06:00) Central Time (US & Canada)"
[Bob1:Network]
JoinDomain = "BobsDomain1"
[Bob2:UserData]
FullName = "Ian Smith"
ComputerName = "Clyde2"
[Bob2:GuiUnattended]
TimeZone = "(GMT-04:00) Pacific Time (US & Canada)"
[Bob2:Network]
JoinDomain = "BobsDomain2"

リスト 2: Standard unattended.txt Parameters

[Unattended]

OemPreinstall = yes
OEMSkipEULA = Yes
Method = "express"
NoWaitAfterTextMode = 1
NoWaitAfterGUIMode = 1
FileSystem = ConvertNTFS
ExtendOEMPartition = 1
ConfirmHardware = no
NtUpgrade = no
TargetPath = * ;defaults to C:\winnt
OverwriteOemFilesOnUpgrade = no
KeyboardLayout = "US-International"
[GuiUnattended]
OemBlankAdminPassword = 1
[UserData]
OrgName = "Smith Consultants"
ProductID = "111-111111"
[Network]
DetectAdapters = DetectAdaptersSection
InstallProtocols = ProtocolsSection

ここに示した UDF ファイルと unattended.txt ファイルを結合するには、コマンド ライン スイッチが必要です。以下のスイッチは、winnt.exe または winnt32.exe で有効です。

  • /u は応答ファイル名を指定します。

  • /s はソースを指定します。

  • /udf は UniqueID および UDF ファイルを指定します。

次の例は、UDF と unattended.txt ファイルを使用して無人インストールを開始する方法を示しています。

winnt32 /u:unattend.txt /s:h:\ /udf:Bob1,h:\udf.txt

ここで示されているように、UDF ファイルには個人を識別するパラメータがすべて含まれており、unattended.txt ファイルにはユーザー全員に共通するステートメントが収められています。UDF ファイルが指定されない場合は、セットアップのプロンプト画面に $Unique$.udb ファイルが含まれているディスクを挿入するよう表示されます。

自動展開の詳細については、Windows 2000 Professional CD-ROM のsupport\tools ディレクトリにある deploy.cab ファイルに含まれている unattend.doc および deptool.chm ファイルを参照してください。このファイルには、オペレーティング システムの無人アップグレードに必要なすべてのパラメータとオプションが含まれています。

まとめ

Windows 2000 Professional は、最も先進的な Windows オペレーティング システムです。Windows 2000 Professional はスピード、信頼性、およびセキュリティを求めるビジネス ユーザーのニーズに応えるよう設計されています。Windows NT コード ベースを元に構築されており、さまざまなビジネス シーンに望ましいデスクトップ環境とモバイル環境を提供します。

ビジネス環境で Windows 9x から Windows 2000 Professional へアップグレードすると、信頼性、安定性、管理性、および操作性の向上と、モバイル ユーザーと新しいデバイスへのサポート強化によるメリットを活用することができます。

関連リンク

Windows 2000 Server の最新情報については、Microsoft の Web サイト (http://www.microsoft.com/japan/windows2000/) を参照してください。

Windows 2000 Web サイト リソース

通信サービスとネットワーキング サービス

Windows 2000 システム展開ガイド

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