予定表修復について

 

適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3

トピックの最終更新日: 2017-02-16

予定表修復アシスタント (CRA) は、Microsoft Exchange Server 2010 メールボックス サーバーの Microsoft Exchange メールボックス アシスタント サービス内で実行される構成可能なメールボックス アシスタントです。予定表修復アシスタントは、当該メールボックス サーバー上に配置されたメールボックスの 1 回または定期的な会議アイテムの不整合を検出して修正します。これにより、受信者が会議のお知らせを受信し損ねたり、信頼性が低い会議の情報を受信しないようにできます。

CRA は既定では自動的に実行するように設定されていません。CRA を実行して予定表の不整合を修復するように構成するには、set-mailboxserver コマンドレットを Exchange 管理シェル で実行して、処理間隔と処理間隔のチェックポイントを設定します。予定表の修復ログ設定の構成に Exchange 管理コンソールを使用することはできません。

注意

CRA は、Exchange Online ユーザー用に既定で有効にされています。ユーザーは個人のログ ファイルを要求できず、ログを収集し分析するにはサポートに問い合わせる必要があります。

目次

予定表修復アシスタント タスク

競合の検出と解決

予定表の修復ログ

クライアント アプリケーションのエクスペリエンス

予定表に関連する管理タスクについては、「予定表修復の管理」を参照してください。

予定表修復アシスタント タスク

予定表修復アシスタントは、次の機能を実行します:

  1. 不整合を検出する   予定表修復アシスタントは、すべての会議アイテムのマスター コピーとして、開催者の予定表アイテムを使用します。次に予定表修復アシスタントは、出席者の予定表アイテムを開催者の予定表アイテムと比較して不整合を検出します。この規則の唯一の例外は、予定表修復アシスタントが出席者と開催者の応答状態を比較する時です。この場合、予定表修復アシスタントは出席者の応答状態が正しいとみなして、必要に応じて開催者の追跡情報を更新します。

  2. 不整合が意図的であるかどうか判断する   不整合が検出されると、予定表修復アシスタントは不整合が出席者の意図により生じたのかどうかを判断します。たとえば、出席者が会議出席依頼を削除して開催者に通知しないと、不整合が生じます。不整合が出席者により生じたものではないと予定表修復アシスタントが判断した場合、予定表修復アシスタントはこの不整合を修正します。不整合が意図的であると予定表修復アシスタントが判断出来ない場合、それ以上の処理は実行しません。

  3. 不整合を修正する   予定表修復アシスタントは、予定表修復アシスタントが実行されるメールボックス サーバーの不整合を修正します。ただし、開催者のメールボックスが出席者のメールボックスとは異なるサーバー上に配置されている場合、予定表修復アシスタントはその他の Exchange 2010 メールボックス サーバーから読み取り、予定表アイテムを比較します。予定表修復アシスタントは、受信者の予定表の情報を上書きしません。その代わり、情報をマージします。このため、データは失われません。さらに、修復更新メッセージは受信者の [削除済みアイテム] フォルダーに移動されます。不整合の検出と修復の詳細については、後述の「競合の検出と解決」を参照してください。

  4. 修正完了時に、予定表修復の更新メッセージを送信する   予定表修復アシスタントにより更新された予定表アイテムがあるユーザーには、予定表修復更新メッセージが送信されます。ユーザーの受信トレイにメッセージを送信する代わりに、予定表修復アシスタントはユーザーの削除済みアイテム フォルダーにメッセージを送信します。こうすることで修復されたレコードはメールボックス内に維持されるため、ユーザーを混乱させずに済みます。ユーザーに予定表の不整合が発生した場合、トラブルシューティングのため、削除済みアイテム フォルダーを確認するようにユーザーに指示できます。予定表修復アシスタントは、問題が修正された場合にのみ、修復更新メッセージを送信します。

予定表修復アシスタントを構成する方法の詳細については、「予定表修復の管理」を参照してください。

予定表修復アシスタント タスク

競合の検出と解決

予定表修復アシスタントは、次の表にある競合を検出して修正します。

予定表修復アシスタントの競合の解決

競合 解決方法

出席者は開催者の会議出席依頼または定期的な会議出席依頼を承諾しましたが、会議が出席者の予定に表示されません。

予定表修復アシスタントは、メールボックス データベース内の出席者のレコードをチェックし、出席者が応答を送信せずに予定表アイテムを削除したことを検出します。出席者により会議アイテムが意図的に削除されたことを予定表修復アシスタントが判断できない場合、予定表修復アシスタントは会議出席依頼を再度作成します。出席者が会議出席依頼を意図的に削除したと予定表修復アシスタントが判断した場合、それ以上の処理は行われません。

出席者に定期的な会議の 1 回または例外が表示されません。

予定表修復アシスタントは、削除された出席または例外があるか開催者の予定表をチェックし、出席者が応答を送信せずに会議出席依頼を削除したことを検出します。出席者により会議アイテムが意図的に削除されたことを予定表修復アシスタントが判断できない場合、予定表修復アシスタントは会議出席依頼を再度作成します。出席者が出席または例外を意図的に削除したと予定表修復アシスタントが判断した場合、それ以上の処理は行われません。

会議の出席者応答の状態が開催者の予定表アイテムの状態と一致しません。

予定表修復アシスタントは、開催者の追跡状態を出席者の予定表アイテムの状態で更新します。

出席者の予定表に会議が表示されますが、開催者側の出席者の一覧にはその出席者が表示されません。

予定表修復アシスタントは、出席者を開催者の出席者の一覧に追加します。

注意

会議出席依頼が、200 人を超えるメンバーが所属する配布グループに送信された場合、予定表修復アシスタントは出席者を開催者の出席者の一覧には追加しません。

出席者が開催者の定期的な会議の一部に一覧されているものの、出席者側の定期的な会議のパターンと開催者側の定期的な会議のパターンとが一致しません。

予定表修復アシスタントは、出席者の定期的な会議のパターンを開催者の定期的な会議のパターンで置き換えます。

出席者側の会議の場所と、開催者の予定表アイテムに記録されている場所とが一致しません。

出席者が意図的に会議の場所を変更した場合、処理は行われません。出席者により場所が意図的に変更されたことを予定表修復アシスタントが判断できない場合、出席者の予定表アイテムに開催者の予定表アイテムが追記されます。

出席者側の開始時刻または終了時刻が、開催者側の開始時刻または終了時刻と異なります。

出席者が時刻を意図的に変更したと予定表修復アシスタントが判断した場合、それ以上の処理は行われません。競合が意図的ではないと予定表修復アシスタントが判断した場合、開催者の開始時刻または終了時刻とのずれが 2 時間より長い開始時刻または終了時刻が変更されます。

開催者と出席者に、同じプロパティ識別子 LIL_GLOBAL_OBJID が設定された会議が複数存在します。

予定表修復アシスタントは、すべての重複を比較して不整合を修正するために次の手順を実行します:

  1. すべての重複のシーケンス番号をチェックします。最も大きなシーケンス番号の重複が保持されます。その他の会議アイテムは削除されます。

  2. 予定表修復アシスタントがシーケンス番号を基準に保持するアイテムを判断できない場合、予定表修復アシスタントは OwnerCriticalChangeTime プロパティをチェックします。最新の重複アイテムが保持されます。その他の会議アイテムは削除されます。

  3. 予定表修復アシスタントが最新のコピーを基準に保持するアイテムを判断できない場合、予定表修復アシスタントは LastModifiedTime プロパティをチェックします。変更時刻が最新の重複アイテムが保持されます。その他の会議アイテムは削除されます。

  4. 予定表修復アシスタントが最新更新日時を基準に保持するアイテムを判断できない場合、予定表修復アシスタントはデータベースに重複する会議のクエリを実行したときに戻された最初の予定表アイテムを保持し、その他のアイテムは削除されます。その他の会議アイテムは削除されます。

出席者の予定表に単一または定期的な会議が表示されますが、開催者の予定表にこのアイテムが存在しません。

予定表修復アシスタントは、主催者が意図的に会議を削除したかどうかをチェックします。開催者が会議を意図的に削除した場合、予定表修復アシスタントは出席者に取り消し通知を送信します。開催者が意図的に会議を削除したことを予定表修復アシスタントが判断できない場合、開催者の予定表に会議が追加されます。主催者の意図を予定表修復アシスタントが判断できない場合、処理は行われません。

予定表修復アシスタント タスク

予定表の修復ログ

予定表修復アシスタントによってユーザーのメールボックスの予定表アイテムが変更されるたびに、それが予定表修復ログ (.log) ファイルに書き込まれます。この .log ファイルの出力は、メッセージの本文または添付ファイルなどの個人データを公開することはありません。ファイルには、修復された会議およびその会議に対してどのような修復操作が行われたかを識別する最低限の情報だけが含まれます。

会議が CRA によって予定表に戻された場合、会議の本文には「Exchange 2013 により、予定表から消去された会議が再度作成されました」と表示されます。

予定表修復アシスタントが実行されるたびに、メールボックスごとに 1 つの予定表修復ログ ファイルが作成されます。既定では、予定表修復ログの出力は有効となっています。一方 CRA は、既定では Exchange Online ユーザーに対して有効になっています。ユーザーは個人のログ ファイルを要求できず、ログを収集し分析するにはサポートに問い合わせる必要があります。

予定表の修復ログは構成可能であり、サーバーまたはユーザーごとにオンまたはオフにできます。詳細については、「予定表修復の管理」 を参照してください。

既定の予定表修復ログのパスは、<Exchange インストール パス>\v14\Logging\Calendar Repair Assistant です。

ログ ファイルは、次の名前付け規則で作成されます。

CRAYYYYMMDDHH-X.エイリアス.log

  • CRA = 予定表修復アシスタントのプレフィックス

  • YYYY = 年

  • MM = 月

  • DD = 日

  • hh = 時

  • X = インスタンス

  • エイリアス = メールボックスのエイリアス

たとえば、以下の修復ログ ファイルは、2010 年の 4 月 18 日の 15:00 (午後 3 時) に Tony のメールボックスで修復が行われたことと、その修復はその 1 時間のうちの 3 番目の修復であることを示します。

CRA2010041815-3.tony.log

予定表修復アシスタント タスク

クライアント アプリケーションのエクスペリエンス

予定表修復アシスタントがアクセスできるデータは、クライアント アプリケーションによって異なります。結果として、ユーザーがメールを確認するのに使用するクライアント アプリケーションに応じて、ユーザーのエクスペリエンスが異なる場合があります。このため、予定表修復アシスタントは、ユーザーにより操作が意図的に行われたのかどうか判断できない場合があります。前述のように、出席者により意図的に競合が生じたことを予定表修復アシスタントが正常に判断できた場合のみ、予定表修復アシスタントは競合を修復します。予定表修復アシスタントがこの判断を下せない場合、それ以上の処理は行われません。

次の表は、予定表の競合が発生する場合がある、エンドユーザー側のさまざまな予定表タスクの一覧です。使用されたクライアント アプリケーションを基準にして、予定表修復アシスタントはユーザーの意図を判断できます。

予定表のタスク

シナリオ クライアント アプリケーション 記録されたプロパティ

開催者が予定表アイテムを開いて、プロパティを変更します。

  • Microsoft Office Outlook Web App

  • Exchange Web サービスを使用するクライアント アプリケーション

  • Microsoft Exchange ActiveSync を使用するモバイル クライアント アプリケーション

ModifiedStartTime

ModifiedEndTime

ModifiedLocation

開催者が、予定表ビューで会議を別の時刻にドラッグします。

  • Outlook Web App

  • Exchange Web サービスを使用するクライアント アプリケーション

注意

このシナリオは Exchange ActiveSync を使用するクライアント アプリケーションではサポートされません。

ModifiedStartTime

ModifiedEndTime

出席者が、開催者への応答メッセージ送信の有無にかかわらず、承諾または仮承諾を応答します。

  • Outlook Web App

  • Exchange Web サービスを使用するクライアント アプリケーション

  • Exchange ActiveSync を使用するモバイル クライアント アプリケーション

RespondedAccepted

RespondedTentative

出席者が、開催者への応答メッセージ送信の有無にかかわらず、会議出席依頼を辞退します。

  • Outlook Web App

  • Exchange Web サービスを使用するクライアント アプリケーション

  • Exchange ActiveSync を使用するモバイル クライアント アプリケーション

DeletedWithNoResponse

RespondedDeclined

出席者が、開催者への応答メッセージ送信の有無にかかわらず、定期的な会議出席依頼の 1 回を辞退します。

  • Outlook Web App

  • Exchange Web サービスを使用するクライアント アプリケーション

  • Exchange ActiveSync を使用するモバイル クライアント アプリケーション

DeletedExceptionWithNoResponse

RespondedExceptionDecline

開催者が会議を取り消します。

  • Outlook Web App

  • Exchange Web サービスを使用するクライアント アプリケーション

  • Exchange ActiveSync を使用するモバイル クライアント アプリケーション

MeetingExceptionCanceled

予定表修復アシスタント タスク

 © 2010 Microsoft Corporation.All rights reserved.