Business Connectivity Services の概要

最終更新日: 2011年4月20日

適用対象: SharePoint Server 2010

SharePoint Online で使用可能

動的な作業環境では、インフォメーション ワーカーは、たとえば次のような、別のソフトウェア世界に存在するデータにアクセスする必要があります。

  • 企業のリソース計画 (ERP) アプリケーションや顧客リソース管理 (CRM) アプリケーションなどの、組織の企業アプリケーションに存在する構造化データ

  • Microsoft Office にあるようなビジネス生産性アプリケーション、チームとグループ作業のアプリケーション (SharePoint 製品とテクノロジなど)、および Web 2.0 サービス (インターネット アプリケーション、Wiki、ブログ、ソーシャル ネットワーキング サイトなど) に存在する非構造化データ

大部分のインフォメーション ワーカーは、作業時間の大半を生産性アプリケーション (Microsoft Office 環境など) で費やしますが、使用する企業アプリケーションやグループ作業ソフトウェアおよびサービスに、その環境を統合する方法が必要になることもあります。

このようなソフトウェア世界は、多くの場合は分離しているため、ワーカーはアプリケーションを頻繁に切り替える必要があります。その結果、生産性の低下、時間損失、データ エントリの冗長、情報の古さ、エラーといった問題が発生します。さらに作業環境を絶えず変更する必要があります。この問題に対処するために、アプリケーション ベンダー、サービス プロバイダー、および IT 管理者は、カスタムのアプリケーションとポータルを作成します。しかしこのような努力だけでは不十分で、以下のような経営課題が生じる可能性があります。

  • 他のビジネス アプリケーションとの統合が困難。 グラフィカル ユーザー インターフェイス (GUI) ベースのアプリケーションは、注文の追跡や顧客データの管理など、単一のビジネス機能をサポートするように構築されています。このようなアプリケーションは、従来、アプリケーションのユーザー インターフェイス (UI)、ビジネス ロジック、およびデータを単一のソフトウェア パッケージにカプセル化します。しかし、1 つの目的を解決するように構築されているため、この種のスタンドアロン、つまり "サイロ型" アプリケーションは、相互運用に対応するように設計されていません。

  • トレーニングとサポートのコストが高い。 カスタムのアプリケーションまたはポータルでは、ユーザーの馴染みのある作業環境にデータを取り込みません。ユーザーは、この新しいソフトウェアの場所に移動する必要があり、多くの作業と時間を要します。さらにユーザーは、新しいアプリケーションの GUI を効率的に使用するために学習する必要があります。

  • 機能性が劣る。 強化された役割に基づくビジネス ポータルでは、さまざまなビジネス アプリケーションのデータをインフォメーション ワーカーに提供します。ポータルは、概要を正確に示しますが、構造化されていないドリルダウン分析とグループ作業の要件を満たしません。Web アプリケーションを使用したコンテンツの作成は簡単ではありません。ページベースの Web エクスペリエンス モデルは、幅広いビジネス プロセス コンテキストを欠き、ユーザー エクスペリエンスがさまざまに異なるという欠点があります。

  • アップグレードのコストが高い。 通常、カスタム アプリケーションでは独自のインターフェイスを使用します。システムは統合を効果的に実現しますが、新しい要件を満たすために再度目的を設定したり拡張したりすることは、簡単には、またはまったくできません。これは、システムが他のビジネス アプリケーションのプログラミング インターフェイスに依存するためです。

Office 2010 および SharePoint 2010 の Business Connectivity Services

Microsoft Business Connectivity Services (BCS) の機能、サービス、およびツールを使用すると、Office アプリケーションおよび SharePoint アプリケーションの機能と UI が拡張されます。これらの拡張された機能と UI によって、外部のデータおよびサービスと密接に統合されたソリューションを効率よく開発できるようになります。経験豊かなユーザー、開発者、およびビジネス組織の IT 担当者が、外部システムからの資産を統合でき、多くの種類の Office クライアントおよびサーバー アプリケーションを介して外部データをやり取りできます。Business Connectivity Services の機能セットにより、強力なスケーラビリティとセキュリティを備えたソリューションの迅速な開発と展開を実現できます。図 1 に、Business Connectivity Services の概要を示します。

図 1. Business Connectivity Services の概要

Business Connectivity Services の概要

Business Connectivity Services は、経験豊富なユーザー、開発者、およびビジネス組織の IT 担当者が、以下をより簡単に実行できるメカニズムを提供します。

  • Microsoft SharePoint Foundation 2010、SharePoint Server 2010 の企業アプリケーションおよび Web サービスからの外部データ、さらにリッチ クライアントの Office アプリケーションの外部データを公開する。

  • Office タイプの動作 (連絡先、タスク、予定など) と機能を外部データとサービスに提供する。

  • Office アプリケーションおよび SharePoint Server から、基礎となる外部システム データおよびビジネス オブジェクトに書き戻す機能など、完全なデータ操作を提供する。

  • 外部データとプロセスのオフライン使用を有効にする。

  • ドキュメントとユーザーの非構造化世界と、外部システムでロックされている適切な構造化データをつなげる。

Business Connectivity Services は、Microsoft SharePoint Foundation 2010、SharePoint Server、および Office 2010 に含まれます。ただし、機能セットと機能は、以下の図に示すように各アプリケーションで異なります。詳細については、「Business Connectivity Services に含まれているもの」を参照してください。

図 2. BCS、SharePoint、および Office の機能セット

BCS、SharePoint、Office の機能セット

関連項目

概念

Business Connectivity Services の基礎

Business Connectivity Services について

Business Connectivity Services でソリューションをビルドする

Business Connectivity Services: 方法説明とチュートリアル

Business Connectivity Services: サンプル XML とコード例