Exchange 2007 ハイブリッド展開でのトランスポート ルーティングについて

 

適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3

トピックの最終更新日: 2013-01-29

このトピックでは、インターネットからの受信メッセージおよびインターネットへの送信メッセージのルーティング オプションについて説明します。

注意

このトピックの例には、ハイブリッド展開へのエッジ トランスポート サーバーの追加は含まれていません。社内組織、Exchange Online 組織、およびインターネット間でメッセージが通るルートは、エッジ トランスポート サーバーの追加によって変わることはありません。ルーティングは、社内組織内のみで変わります。ハイブリッド展開にエッジ トランスポート サーバーを追加する方法の詳細については、「Exchange 2007 ハイブリッド展開でのエッジ トランスポート サーバーについて」を参照してください。

インターネットからの受信メッセージ

ハイブリッド展開の計画と構成の一部として、インターネットの送信者からのすべてのメッセージを、社内組織を通すかまたは Exchange Online 組織を通すかを決定する必要があります。インターネットの送信者からのメッセージはすべて、ユーザーが選択した組織に最初に配信され、それから受信者のメールボックスの場所に従いルーティングされます。社内組織または Exchange Online 組織経由でメッセージをルーティングさせるかどうかの選択は、両方の組織に送信されるすべてのメッセージに法令遵守ポリシーを適用するかどうか、各組織にあるメールボックスの数など、さまざまな要因に基づき行います。

社内および Exchange Online の組織で受信者に送信されるメッセージのパスは、ハイブリッド展開で MX レコードを構成する方法によって決まります。ハイブリッド構成の管理ウィザードでは、社内組織と Exchange Online 組織の受信インターネット メッセージのルーティングは構成されません。受信インターネット メールの配信方法を変更する場合は、MX レコードを手動で構成する必要があります。

  • 社内組織を MX レコードでポイントする場合:   いずれの組織の受信者に送信されるどのメッセージも、まず社内組織でルーティングされます。Exchange Online の受信者宛てのメッセージは、まず社内組織経由でルーティングされてから、Exchange Online の受信者に配信されます。このルートは、組織で送受信されたメッセージをジャーナリング ソリューションで検査することを義務付けるコンプライアンス ポリシーがある組織に役立つと考えられます。このルーティングは、社内組織の受信者の数が Exchange Online 組織よりも多い場合にも推奨されます。

  • Office 365 の Microsoft Exchange Online Protection (EOP) サービスをポイントするように MX レコードを変更する場合:   いずれの組織の受信者に送信されるどのメッセージも、まず Exchange Online 組織でルーティングされます。社内組織の受信者宛てのメッセージは、まず Exchange Online 組織経由でルーティングされてから、社内組織の受信者に配信されます。このルーティングは、Exchange Online 組織の受信者の数が社内組織よりも多い場合に推奨されます。

インターネットの受信者から社内の受信者および Exchange Online の受信者に対して送信されたメッセージのルーティングの計画方法については、以下のセクションで一致するものを参照してください。

社内組織経由で受信するインターネット メッセージのルーティング

次の手順と図は、MX レコードで社内組織をポイントする場合にハイブリッド展開で発生する受信インターネット メッセージのパスを示しています。

  1. 受信メッセージは、インターネットの送信者から受信者 chris@contoso.com および david@contoso.com に送信されます。Chris のメールボックスは、社内組織の Exchange 2007 メールボックス サーバーにあります。David のメールボックスは Exchange Online にあります。

  2. 両方の受信者の電子メール アドレスに contoso.com が含まれており、contoso.com の MX レコードが社内組織をポイントしているため、メッセージは Exchange 2007 メールボックス サーバーに配信されます。

  3. Exchange 2007 メールボックス サーバーは、社内のグローバル カタログ サーバーを使用して受信者ごとに参照を実行します。グローバル カタログを参照すると、Chris のメールボックスは Exchange 2007 メールボックス サーバー上にあり、David のメールボックスは Exchange Online 組織内にあり、そのルーティング アドレスは david@contoso.mail.onmicrosoft.com であると判断できます。

  4. Exchange 2007 メールボックス サーバーがメッセージを 2 つのコピーに分割します。メッセージの 1 つのコピーは Chris のメールボックスに配信されます。

  5. メッセージの 2 番目のコピーは、ハイブリッド サーバーと Exchange 2007 サーバーの間に構成されたルーティング グループ コネクタを通して送信されます。

  6. ハイブリッド ハブ トランスポート サーバーはメッセージを EOP に送信し、Exchange Online 組織に対して送信されたメッセージを、TLS を使用するように構成された送信コネクタを使用して受信します。

  7. EOP はメッセージを Exchange Online 組織に送信します。そこでメッセージはウイルス スキャンされて David のメールボックスに配信されます。

社内と Exchange Online の両方の組織に対する社内組織経由のメール ルーティング

オンプレミス Exchange 経由の受信

受信インターネット メッセージを Exchange Online 組織経由でルーティングする

次の手順と図は、Office 365 組織の EOP サービスを MX レコードでポイントする場合にハイブリッド展開で発生する受信メッセージのパスを示しています。メッセージのパスは、メール トランスポートの集中管理を有効にするかどうかによって異なります。

重要

最初に EOP に配信されてから Exchange Online 組織を通ってルーティングされるメッセージを受信する社内メールボックスそれぞれに EOP ライセンスを購入しなければならない場合があります。詳細については、マイクロソフト製品販売店にお問い合わせください。

メール トランスポートの集中管理が無効である場合 (既定の構成)、受信インターネット メッセージはハイブリッド展開で次のようにルーティングされます。

  1. 受信メッセージは、インターネットの送信者から受信者 chris@contoso.com および david@contoso.com に送信されます。Chris のメールボックスは、社内組織の Exchange 2007 メールボックス サーバーにあります。David のメールボックスは Exchange Online にあります。

  2. 両方の受信者の電子メール アドレスに contoso.com が含まれており、contoso.com の MX レコードが EOP をポイントしているため、メッセージは EOP に配信されます。

  3. EOP は両方の受信者のメッセージを Exchange Online にルーティングします。

  4. Exchange Online は、メッセージのウイルスをスキャンして、各受信者の検索を実行します。検索を通じて、Chris のメールボックスは社内組織にあり、David のメールボックスは Exchange Online 組織にあると判断します。

  5. Exchange Online はメッセージを 2 つのコピーに分割します。メッセージの 1 つのコピーは David のメールボックスに配信されます。

  6. 2 番目のコピーは Exchange Online から EOP に送り返されます。

  7. EOP はメッセージを社内組織のハイブリッド Exchange 2010 ハブ トランスポート サーバーに送信します。

  8. ハイブリッド ハブ トランスポート サーバーがハイブリッド サーバーと Exchange 2007 サーバーの間に構成されているルーティング グループ コネクタを経由してメッセージを Exchange 2007 メールボックス サーバーに送信します。

  9. Exchange 2007 サーバーはメッセージを Chris のメールボックスに送信します。

メール トランスポートの集中管理を無効にした状態で (既定の構成) 社内組織と Exchange Online 組織の両方に Exchange Online 組織でメールをルーティングする

Exchange Online 経由の受信

メール トランスポートの集中管理が有効である場合、受信インターネット メッセージはハイブリッド展開で次のようにルーティングされます。

  1. 受信メッセージは、インターネットの送信者から受信者 chris@contoso.com および david@contoso.com に送信されます。Chris のメールボックスは、社内組織の Exchange 2007 メールボックス サーバーにあります。David のメールボックスは Exchange Online にあります。

  2. 両方の受信者の電子メール アドレスに contoso.com が含まれており、contoso.com の MX レコードが EOP をポイントしているため、メッセージは EOP に配信され、ウイルス スキャンされます。

  3. メール トランスポートの集中管理が有効であるため、EOP は両方の受信者のメッセージを社内ハイブリッド Exchange 2010 ハブ トランスポート サーバーにルーティングします。

  4. ハイブリッド ハブ トランスポート サーバーはそれぞれの受信者の検索を実行します。検索を通じて、Chris のメールボックスは社内組織にあり、David のメールボックスは Exchange Online 組織にあると判断します。

  5. ハイブリッド ハブ トランスポート サーバーはメッセージを 2 つのコピーに分割します。メッセージの片方のコピーは、社内 Exchange 2007 サーバーの Chris のメールボックスに配信されます。

  6. 2 番目のコピーは、ハイブリッド ハブ トランスポート サーバーから EOP に送り返されます。

  7. EOP は Exchange Online にメッセージを送信します。

  8. Exchange はメッセージを David のメールボックスに配信します。

メール トランスポートの集中管理を有効にした状態で社内組織と Exchange Online 組織の両方に Exchange Online 組織でメールをルーティングする

Exchange Online への受信と一元化されたトランスポート

インターネットへの送信メッセージ

組織の受信者宛ての受信メッセージのルーティング方法を選択するだけでなく、Exchange Online の受信者から送信される送信メッセージのルーティング方法も選択できます。ハイブリッド構成ウィザードを実行する際に、以下の 2 つのオプションのうちいずれかを選択できます。

  • メール トランスポートの集中管理を有効にする   このオプションを選択すると、Exchange Online 組織から送信された送信メッセージは社内組織でルーティングされます。同じ Exchange Online 組織内の他の受信者に送信されるメッセージを除き、Exchange Online 組織の受信者から送信されるすべてのメッセージは、社内組織経由で送信されます。これにより、法令遵守ルールをこれらのメッセージに適用したり、受信者が Exchange Online 組織にいるか、社内組織にいるかにかかわらず、適用する必要がある他のプロセスや要件をすべての受信者に適用したりできます。

    注意

    メール トランスポートの集中管理は、コンプライアンスに関連する特定のトランスポート ニーズがある組織のみに推奨されます。一般的な Exchange 組織では、メール トランスポートの集中管理を有効にしないことをお勧めします。

  • メール トランスポートの集中管理を有効にしない   このオプションはハイブリッド構成ウィザードで既定で選択されており、Exchange Online 組織から送信された送信メッセージはインターネットに直接ルーティングされます。このオプションは、社内の法令遵守ポリシーやその他の処理ルールを、Exchange Online 組織の受信者から送信されるメッセージに適用する必要がない場合に使用します。

社内の受信者から送信されるメッセージは、ハイブリッド構成の管理ウィザードで前述のいずれの選択肢を選択しているかにかかわらず、DNS を使用して、常にインターネットの受信者に直接送信されます。

以下の手順と図は、社内の受信者から送信されるメッセージの送信メッセージ パスを示しています。

  1. 社内 Exchange 2007 メールボックス サーバーにメールボックスがある Chris は、外部インターネット受信者 erin@cpandl.com にメッセージを送信します。

  2. Exchange 2007 サーバーは cpandl.com の MX レコードを検索し、メッセージをインターネット上にある cpandl.com メール サーバーに送信します。

インターネットの受信者宛ての社内の送信者からのメッセージ

オンプレミスからインターネットへの直接送信

Exchange Online 組織の受信者からインターネットの受信者に送信されるメッセージのルーティング計画に一致する以下のセクションを参照してください。

DNS を使用してインターネット向けのメッセージを Exchange Online から配信する (メール トランスポートの集中管理は無効)

次の手順と図は、[メール トランスポートの集中管理を有効にする] をハイブリッド構成の管理ウィザードで選択していない場合 (既定の構成) に発生する、Exchange Online の受信者からインターネット受信者に送信されたメッセージの送信メッセージ パスを示しています。

  1. Exchange Online 組織にメールボックスがある David が、外部のインターネットの受信者、erin@cpandl.com にメッセージを送信します。

  2. Exchange Online はメッセージをスキャンしてウイルスの有無を確認し、Exchange Online EOP 会社に送信します。

  3. EOP は cpandl.com の MX レコードを検索し、メッセージをインターネット上にある cpandl.com メール サーバーに送信します。

メール トランスポートの集中管理を無効にした状態 (既定の構成) で Exchange Online の送信者からのメールをインターネットに直接ルーティングする

Exchange Online からインターネットへの送信

社内組織で Exchange Online からのインターネット向けのメッセージをルーティングする (メール トランスポートの集中管理が有効)

次の手順と図は、[メール トランスポートの集中管理を有効にする] をハイブリッド構成の管理ウィザードで選択したときに発生する、Exchange Online の受信者からインターネットの受信者に送信されたメッセージの送信メッセージ パスを示しています。

  1. Exchange Online 組織にメールボックスがある David が、外部のインターネットの受信者、erin@cpandl.com にメッセージを送信します。

  2. Exchange Online はメッセージをウイルス スキャンして EOP に送信します。

  3. EOP はインターネット向けのすべてのメッセージを社内のサーバーに送信するように構成されているため、メッセージはハイブリッド ハブ トランスポート サーバーにルーティングされます。メッセージは、TLS を使用して送信されます。

  4. ハイブリッド ハブ トランスポート サーバーは、David のメッセージに対して、法令遵守および管理者によって構成されたその他のプロセスを実行します。

  5. ハイブリッド ハブ トランスポート サーバーは cpandl.com の MX レコードを検索し、メッセージをインターネット上にある cpandl.com メール サーバーに送信します。

メール トランスポートの集中管理を有効にした状態で Exchange Online の送信者からのメールを社内組織でルーティングする

Exchange Online からのオンプレミス経由での送信

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