ASP.NET の side-by-side 実行の概要

.NET Framework では、共通言語ランタイムの複数のバージョンを同じコンピュータにインストールできます。既定では、既にランタイムがインストールされているコンピュータに新しいバージョンの .NET Framework をインストールすると、すべての ASP.NET アプリケーションはこのバージョンの .NET Framework を使用するように自動的に更新されます。例外は、互換性のないバージョンのランタイムにバインドされているアプリケーションや、ランタイムの以降のバージョンにバインドされているアプリケーションです (通常、互換性は .NET Framework のバージョン番号で決まります。一般にメジャー バージョンが異なると互換性がありません。これに対して、マイナー バージョンが更新されている場合やビルド番号のバージョンが異なる場合は互換性があります)。.NET Framework の新しいバージョンは下位互換性を持つようにデザインされていますが、ランタイムの特定のバージョンを使用するように ASP.NET アプリケーションを構成することもあります。

ASP.NET アプリケーションのスクリプト マップ

.NET Framework の複数のバージョンが同じコンピュータにインストールされているとき、それぞれのインストールには独自のバージョンの ASP.NET ISAPI 拡張機能 (Aspnet_isapi.dll) が含まれています。ASP.NET ISAPI 拡張機能によって、アプリケーションで使用する .NET Framework のバージョンが決まります。任意の ASP.NET ISAPI 拡張機能を使用するように ASP.NET アプリケーションを構成できます。ASP.NET アプリケーションで使用する ASP.NET ISAPI 拡張機能を指定するために、アプリケーション用のインターネット インフォメーション サービス (IIS: Internet Information Service) にスクリプト マップ (アプリケーション マップと呼ばれることもある) が登録されます。

スクリプト マップは、.aspx などのファイル名拡張子と GET や POST などの HTTP 動詞を適切な ISAPI 拡張機能に関連付けます。たとえば、IIS が .aspx ファイルの要求を受け取ると、アプリケーションのスクリプト マップは、その .aspx ファイルを ASP.NET ISAPI 拡張機能の適切なバージョンに転送するように IIS に指示します。通常、各 ASP.NET アプリケーションのスクリプト マップはインターネット インフォメーション サービスの管理コンソールで設定され、アプリケーションに直接適用されるか、または親アプリケーションから継承されます。既定では、.NET Framework をインストールするときに、既存のすべての ASP.NET アプリケーションのスクリプト マップは、アプリケーションが以降のバージョンまたは互換性のないバージョンを使用していない限り、新しい ASP.NET ISAPI 拡張機能を使用するように自動的に更新されます。

ASP.NET アプリケーションのスクリプト マップの再構成を簡単にするために、.NET Framework の各インストールには、対応する独自のバージョンの ASP.NET IIS 登録ツール (Aspnet_regiis.exe) が含まれています。既定では、このツールは次のディレクトリにインストールされます。

%system root%\Microsoft.NET\Framework\versionNumber

このツールを使用して、そのツールと一致するバージョンの ASP.NET ISAPI 拡張機能に ASP.NET アプリケーションを割り当てることができます。

Noteメモ :

Aspnet_regiis.exe は .NET Framework の特定のバージョンに関連付けられているため、ASP.NET アプリケーションのスクリプト マップを再構成する際に、Aspnet_regiis.exe の適切なバージョンを使用する必要があります。Aspnet_regiis.exe ツールは、そのツールと一致するバージョンの ASP.NET ISAPI 拡張機能に対してのみ、ASP.NET アプリケーションのスクリプト マップを再構成します。

また、このツールは、インストールされている ASP.NET のすべてのバージョンの状態の表示、ASP.NET の対応するバージョンの登録、クライアント スクリプト ディレクトリの作成、および他の構成操作の実行にも使用できます。

スクリプト マップおよび IIS 構成の詳細については、「Setting Application Mappings in IIS 6.0 (IIS 6.0)」を参照してください。ASP.NET アプリケーションのスクリプト マップを更新する方法の詳細については、「ASP.NET IIS 登録ツール (Aspnet_regiis.exe)」を参照してください。

ASP.NET パフォーマンス カウンタ

パフォーマンス カウンタを使用すると、Windows パフォーマンス コンソールから ASP.NET の動作を監視できます。ASP.NET アプリケーションおよび ASP.NET 全体を監視するためのパフォーマンス カウンタ オブジェクトのセットは、.NET Framework のバージョンごとに異なるものがインストールされます。これらのオブジェクトは、それぞれ、名前付け規則 "ASP.NET Apps v.X.X.XXXX.X" と "ASP.NET v.X.X.XXXX.X" を使用します。v.X.X.XXXX.X は ASP.NET のバージョンを示します。

また、.NET Framework は ASP.NET システムと、インストールされているバージョンの ASP.NET に適用される ASP.NET アプリケーション パフォーマンス カウンタもインストールします。これらのカウンタは、ASP.NET のすべてのバージョンに対して有効ですが、インストールされている最新のバージョンに常に対応します。ASP.NET の最新バージョンがアンインストールされた場合、これらのカウンタは残っている最新バージョンの ASP.NET に合わせて関連付けのやり直しを自動的に実行します。

ASP.NET 状態サービス

ASP.NET 状態サービスを使用して、コンピュータのセッション状態を管理できます。同じコンピュータにインストールされている ASP.NET のすべてのバージョンは、ASP.NET の最新バージョンと共にインストールされた状態サービスを共有します。このバージョンは、aspnet_state というサービス名で登録されます。したがって、ASP.NET のこのバージョンがアンインストールされると、コンピュータに残っているサービスの最新のバージョンが登録され、代わりに使用されます。ASP.NET 状態サービスの詳細については、「セッション状態モード」を参照してください。

ASP.NET SQL 状態サーバー

ASP.NET SQL 状態サーバーは、コンピュータ上の SQL のセッション状態の管理に使用します。同じコンピュータにインストールされている ASP.NET のすべてのバージョンは、ASP.NET の最新バージョンと共にインストールされた SQL 状態サーバーを共有します。ASP.NET のこのバージョンがアンインストールされると、コンピュータに残っている最新のバージョンが登録され、代わりに使用されます。ASP.NET SQL 状態サーバーの詳細については、「セッション状態モード」を参照してください。

参照

処理手順

方法 : ASP.NET アプリケーションを特定の ASP.NET バージョン用に構成する

関連項目

ASP.NET IIS 登録ツール (Aspnet_regiis.exe)

概念

ASP.NET の複数バージョンの管理
.NET Framework アセンブリ統合

その他の技術情報

ASP.NET での side-by-side 実行のサポート