ダイヤル トーンの移植性

 

適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3

トピックの最終更新日: 2011-01-26

ダイヤル トーンの移植性は、メールボックス データベース、サーバー、またはサイト全体に影響を与える障害に対し、制限付きのビジネス継続性ソリューションを提供する Microsoft Exchange Server 2010 の機能です。ダイヤル トーンの移植性によって、ユーザーは、自分のメールボックスが復元中または修復中の場合に、電子メールの送受信用に一時メールボックスを持つことができます。一時メールボックスは、同じ Exchange 2010 メールボックス サーバー上、または組織内の他のExchange 2010 メールボックス サーバー上に持つことができます。これにより、使用できなくなったサーバー上に存在していたユーザーのメールボックスを、代替サーバーでホストできるようになります。Microsoft Office Outlook 2007 などの自動検出をサポートしているクライアントは、ユーザーのデスクトップ プロファイルを手動で更新する必要なしに、新しいサーバーに自動的にリダイレクトされます。ユーザーの元のメールボックス データが復元された後、管理者は、そのユーザーの復元されたメールボックスとダイヤル トーン メールボックスを 1 つの最新のメールボックスに結合できます。

ダイヤル トーンの移植性のプロセスは、ダイヤル トーン回復と呼ばれます。ダイヤル トーン回復を行うには、メールボックス サーバーに空のデータベースを作成し、エラーが発生したデータベースと置き換えます。ダイヤル トーン データベースと呼ばれるこの空のデータベースによって、エラーが発生したデータベースの回復中でもユーザーは電子メールの送受信が可能となります。

ダイヤル トーン回復の実行には 3 つのオプションがあります。

  • エラーが発生したデータベースがあるサーバー上でのダイヤル トーン回復   エラーが発生したデータベースをホストするサーバーが機能している場合は、そのサーバー上でダイヤル トーン回復を実行することをおすすめします。これにより、サーバー間でデータベース ファイルを移動する必要がないため、ダウンタイムを減らすことができます。また、自動検出をサポートしないクライアントのメッセージング プロファイルを再構成する必要もなくなります。

  • ダイヤル トーン データベース用の代替サーバーを使用したダイヤル トーン回復   サーバーにエラーが発生し、再構築が必要な場合、ユーザーが基本的なメール機能を使用できるようにする最も効率的な方法は、別のサーバーにダイヤル トーン データベースを作成し、データベースの移植性を使用してユーザーのメールボックス構成を新しいサーバーへ移動することです。このプロセスにはダイヤル トーン データベースを元の (回復した) サーバーに戻すというプロセスが含まれるため、このオプションの場合は回復プロセス全体にかかる時間が長くなります。またこの処理は、元のサーバー上でダイヤル トーン回復を実行するよりも複雑です。この処理を実行するとき、ダイヤル トーン データベースをホストするサーバーには、追加ユーザーによる追加される負荷をサポートするのに充分なリソースが存在する必要があります。さらに、ユーザーのクライアントが自動検出をサポートしない場合、ダイヤル トーン サーバーをポイントするようにユーザーのメッセージング プロファイルを再構成する必要があります。

  • ダイヤル トーン データベース用の代替サーバーを使用し、そのサーバーをそのまま使用するダイヤル トーン回復   これは、元のサーバーに戻さないという点を除いては、前のオプションに似ています。このオプションは、エラーの発生したサーバーの回復の可能性および妥当性がないような場合におすすめします。このシナリオでは、サーバーの回復操作の終了後、ユーザーは通常は代替サーバーに残されます。この処理を実行するとき、ダイヤル トーン データベースをホストするサーバーには、追加ユーザーによる追加される負荷をサポートするのに充分なリソースが存在する必要があります。さらに、ユーザーのクライアントが自動検出をサポートしない場合、ダイヤル トーン サーバーをポイントするようにユーザーのメッセージング プロファイルを再構成する必要があります。

3 つのオプションすべてで同じ基本手順を実行します。

  1. 空のダイヤル トーン データベースを作成し、エラーの発生したデータベースを入れ替えます。

    この新しいデータベースによって、エラーの発生したデータベース上にメールボックスを持っているユーザーは、新しいメッセージの送受信が可能になります。ダイヤル トーンの移植性によって、メールボックスを移動せずにユーザーを他のデータベースに移動させることができます。エラーが発生したデータベースが置かれているものとは別のサーバーにダイヤル トーン データベースを作成した場合、メールボックスの構成を新しいサーバーへ移動する必要があります。

  2. 古いデータベースを復元する

    通常使用しているバックアップ ソフトウェアと回復ソフトウェアを使用して、エラーの発生したデータベースを復元します。エラーの発生したデータベースのバックアップがない場合、可能な場合は他の手段を使ってそのデータベースを回復します。ダイヤル トーン回復に同じサーバーを使用している場合、データベースを回復用データベース (RDB) へ復元する必要があります。

  3. ダイヤル トーン データベースと復元されたデータベースを交換します。

    エラーの発生したデータベースの復元後に、これをダイヤル トーン データベースと交換します。これによって、ユーザーは電子メールの送受信が可能になり、復元されたデータベースのすべてのデータにアクセスできるようになります。ユーザーが別のサーバーにあるダイヤル トーン データベースに移動されている場合、メールボックスの構成を元のサーバーに戻す必要があります。

  4. データベースを結合する

    ダイヤル トーン データベースから復元されたデータベースにデータを取得するには、restore-Mailbox コマンドレットを使用してデータを結合します。

ダイヤル トーン回復の実行方法に関する詳細な手順については、「Perform a Dial Tone Recovery」を参照してください。

 © 2010 Microsoft Corporation.All rights reserved.