XACT サウンドおよびウェーブ バリエーション

Microsoft Cross-Platform Audio Creation Tool (XACT) を使用してキューやトラックを作成するときに、開発者は再生されるサウンドやウェーブにバリエーションを加えることがあります。バリエーションを使用すると、キューに複数のサウンドを割り当てたり、トラックに複数のウェーブを割り当てたりして、キューやトラックの再生時にサウンドやウェーブがランダムに再生されるようにすることができます。いずれの場合も重み付けと再生オプションを利用して、サウンドやウェーブがランダムに選択される方法を変更できます。

バリエーションを使用するには、XACT プロジェクトに少なくとも 1 つのサウンド バンクと 1 つのウェーブ バンクが作成されている必要があります。サウンド バンクとウェーブ バンクを作成する方法については、XACT サウンド バンクの構築 および XACT ウェーブ バンクの構築 を参照してください。

XACT のバリエーションには次の 2 種類があります。サウンド バリエーションはキューに関連付けられ、キューがトリガーされたときに再生されるサウンドに変化をつけます。ウェーブ バリエーションはトラックに関連付けられ、トラックが再生されるときに再生されるウェーブに変化をつけます。

  • ウエーブ バリエーション
  • サウンド バリエーション
  • ランダムな重み付け
  • バリエーション再生リスト

ウエーブ バリエーション

ウェーブ バリエーションはサウンド バリエーションより単純です。トラックのバリエーションを作成するには、複数のウェーブを含むウェーブ バンクと、サウンド バンクが必要です。

ウェーブ バリエーションを作成するには

  1. [ウェーブ バンク](Wave Bank) ウィンドウでウェーブをクリックし、[サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウにドラッグします。

    図形 1.  新しいサウンドを作成する前の [ウェーブ バンク](Wave Bank) ウィンドウと [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウ

    Bb172312.xact_wggt_variations1(ja-jp,VS.85).jpg

    ウェーブに対応する新しいサウンドが作成され、再生イベントがサウンドに自動的に追加されます。

  2. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウで新しいサウンドを選択します。

    図形 2.  新たに作成したサウンドを選択した後の [ウェーブ バンク](Wave Bank) ウィンドウと [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウ

    Bb172312.xact_wggt_variations2(ja-jp,VS.85).jpg

    再生イベントの詳細が、[サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウのトラック フレームに表示されます。

  3. [ウェーブ バンク](Wave Bank) ウィンドウから、トラック フレームの [ウェーブ再生](Play Wave) イベントに別のウェーブをドラッグします。

    図形 3.  2 番目のウェーブを追加した後の [ウェーブ バンク](Wave Bank) ウィンドウと [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウ

    Bb172312.xact_wggt_variations3(ja-jp,VS.85).jpg

    新しいウェーブが先ほどのウェーブの下に表示されます。トラックの再生時に両方のウェーブが再生される確率を示すパーセント値がウェーブの横に表示されます。この例では、各ウェーブの再生される確率は 50 パーセントです。

手順 3 を繰り返して、トラックに他のウェーブを追加します。ウェーブを追加するたびに、各ウェーブが再生される確率は減少していきます。ただし、特定のウェーブにより大きな重みを付けた場合はこの確率が変化します。詳細については、「ランダムな重み付け」を参照してください。

ウェーブ バリエーションの既定の動作では、ウェーブが即時リピートなしでランダムに再生されます。つまり、ウェーブがランダムに選択された場合でも、同じウェーブが連続して再生されることはありません。ウェーブ バリエーションのその他の再生方法については、「バリエーション再生リスト」を参照してください。

サウンド バリエーション

サウンド バリエーションは複数のサウンドを 1 つのキューに関連付けます。それに加えて、サウンドのトラックにウェーブ バリエーションを持たせることもできるため、バリエーションの幅がいっそう広がります。

サウンド バリエーションを作成するには、サウンド バンク内に複数のサウンドが必要です。

    パフォーマンス上の理由から、キューに関連付けるサウンド バリエーションの数は 100 を超えないようにする必要があります。

サウンド バリエーションを作成するには

  1. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウを選択します。[サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの左下のペインを右クリックし、[新しいキュー](New Cue) を選択します。

    Bb172312.xact_wggt_variations1a(ja-jp,VS.85).jpg

    新しいキューが作成され、[サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの左下のペインに表示されます。

  2. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの左上のペインから新しいキューにサウンドをドラッグします。

    Bb172312.xact_wggt_variations2a(ja-jp,VS.85).jpg

    [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの右下のペインにサウンドが追加されます。

  3. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの左上のペインからキューに別のサウンドをドラッグします。

    Bb172312.xact_wggt_variations3a(ja-jp,VS.85).jpg

    [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの右下ペインの最初のサウンドの下に、2 番目のサウンドが表示されます。キューがトリガーされると、このいずれかのサウンドがランダムに再生されます。

手順 3 を繰り返して、キューに他のサウンドを追加します。サウンドを追加するたびに、各サウンドが再生される確率は減少していきます。ただし、特定のサウンドにより大きな重みを付けた場合はこの確率が変化します。詳細については、「ランダムな重み付け」を参照してください。

サウンド バリエーションの既定の動作では、サウンドが即時リピートなしでランダムに再生されます。つまり、サウンドがランダムに選択された場合でも、同じサウンドが連続して再生されることはありません。サウンド バリエーションのその他の再生方法については、「バリエーション再生リスト」を参照してください。

ランダムな重み付け

サウンド バリエーションとウェーブ バリエーションにはそれぞれ、初期の重みが適用されます。この重みにより、すべてのバリエーションが同じ確率でランダムに選択されます。サウンドまたはウェーブが再生される確率を変更するには、その重みを変更します。

重みの設定方法は、ウェーブとサウンドで異なります。以下のセクションで、それぞれの重み付けの方法を説明します。

ウェーブの重み付け

ウェーブでは、トラックの他のウェーブとの対比でそのウェーブが選択される確率を表す 1 つの数字を使用して重みを付けます。

ここでは、ウェーブ バリエーションを使用するサウンドが含まれるサウンド バンクが既に作成されているという前提で説明を行います。サウンド バンクを準備する方法については、「ウェーブ バリエーション」を参照してください。

ウェーブの重みを変更するには

  1. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウを選択します。

  2. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの左上のペインで、ウェーブ バリエーションを使用するトラックが含まれるサウンドをクリックします。トラックと、そのトラックに含まれるウェーブが [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの右上のペインに表示されます。

  3. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの右上のペインで、重みを付けるウェーブをクリックします。XACT ウィンドウの左下にプロパティ グリッドが表示されます。

  4. Weight プロパティを編集します。Weight テキスト ボックスを選択して 0 ~ 255 の範囲の数字を入力するか、スライダーを動かして、プロパティの値を変更します。左側のテキスト ボックスに、数字に対応するパーセント値が表示されます。この値を変更することで、重みをパーセンテージ 0 ~ 100 として設定することもできます。

    Bb172312.xact_wggt_variations1c(ja-jp,VS.85).jpg

    トラック内のウェーブに新しいパーセント値が表示されます。このウェーブは、ここに示された新しい確率で、トラックの再生時にランダムに選択されて再生されるようになります。

サウンドに関連付けられたウェーブの重みを変更するには

  1. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウを選択します。

  2. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの左上のペインで、ウェーブ バリエーションを使用するトラックが含まれるサウンドをクリックします。トラックと、そのトラックに含まれるウェーブが [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの右上のペインに表示されます。

  3. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの右上のペインで、重みを調整する [ウェーブ再生](Play Wave) イベントをクリックします。XACT ウィンドウの左下にプロパティ グリッドが表示されます。

  4. [ウェーブ再生](Play Wave) プロパティの [バリエーション再生リスト](Variation Playlist) 部分に、イベントで再生できるウェーブが一覧表示されます。

    Bb172312.xact_wggt_variations_play(ja-jp,VS.85).jpg

    一覧表示されたウェーブごとに、Weight プロパティを編集します。テキスト ボックスを選択して 0 ~ 255 の範囲の数字を入力するか、スライダーを動かして、プロパティの値を変更します。右側のテキスト ボックスに、数字に対応するパーセント値が表示されます。この値を変更することで、重みをパーセンテージ 0 ~ 100 として設定することもできます。

    バリエーション再生リストの他のウェーブの確率のパーセンテージは、ウェーブの重みが変更されると自動的に調整されます。

サウンドの重み付け

サウンドでは、キューの他のサウンドとの対比でそのサウンドが選択される最小と最大の確率を表す 2 つの数字を使用して重みを付けます。

ここでは、サウンド バリエーションを使用するキューが含まれるサウンド バンクが既に作成されているという前提で説明を行います。サウンド バリエーションを作成する方法については、「サウンド バリエーション」を参照してください。

サウンドの重みを変更するには

  1. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウを選択します。

  2. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの左下のペインで、サウンド バリエーションを使用するキュー (つまり、複数のサウンドが関連付けられているキュー) をクリックします。キューに関連付けられているサウンドが、[サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの右下のペインに表示されます。

  3. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの右下のペインで、重みを付けるサウンドをクリックします。XACT ウィンドウの左下にプロパティ グリッドが表示されます。

  4. Weight プロパティを編集します。Weight プロパティ テキスト ボックスを選択して 0 ~ 255 の範囲の数字を入力するか、スライダーを動かして、プロパティの値を変更します。左側のテキスト ボックスに、数字に対応するパーセント値が表示されます。この値を変更することで、重みをパーセンテージ 0 ~ 100 として設定することもできます。

    Bb172312.xact_wggt_variations1d(ja-jp,VS.85).jpg

キューに関連付けられたサウンドの重みを変更するには

  1. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウを選択します。

  2. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの左下のペインで、サウンド バリエーションを使用するキュー (つまり、複数のサウンドが関連付けられているキュー) をクリックします。キューに関連付けられているサウンドが、[サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの右下のペインに表示されます。

  3. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの右上のペインで、重みを調整する [ウェーブ再生](Play Wave) イベントをクリックします。XACT ウィンドウの左下にプロパティ グリッドが表示されます。

  4. キュー プロパティの [バリエーション](Variation) 部分にキューで再生できるサウンドが一覧表示されます。

    Bb172312.xact_wggt_variations_cue(ja-jp,VS.85).jpg

    一覧表示されたサウンドごとに、, Weight プロパティを編集します。テキスト ボックスを選択して 0 ~ 255 の範囲の数字を入力するか、スライダーを動かして、プロパティの値を変更します。右側のテキスト ボックスに、数字に対応するパーセント値が表示されます。この値を変更することで、重みをパーセンテージ 0 ~ 100 として設定することもできます。

    バリエーション再生リストの他のサウンドの確率のパーセンテージは、サウンドの重みが変更されると自動的に調整されます。

バリエーション再生リスト

サウンド バリエーションまたはウェーブ バリエーションの既定の動作では、サウンドまたはウェーブが即時リピートなしでランダムに再生されます。つまり、サウンドまたはウェーブがランダムに選択された場合でも、同じサウンドまたはウェーブが連続して再生されることはありません。ただし、他のプロパティを適用することにより、バリエーション内でサウンドまたはウェーブが選択される方法を変更できます。次の表に、これらのプロパティを示します。

プロパティ値 説明
ランダム、即時リピートなし 既定の動作です。アイテムはランダムに選択されますが、同じアイテムが連続して再生されることはありません。
ランダム アイテムはランダムに選択され、直前に選択されたアイテムは追跡されません。同じアイテムが連続して再生される場合があります。
順序つき アイテムは重みによって定義された順序で再生されます。重みが最も大きいアイテムが最初に再生され、最も小さいアイテムが最後に再生されます。
ランダムから順序つき ランダムな開始位置から、すべてのアイテムが重み順に再生されます。
シャッフル アイテムはランダムに選択されます。リスト内のすべてのアイテムが再生されるまで、同じアイテムが繰り返されることはありません。

この動作を設定するプロパティにアクセスする方法は、ウェーブ バリエーションとサウンド バリエーションで異なります。以下にそれぞれの方法を説明します。

ウェーブ バリエーションの動作の変更

ここでは、ウェーブ バリエーションを使用するサウンドが含まれるサウンド バンクが既に作成されているという前提で説明を行います。ウェーブ バリエーションを作成する方法については、「ウェーブ バリエーション」を参照してください。

ウェーブ バリエーションの動作を変更するには

  1. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウを選択します。

  2. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの左上のペインで、ウェーブ バリエーションを使用するトラックが含まれるサウンドをクリックします。トラックと、そのトラックに含まれるウェーブが、右上のペインに表示されます。

  3. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの右上のペインで、変更するウェーブのリストのウェーブ再生イベントをクリックします。XACT ウィンドウの左下にプロパティ グリッドが表示されます。

  4. [バリエーション再生リストのプロパティ](Variation Playlist Properties) の下で、PlayListType リスト ボックスから適切なプロパティを選択します。

サウンド バリエーションの動作の変更

ここでは、サウンド バリエーションを使用するキューが含まれるサウンド バンクが既に作成されているという前提で説明を行います。サウンド バリエーションを作成する方法については、「サウンド バリエーション」を参照してください。

サウンド バリエーションの動作を変更するには

  1. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウを選択します。

  2. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの左下のペインで、サウンド バリエーションを含むキューをクリックします。XACT ウィンドウの左下にプロパティ グリッドが表示されます。

  3. [バリエーション再生リストのプロパティ](Variation Playlist Properties) の下で、PlayListType リスト ボックスから適切なプロパティを選択します。

順序付き再生リストの使用

順序つき再生リストおよびランダムから順序つきの再生リストは、他の種類の再生リストとは動作が異なります。サウンドはランダムに再生されませんが、ドラッグ アンド ドロップで定義した順序で再生されます。

ここでは、サウンド バリエーションを使用するキューが含まれるサウンド バンクの準備ができているという前提で説明を行います。サウンド バリエーションを作成する方法については、「サウンド バリエーション」を参照してください。

順序つき再生リストを使用して、再生リストの順序を定義するには

  1. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウを選択します。

  2. [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウの左下のペインで、サウンド バリエーションを使用しているキュー (つまり、複数のサウンドが関連付けられているキュー) をクリックします。XACT ウィンドウの左下にあるプロパティ グリッドに、選択したキューのプロパティが表示されます。

  3. プロパティ グリッドの [バリエーション再生リストのプロパティ](Variation Playlist Properties) の下で、PlayListType プロパティを編集します。再生リストの種類を、Ordered または OrderedFromRandom から選択します。

  4. サウンド バンクのキューのサウンド一覧は、[順序](Order) という列が表示されるように変更されます。これにより、キューの再生時にサウンドが再生される順序が示されます。

    図形 4.  順序が示されている [サウンド バンク](Sound Bank) ウィンドウのキューおよびサウンド

    Bb172312.xact_variations_ordered(ja-jp,VS.85).jpg

  5. 一覧での順序を変更するには、キューのサウンド一覧でサウンドを別のサウンドの上または下にドラッグ アンド ドロップします。

関連項目

XACT サウンド バンクの構築, XACT ウェーブ バンクの構築