謝辞

本書は、2007 年冬に始まった私の旅のマイルストーンとなるものです。当時、私は、まったく新しい分野である、「サービスとして提供されるソフトウェアの世界」に足を踏み入れる機会を得ました。Windows Azure のようなサービスは実現まではまだ程遠く、「クラウド」は定義され完全に理解されるには至っていませんでした。私の仕事の中心は、ソフトウェアのこの新しい提供方法によって企業が直面する具体的な課題を明らかにすることでした。

開発者にとっては、ID とアクセス コントロールの管理が主な障害であることはすぐに分かりました。ID とアクセス コントロールは根幹をなすものであり、他のすべての前提条件です。認証と承認の権限がなければ、アプリケーションは砂上の楼閣に過ぎません。

クレーム ベース ID の世界での私の旅は、このようにして始まりました。私がとても幸運だったのは、「ジェダイを名乗る」Vittorio Bertocci 氏自身と共にこの旅を始めることができたことでした。私を「改宗」させたのは彼です。

ぱっと見、単純な原理のように思われたにもかかわらず、それを展開している人があまりにも少ないので、当初、私は戸惑いました。しかし、やがて理由がわかりました。同僚や顧客との話し合いの中で、多くの概念や、それらを実現するために必要なしくみについて、たびたび考え直しを迫られることになったのです。実際、このテーマに長期間取り組んできた後にも、実装コンポーネント間の相互作用については注意深く検証する必要がありました。原理は単純でも、それを実行コードに移すのは別問題です。"正しい" 実行コードに移すことは、さらに困難な作業でした。

ちょうどそのころ、Microsoft は Windows Identity Foundation や ADFS v2、Access Control Service を発表しました。これらのテクノロジの適用方法と、それらがクレーム ベースの開発をいかに簡素化してくれるかを理解した私は、読者が今読まれているこのようなガイドを作成する必要があると感じました。

このテーマにかなりの時間を費やした後にも、規範的ガイダンスを提供することは私の力に余る作業だと感じましたが、幸運にも、頭脳明晰で経験豊富な専門家の助けを得ることができました。このプロジェクトでは彼らと本当に楽しく仕事をすることができましたが、この素晴らしいチームとはぜひ再び仕事ができればと考えています。私はまた、優れたソフトウェア開発者、ソフトウェア テスター、テクニカル ライターなど、多くのプロジェクト貢献者にも恵まれました。

最初に、この分野の専門家であり、このガイドの主要な寄稿者である Dominick Baier、Vittorio Bertocci、Keith Brown、Matias Woloski の各氏に感謝いたします。彼らは目を見張るような活躍をしてくれました。彼らの綿密さ、品質の高さへのモチベーション、また実際的なソリューションを目指す熱意に感服しました。

実行コードは、テクノロジがどのように機能するかを説明する強力な手段です。技術的にも教育的にも満足できるサンプル アプリケーションを設計することは、骨の折れる作業です。そのバランスをうまくとってくれたプロジェクトの開発およびテスト チーム (Federico Boerr、Carlos Farre、Diego Marcet、Anant Manuj Mittal、Erwin van der Valk、Matias Woloski の各氏) に感謝いたします。

このガイドは、ここで扱うトピックに関しては、最も信頼され、規範となるような説明を提供することを目指しました。と同時に、理解しやすく、親しみやすく、面白いガイド、読者が「興味」を持つようなガイド、読むことを「楽しめる」ガイドにしたいとも思いました。これを達成するために、わかりやすい文体と視覚的に訴えるデザインという 2 つの領域に注力しました。

文章については、テクニカル ライターと編集者のチームが担当してくれました。彼らは、私たちの専門用語や略語だらけのドラフトやメモ、会話を、明解で読みやすい文章に移し替え、整理してくれる魔術師のような人たちでした。このような素晴らしい仕事を行ってくれた RoAnn Corbisier、Colin Campbell、Roberta Leibovitz、Tina Burden の各氏に心から感謝いたします。

このガイドで使用された革新的なビジュアル デザインの概念を生み出してくれたのは、才能豊かなデザイナー、イラストレーターのチームと仕事をしている Roberta Leibovitz、 Colin Campbell (Modeled Computation LLC) の各氏です。本の装丁は John Hubbard 氏 (eson) が担当しました。キャラクターの顔と章区切りは、シアトル在住の優秀な漫画家 Ellen Forney 氏が担当しました。技術的なイラストは、私のタブレット PC 上の下書きから Veronica Ruiz 氏が作成しました。このガイドをこのように素晴らしいものにしてくれたクリエイター チームにお礼を申し上げます。

また、初期のコンテンツやドラフトを辛抱強く見直してくださったすべての顧客、パートナー、コミュニティ メンバーの方に感謝いたします。このガイドを作り上げる上で本当に助けになりました。中でも、Zulfiqar Ahmed、Michele Leroux Bustamante (IDesign)、Pablo Mariano Cibraro (Tellago Inc)、Hernan DeLahitte (DigitFactory)、Pedro Felix、Tim Fischer (Microsoft Germany)、Mario Fontana、David Hill、Doug Hiller、Jason Hogg、Ezequiel Jadib、Brad Jonas、Seshadri Mani、Marcelo Mas、Vijayavani Nori、Krish Shenoy、Travis Spencer (www.travisspencer.com)、Mario Szpuszta (シニア アーキテクト アドバイザー、Microsoft Austria)、Chris Tavares、Peter M. Thompson、および Todd West の各氏は多大な貢献をしてくれました。

最後に、ずっと支援をし続けてくれた Microsoft 社 Identity Division の Stuart Kwan 氏と Conrad Bayer 氏に感謝いたします。彼らのチームは WIF と ADFS のリリースで超多忙だったにもかかわらず、常に時間を割いてくれました。

Eugenio Pace

シニア プログラム マネージャー – Patterns & Practices

Microsoft Corporation

レドモンド、2010 年 1 月

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