vol.10 「SQL Server のイベント ルールを有効にしよう」

MOM 全般とインストール

公開日: 2005 年 1 月 24 日

河端 善博

トピック

全般的なポイント
MOM のインストール

では、最終回ということで、MOM 検討時のポイントを確認してみましょう。
それぞれポイントについて、連載中の関連解説へのリンクを紹介しています。

全般的なポイント

まずは、全般的なポイントについて連載を振り返ります。

MOM って、なんでしょう

MOM は、統合監視ツールとして、マイクロソフトが提供するものです。SMS とあわせて、マイクロソフトの運用管理のキーになっていく製品です。運用管理フレームワークとみなすこともできます。

MOM で何ができるでしょう

サーバーの運用監視に必要なアラートなどの管理から、問題発生時の管理、対応策の管理まで行うことができます。サービスマネージメント フレームワーク (ITIL) をベースにマイクロソフトが開発した MOF (Microsoft Operations Framework) の監視部分の機能を提供します。

対象サーバーも Active Directory が必要でしょうか

必要ありません。ワークグループで構成しているサーバーも監視対象にすることができます。

Windows XP も管理できるのでしょうか

できます。ただし、標準で提供される管理パックは、Windows Server 2003 などサーバー用です。WindowsXP 用に管理パックやルールを作成する必要があります。

SQL Server は必須でしょうか

必須です。MOM のデータはすべて SQL Server 2000 に保存されます。他のデータベースを利用することはできません。

Windows Server 以外も管理できるでしょうか

できます。Syslog を受けることもできますし、各メーカーやサードパーティから連携ツールが提供されています。

ルーターやスイッチは監視できるでしょうか

できます。Cisco、F5、NetApp、3Com と連携するソリューションが販売されています。また、MOM 2005 は標準で syslog の受信と SNMP トラップを送信できます。

ファイアウォールは監視できるでしょうか

できます。Microsoft ISA Server は標準で管理できます。Firewall - 1、CISCO PIX Firewall 用の管理パックがサードパーティから販売されています。

他社の運用管理ツールとどのような違いがあるのでしょうか

マイクロソフトの運用監視フレームワークの中核製品である点です。IIS、DNS、Active Directory、Exchange Server などのそれぞれの製品開発担当チームが、MOM 用の管理パックを開発提供しますので、効率よく管理することができます。また、MOM は開発ツールが提供されていて、サーバー メーカーやサードパーティから、多数の管理パックやソリューションを購入することもできます。さらに、SQL Server をベースとして、自社の運用監視にあわせて柔軟なカスタマイズをすることができます。

MOM が安定するまでしばらく導入を控えたほうがいいのでしょうか

導入実績は豊富です。MOM は、NetIQ 社が販売していた管理ツールをマイクロソフトが購入し、2000 年から MOM2000 として販売してきました。残念ながら MOM2000 の日本語版は提供されませんでした。しかし、英語版 MOM2000 は、マイクロソフトの運用管理フレームワーク MOF のキー コンポーネントとして、多くの企業で活用されていて、またサーバー メーカーやサードパテーティから拡張ソリューションが豊富に提供されています。MOM2005 は、MOM2000 から 5 年を経て、その間に寄せられたニーズにこたえる形で提供されてきます。また、ベータ テストには、MOM 2000 のヘビー ユーザーの評価も得ています。

監視対象サーバーには、エージェント ソフトウェアを入れなければいけないのでしょうか

必要ありません。エージェントなしで監視することもできます。ただし、エージェントなしの場合、管理パックの中の一部のルールは利用できなくなります。具体的には、エージェント上で専用のスクリプトを動かして、システムの状態を評価するルールが動かなくなります。

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MOM のインストール

つづいて、MOM のインストールについて振り返ります。

Virtual Server のゲスト OS 上で動かせるのでしょうか

動かせます。ただし、ゲスト OS にメモリは少なくとも 512 MB 割り当てる必要があります。また、ハードディスクへの負荷が高くなりますので、少なくとも 16 GB の固定サイズのディスクをデータベース用に割り当てることをお勧めします。

ハードディスクはどのくらい必要でしょうか

データベース用に少なくとも 5 GB 必要です。サーバーの数と、管理パックの数によって、データベースの消費量が変化します。MOM は、サーバーからの多くの情報をデータベースに一定期間保存しますので、十分なデータベース領域が必要になります。

MOM サーバーを二重化できるのでしょうか

できます。複数の MOM サーバーを設置し、各サーバーにインストールしたエージェントには、それぞれの MOM サーバーを登録しておきます。このほかにも、二重化の方法が複数用意されています。

インストール後にどのような点を注意したらいいでしょうか

通常、管理対象のサーバーを登録すると、多数のアラートがでます。マイクロソフトから提供される管理パックは、IIS、Active Directory などの各アプリケーションの推薦事項を忠実に確認し、問題を整理してアラートとします。このため、それぞれのアプリケーションを標準的にインストールしている状態では、なんらかのアラートがでる状況になります。具体的には、Active Directory が二重化されていない場合や、SQL Server で SQL Server 認証が許可されている場合などです。したがって、このアラートをそれぞれ判断し、アラートの原因となっているルールを無効にするか、あるいはルールから特定のサーバーをはずすといった作業が必要となります。もちろん、お勧めのアラートもありますので、その場合はシステムの運用にあわせて設定変更を検討する必要があります。もうひとつの注意点は、ネットワーク トラフィックやエージェントの負荷です。多数の対象サーバーを登録する場合、エージェントを通じて多数の情報が MOM サーバーに送信されます。また、エージェントが対象サーバー上で定期的に動作しますので、もともとメモリや CPU の負荷が高い場合、問題が発生する可能性があります。

オペレータ コンソールに警告が出る場合、どうしたらいいのでしょうか

管理パックのルールの調整が必要です。管理パックは、IIS、DNS、Active Directory など各アプリケーションや機能の推薦運用にあわせてルールが設定されています。したがって、小規模な運用で二重化が適切にできていない場合や、メモリやハードディスクがぎりぎりの場合など、どんどんアラートがでることになります。アラートの内容をそれぞれ確認して、対応するルールの設定を調整してください。

レポート コンソールでエラーが出る場合、どうしたらいいのでしょうか

レポート用のデータベースにデータが転送されていない可能性があります。インストールして、エージェントを登録した直後では、レポート用のデータベースに、データが転送されていません。そのため、レポート コンソールからレポートを表示しようとするとエラーになります。MOM サーバー上で、[コントロール パネル] の [タスク] を開いて、[SystemCenterDTSPackageTask] を起動してください。

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