Office 2000 Developer 活用ガイド  

アーカイブコンテンツ
ここで提供しているコンテンツは提供時のままであり、現在でも技術的に正確であるという保証はありません。当時は有効であった URL が、現在では存在しないサイトやページにリンクしているかもしれないことに注意してください。

Access ランタイムを使用する

配布用の Microsoft Access ランタイム アプリケーションの開発は、標準の Microsoft Access アプリケーションの開発と類似しており、様々な開発方法があります。たとえば、まずアプリケーションのテーブルやクエリ、次にそのフォームやレポート、続いてマクロやモジュールを作成できます。または、開発中に各種オブジェクトを順次作成し、アプリケーションを機能ごとに開発することもできます。作成したオブジェクトを操作するために、マクロ、Visual Basic for Applications コード、またはその両方の組み合わせを使用できます。

アプリケーションでの Access ランタイム使用の詳細については、次を参照してください。

  • 開発プロセス

  • Microsoft Access ランタイム環境をシミュレートする

  • 完全版 Microsoft Access とランタイム環境の相違点

  • ランタイム ライセンス キーと Microsoft Access

  • 完全版 Microsoft Access を使用する場合のアプリケーション保護

  • Access ランタイムを検索する

開発プロセス

開発方法に関わらず、配布用の Microsoft Access ランタイム アプリケーションの開発に必要となる基本的なステップがいくつかあります。

  1. Microsoft Access をフルに活用し、アプリケーションのテーブル、クエリ、フォーム、レポート、マクロ、モジュールなどの作成およびデバッグを行います。特に、フォームはランタイム アプリケーションでは重要となります。

    アプリケーションで任意のオブジェクトを保護したり、セキュリティ機能を付加する必要がある場合は、『Microsoft Office 2000/Visual Basic プログラマーズ ガイド』の第 18 章「」のガイドラインに従ってください。

  2. アプリケーションに同梱されるヘルプ ファイルおよびそのほかのドキュメントを作成します。詳細については、アプリケーションにヘルプを追加する および『Microsoft Office 2000/Visual Basic プログラマーズ ガイド』の第 13 章「」を参照してください。

  3. /runtime コマンド ライン オプションを使用してアプリケーションを実行し、ランタイム環境エラーのデバッグを行います。この作業を行うためには Microsoft Office 2000 Developer がインストールされている必要があります。詳細については、「Microsoft Access ランタイム環境をシミュレートする」を参照してください。

  4. ディストリビューション ウィザードを使用して、アプリケーションのセットアップ プログラムおよびセットアップ ディスクを作成します。Access ランタイムをパッケージに含める方法については、「依存ファイルを作成する」を参照してください。

  5. Microsoft Access がインストールされていないマシンにアプリケーションをインストールし、それをテストします。詳細については、「セットアップ プログラムをテストする」を参照してください。

  6. アプリケーションおよび印刷されたドキュメントをパッケージにし、配布先に配布します。

ランタイム アプリケーションのシステム条件は、Microsoft Access や Microsoft Office と同様です。

Microsoft Access ランタイム環境をシミュレートする

Microsoft Access の標準的な機能には、ランタイム環境で非表示または使用不可になっているものもあるため、配布前にランタイム環境で正確に作動することを確認する必要があります。

Microsoft Office 2000 Developer Tools がインストールされている場合、Microsoft Access /runtime スタートアップ コマンド ライン オプション(Microsoft Access /runtime startup command-line option) で Microsoft Access の全機能をオフにし、ユーザーのアプリケーション実行環境をシミュレートすれば、Microsoft Access でアプリケーションのテストおよびデバッグができます。アプリケーションは、Windows レジストリにランタイム ライセンス キーがあるかのように作動しますが、/runtime オプションではアプリケーションは保護されません。ユーザーは必要に応じて、ショートカットから /runtime オプションを削除したり、Microsoft Access を直接起動してアプリケーションのオブジェクト デザインにアクセスしたりできます。

ヒント Microsoft Access がユーザーのマシンにインストールされている場合は、mso9rt.dll ファイルをユーザーの ..\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\VBA\VBA6 フォルダにコピーしてランタイム アプリケーションをテストできます。

また、この方法を実行可能にするには、使用可能な全オブジェクトへアクセスできるよう、アプリケーションに StartUp フォーム (メイン メニュー フォーム) が必要になります。このフォームがないと、ランタイム モードでデータベース ウィンドウが表示されません。ランタイム環境での動作については、「完全版 Microsoft Access とランタイム環境の相違点」を参照してください。

[スタート] メニューの [実行] をクリック、またはショートカットを作成して /runtime コマンド ライン オプションを指定できます。

/runtime オプションによるアプリケーション起動のショートカットを作成するには

  1. Microsoft Access を起動するショートカットを作成します。

  2. ショートカットをマウスの右ボタンでクリックし、[プロパティ] の [ショートカット] タブをクリックします。

  3. [リンク先] ボックスで、MSAccess.exe のパスに続いて開くデータベースのパスを入力した後、/runtime と入力します。パスにスペースがある場合は、パスを引用符で括ります。

    たとえば、次のコマンド ラインにより、Microsoft Access を起動し、ランタイム モードで Developer ソリューションのサンプル アプリケーションを開きます。

"C:\Program Files\Microsoft Office\Office\MSAccess.exe" "C:\Program Files\Microsoft Office\Office\Samples\Solutions.mdb" /runtime

メモ UNC パス (\\ServerName\SharedFolder) に対応するネットワーク上で作業している場合は、マップされたドライブ文字を指定することなくデータベースの場所を指定できます。たとえば、データベースをネットワークの共有フォルダにコピーしてショートカットのコマンド ラインを定義し、UNC パスを使用してその場所からデータベースを開くことができます。

完全版 Microsoft Access とランタイム環境の相違点

アプリケーションのユーザーは、Microsoft Access に内蔵されている機能に開発者が作成したオブジェクトを組み合わせた環境で作業をすることになります。Microsoft® Visual Basic® または Microsoft® Visual C++® で作成したアプリケーションとは異なり、Microsoft Access で作成したアプリケーションは、単一の実行可能ファイルとしてはコンパイルされません。Microsoft Access アプリケーションは、Windows レジストリに保存されているユーザー プロファイルで設定されたMicrosoft Access ランタイム環境で、アプリケーション用のデータベース ファイル (.mdb) を実行することにより作動します。

Microsoft Access アプリケーションの実行中、どれがアプリケーションから提供されている環境の要素であり、どれがランタイム環境から提供される要素であるかが不明な場合があります。開発したアプリケーションの外観や操作には独特なものがあるため、Microsoft Access が実行されていることにも気付かないことがあります。Microsoft Access ランタイム アプリケーションは、ほとんどの点で完全版 Microsoft Access アプリケーションと同一ですが、アプリケーションのデザイン、開発に影響する次のような相違点もあります。

  • データベース、マクロ、Visual Basic Environment の各ウィンドウ、そしてフィルタ ウィンドウを含むすべてのデザイン ビューが非表示になります。

  • 組み込みツール バーはサポートされていませんが、カスタム ツール バーをアプリケーションに追加できます。

  • 開発したアプリケーションでは独自のヘルプ ファイルを使用します。

  • 非表示、または使用不可になるウィンドウおよびメニュー (ショートカット メニューを含む) があります。

  • Visual Basic のエラー処理が必要です。開発したコードで処理されないエラーが発生すると、警告メッセージの表示なしにアプリケーションが強制終了されるため、マクロの使用はお勧めできません。

  • 一部のキー操作やキーの組み合わせが使用できません。

メモ   開発したアプリケーションが DDE を使用する場合は、Microsoft Access、または AppDDEName ユーザー プロファイル設定で指定されたアプリケーション名のどちらかを、有効な DDE アプリケーション名として指定できます。ランタイム環境はどちらにも対応します。

ランタイム ライセンス キーと Microsoft Access

アプリケーションをユーザーのマシンにインストールすると、Microsoft Access をランタイム環境で開くためのエントリが Windows レジストリのソフトウェア ライセンス セクションに作成されます。ディストリビューション ウィザードで作成したセットアップ プログラムにより、必要な変更が自動的に加えられます。

Microsoft Access またはランタイム アプリケーションが起動すると、ライセンス キーをチェックし、完全版 Microsoft Access またはランタイム環境のどちらで開くかが決定されます。ランタイム環境でアプリケーションを開く場合、Microsoft Access の機能の中には使用不可、または非表示になるものがあります。

Windows レジストリにライセンス キーがない場合は、ランタイム アプリケーションは実行されません。

完全版 Microsoft Access を使用する場合のアプリケーション保護

Microsoft Access 2000 がインストールされているマシンを使用しているユーザーにランタイム アプリケーションを配布する際は、データベースを保護するため、いくつか注意すべき点があります。ユーザーがオブジェクトおよびコードを変更することや、不注意によるアプリケーションでの問題発生を防止するため、次の注意事項を参考にしてください。

  • アプリケーションの起動時に使用するコマンド ラインすべての /runtime オプションを指定します。こうすることにより、ユーザーのマシンに完全版 Microsoft Access がインストールされていても、アプリケーションはランタイム環境で開きます。

  • Microsoft Access に付属のセキュリティ ウィザードを使用してデータベースのオブジェクトすべてを保護します。データベースが完全に保護されていることを確認する際に、Microsoft Access のインストール時に作成された Microsoft Access ワークグループ情報ファイル (.mdw) で定義されている既定のワークグループは使用しないでください。ワークグループ情報ファイルを新しく作成し、独自のワークグループ ID を付けてください。

  • アプリケーションには、カスタム メニューやカスタム ツール バーを使用し、オブジェクト デザイン ビュー、またはマクロ ウィンドウやモジュール ウィンドウにアクセスするためのツール バー ボタンやメニュー コマンドは使用しないでください。

  • AllowBypassKey プロパティを False に設定して Shift キーを使用不可にします。この設定により、ユーザーが起動時の設定または AutoExec マクロを必ず使用するようにします。マクロまたは Visual Basic を使用して AllowBypassKey プロパティを設定するには、CreateProperty メソッドでプロパティを作成し、それをデータベース オブジェクトのプロパティ コレクションに追加する必要があります。

  • データベース ウィンドウまたはデザイン ビューへのアクセスを可能にするために、データベースの起動時のプロパティ設定を行います。これには、ショートカット キーを有効にする (AllowSpecialKeys)、エラー発生後にコードを表示 (AllowBreakIntoCode)、データベース ウィンドウの表示 (ShowStartupDBWindow)、およびツール バー/メニューの変更 (AllowToolbarChanges) などのプロパティがあります。起動時にプロパティ設定を行うには、[ツール] メニューの [起動時の設定] をクリックしてください。

  • データベースに Visual Basic コードがある場合は、MDE ファイルとして配布します。MDE ファイルとしてデータベースを保存することにより、すべてのモジュールがコンパイル、編集可能なすべてのソース コードが削除され、コピー先データベースが最適化されます。Visual Basic コードは続けて実行されますが、表示や編集はできません。また、コードが削除されるため、データベースのサイズが小さくなり、メモリの使用が最適化されるのでパフォーマンスが向上します。

詳細については、『Microsoft Office 2000/Visual Basic プログラマーズ ガイド』の「」を参照してください。MDE ファイルの詳細については、Microsoft Access のオンライン ドキュメントにある 「MDE ファイルについて」 を参照してください。

Access ランタイムを検索する

ディストリビューション ウィザードを使用してアプリケーションに Access ランタイムを追加すると、Access ランタイム ファイルの検索を求めるメッセージが表示されます。

Access ランタイムは、Microsoft Office 2000 Developer セットアップの一部としてはマシンにインストールされませんが、AccessRT フォルダの Microsoft Office 2000 Developer CD-ROM に収録されています。必要なファイルをマシンにコピーしておくと、Access ランタイムをパッケージ化するたびに CD-ROM を使用する必要がありません。

Access ランタイムをマシンにコピーするには

  1. Microsoft Office 2000 Developer CD-ROM から、AccessRT フォルダを検索します。

  2. AccessRT フォルダの内容をマシンの次の場所にコピーします。

    ..\Program Files\Microsoft Office\ODETools\V9\Runtime