Microsoft IT が取り組む、

日本のテレワーク文化の変革

  • ▼ ビジネス課題をビジネス チャンスに変えるテレワーク
  • ▼ テレワークの普及と推進
  • ▼ テレワーク推進のポイント
  • ▼ 着実な変革
  • ▼ 詳細情報

Microsoft IT が取り組む、日本のテレワーク文化の変革

日本では 1990 年代からテレワーク (在宅勤務) (以下「テレワーク」) が推進されてきましたが、多くの企業は未だに日本に深く根付いたビジネス、文化の伝統をベースにしています。そのため、「働き方の柔軟性」の普及は伸び悩んでいます。

しかし、今また新たな課題によりテレワーク導入への動きが進んでいます。人口構造の変化に伴い、今後の競争力を維持/向上するために、政府は世界で最も技術的に進歩した国を目指すという目標を設定する中、企業は自然災害発生後の復旧性を必要としています。また、政府は、育児を抱える家庭や、介護が必要な家庭をサポートするために、従業員のワークライフ バランスを改善するという目標を掲げています。

日本マイクロソフトは、テレワークとモバイル テクノロジを現在の日本のビジネス課題を解決する重要なソリューションとして位置付けています。技術のイノベーションやサービスの多様化が常に行われているビジネス環境では、より新しい就労スタイルを採用することが重要となります。長年、モバイル ワークを提唱してきた日本マイクロソフトは、日本の文化や技術を変革するためのツールを提供しています。

テレワークの普及が日本では不可欠です。Microsoft IT Japan では、ビジネス ソリューションを提供し、従業員にテレワークの利点を示すことで、Mobile first, Cloud first のワークプレースへの移行を促進しています。

ビジネス課題をビジネス チャンスに変えるテレワーク

日本の今後のモバイル ワークプレースには、在宅勤務、移動中の勤務、サテライト オフィスでの勤務などが含まれます。

テレワークにより、将来的に企業が直面する課題に対応できるようになります。具体的に、モバイル ワークフォースは、主に以下の 3 つの切り口でビジネスに利点をもたらします。

  • 災害時の業務継続性やレジリエンス (回復力) を向上します。
  • 多様な働き方をサポートすることは、人材採用で企業の魅力を高めます。
  • ワークライフ バランスが向上されるため、就業者がその雇用者のもとで勤務を続けるモチベーション向上となります。

モバイル ワークフォースにはさらに、企業のレジリエンス (回復力) や従業員の仕事の満足度を超える利点があります。

テレワークには様々な利点があります。

テレワークがもたらすビジネス上の多くの利点

図 1. テレワークがもたらすビジネス上の多くの利点

有能な人材の確保: 就業者はテレワークを導入している企業に魅力を感じるため、新規雇用の見込み従業員数が増加します。在宅で業務を遂行できる柔軟性や、生産性の高いチーム メンバーとして評価されることは、自分の仕事のやりがいや、就業の継続の意識につながります。日本では、少子化が進み、労働力人口の減少傾向に対する対策が期待されています。テレワークは、働きやすい環境の実現により育児期/介護期等の家庭をサポートし、ワーカーの生産性を継続発揮することができます。企業は、ワークスタイルの柔軟性を提供しつつ、多様な人材の経験をフル活用することで業務効率の向上が期待できます。

環境への負荷軽減: 地域全体に就業者が分散されることで、オフィス スペース、ペーパー コスト、通勤/交通コストの削減、それに伴う環境負荷の低減を期待できます。

地域経済の活性化: 地方での就業者増加は、地域経済の活性化推進につながります。テレワークを推進する企業は、多様な人材を採用し地域のコミュニティで就業させます。地域の就業者により消費が刺激され、住居、学校、その他あらゆる分野で経済活性化の機会が拡大されることになります。

ワークライフ バランスの向上: ワークライフ バランスを維持している就業者は、自分の仕事により満足しています。テレワークを通じ、やりがいや充実感を持ちながら働き、仕事ではより効率的に高い生産性を保ちながら、プライベートの時間も確保することができます。テレワーカーやサテライト オフィスで働く人が増えると、通勤時間の短縮、交通渋滞の軽減を図ることができます。そのため、就業者は通勤負荷の軽減のみならず、クオリティ オブ ライフ (生活の質) の向上を期待できます。

事業継続性の構築: ビジネスを止めないための事業継続計画を検討するうえで、クラウド ベースの運用管理が不可欠です。インターネット接続があれば、災害直後でも素早く事業を再開あるいは継続できるため、普段からクラウド ベースの働き方やテクノロジを備えている企業はより高いレジリエンス (回復力) が得られます。たとえば、2011 年の地震と津波の発生後数日以内に、日本マイクロソフトはお客様サポートやサービスを再開させ、日本全体の状況に関する公開情報を素早く提供することができました。

雇用機会の拡大: 地域の雇用機会が拡大します。テレワークが企業に展開し、日本全体に浸透するにつれ、地域がますます恩恵を受けていきます。地域コミュニティでの就業は、小売、レストラン、住宅、その他のサービスの需要を生み出し、さらなる雇用を創出します。

企業の支援: テレワークを推進する政府のイニシアチブには、企業のサポートが含まれており、企業によるテレワークに必要な設備やインフラ導入を支援します。これにより、日本全体でテレワークの環境整備と普及が期待できます。

コストの削減: モバイル ワーカーの増加により、オフィス スペース、ペーパー コスト、通勤/交通コストの削減が期待できます。また、クラウドにデータを格納しクラウド ベースのアプリケーションを実行することで、オンプレミス型サーバーのメンテナンス コストや、社内の IT スタッフを雇用するコストを削減することができます。

テレワークの普及と推進

Microsoft IT Japan には、テレワークの推進に必要なテクノロジと、蓄積された経験があります。日本のテレワークの普及と推進に向けた政府のイニシアチブに呼応しつつ、テレワークへの参加企業に必要なノウハウ、ソリューション、サポートを提供しています。2015 年のテレワーク週間では、品川本社のオフィスにテレワーク用のオープン スペースを開放し、参加企業に対して実際にテレワークを体験する機会を提供しています。

さらなるテレワークの浸透

Microsoft IT Japan は、以下を通してテレワークを強力に推進しています。

  • ユーザー エクスペリエンスの拡充: Microsoft IT は、グローバルに展開されたサービスやアプリケーションを通じ、利用者に対して常に最先端のユーザー エクスペリエンスを提供しています。目的は、ユーザーの生産性を向上させ、企業によるビジネス目標の達成を実現することです。
  • First and Best Customer (最初で最良の顧客): 新製品やサービスをお客様にお使いいただく前に、Microsoft IT は、開発段階のベータ版から社内本番環境での展開/運用/サポートを実施しています。実際のビジネス シナリオに基づく製品やサービスの使用感をもとに、開発チームに対してフィードバックを重ねることで、製品品質を向上させるための取り組みです。
  • 社内事例の紹介と経験の共有: Microsoft IT では、製品展開、運用、管理に関する自らの経験や教訓を日々ノウハウとして蓄積しています。そのうえで、社内運用事例をケース スタディ、ホワイトペーパーとして記事化しオンライン公開、また IT Showcase という対面セッションを通じて世界に向けて発信しています。
  • 社内コミュニケーションやトレーニングの提供: 新しい製品や最新バージョンのリリースに合わせて、Microsoft IT は従業員にガイドやトレーニングを提供し、業務生産性の維持/向上をサポートしています。例えば、クラウド ベースの電話認証サービス、セキュリティ施策、Microsoft Office 365 のビジネスに即した利活用シナリオを提供することで、初心者の方でも安心してスムーズにテレワークに取り組めるよう、従業員をサポートしています。
  • IT テクニカル アドバイザーとしての貢献: Microsoft IT はテクノロジ アドバイザーとして、ネットワーク セキュリティの構成相談から直通インターネット回線準備に至るまで様々なビジネス ニーズに柔軟に対応します。Microsoft IT は、セキュリティおよびエンド ツー エンド ソリューションのコンサルティングを通じ、正社員や派遣スタッフのテレワークを幅広くサポートしています。

Microsoft IT Japan はテレワークを普及/推進するうえで、人事部、総務部、マーケティング部門など社内の様々な部署と連携しています。その他、製品やサービスの社内導入率、トレーニング効果を図る節約時間、コンテンツに対するアンケート評価、ソーシャル メディアの活動状況、ヘルプデスクのコール数など、ビジネスや従業員に関わる指標の定量的な実績を把握し、継続的に調査、傾向分析、施策を実行しています。さらに、従業員に対して情報豊富なコンテンツやすぐに利用できるトレーニング アクティビティを企画/準備し提供しています。

テレワークで活用するアプリケーションと利活用シナリオ

Skype for Business、Microsoft Office 365、Microsoft SharePoint Online、Windows 10、Microsoft Azure など ID ベースのアクセスやオンライン ソフトウェアおよびサービスは、日本でテレワークを拡大していくキー ポイントとなります。これらマイクロソフト製品やサービスの最先端テクノロジとの相互運用性により、デバイスや場所にとらわれず、多様性、機動力、生産性を確保することができます。またクラウド連携により、着実、且つセキュリティの担保されたテレワーク推進の基盤を提供します。

  • Skype for Business: 日本中で、あるいは世界中どこにいてもユーザー同士が Skype for Business で会議を設定し、リアルタイムで文書やデータを参照しレビューすることができます。例えば、品川本社の会議室から、好みのデバイスを使用して電話会議やオンライン ビデオ会議に参加することができます。また、会議は録画できますので、後ほど閲覧したり、聞いたりすることができます。個人レベルでは、Skype for Business を使用して、いつでもどこでも、ユーザー同士リアルタイムでやり取りするためのインスタント メッセージ サービスを利用できます。
  • Office 365: Office 365 の文書とプレゼンテーションは、複数のユーザーで同時に共同編集することができます。あるユーザーが Microsoft Word ドキュメントまたは Excel シートを作成し、チーム内の他のユーザーがそのファイルに対して情報を追加したりデータを挿入したりすることができます。Office 365 は、クラウド連携および生産性を向上させるソリューションで、強固でセキュアなコラボレーションを可能にします。
  • SharePoint Online: 地理的に離れた場所にいる作業チームが、例えば北海道、浜松町、三田、品川オフィスなどにそれぞれ居ながらして、SharePoint Online でセキュアなサイトを設定し、プロジェクト ファイルを共有して共同作業することができます。Microsoft SharePoint サイトへのアクセス制御はもちろんのこと、SharePoint Online では文書の更新ごとに自動的にファイルのバージョンを保存します。例えばチームで使用中のドキュメントも、必要に応じて簡単に初版または過去のある時点のバージョンに戻すことができます。
  • Windows 10: Windows 10 のオペレーティング システムは、直感的な方法で情報とユーザーをつないでいます。例えば、デバイス、アプリケーション、ドキュメントを、自分の好みに合った使いやすい方法で設定し管理することができます。移動中の営業スタッフは、暗証番号 (PIN) または指紋や顔認証などの生体認証を使用してデバイスにセキュアにサインインすることができます。PIN は、パスワードを使用せずにセキュアなサインインを可能にします。Windows Hello は指紋または顔認証でサインインを可能にします。
  • Azure: Azure は、企業内で使用頻度の高いアプリケーションやデータを展開するのに最適なクラウド ベースのセキュア プラットフォームです。Azure ベースの電話認証サービスを通じ、Office 365、Azure サイト、リモート接続用のソリューションにセキュアにアクセスすることができます。この電話認証サービスを使用することで、物理スマート カードや仮想スマート カードがなくても、自分の業務環境やビジネス データに簡単にアクセスすることができます。Microsoft IT Japan は、クラウド時代のセキュリティ施策の確実な展開に向け、二要素認証の認識向上と浸透に重点を置いてテレワークの普及を進めています。

日本の変革

2013 年に日本政府は、世界最高水準の IT 利活用社会を実現するための世界最先端 IT 国家創造宣言を閣議決定しました。日本全体における IT インフラの向上、IT 関連教育の底上げ、その他幅広いイニシアチブの導入に加え、テレワークは、政府のビジョンの中核をなしています。日本政府はこのイニシアチブで以下を目標設定しています。

  • 災害時に迅速な回復力があり、正確な災害関連情報を確実且つ多様な伝達手段で入手できるインフラを構築する。テレワークは事業継続計画の中心的な役割を果たします。
  • 経済的または社会的な変化やニーズに合わせてテレワークを促進する。テレワークは、従業員のワークライフ バランスをサポートし、生産性を維持・向上させながら、忙しい生活との両立を実現します。
  • クラウド サービスの活用により、ソフトウェアや情報へのアクセスを可能にする。政府の情報やサービスのオンライン化がさらに加速します。テレワークは、政府の将来構想における技術変革の一旦を担っています。

政府は、仕事と家庭が両立でき、また必要な支援がすぐに受けられる労働環境の実現を目指しています。政府が掲げる目標の一つは、2020 年までに週 1 日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の 10% 以上にすることです。テレワーク イニシアチブの成功をはかるうえで、この指標の達成度合いが重要なファクターとなります。

日本マイクロソフトでのテレワーク経験共有

日本マイクロソフトは、2012 年にテレワークのイニシアチブを発表しました。このイニシアチブの一部として、日本マイクロソフトでは Telework Week に各種セミナーやテレワーク啓蒙の取り組みを開催しています。Telework Week では、ビジネス リーダー、政府のリーダー、就労者に対して、テレワークの利点を紹介し、モバイル ワーク技術の体験を提供しています。

Telework Week は当初 2012 年に、Telework Day として社内の認知度アップを図るイベントとして開始されました。このイベントは、52 社が品川本社のテレワーク デモ スペースを使用するなど、成功裏に終わりました。参加した雇用者や就業者は、マイクロソフトの統合テレワーク技術を体験し、Direct Access、Virtual Private Network (VPN)、ID/セキュリティ施策、Windows 10、Office 365、Skype for Business、SharePoint Online、Azure などクラウド ベースのマイクロソフト ソフトウェアやサービスにシームレスなアクセスを体験いただきました。

2015 年の Telework Week には 651 社のパートナー企業が参加されました。この週に開催されたイベントは以下のとおりです。

  • 約 50 のテレワーク セミナー
  • 品川本社のオフィス ツアー
  • オンラインのテレワーク セミナー
  • 中学生対象のテレワーク セミナー

Telework Week 2015 の記者会見では、Skype for Business で日本マイクロソフトの国内 4 オフィス、およびベルギーのオフィスをつなぎ、テレワークの技術を紹介しました。また 2015 年 11 月 5 日、日本マイクロソフトは、厚生労働省からテレワークを推進する企業として賞を受賞しています。

このように Telework Week 2015 は、有意義で役立つイベントとして開催されました。

Telework Week 2015 の成果

図 2. Telework Week 2015 の成果

テレワーク推進のポイント

企業が Skype for Business を活用するなどしてテレワークを推進していくためには、テクノロジの整備だけでは決して十分とは言えません。ワークスタイルの多様化と変革を今後更に進めていくには、以下のポイントが重要です。

プロセス: テレワークに取り組んでいる企業は、予期せぬ課題に直面しています。たとえば、在宅勤務を希望する従業員に対して、当日朝のマネージャー承認を前提にしている会社があります。そのため、マネージャーは、在宅勤務の依頼メールで受信箱がいっぱいになってしまうのです。それを解決するための新たなプロセスを構築することで、企業はテレワークへの移行をスムーズに行えるようになります。

文化および慣行: ビジネスの進め方は、社会的な慣行に根差しています。企業ではモバイルでの会議ができるように整えているにもかかわらず、多くの従業者は対面方式の会議に慣れています。しかし、時の経過とともに新たなテクノロジを採用し、それに適応していくものです。

技術: 一部の企業では、ファイアウォール内または自社施設内の閉じた環境にデータやソフトウェアを保存しています。このようなやり方は、クラウドを利用するビジネス パートナーとの連携を困難にします。この問題を解消する方法の一つが、Azure や Office 365 のセキュリティ技術です。

労働法: 従業員の契約形態によっては、法律の定めとして特定の場所で業務を遂行する必要があるため、実質的にテレワークができないとされています。労働のスタイルが変貌するにつれ、政府はそれに対応して新たな規制を設けていく必要があります。

認識: マネージャーと従業員は、テレワークによりワークライフ バランスをとることができるということを認識する必要があります。テレワークが雇用者にもたらす利点について一般に知らしめ、その技術を普及していくことで、旧弊な思考や慣行を変革することができます。

管理職の管理スタイル: 多くの企業は、テレワークに即した評価システムや、直接顔を合わせることなくリモートでマネージャーと部下がコミュニケーションをとるための仕組みを持ちあわせていません。Skype for Business など、遠隔地で働くスタッフとコミュニケーションをマネージャーが簡単に取れるツールを使用することで、仕事の目標が達成されやすくなります。

財務的投資: コミュニケーション システムを統合するには一定のコストが必要です。政府のイニシアチブでは、中小企業が必要なハードウェアやソフトウェアのインフラストラクチャを整える際の支援策が含まれています。

セキュリティ: 一部の企業では、統合通信を可能にするセキュリティ コントロールが備わっていない場合があります。そのため、その企業のマネージャーは、データを保護するのに十分なセキュリティ対策を徹底する必要があります。2016 年 2 月に、Office 365 と Azure は、 日本セキュリティ監査協会からクラウド セキュリティでゴールド マークを取得しました。このような認定を受けることで、セキュリティの担保に向けた取り組みが促進されます。

着実な変革

日本では、ワークスタイル改革が着実に進んでいます。この改革を理解するために鍵となるコンセプトは以下のとおりです。

  • テレワークのもたらす様々な効果や柔軟なワークスタイルの利点は、日本のビジネス リーダーに認識され始めています。
  • テレワークにより、日本はインフラ面での危機管理耐性、雇用確保/創出、従業員のワークライフ バランスという 3 つのビジネス課題に対応することができます。
  • Microsoft IT Japan は、最先端のテクノロジを駆使して、ユーザーに経験とノウハウを提供し、変革を強力に支援していきます。

詳細情報

Using cloud technologies to improve disaster recovery (英語)

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