Remote App for Hyper-V (XP)

村嶋 修一 (Microsoft MVP for Virtual Machine)


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XP 上で稼働しているアプリケーションだけを取り出す

この状態では、XP のデスクトップ全体が w7 に来てしまうので、一部のアプリケーションだけを使い用途では使い勝手が良くありません。
一部のアプリケーションだけのリモート デスクトップは Remote App と呼ばれるテクノロジーで提供されています。

XP に KB961742 をインストール

XP の標準機能では、Remote App が提供できないので、Remote App を実現するために KB961742 をインストールする必要があります。

RemoteApp™ を有効にするための Windows® XP SP3 用の更新プログラム

ダウンロードした KB961742-v3.exe のインストールには管理者権限が必要なので、管理者アカウントで XP にログインしてからインストールをします。

図 - 41
KB961742-v3 のインストール X

Remote App するアプリケーションの設定

Remote App として特定のアプリケーションを取り出すには、XPのレジストリに Remote App として提供するアプリケーションを登録し、w7 からは、リモート デスクトップクライアントの設定ファイルである .rdp ファイルに取り出すアプリケーションを定義します。

XP 側で Remote App 公開するプログラムを設定

まずは XP 側のレジストリを設定して、IE6 を Remote App で提供するアプリケーションに設定してみましょう。

設定するレジストリは、「HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Terminal Server\TSAppAllowList\」下に「Applications\公開名」キーを追加し、以下の値をセットします。

名前 タイプ 備考
CommandLineSetting DWORD 0  
IconIndex DWORD 0  
IconPath 文字列 アイコンのパス 必要に応じて
Name 文字列 アプリケーション名  
Path 文字列 アプリケーションのパス  
RequiredCommandLine 文字列 起動時の引数 必要に応じて
SecurityDescriptor 文字列 セキュリティ記述子 必要に応じて
ShortPath 文字列 アプリケーションの短縮パス 必要に応じて
ShowInTSWA DWORD 1  
VPath 文字列 アプリケーションのパス  

RemoteApp 公開用レジストリ

レジストリエディタで1つ1つ設定しても良いのですが、ファイルで投入する方が手っ取り早いので、以下の .reg ファイルを参考にしてください。

・Remote App するアプリケーション
公開名:IE6
アプリケーション名:Internet Explorer 6
プログラムのフルパス:C:\Program Files\Internet Explorer\IEXPLORE.exe

<RemoteApp-IE6.reg>

Windows Registry Editor Version 5.00

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Terminal Server\TsAppAllowList\Applications\IE6]

"CommandLineSetting"=dword:00000000

"IconIndex"=dword:00000000

"Path"="C:\Program Files\Internet Explorer\IEXPLORE.exe"

"VPath"="C:\Program Files\Internet Explorer\IEXPLORE.exe"

"ShowInTSWA"=dword:00000001

"Name"="Internet Explorer 6"

Windows 7 側に Remote App 接続定義を作成

XP 側のレジストリが準備出来たら、.rdp ファイルをテキストエディタで作成します。

full address:s:接続先

disableremoteappcapscheck:i:1

alternate shell:s:rdpinit.exe

remoteapplicationmode:i:1

remoteapplicationprogram:s:||公開名

remoteapplicationname:s:アプリケーション名

remoteapplicationcmdline:s:

drivestoredirect:s:*

prompt for credentials:i:0

先ほど XP 側で公開した IE6 用であれば以下のようになります。

<ie6.rdp>

full address:s:xp01

disableremoteappcapscheck:i:1

alternate shell:s:rdpinit.exe

remoteapplicationmode:i:1

remoteapplicationprogram:s:||IE6

remoteapplicationname:s:Internet Explorer 6

remoteapplicationcmdline:s:

drivestoredirect:s:*

prompt for credentials:i:0

.rdp ファイルが準備出来たら、.rdp ファイルをダブルクリックするとアプリケーションだけのリモート デスクトップである Remote App が起動できます。
最初に接続する際は、ID/パスワードの入力が必要になることもありますが、2 回目以降は入力不要になります。

図 - 42:
詳細を開く
図 - 43
ID とパスワードの入力
図 - 44
Windows 7 で IE 6 が使えるようになった [拡大図]

登録したID/パスワードを変更する場合は、.rdp ファイルを編集して資格情報を削除します。

図 - 45: 編集
編集
図 - 46
資格情報の削除

Remote App を使う際の注意

・利用ユーザー毎の XP が必要
Remote App では、同一ユーザーが複数のアプリケーションを Remote App として利用できますが、1 つの XP 環境に対して複数ユーザーのアクセスはできません。このため、利用者の数だけ仮想 XP 環境を準備する必要があります。

・全てのアプリケーションが Remote App で動くとは限らない
物によっては、Remote App/リモート デスクトップで動かないアプリケーションもありますので、実際に使用できるか否かは事前にテストする必要があります。

・メーカーの保証が期待できない
アプリケーションメーカーが、仮想環境上でのアプリケーション利用を保障をしていないケースが大半です。このため、メーカーのサポートが期待できませんので、Remote App でのアプリケーション利用は自己責任での利用になります。(リモート デスクトップも同様)

・IME バーを最小化しない
ちょっとした Tips ですが、Remote App を使う際に IME バーを最小化しないようにしてください。Remote App で IME バーを最小化すると、IME バーにアクセスできなくなります。

Remote App で IME バーにアクセスできなくなった時の復旧方法

Remote App の日本語入力は、XP Mode と同様にリモート側 (XP 側) の IME が使われています。

XP Mode の場合は、IME バーを最小化しても w7 から最小化した IME バーにアクセスできますが、Remote App の場合は IME バーを最小化すると w7 から IME バーにアクセスできなくなります。
復旧は、XP にリモート デスクトップ接続して、デスクトップ状態で IME バーを復元するのですが、Remote App で接続している場合、アプリケーションを終了しても、ログイン自体は残っている状態になっています。
このため、リモート デスクトップで接続しようとしても、既に Remote App としてログインしているので、リモート デスクトップ接続が出来ません。これは、XP のリモート デスクトップは 1 セッションしか接続できない制限があるためです。

ログインを解除するには、Administrator でリモート デスクトップに接続して、強制的にログアウトさせた後に Administrator をログアウトします。こうすれば、誰もログインしていない状態になるので、利用者権限でリモート デスクトップを開くことができるようになります。
リモート デスクトップ接続が出来たら、最小化されている IME バーを復元します。

図 - 47
Administrator でリモート デスクトップ接続
図 - 48
Remote App でログインしているアカウントを強制ログアウト
図 - 49
Administrator ログアウト
図 - 50
ユーザーでリモート デスクトップにログイン
図 - 51
最小化した IME バーを復元

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