目標階層、目標、および対象の作成

 

公開日: 2017年1月

対象: Dynamics 365 (online)、Dynamics 365 (on-premises)、Dynamics CRM 2016、Dynamics CRM Online

目標管理の準備では、目標の指標 (金額または件数) を指定し、目標階層を作成して、対象を設定する必要があります。 階層内のすべての目標は、同じ目標指標に基づいている必要があります。 指標では目標の種類を定義し、ロールアップ フィールドでは目標のその他の重要な設定を指定します。 詳細については、「目標指標とロールアップ フィールドを定義する」を参照してください。

このトピックの内容

目標階層の作成

目標のマネージャーと所有者

対象の設定と監視

期間の指定

その他の重要な設定

目標階層の作成

通常、上司の目標はチーム メンバーに割り当てられた目標を集計したものです。 上司は、組織の全体的な目標を決定し、その目標を各メンバーの個々の目標に分割します。 大規模な組織では、その企業の目標が各地域の目標を合わせたものになることがあります。 ここに示す単純な目標階層では、上司の目標が 2 人の営業担当者の目標によって構成されています。

目標階層

上司の目標を上位目標、営業担当者の目標を下位目標と呼ぶことができます。 目標は、複数の下位目標を持つこと (一対多の関連付け) や別の目標の下位目標になることができます。 上位目標レコードと下位目標レコード間の関連付けは参照関係と呼ばれ、この関係では下位目標が上位目標を参照します。 上位目標を削除した場合、下位目標は削除されずに上位目標に対する参照だけが削除されます。 詳細については、「エンティティ関係の動作」を参照してください。

目標ロールアップは、階層の最下位から最上位に向かって行われます。 ロールアップ時には、下位目標の合計が上位目標の合計に追加されます。 階層の最上位にあるルート目標の最終的な合計は、階層内のすべての目標の合計の累積値です。

目標のマネージャーと所有者

目標のマネージャーは、目標の対象を設定または変更し、目標期間を調整して、目標の所有者を割り当てます。 目標のマネージャーは、目標に対するフルアクセス権を持つ、目標レコードの所有者 (Goal.OwnerID) です。 目標の所有者 (Goal.GoalOwnerId) は、目標の対象を満たす必要がある人物です。 目標の所有者は、目標に対する読み取りおよび追加先のアクセス権を持ちます。

Microsoft Dynamics 365 で作成された目標は、目標の所有者と上位目標のマネージャーの間で自動的に共有されます。 上位目標のマネージャーは、上位目標のレコードの所有者 (Goal.OwnerId) であり、新しく作成された目標に対する読み取りアクセス権を持ちます。 上位目標のマネージャーまたは目標の所有者が置き換えられると、目標に対する元のマネージャーおよび所有者のアクセス権は取り消され、そのアクセス権は新しい上位目標のマネージャーまたは目標の所有者に付与されます。 以前の上位目標のマネージャーと目標の所有者の間で目標が明示的に共有されていて、両者に特定のアクセス権が与えられていた場合、これらの Microsoft Dynamics 365 ユーザーは目標に対するアクセス権のすべてを失うわけではない場合があります。

対象の設定と監視

目標ロールアップの結果が測定される際の基準となる対象値は、目標ごとに指定できます。 また、拡大対象を指定することもできます。 たとえば、対象の売上を $100,000 に、拡大対象の売上を $120,000 にすることができます。

論理的には、対象値は目標階層の最上位に向かうにつれて大きくなり、階層内の累積合計の増加が反映されるはずです。

ロールアップ データの種類によっては、Goal.TargetIntegerGoal.TargetDecimal、または Goal.TargetMoney のいずれかの目標エンティティ属性を使用して対象を設定できます。 拡大対象を設定するには、Goal.StretchTargetIntegerGoal.StretchTargetDecimal、または Goal.StretchTargetMoney を使用します。

次の表では、対象に対する進捗状況の測定に使用できる、システムで生成される値を一覧表示しています。

目標のエンティティ属性

説明

計算式

Goal.Percentage

対象目標に対する達成率です。

(実績/対象) * 100

Goal.ComputedTargetAsOfTodayPercentageAchieved

対象目標に対しての予想達成率です。

100 * (今日の日付 - 開始日)/(終了日 - 開始日)

Goal.ComputedTargetAsOfTodayInteger

対象目標に対しての実績 (整数) の予想値です。

対象 (整数) * (今日の日付 - 開始日)/(終了日 - 開始日)

Goal.ComputedTargetAsOfTodayDecimal

対象目標に対しての実績 (小数) の予想値です。

対象 (小数) * (今日の日付 - 開始日)/(終了日 - 開始日)

Goal.ComputedTargetAsOfTodayMoney

対象目標に対しての実績 (金額) の予想額です。

対象 (金額) * (今日の日付 - 開始日)/(終了日 - 開始日)

注意

システムで生成される値は、対象値に対して計算されます。 拡大対象値に対しては計算されません。

期間の指定

それぞれの目標について、特定の会計期間またはカスタム期間を指定する必要があります。 会計期間またはカスタム期間を選択するには、Goal.IsFiscalPeriodGoal 属性を使用します。 会計期間を選択する場合は、Goal.FiscalYear 属性を使用して会計年度を指定する必要があります。会計年度 (goal_fiscalyear) グローバル オプション セットで、この属性に指定できる値が定義されます。 四半期や半年といった会計期間は、Goal.FiscalPeriod 属性で指定されます。会計期間 (goal_fiscalperiod) グローバル オプション セットで、この属性に指定できる値が定義されます。

目標の会計年度と会計期間は Organization エンティティで定義された組織の会計年度設定に連結されます。 組織の会計年度設定をいつでも再定義できます。 設定に変化があった場合は、既存の目標を古い年度設定のまま引き続き使用することも、新しい年度設定によって再調整することもできます。

重要

再調整を行うには、UpdateRequest メッセージを使用して、階層のルート目標を新しい会計年度と会計期間の値によって更新する必要があります。

会計年度と会計期間の値は、会計期間 (goal_fiscalperiod) グローバル オプション セットで定義されます。 新しい目標はすべて、組織の現在の会計年度設定を使用しないと作成できません。

目標に対してカスタム期間を選択する場合は、Goal.GoalStartDate 属性と Goal.GoalEndDate 属性を使用して、目標の開始日と終了日を指定する必要があります。

カスタム期間を使用する場合、Goal.FiscalYearGoal.FiscalPeriod の値は無視されます。 会計期間を使用する場合、カスタム期間の開始日と終了日は無視されます。

目標階層内のすべての目標は、同じ会計期間またはカスタム期間に基づいている必要があります。 下位目標に対して別の期間を指定する場合は、上位目標の期間が使用されます。

その他の重要な設定

目標に関するその他の重要な設定として、次のものがあります。

  • 目標に対する上位目標の指定には、Goal.ParentGoalId 属性を使用します。 上位目標を削除した場合、下位目標は削除されませんが、上位目標の GUID 値がシステムによって null 値に置き換えられます。

  • 下位目標からのみデータをロールアップするように指定するには、Goal.RollupOnlyFromChildGoalstrue に設定します。false に設定すると、データのロールアップは下位目標から、また目標指標とロールアップ クエリで指定された目標の参加レコードから行われます。 目標指標とロールアップ クエリの詳細については、「目標指標とロールアップ フィールドを定義する」および「複雑な目標基準を追加する」を参照してください。

  • データのロールアップを利用可能なすべてのレコードから行うか、目標の所有者のレコードからのみ行うかを指定するには、Goal.ConsiderOnlyGoalOwnersRecords 属性を使用します。 たとえば、データのロールアップを、クローズされたすべての営業案件からではなく、目標の所有者が所有するクローズされた営業案件からのみ行うように指定できます。

関連項目

目標管理エンティティ
目標指標とロールアップ フィールドを定義する

Microsoft Dynamics 365

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