Access 2010 と Access Services を使用した Web データベースの作成

Office Visual How To

**概要:**Microsoft Access 2010 データベースを作成して Microsoft SharePoint Server 2010 上の Access Services に発行する方法を説明します。

適用対象: Access 2010 | Access Services | Office 2010 | SharePoint Foundation 2010 | SharePoint Server 2010

提供元: Joel Krist、iSoftStone (英語)

2010 年 2 月

概要

Access 2010 には、多くの新しい機能や改良が加えられています。Access Services を介した SharePoint Server 2010 との統合の改良により、SharePoint への Access 2010 データベースの発行が可能になり、複数のユーザーが標準に準拠した任意の Web ブラウザーからデータベース アプリケーションを操作できるようになりました。この Visual How To では、Access 2010 Web データベースを作成して SharePoint Server 2010 上の Access Services に発行する方法を説明します。

コード化する

サンプル コードをダウンロードする (英語)

この Visual How To では、Access 2010 Web データベースを作成し、このデータベースを SharePoint Server 2010 に発行して、新しい Web インターフェイスを使用して Web ブラウザー経由でデータベース ソリューションを操作する方法を説明します。

Access 2010 Web データベースの作成

この Visual How To では、Access 2010 の新しい機能を使用する複雑なソリューションの作成方法ではなく、Web データベースの発行および使用方法を説明します。

以下に、Access 2010 Web データベースを作成する手順を示します。

  1. Access 2010 を起動します。Access によって Microsoft Office Backstage ビューが表示されます。これで、新しいデータベースを作成できます。

  2. 左側のナビゲーション ウィンドウにある [新規作成] タブをクリックし、[使用できるテンプレート] から [空の Web データベース] を選択します。Web データベースを作成すると、データベースによって使用される機能が Web 発行機能と互換性があることの確認に役立ちます。Web 互換性の詳細については、この記事の「手順」セクションを参照してください。

    図 1. 空の Web データベース テンプレートの選択


    [空の Web データベース] テンプレートの選択

  3. [ファイル名] を「PartsAndSuppliers」に変更し、[作成] をクリックします。Table1 という名前のテーブルを 1 つ含むデータベースのローカル コピーが Access によって作成された後、Table1 テーブルに次のフィールドを追加します。

    表 1. Table1 テーブルのフィールド

    フィールドの名前

    フィールドの種類

    仕入先名

    テキスト

  4. 変更内容をテーブルに保存し、確認メッセージが表示された場合はテーブルの名前を「仕入先」に設定します。

  5. 一度に 1 行ずつ仕入先テーブルに入力できる Web フォームをデータベースに追加します。リボンの [作成] タブをクリックし、[フォーム] リボン グループの [フォーム] をクリックします。Access によって仕入先テーブル用の新しい Web フォームが作成されます。

  6. 変更内容をデータベースに保存します。Access から新しいフォームの名前の入力を求められます。"仕入先" という既定の名前を受け入れます。

  7. 新しいテーブルを作成します。リボンの [作成] タブをクリックし、[テーブル] リボン グループ内の [テーブル] ボタンをクリックします。次のフィールドを新しいテーブルに追加します。

    表 2. 新しいテーブルのフィールド

    フィールドの名前

    フィールドの種類

    部品名

    テキスト

    仕入先

    ルックアップ & リレーションシップ

  8. ルックアップ & リレーションシップというフィールドの種類が指定されると、Access はルックアップ ウィザードを起動して、このフィールドを構成します。ルックアップ ウィザードの最初のページで、この新しいフィールドが別のテーブルから値を取得することを指定し、[次へ] をクリックします。

  9. ルックアップ ウィザードの 2 ページ目では、仕入先テーブルをルックアップ値の取得元テーブルとして選択し、[次へ] をクリックします。

  10. ルックアップ ウィザードの 3 ページ目では、仕入先名フィールドをルックアップ値の取得元フィールドとして選択し、[次へ] をクリックします。

  11. ルックアップ ウィザードの 4 ページ目では、一覧に表示されているルックアップ値を仕入先名の昇順に並び替え、[次へ] をクリックします。

  12. ルックアップ ウィザードの 5 ページ目では、[新しいフィールドの名前を仕入先にする] をクリックし、[完了] をクリックします。

    Access から新しいテーブル名の入力を求められます。新しいテーブルに「部品」という名前を付け、[OK] をクリックします。

  13. 一度に 1 行ずつ部品テーブルにデータを入力できる Web フォームをデータベースに追加します。リボンの [作成] タブをクリックし、[フォーム] リボン グループの [フォーム] をクリックします。Access によって部品テーブル用の新しい Web フォームが作成されます。変更内容をデータベースに保存し、新しい Web フォームの "部品" という既定の名前を受け入れます。

  14. ナビゲーション コントロールを使用するフォームをデータベースに追加して、フォーム間のナビゲーションを有効にします。リボンの [作成] タブをクリックし、[フォーム] リボン グループの [ナビゲーション] をクリックします。ドロップダウン メニューから [水平タブ] アイテムを選択します。

    Access により、ナビゲーション コントロールを備えた新しいナビゲーション フォームが作成されます。変更内容をデータベースに保存します。確認メッセージが表示された場合は、ナビゲーション フォームの既定の名前を受け入れます。

  15. ナビゲーション フォーム上のナビゲーション コントロールにタブを追加します。[部品] および [仕入先 ] フォームをナビゲーション フォーム上のナビゲーション コントロールにドラッグします。変更内容をデータベースに保存します。

  16. ユーザーが Access Services で Web データベースを初めて開いたときに表示されるように、このナビゲーション フォームを既定の Web フォームとして構成します。

  17. リボンの [ファイル] タブをクリックし、左側のナビゲーション ウィンドウにある [オプション] をクリックします。Access によって [Access のオプション] フォームが表示されます。[カレント データベース] カテゴリを選択し、Web 表示フォームの設定をナビゲーション フォームに変更します。[OK] をクリックして、変更内容を保存します。

以下に、データベースを SharePoint Server 2010 に発行する手順を示します。

  1. リボンの [ファイル] タブをクリックして、Backstage ビューを表示します。左側のナビゲーション ウィンドウにある [情報] タブに Web データベースに関する情報が表示されます。

    図 2. Backstage ビュー


    Backstage ビュー

  2. [Access Services に発行] をクリックします。[Access Services の概要] ウィンドウが表示され、データベースの Web 互換性をチェックするオプションや、データベースを Access Services に発行するオプションが提示されます。互換性チェックでは、データベースをテストして、Access Services との互換性を損なうようなアイテムや設定がないことを確認できます。この場合は、サンプル データベースが Web データベース テンプレートに基づいており、ソリューションが単純になるように設計されているので、この手順をスキップします。

  3. [Access Services へ発行] セクションで、データベースの発行先となる SharePoint サイトの URL を指定します。サイト名を「PartsAndSuppliers」と指定し、[Access Services へ発行] をクリックします。

    図 3. Access Services への発行


    Access Services への発行

  4. SharePoint によって接続用の資格情報の入力を求められます。SharePoint Server 上で新しいサイトを作成する権限を持つユーザーの名前とパスワードを入力し、[OK] をクリックします。Access により、データベース内のオブジェクトが処理され、データベースが SharePoint に発行されます。また、サーバー上に保存されたデータを持つデータベースのローカル コピーとの同期が行われます。データベースが発行されると、Access によって発行成功のメッセージが新しい Web データベース アプリケーションへのリンクと共に表示されます。

  5. 新しいサイトへのリンクをクリックして、Web ブラウザーで Web アプリケーションを開きます。Access Services によってナビゲーション フォームが表示されます。

    図 4. Web ブラウザー内の Web データベース


    Web ブラウザー内の Web データベース

以下に、新しい Web インターフェイスを使用して、Web ブラウザー経由でデータベースを操作する手順を示します。

  1. 仕入先テーブルに仕入先を追加します。ナビゲーション フォームの [仕入先] タブをクリックすると、仕入先 Web フォームが表示されます。仕入先名をフォームに入力し、フロッピー ディスクのアイコンをクリックして新しいレコードを仕入先テーブルに保存します。

  2. 部品テーブルに新しい部品を追加します。ナビゲーション フォームの [部品] タブをクリックすると、部品 Web フォームが表示されます。部品名をフォームに入力し、先ほど追加した仕入先を選択して、フロッピー ディスク アイコンのクリックによって新しいレコードを部品テーブルに保存します。

  3. Access クライアントで、部品テーブルを開きます。データベースのローカル コピーは自動的に更新されており、Web ブラウザー経由で入力した新しいレコードが部品テーブルに表示されます。

  4. Access クライアントを持つデータベースのローカル コピー内にある部品テーブルに新しいレコードを追加します。

  5. Web アプリケーションで、ブラウザーを最新の情報に更新します。部品 Web フォームの表示により、Access クライアントを使用して先ほど追加した 2 番目のレコードが部品テーブルに含まれていることがわかります。

手順

データを管理および共有する

Access 2010 と Access Services は、データの管理、分析、および共有が容易になるように設計されています。Access 2010 と Access Services を使用することで、ユーザーは各自の Access データベース ソリューションを SharePoint Server 2010 に発行でき、標準に準拠した Web ブラウザーを実行できる任意のデバイスからこのソリューションを操作できるようになります。

SharePoint Server に発行された Access Web データベースでは、テーブル、クエリ、フォーム、マクロ、レポートなど、標準オブジェクトを使用できます。Access Services は、これらのオブジェクトを SharePoint 内に格納しており、Access クライアントによるものに匹敵する適合性を備えた Web アプリケーションを表示できます。

データ キャッシュとオフライン サポート

Access クライアントと Access Services 間のデータ キャッシュにより、エンド ユーザーや開発者は Web データベースとそのデータに対してオフラインで変更を加えることができ、またそうした変更の同期を再接続時にサーバーとの間で自動的に取ることができます。Access 2010 では、リンク テーブルのキャッシュが改良されています。リスト データはローカル テーブルにキャッシュされ、大きなリストを処理するパフォーマンスが向上します。

Web 互換性のチェック

Access クライアントは、Web 互換性チェックの機能や Web 向けデザインのモードを備えています。Web 向けデザインのモードを使用することで、データベース ソリューションの作成者は、自らのアプリケーションを Web への発行に確実に対応させることができ、互換性のないオブジェクトを除外するために貴重な時間を費やさずに済みます。

以下に、SharePoint へのデータベースの発行の支障となる問題の例をカテゴリ別に示します。

フォームおよびレポート

すべてのフォーム コントロール イベントが Web データベースでサポートされるわけではありません。サポートされているコントロール イベントは、次のとおりです。

  • AfterUpdate

  • OnApplyFilt

  • OnChange

  • OnClick

  • OnCurrent

  • OnDblClick

  • OnDirty

  • OnLoad

バインドされたコントロールは、レポート ヘッダー、レポート ページ ヘッダー、レポート ページ フッターではサポートされていません。コントロールのバインドを解除するか、レポートの詳細セクションまたはレポート フッターにコントロールを移動する必要があります。

リレーションシップおよびルックアップ

ルックアップ列を持つテーブルには主キーが必要であり、この主キーは Long データ型でなければなりません。また、ルックアップの参照元と参照先の両フィールドは、長整数型でなければなりません。

すべての列データ型に Web ルックアップとの互換性があるわけではありません。ルックアップ フィールドは、サポートされている次のデータ型のいずれかでなければなりません。

  • 1 行テキスト

  • 日付/時刻

  • 数値

  • 1 行テキストを返す集計フィールド

スキーマ

すべてのフィールド データ型に Web との互換性があるわけではありません。サポートされているフィールド データ型は、次のとおりです。

  • テキスト

  • 数値

  • 通貨

  • はい/いいえ

  • 日付/時刻

  • 集計フィールド

  • 添付ファイル

  • ハイパーリンク

  • メモ

  • ルックアップ

フィールド数が 220 を超えるテーブルは、Web との互換性がありません。

一般的な問題

プロパティ値で使用される特定の文字は、Web との互換性がありません。オブジェクトまたはコントロールの名前を Web 互換にするためには、次のルールのすべてに従う必要があります。

  • 名前には、ピリオド (.)、感嘆符 (!)、角かっこ ([ ])、先頭の空白、印刷できない文字 (改行復帰など) を含めることはできません。

  • 名前には、/ \ : * ? "" < > | # <TAB> { } % ~ & の各文字を含めてはなりません。

  • 名前の最初の文字には、等号 (=) を使用できません。

  • 名前は、1 ~ 64 文字の長さでなければなりません。

ビデオ

ビデオ スプラッシュ スクリーン

ビデオを見る (英語)

長さ: 07:44 | サイズ: 7.00 MB | 形式: WMV ファイル

クリックしてコードを取得

コードを取得する (英語)

関連情報