4.9 新フォント環境

4. 新機能や機能変更に伴う互換性問題

この章では、以下のような新機能や機能変更に伴う、互換性問題について紹介します。

JIS2004 対応

Windows Vista と Windows 7 は、「JIS X 0213:2004」(以後JIS2004) に対応しています。JIS2004 は、経済産業省が 2004 年に制定した漢字コードに関する JIS 規格です。これにより、以前の Windows と比較して、以下のような変更がおこなわれています。

一部文字の形が変わります。たとえば、祇園葛飾区といったような文字を日本語本来の形で表示することができます。Windows Vista や Windows 7 に搭載されるすべての日本語 OpenType フォントは、JIS2004 に対応しています。以下に具体的な対応フォントを挙げます。

  • MS ゴシック
  • MS P ゴシック
  • MS UI Gothic
  • MS 明朝
  • MS P 明朝
  • メイリオ
  • Meiryo UI
OS MS ゴシック・MS 明朝のバージョン JIS
  • Windows 98
  • Windows Me
  • Windows NT4.0
  • Windows 2000
  • Windows XP
  • Windows Server 2003
2.3 JIS90
  • Windows Vista
  • Windows Server 2008
5.0 JIS2004
  • Windows 7
5.01 JIS2004
  • 自体が変更されるだけで、文字コードは変わりません。そのため、以前の Windows で作成したドキュメントを Windows Vista や Windows 7 で開くと、JIS2004 の字体に置き換えられます。反対に、Windows Vista や Windows 7 で作成したドキュメントを以前の Windows で開くと、 JIS90 の字体に置き換えられます。2 つのフォントのメトリック (文字の高さや幅) は変わらないので、ドキュメントのレイアウトが壊れてしまうことはありません。

    図 4-27: 字体の変更

    図 4-27: 字体の変更

  • JIS2004 対応のフォント (MS ゴシック・MS 明朝 Version 5) は、Windows XP や Windows Server 2003 向けにも提供されています。これらを使用すれば、Windows XP や Windows Server 2003 でも JIS2004 の字体で表示することができます。このフォントは、Microsoft のサイト「Windows XP および Windows Server 2003 向け JIS2004 対応 MS ゴシック & MS 明朝フォントパッケージについて」からダウンロードすることができます。
  • 日本語 OpenType フォントの Feature Tag を使用すると、従来の文字セット (JIS90) と JIS2004 のどちらを使うか切り替えることができます。たとえば、.NET Framework の WPF (Windows Presentation Foundation) は、Feature Tag をサポートしているため、XAML 内でタグを指定するだけで、JIS90 と JIS2004 を切り替えることができます。

JIS 第 3 水準、第 4 水準漢字が追加され、利用できる文字が増えました。たとえば以下のような文字が追加されました。

俱 剝 噓 姸 屛 幷 瘦 繫

Microsoft IME では、JIS2004 で追加された文字に変換しようとすると、図 4-28 のように、「環境依存文字 (unicode)」というコメントが表示されるため、一目で確認することができます。

図 4-28: [環境依存文字] コメント

図 4-28: [環境依存文字] コメント

Windows Vista および Windows 7 で作ったドキュメントを以前の Windows で開くと、JIS2004 で追加された文字が中黒「・」や四角「■」で表示されます。

図 4-29: 文字の追加

図 4-29: 文字の追加

この場合、Unicode で保存する必要あります。Shift_JIS や EUC-JP などで保存すると、文字がなくなってしまうことがあります。たとえば、メモ帳で開くとこれらの文字は「?」で置き換えられてしまいます。

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メイリオフォント

Windows Vista とWindows 7 の標準日本語フォントとして、「メイリオ」や「Meiryo UI」が搭載されています。「メイリオ」の名は、日本語の「明瞭」に由来しており、その名の通り画面上で見ても印刷しても極めて明瞭で読みやすのが特徴です。特に、ClearType に対応しているため、スクリーン上での日本語の可読性が向上しています。そのため、小さな文字もつぶれずに表示することができます。

また、JIS2004 に対応しているため、漢字などは日本語本来の字体で表示することができます。

レギュラーとボールドの 2 書体が提供されていますが、イタリック体は欧文文字のみの提供となっています。以下に、各フォントのサンプルを示します。

各フォントのサンプル

JIS2004 やフォント、移行のシナリオについての詳細は、Microsoft の Web サイト 「JIS X 0213:2004 対応と新日本語フォント「メイリオ」について」」を参照してください。

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