容量計画におけるクライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせた構成について

 

適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3

トピックの最終更新日: 2015-03-09

サーバー ハードウェアで共通して見られる傾向に、プロセッサ パフォーマンスの大幅な向上および物理プロセッサでサポートされているプロセッサ コア数の増加があります。そのため、1 つの Exchange サーバーの役割を、2 つの物理プロセッサが搭載された標準的な市販サーバーに展開すると、使用可能な CPU の部分が利用されないままになる可能性があります。サーバーの CPU リソースをより効果的に使用するために、サーバーの仮想化を望むユーザーがいます。一方、同じ物理サーバー上の Exchange サーバーの役割を結合を望むユーザーがいます。展開に関する推奨事項とベスト プラクティスに従って実装すれば、両方とも有効なソリューションになります。

クライアント アクセス サーバーの役割とハブ トランスポート サーバーの役割を同じ物理サーバー上に展開するタイミング、および組み合わせた役割の構成を適切に計画する方法を決定する際には、このトピックの情報を参照してください。クライアント アクセス サーバー、ハブ トランスポート サーバー、メールボックス サーバーの役割を同じ物理サーバーに展開する方法については、「容量計画での複数のサーバーの役割の構成について」を参照してください。

目次

クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせた構成が推奨される場合。

クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーの推奨プロセッサ

クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバー構成と推奨されるプロセッサ コアの比率

クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーの推奨メモリ

クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーのハードウェア要件の決定

クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーと仮想化

クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせた構成が推奨される場合。

以下の点を考慮する場合は、クライアント アクセス サーバーおよびハブ トランスポート サーバーの役割を同じ物理サーバーに展開することをお勧めします。

  • サーバー統合   管理する物理サーバー、オペレーティング システム インスタンス、および Exchange サーバーの数を最小限にすることを主な目標とする展開環境では、クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせた展開が推奨ソリューションとなります。クライアント アクセス サーバーおよびハブ トランスポート サーバーの役割を同じ物理サーバーで実行すると、最小限の 2 台の物理サーバーの要件で、必要な役割の冗長性を実現できます。

  • 仮想化   仮想化ホスト サーバーのプロセッサ数を 8 (8、16、24、32、または48) で分割できる展開環境の場合、クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーを 1:1 のプロセッサ コア比率で 1 つの役割のメールボックス サーバーと共に展開すると、ホスト サーバーのサイズに関係なく、バランスのとれた仮想マシンの配置を実現できます。

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クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーの推奨プロセッサ

クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーの場合、最大の推奨プロセッサ コア構成は 12 プロセッサ コアです。クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせた構成を、13 プロセッサ コア以上のサーバーに展開することは可能ですが、お勧めしません。

以下は、最小要件および推奨される最大構成についての説明です。

  • 最小値   クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーにとって最適なプロセッサおよびメモリの最小構成です。マイクロソフト カスタマー サービスおよびサポートからサポートを受けるには、最小ハードウェア要件を満たす必要があります。

  • 推奨される最大値   クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーに推奨されるプロセッサおよびメモリの最大構成です。推奨される最大構成とは、価格とパフォーマンスに基づく、可能なプロセッサおよびメモリ構成の上限と定義されます。推奨される最大構成はガイドラインです。このガイドラインはサポート条件ではなく、サーバーにアクセスするか、サーバーにインストールされているサード パーティのアプリケーションのリソース要件は含まれていません。推奨される最大構成は、価格の変動やテクノロジの進歩により、時間がたつにつれて変わる可能性があります。

次の表に、役割を組み合わせた Microsoft Exchange Server 2010 サーバーの最小および推奨される最大のプロセッサ コア構成を示します。

Exchange 2010 クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーのプロセッサ構成

Exchange 2010 サーバーの役割 最小値 推奨される最大値

クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバー

2 つのプロセッサ コア

12 のプロセッサ コア

重要

一部のサーバー仮想化プラットフォームでは、上記の表で特定されているプロセッサの最大数がサポートされない可能性があります。Exchange サーバーの役割を仮想化プラットフォームに展開する場合は、そのプラットフォームのマニュアルをチェックして、サポートされている仮想プロセッサの最大数を確認してください。

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クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバー構成と推奨されるプロセッサ コアの比率

次の表に、メールボックス サーバーの役割で展開されたプロセッサ コア数に対し、クライアント アクセス サーバーおよびハブ トランスポート サーバーの役割で展開するプロセッサ コアの推奨数を簡単に示します。標準的なコア比率が、現在、システムで使用できるプロセッサ コアの数と正確に合うことはありません。多数のクライアント アクセス サーバー、ハブ トランスポート サーバー、およびメールボックス サーバーのある大規模組織でない限り、展開は望ましいプロセッサ コア比率に一致しない可能性が高いでしょう。

クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバー構成であれば、この問題を解決することができ、より最適なハードウェアの使用率を達成できます。たとえば、4 つのプロセッサ コアが搭載されたサーバーがある場合は、クライアント アクセス サーバーの役割で約 3 つのコアが使用され、ハブ トランスポート サーバーの役割で約 1 つのコアが使用されます。これを 4 つのコアが搭載されたメールボックス サーバーと組み合わせて展開する場合、メールボックスとハブ トランスポート サーバーの役割のコア比率は 4:1 になり、メールボックスとクライアント アクセス サーバの役割のコア比率は 4:3 になります。このことは、推奨されるプロセッサ コア比率のガイダンスと密接な関連があります。

次の表に、役割を組み合わせたサーバーのプロセッサ コアに基づく、推奨されるサーバーの役割の比率を示します。

Exchange 2010 クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーのプロセッサ構成

サーバーの役割の比率 推奨されるプロセッサ コアの比率

メールボックス: ハブ トランスポート

7:1 (ハブ トランスポート サーバーでスキャンするウイルス対策アプリケーションなし)

5:1 (ハブ トランスポート サーバーでスキャンするウイルス対策アプリケーションあり)

メールボックス: クライアント アクセス

4:3

メールボックス: クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバー

1:1

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クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーの推奨メモリ

次の表に、Exchange 2010 の役割を組み合わせたサーバー構成に対する、最小のメモリ構成および推奨される最大のメモリ構成を示します。

Exchange 2010 の役割を組み合わせたサーバーのメモリ構成

Exchange 2010 サーバーの役割 最小値 推奨される最大値

クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバー

4 GB

コアあたり 2 GB

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クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーのハードウェア要件の決定

クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーに対するハードウェア要件を判断するには、まず、メールボックス サーバーの役割のハードウェア要件を確認する必要があります。詳細については、「メールボックス サーバーのプロセッサ容量計画」を参照してください。

メールボックス サーバーの役割に展開されるプロセッサ コア数を参照して、同じ数のプロセッサ コアをクライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーに展開します。たとえば、8 つのプロセッサ コアが搭載されたメールボックス サーバーごとに、8 つのプロセッサ コアを 1 つのクライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーに展開します。次に、メモリ構成のガイドラインをプロセッサ コア数に適用します。たとえば、クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーに 8 つのプロセッサ コアがある場合、コアあたり 2 GB またはサーバーあたり 16 GB のメモリが必要になります。

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クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーと仮想化

Exchange を仮想化する場合は、クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーを使用すると、計画プロセスがより容易になります。仮想マシンの推奨サイズを、次の表にまとめます。

Exchange 2010 クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーでの仮想マシンの推奨サイズ

バーチャル マシンの役割 推奨される仮想プロセッサの数 推奨されるメモリ

クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバー

4 つのプロセッサ コア

8 GB

メールボックス サーバーの役割

4 つのプロセッサ コア

4 GB とメールボックスあたり 3 ~ 30 MB。

この変数は、ユーザー プロファイルに応じて変わります。詳細については、「メモリの構成と Exchange のパフォーマンスについて」の「推奨されるメモリ構成」を参照してください。

注意

すべてのサーバー仮想化プラットフォームで、同じ数の最大仮想プロセッサがサポートされるわけではありません。Exchange サーバーの役割を仮想化プラットフォームに展開する場合は、そのプラットフォームのマニュアルをチェックして、サポートされている仮想プロセッサの最大数を確認してください。

これらの仮想マシンを 1:1 の比率で展開することをお勧めします (たとえば、メールボックス サーバーの役割の仮想マシンごとに、1 つのクライアント アクセスとハブ トランスポートの役割を組み合わせた仮想マシンを展開する)。

Exchange 仮想マシンのホスティング専用の仮想サーバーを使用し、プロセッサ コア数を 8 (8、16、24、32、または 48) で分割できる場合、仮想マシンの配置は容易です。たとえば、仮想化ルート サーバーに 8 つのプロセッサ コアがある場合は、1 つのクライアント アクセスとハブ トランスポートの役割を組み合わせた仮想マシンおよび 1 つのメールボックス サーバーの役割の仮想マシンを展開します。仮想化ルート サーバーに 16 のプロセッサ コアがある場合は、2 つずつ展開します。ルート サーバーに 24 のコアがある場合は、次の図に示すように 3 つずつ展開します。

仮想サーバー

仮想マシンが推奨されるサイズ変更の例

この設計の場合、ルート サーバー全体で Exchange 役割の冗長性を維持することができ、Exchange の負荷を分散して、ルート サーバー リソースの効果的な使用率を達成できます。次の表に、クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせた仮想マシンをホストするルート サーバーについて、推奨されるサイズのガイダンスの概要を示します。

Exchange 2010 クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせたサーバーでの仮想マシンの推奨サイズ

ルート サーバーのプロセッサ コア (12 のプロセッサ コアのあるルート サーバーはこのモデルには合いません) ルート サーバーのメモリ要件 推奨されるメモリ構成 クライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせた仮想マシンの数 メールボックス サーバーの役割の仮想マシンの数

8

26 ~ 34 GB

32 GB

1

1

16

53 ~ 69 GB

64 GB

2

2

24

76 ~ 100 GB

96 GB

3

3

32

131 ~ 143 GB

160 GB

4

4

48

152 ~ 200 GB

192 GB

6

6

注意

ルート サーバーのメモリ構成は、ルート オペレーティング システム要件および仮想マシンの要件に基づきます。メールボックス仮想マシンの要件は、メールボックス プロファイルによって異なります。詳細については、「メモリの構成と Exchange のパフォーマンスについて」の「推奨されるメモリ構成」を参照してください。

注意

メモリを購入する際は、コストを考慮する必要があります。ルート サーバーのメモリ要件と購入済みのメモリ構成を調整するために、各メールボックス サーバーの仮想マシンでホストされたアクティブなメールボックスの数を減らさなければならない場合があります。

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