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Microsoft Dynamics CRM 展開のアップグレード

 

対象: Dynamics CRM 2015

Microsoft Dynamics CRM 2015 では、前の場-ジョンから著しく進歩した機能が提供されています。 既存の機能、ソリューションや拡張機能などは、アップグレードした結果から影響を受ける場合があります。 このトピックでは、アップグレードの結果として発生する可能性がある問題を確定して、ダウンタイムを最小限に抑えて最良の処理を提供します。

このトピックの内容

アップグレード処理

アップグレードの準備

テスト環境を確立する

テスト環境をアップグレードして検証する

正常にアップグレードまたは移行できない場合の対処

アップグレード処理

Microsoft Dynamics CRM Server のアップグレード プロセスは、4 つの主な過程に分けることができます。

  1. アップグレードの準備。

  2. テスト環境を確立する。

  3. テスト環境をアップグレードして検証する。

  4. 運用サイトをアップグレードして検証する。

アップグレード プロセスの過程には 2 つの別々の環境が必要です。

  • テスト環境。 テスト環境は、アップグレードの検証に使用する Microsoft Dynamics CRM の制限付き展開です。 テスト環境では、できるだけ運用環境に近いものにする必要があり、ハードウェア (プロセッサ、ディスク、メモリなど)、テクノロジ、プラットフォーム(Windows Server、SQL Server など)、トポロジ (1 サーバー、2 サーバー、5 サーバーなど)、およびデータ (Microsoft Dynamics CRM のデータベース) で類似点の多い環境が必要です。 テストの適切な環境を作成するには、Windows ネットワーク負荷分散管理 (NLB) を設定するか、Microsoft Dynamics CRM のコンポーネントやアプリケーション (E-mail Router、ワークフロー、カスタマイズ、コネクタなど) をクラスタリング、インストール、および構成し、展開に特定な追加のアドオン、プラグイン、ソリューションをインストールする必要があります。Windows ServerHyper-V のような仮想化テクノロジを使用して、全体または一部が実行および構成されるテスト環境を構築することで、このプロセスが大幅に容易になる場合があります。 このテスト環境では、管理者がアップグレードを実行し、パフォーマンスを最適化し、アップグレード コードを採用し、システムが正常に実行するかをテストします。

  • 運用展開。 運用展開とは、組織内のすべての Microsoft Dynamics CRM ユーザーが使用する Microsoft Dynamics CRM の展開です。 運用展開では、アップグレードが実行され、管理者がアップグレードのパフォーマンスを最適化する戦略を使用できます。 アップグレードの管理者は、アップグレードされたコードを、開発環境やテスト環境から運用環境へ移動できます。 管理者は運用環境をオンラインにし、システムが正常に実行されているか検証して、Outlook 用 Dynamics CRM をユーザーに必要に応じて展開します。

アップグレードの準備

十分な人員、リソース、および時間をアップグレードにあてられることを確認してください。 この段階で、アップグレードに関わる関係者の特定、アップグレードの検証に使用するテスト展開用のハードウェアとソフトウェアの指定、発生する可能性のあるエラーの検討を行う必要があります。

また、アップグレードの適合性について、現在の運用環境を評価する必要があります。 これは Microsoft Dynamics CRM 2015 のドキュメントを参照する必要があります。

重要

Microsoft Dynamics CRM Server 2015 にアップグレードできるのは Microsoft Dynamics CRM 2013 Service Pack 1 (SP1) のみです。

さらに、運用環境のアップグレードを進めるかどうかを決定するために使用する判定基準を決定する必要があります。

ヒント

Microsoft Dynamics パートナーは、リスクの軽減と、Microsoft Dynamics ソリューションの展開と構成に関連するタスクの実施に Microsoft Dynamics Sure Step (英語) を役立てることができます。 トレーニング、手法、ツールのダウンロードなど、Microsoft Dynamics Sure Step (英語) の詳細については、PartnerSource Web サイトを参照してください。

アップグレード戦略の決定

アップグレード戦略を決定するには、以下の質問に答える必要があります。

  • 何をアップグレードしますか。Microsoft Dynamics CRM サーバーのアップグレードには Windows Server または SQL Server などのプラットフォーム コンポーネントのアップグレードを必要とするものがあります。Outlook 用 Dynamics CRM と E-mail Router などの他の Microsoft Dynamics CRM アプリケーションのアップグレードも必要です。

  • いつか行うか。 アップグレードのスケジュールはいつ行いますか?

  • どのように行うか。 たとえば、インプレースでアップグレードしますか、それとも、アップグレードの前に新しいハードウェアに移行しますか? これに伴い、アップグレードをどのように展開するかも検討する必要があります。 アップグレードの検証はだれが担当しますか? パイロットまたは階的なロールアウトがありますか。 テスト環境でのアップグレードの結果に基づいて、戦略の変更または縮小を行い、正常に機能するように修正作業を行う必要がある場合があります。 たとえば、アップグレードできないワークフローがある場合、それらのワークフローを再作成してテストすることを計画する必要があります。

エラー、バックアップ、および復旧の計画

カスタム レポート、ワークフロー、カスタム JavaScript、またはサード パーティの拡張機能などの一部のコンポーネントが原因で、アップグレードが失敗したり、正しく機能しない場合があります。 そういった問題を文書化し、それぞれの件について代替計画を用意する必要があります。 また、カスタム JavaScript およびサード パーティの拡張はアップグレードに先立って削除する必要があります。

そのため、システムをすばやく完全にロールバックできるように準備しておく必要があります。 どのような状況から回復する場合でも、必要なすべての情報をバックアップし、コピーをオフサイトに保存しておく必要があります。 障害が発生した場合に最大限のデータを回復できるように、すべての Microsoft Dynamics CRM コンポーネントとサービスで、バックアップ計画を作成してリハーサルを行う必要があります。 障害回復の方法を習得するには、さまざまな異なるシナリオを検証し、それぞれの状況での復元方法を学習する必要があります。

Microsoft Dynamics CRM データのバックアップと復元方法の詳細は、Microsoft Dynamics CRM データ保護および回復を参照してください。

適切な計画と必須ドキュメントの確認

製品のドキュメントは、アップグレードを行う前にどの程度の準備が必要かを把握するうえで役立ちます。 確認する必要があるドキュメントは、以下のとおりです。

最新のテクノロジが導入されていることの確認

最善の結果を得るために、Microsoft Dynamics CRM だけでなく関連する他のテクノロジ (Windows Server、SQL Server、Exchange Server など) についても、最新のサービス パックおよび更新プログラムのロールアップが適用されていることを確認します。

アップグレード計画とチェックリストの決定

この段階で、アップグレードされた環境の全体の機能と運用に向けての準備状況を評価する方法を決定します。 これらのタスクの目的は、ユーザーによる利用の開始にあたって、運用の準備ができているか、運用システムは適したものであるかを検証することです。

運用環境のアップグレード (稼働開始日) に向けた準備に必要なタスクのチェックリストとして、以下の手順を使用します。

以下の基本的なテストを実行して、アップグレード後にシステムが機能していることを確認します。

  • セットアップ ログ ファイルで、アップグレード中に発生した可能性がある問題を確認します。 既定では、セットアップによって、これらのファイルがセットアップを実行しているコンピューターの C:\Documents and Settings\<username>\Application Data\Microsoft\MSCRM\Logs フォルダーに作成されます。<username> は、セットアップを実行するユーザーのアカウント名です。

  • イベント ビューアのログ ファイルを確認します。Microsoft Dynamics CRM Server イベントは、イベント ビューアの MSCRM で始まるソースに記録されています。

  • 展開マネージャーを起動して、すべての Microsoft Dynamics CRM のサーバーが有効になっていること、またアップグレードした組織が有効になっていることを確認します。 移行したのか一括アップグレードを実行したのかによって、追加の 組織は、展開マネージャーの組織のインポート ウィザードまたは組織のアップグレード ウィザードを使用してアップグレードされます。

  • Internet Explorer を起動して、Microsoft Dynamics CRM のサーバーに接続します。 上記のタスクを実行した後、ユーザー受け入れテストを実行します。 以下は、一般的な組織でテストを行う機能の一例です:

    • レポートを、以前のバージョンのものと比較して検証します。

    • Microsoft Dynamics CRM でレポートを印刷します。

    • Microsoft Dynamics CRM システムで関連データを検証します (以下のエンティティのレコードの作成、編集、削除、および登録/変換など)。

      • 取引先企業

      • 取引先担当者

      • 営業案件

      • サポート案件

      • 活動

      • ユーザー定義エンティティ

    • 以前のワークフローに対するワークフローを確認します。 構成またはデータ モデルの変更の影響を受けるワークフロー アイテムを更新します。

    • すべてのカスタム コード、JavaScript、およびカスタム レポートをテストします (該当する場合)。

    • すべての統合プロセスをテストします (該当する場合)。

    • サード パーティのアプリケーションや拡張機能をテストします。

テスト環境を確立する

マイクロソフトでは運用環境をアップグレードする前に、1 回以上のテスト アップグレードを行うように計画することを強くお勧めします。 アップグレードのテストを実行した後、運用環境で通常使用する操作を実行することによって運用構成を確認します。 たとえば、サービスの組織の場合、サポート案件に関連する電子メール活動を作成する場合は、既存のサポート案件からのテキストを含むテスト電子メールを送信して、機能を検証します。 テスト環境で Microsoft Dynamics CRM の使用時にエラーが表示された場合は、運用環境をアップグレードする前に、それらを解決してください。

ヒント

Windows ServerHyper-V などの仮想マシンのソフトウェアで、テスト環境を構築するための展開時間を短縮し、運用展開をエミュレートするために必要なハードウェアのリソースの量を制限できます。

どのコンピューターを使用するか、仮想マシンのテクノロジを使用する場合は、どの仮想マシンを使用するかを決定します。

SQL Server の新しいインスタンスを使用した移行

この更新オプションにより、新しい Microsoft Dynamics CRM システムが展開されると同時に、前のバージョンの展開が管理できるようになるので、この更新オプションをお勧めします。 これにより、新しい展開をインストールすると組織がインポートされ、問題発生時に の運用展開に影響を及ぼさずに検証されるのでアプリケーションのダウンタイムが軽減されます。

重要

[SQL Server の新しいインスタンスを使用した移行] のオプションにより、展開のアップグレードによる問題の発生時に可能性のあるダウンタイムが最小限になります。

  1. SQL Serverの新しいインスタンスを確立します。 既存のインスタンスを使用できますが、前のバージョンの構成データベースがある場所のインスタンスと同じインスタンスは使用できません。

  2. Microsoft Dynamics CRM Server がまだインストールされていない新しい 64 ビット コンピューターで Microsoft Dynamics CRM Server セットアップ を実行します。

  3. Microsoft Dynamics CRM 2013 の運用構成データベースと組織のデータベースをバックアップし、それらを SQL Server の新しいインスタンスに復元します。

  4. 新しくインストールしたシステムに 1 つ または複数の組織をインポートするために 組織のインポート ウィザード を実行します。 インポート中に、 組織のデータベースは新しいバージョンにアップグレードされます。

  5. 追加の組織がある場合や、移行に新しい SQL Server を使用する場合は、組織のデータベースを新しいシステムにインポートする必要があります。 これを行うには、Microsoft Dynamics CRM Server 2015 がインストールされて実行されているコンピューターで Microsoft Dynamics CRM 展開マネージャー を起動し、[組織] を右クリックして [組織のインポート] をクリックします。次に、新しく復元した OrganizationName_MSCRM データベースを選択します。

  6. .NET アセンブリまたは構成ファイルに対してカスタマイズが行われた場合は、カスタマイズされたそれらのファイルを新しいシステムにコピーする必要があります。 規定では、これらのファイルは既存の Microsoft Dynamics CRM 2013 サーバーの <drive>:\Program Files\Microsoft Dynamics CRM\Server\bin\assembly\ フォルダーにあります。

テスト環境をアップグレードして検証する

新しくアップグレードされた Microsoft Dynamics CRM 環境の安定性と操作性を確認します。 これには、一部のユーザーを Microsoft Dynamics CRM を使用して接続し、システムであらゆる日常業務を実行してもらうことが含まれます。 ワークフローとレポートが正しく機能することを確認し、アップグレードによる新機能が同様に機能していることをテストします。

承認基準とチェックリストの実行

新しい展開で前述のタスクを実行します。 テストに基づいて運用環境へのアップグレードを実装するかどうかを決定します。

ユーザー受け入れテスト

テスト用のチェックリスト項目をすべて完了し、タスクの質が許容範囲内になった場合は、ユーザー受け入れテストを開始できます。 このテストは一部のユーザーを対象にしており、通常はシステムに対して日常業務を遂行する主要なユーザーが対象です。 こられの主要なユーザーが、問題や予期しない動作を Microsoft Dynamics CRM 管理チームにレポートします。

実稼働を開始します

ユーザー受け入れテストが正常に完了したら、新しい Microsoft Dynamics CRM サーバーをオンラインにします。 これには、Microsoft Dynamics CRM 2015 サーバーをドメインに追加する前に前のバージョンのサーバーを削除し、Microsoft Dynamics CRM Web サイトの前のバージョンと同じバインドを使用するように IIS バインドを構成し、必要に応じて DNS レコードを更新することで、新しい Web サイトに正しく解決する必要があります。

正常にアップグレードまたは移行できない場合の対処

このセクションのガイドラインに従っても運用展開を正常にアップグレードまたは移行できない場合は、以下のリソースを使用して問題を解決してください。

自己サポート

助けられたサポート

Microsoft カスタマ サポート サービスにお問い合わせください。Microsoft カスタマ サポート サービスの電話番号と情報の一覧表については、マイクロソフト カスタマー サポートページにアクセスしてください。

関連項目

Microsoft Dynamics CRM Server のアップグレード

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