SharePoint Foundation の Business Connectivity Services の機能

最終更新日: 2010年4月16日

適用対象: SharePoint Foundation 2010

この記事の内容
Business Data Connectivity (BDC) Service
BDC コネクタとコネクタ フレームワーク
外部リスト
外部データ列

Microsoft SharePoint Foundation 2010 の Microsoft Business Connectivity Services (BCS) は、外部システムとの対話が SharePoint 2010 内から簡単に行えるように設計されています。SharePoint Foundation 2010 の Business Connectivity Services は、次の機能から構成されています。

  • Business Data Connectivity (BDC) service

  • BDC コネクタとプラグ可能なコネクタ フレームワーク

  • 外部リスト

  • 外部データ列

Business Data Connectivity (BDC) Service

BDC は、Microsoft Office SharePoint Server 2007 に含まれていたビジネス データ カタログの新しいバージョンです。現在は、SharePoint Foundation 2010 に含まれています。BDC は、SharePoint Foundation 2010 の共有サービスとして実装されており、まだメタデータ ストアに依存しています。BDC サービスは、SharePoint Server 2010 の外部データを公開できるように、宣言的に外部システムをモデル化できるようにします (Business Connectivity Services リッチ クライアント コンポーネントでは、Microsoft Office 2010 アプリケーションも対象です)。BDC は SharePoint サイトとユーザーのビジネス アプリケーション間のギャップを埋め、さまざまな外部システムから重要なデータを (新しい外部リスト機能と外部データ列経由で) SharePoint リスト、Web パーツ、検索、ユーザー プロファイル、およびカスタム アプリケーションに取り込めるようにします。

BDC の中核となる機能は、さまざまな外部システムに接続を提供することであり、以下のデータ ソースへの接続には組み込みサポートを備えています。

  • データベース

  • Windows Communication Foundation (WCF) と Web サービス

  • Microsoft .NET Framework アセンブリ

  • カスタム データ ソース。BDC では、新しい外部システムのタイプのためのコネクタを開発者が作成できる、プラグ可能なコネクタ フレームワークが提供されています。これによって、新しいデータ ソース タイプに BDC 経由でアクセスできるようになります。

    図 1 は、BDC の概要を示す図です。

    図 1. BDC の概要

    BDC の概要

BDC の主な設計目標は、最小のコーディングで、さまざまな外部システムからのビジネス データを宣言的に公開できるようにすることです。この目標を達成するために、BDC では、整合性があり簡易化されたクライアント オブジェクトを提供するメタデータ モデルを持つ基盤データ ソースへの同種アクセスを提供しています。

BDC コネクタとコネクタ フレームワーク

BDC は、外部システムで実際のメソッドやバックエンドでの組み込みを実行しません。クライアントの起動を、データベースの場合は適切な ADO.NET プロバイダー、Web サービスと WCF エンドポイントの場合は WCF アダプター, .NET Framework アセンブリの場合は .NET Framework DLL に委任するだけです。この複雑なコンポーネントと通信するために、サポートされる各データ ソース タイプに対応するコネクタが提供されています。Business Connectivity Services には、以下のコネクタがあります。

  • データベースに接続するための ADO.NET コネクタ

  • Web サービスと WCF エンドポイントに接続するための WCF コネクタ

  • .NET Framework Connectivity Assembly に接続するための .NET アセンブリ コネクタ

さらに BDC では、新しい外部システムのタイプのためのコネクタを開発者が作成できる、プラグ可能なコネクタ フレームワークが提供されています。これによって、新しいデータ ソース タイプに BDC 経由でアクセスできるようになります。

外部リスト

外部リストは、SharePoint Foundation 2010 の新機能で、SharePoint リスト データがアクセスされるのと同じ方法で、外部システムからデータにアクセスができるようにします。外部リストは、データソースとして外部コンテンツ タイプを使用します。外部リストは、その他の SharePoint リストと同様の外見を持ち、同様に動作する外部データを持つ SharePoint リストを作成するために、ビジネス エンティティについて定義済みのメタデータを使用できるようにします。

図 2 は、Northwind サンプル データベースからの顧客の外部リストを示します。

図 2. 顧客の外部リスト

顧客の外部リスト

BCS リッチ クライアント コンポーネントがある場合は、外部リストをオフラインして Microsoft Outlook 2010 および Microsoft SharePoint Workspace 2010 で利用することもできます。これにより、Outlook のネイティブの Outlook アイテムの種類 (連絡先、仕事、投稿) や SharePoint Workspace のリストのように外部データを操作できます。また、Office クライアント アプリケーションの外部データではオンラインおよびオフライン シナリオを利用できます。

外部リストを使用すると、データ ソースに書き戻すことができます (データ ソースでそれが許可されていて、BDC でそのデータ ソースが適切にモデル化されている場合)。これは、ユーザーが外部データを Microsoft SharePoint Foundation 2010 内から直接編集できることを意味します。リスト内のアイテムに対して行われた変更は、外部システムと自動的に同期されます。また、リストの [データの更新] ボタンを使用すると、外部システムとの間で自動的にデータの同期と更新が行われます。

SharePoint コンテンツ データベースにデータが保存される SharePoint リストと異なり、外部リストのデータは外部システムにのみ保存される点に注意してください。ユーザーがリストに移動する実行時に、外部データは BDC を使用して SharePoint リストとして取り込まれます。

注意

外部リストのスキーマはモデルに依存しており、SharePoint Foundation 2010 に新しい列を追加して拡張することはできません。また現時点でのリリースでは、外部リストは、ワークフロー、コンテンツ タイプ、バージョン管理、チェックイン、およびチェックアウトなどの、一般的な SharePoint リストが持つすべての機能を提供するわけではありません。

外部データ列

Office SharePoint Server 2007 では外部データ リスト列タイプが提供されていましたが、SharePoint Foundation 2010 では (外部リストを除いて) すべての SharePoint リストで利用できるようになりました。ビジネス データ リスト列タイプは、外部データ列という名前に変更されました。外部データ列は、ユーザーが外部コンテンツ タイプから標準の SharePoint リストにデータを追加できるようにします。外部リストと同じように、外部データ列は BDC でモデル化された任意の外部コンテンツ タイプからのデータを表示することができます。図 3 は、顧客外部コンテンツ タイプから外部データ列により拡張された SharePoint リストを示します。

図 3. 外部データ列のある SharePoint リスト

外部データ列のある SharePoint リスト

以下は、外部データ列を使用する 3 つのシナリオです。

  • **リスト内でドキュメントにタグを付けます。**たとえば、提案依頼書 (RFP) ドキュメント ライブラリでは、外部データ列を追加して、提案を行った顧客によってドキュメントにタグを付けることができます。このようにすると、ユーザーはドキュメント ライブラリから顧客の詳細を表示し、その顧客に関連するアクションを実行できます。

  • **外部アプリケーションで、そのアプリケーションに変更を加えずにデータにコメントを付けます (またはデータを拡張します)。**たとえば、外部システムがデータを追跡していない場合でも、チームの従業員によって照会された被雇用者の数を追跡するために、リストに列を追加することができます。

  • **正規の値のリストから値を取得します。**たとえば、市の郵便番号を手動で入力するようユーザーに指示するのではなく、リストに外部データ列を設けて郵便番号を選択できるようにすることができます。

Business Connectivity Services リッチ クライアント コンポーネントを持っている場合は、Word で外部データ列を表示するために、Microsoft Word の外部アイテム コンテンツ コントロールを使用することができます。これにより、Word 文書内で以前の 3 つのシナリオを実行できるようになります。

リストに外部データ列を追加するときには、任意の数のフィールドを外部システムから取得してリストに表示することができます。たとえば、Product (外部コンテンツ タイプ) 型の列を追加する場合、リストには ID、Name、QtyInStock、Price などの複数のフィールドを表示できます。

外部データ列には、SharePoint Foundation 2010 リストの他のすべての機能 (ワークフロー、バージョン管理、チェックイン、チェックアウトなど) が用意されています。また、リストの [データの更新] ボタンを使用すると、外部システムとの間で自動的にデータの同期と更新が行われます。