Excel for Windows および Excel for the Mac でプログラムによってファイルを選択する

[アーティクル]
06/24/2015

**概要:**Microsoft Excel for Microsoft Window と Microsoft Excel for the Mac の GetOpenFilename メソッドについて、および Mac 用のこのメソッドの制限を解消する方法について説明します。

適用対象: Excel 2010 | Office 2010 | SharePoint Server 2010 | VBA

公開: 2011 年 12 月

提供元: Ron de Bruin、Excel MVP | Frank Rice、Microsoft Corporation

GetOpenFileName メソッドの概要
GetOpenFilename メソッドの詳細
Windows と Mac の実装の違い
Windows で GetOpenFilename メソッドを使用する
Mac の Excel 2011 で GetOpenFilename メソッドを使用するための対処方法
Windows または Mac で適切なマクロを実行する
まとめ
その他の技術情報

GetOpenFileName メソッドの概要

Microsoft Excel for Mac 2011 を使用すると、すべてのデータとリストを分析、編成、および管理できます。その情報は、オンラインで簡単に保存、編集、および共有することができます。一般的に、開発者はコードを記述し、プログラムによってユーザーが 1 つ以上のファイルをダイアログボックスで選択できるようにします。これを行うには、Application.GetOpenFilename メソッドを使用します。このメソッドは、標準の [開く] ダイアログボックスを表示し、ファイルを実際に開かずに、ユーザーからファイル名を取得します。通常、ファイル名は変数に返され、後からマクロで使用されます。

GetOpenFilename メソッドは、Excel for Microsoft Windows および Excel for the Macintosh (Mac) が実行されているコンピューターで使用します。ただし、各オペレーティングシステムでのメソッドの実装方法には違いがあります。この記事では、その違いと、Mac でメソッドを使用するときの対処方法について説明します。

GetOpenFilename メソッドの詳細

前に説明したように、GetOpenFilename メソッドは、標準の [開く] ダイアログボックスを表示し、指定されたファイル名を、ユーザーによって入力されたフィルターが適用されたリストから取得します。次の表では、メソッドのパラメーターについて説明します。

名前	必須またはオプション	データ型	説明
FileFilter	オプション	バリアント	ファイルフィルター基準を指定する文字列。
FilterIndex	オプション	バリアント	既定のファイルフィルター基準のインデックス番号を、1 から FileFilter で指定されたフィルター番号の範囲内で指定します。この引数を省略した場合、または存在するフィルター番号よりも引数の方が大きい場合は、最初のファイルフィルターが使用されます。
Title	オプション	バリアント	ダイアログボックスのタイトルを指定します。この引数を省略した場合、タイトルは [開く] になります。
ButtonText	オプション	バリアント	Mac でのみ使用されます。
MultiSelect	オプション	バリアント	True に設定すると、複数のファイル名を選択できます。False の場合は、1 つのファイル名しか選択できません。既定値は False です。

FileFilter 引数に渡されるデータは、ファイルフィルター文字列と MS-DOS ワイルドカードファイルフィルターのペアで構成され、各部分および各ペアがコンマで区切られています。たとえば、Text Files (*.txt),*.txt は、テキストファイルのフィルターを指定します。

Windows と Mac の実装の違い

GetOpenFilename メソッドの実装方法には、Microsoft Windows と Mac の間にいくつか違いがあります。上記の表で示すように、Mac で使用できるのは ButtonText パラメーターのみです。FileFilter パラメーターと MultiSelect パラメーターは Mac では使用できません。これらのパラメーターがないので、GetOpenFileName は、Mac ではあまり便利とは言えません。ただし、この記事で後述する Apple Script による対処方法により、同じ機能を利用することはできます。

GetOpenFilename メソッドを呼び出したときに開くフォルダーを設定するときの動作は、Mac と Windows では異なります。Windows では、ChDrive および ChDir を使用してこのフォルダーを設定します。これらの引数は、Mac では動作しません。これに対処するには、Apple Script でコード行を使用し、このフォルダーを設定します。

注意

Microsoft Excel 2002 for Windows 以降を使用している場合は、Application.FileDialog メソッドを使用することもできます。さらに、GetOpenFileName メソッドは、Microsoft Excel 97 および Microsoft Excel 2000 でも動作します。

以下のセクションでは、Windows が実行されているコンピューターで GetOpenFilename メソッドを使用する方法について説明します。

Windows で GetOpenFilename メソッドを使用する

次に示す例では、Windows が実行されているコンピューターで GetOpenFilename メソッドを使用しています。コード例では、次のタスクを実行します。

現在のディレクトリを保存し、そのディレクトリを、MyPath 変数で設定したフォルダーに変更します。
参照ダイアログボックスと、MyPath 変数によって指定されたフォルダーをアクティブフォルダーとして開き、このフォルダー内の .xls ファイルのみを表示します。
MultiSelect 引数が True に設定されているので、1 つ以上のファイルを選択します。
選択した各ファイルを 1 つずつ開き、ファイル名が示されたメッセージボックスを表示します。MsgBox 行は、必要に応じて、独自のコードに置き換えることができます。
ファイルを保存しないで閉じます。SaveChanges 引数を True に設定すると、ファイルを保存できます。

GetOpenFilename メソッドを Excel for Windows に追加するには

標準のモジュールを、ブック内の Microsoft Visual Basic for Applications (VBA) プロジェクトに追加します。Alt キーを押しながら F11 キーを押して Visual Basic Editor を開き、[挿入]、[モジュール] の順にクリックします。

次のマクロをモジュールに貼り付けるか入力します。

    Sub Select_File_Or_Files_Windows()
        Dim SaveDriveDir As String
        Dim MyPath As String
        Dim Fname As Variant
        Dim N As Long
        Dim FnameInLoop As String
        Dim mybook As Workbook

        ' Save the current directory.
        SaveDriveDir = CurDir

        ' Set the path to the folder that you want to open.
        MyPath = Application.DefaultFilePath

        ' You can also use a fixed path.
        'MyPath = "C:\Users\Ron de Bruin\Test"

        ' Change drive/directory to MyPath.
        ChDrive MyPath
        ChDir MyPath

        ' Open GetOpenFilename with the file filters.
        Fname = Application.GetOpenFilename( _
                FileFilter:="Excel 97-2003 Files (*.xls), *.xls", _
                Title:="Select a file or files", _
                MultiSelect:=True)

        ' Perform some action with the files you selected.
        If IsArray(Fname) Then
            With Application
                .ScreenUpdating = False
                .EnableEvents = False
            End With

            For N = LBound(Fname) To UBound(Fname)

                ' Get only the file name and test to see if it is open.
                FnameInLoop = Right(Fname(N), Len(Fname(N)) - InStrRev(Fname(N), Application.PathSeparator, , 1))
                If bIsBookOpen(FnameInLoop) = False Then

                    Set mybook = Nothing
                    On Error Resume Next
                    Set mybook = Workbooks.Open(Fname(N))
                    On Error GoTo 0

                    If Not mybook Is Nothing Then
                        MsgBox "You opened this file : " & Fname(N) & vbNewLine & _
                               "And after you press OK, it will be closed" & vbNewLine & _
                               "without saving. You can replace this line with your own code."
                        mybook.Close SaveChanges:=False
                    End If
                Else
                    MsgBox "We skipped this file : " & Fname(N) & " because it is already open."
                End If
            Next N
            With Application
                .ScreenUpdating = True
                .EnableEvents = True
            End With
        End If

        ' Change drive/directory back to SaveDriveDir.
        ChDrive SaveDriveDir
        ChDir SaveDriveDir
    End Sub


    Function bIsBookOpen(ByRef szBookName As String) As Boolean
    ' Contributed by Rob Bovey
        On Error Resume Next
        bIsBookOpen = Not (Application.Workbooks(szBookName) Is Nothing)
    End Function

さらにフィルターを追加するには、マクロ内で次のコードを使用して, .xls ファイルおよび .csv ファイルでフィルター処理を実行します。

    Fname = Application.GetOpenFilename( _
            FileFilter:="XLS Files (*.xls),*.xls,CSV Files (*.csv),*.csv", _
            Title:="Select a file or files", _
            MultiSelect:=True)

Alt キーを押しながら Q キーを押して、Visual Basic Editor を閉じます。
Alt キーを押しながら F8 キーを押して、マクロダイアログボックスを開き、マクロを実行します。

Mac の Excel 2011 で GetOpenFilename メソッドを使用するための対処方法

前のセクションで説明したように、Excel 2011 での GetOpenFileName メソッドの使用には制限が伴うので、最適なオプションとは言えません。ただし、VBA コードと Apple Script を組み合わせて使用すれば、同じ操作を実行できます。これを行うには、次の説明に従って、Apple Script 文字列を作成し、その文字列を VBA MacScript 関数と実行します。コード例では、次のタスクを実行します。

参照ダイアログボックスと、MyPath 値をアクティブフォルダーとして開き、このフォルダー内の .xls ファイルのみを表示します。
Apple Script で複数選択のオプションが True に設定されているので、1 つ以上のファイルを選択します。
選択した各ファイルを 1 つずつ開き、ファイル名が示されたメッセージボックスを表示します。MsgBox 行を独自のコードに置き換えて、ファイルごとに必要な操作を行うことができます。
ファイルを保存しないで閉じます。SaveChanges 引数を True に設定すると、ファイルを保存できます。

Excel for the Mac で 1 つ以上のファイルを選択するには

Visual Basic Editor を開くには、[ツール]、[マクロ]、[Visual Basic Editor] の順にクリックします。
標準のモジュールを挿入するには、[挿入]、[モジュール] の順にクリックします。

次のマクロおよび関数をモジュールに貼り付けるか入力します。

    Sub Select_File_Or_Files_Mac()
        Dim MyPath As String
        Dim MyScript As String
        Dim MyFiles As String
        Dim MySplit As Variant
        Dim N As Long
        Dim Fname As String
        Dim mybook As Workbook

        On Error Resume Next
        MyPath = MacScript("return (path to documents folder) as String")
        'Or use MyPath = "Macintosh HD:Users:Ron:Desktop:TestFolder:"

        ' In the following statement, change true to false in the line "multiple 
        ' selections allowed true" if you do not want to be able to select more 
        ' than one file. Additionally, if you want to filter for multiple files, change 
        ' {""com.microsoft.Excel.xls""} to 
        ' {""com.microsoft.excel.xls"",""public.comma-separated-values-text""}
        ' if you want to filter on xls and csv files, for example.
        MyScript = _
        "set applescript's text item delimiters to "","" " & vbNewLine & _
                   "set theFiles to (choose file of type " & _
                 " {""com.microsoft.Excel.xls""} " & _
                   "with prompt ""Please select a file or files"" default location alias """ & _
                   MyPath & """ multiple selections allowed true) as string" & vbNewLine & _
                   "set applescript's text item delimiters to """" " & vbNewLine & _
                   "return theFiles"

        MyFiles = MacScript(MyScript)
        On Error GoTo 0

        If MyFiles <> "" Then
            With Application
                .ScreenUpdating = False
                .EnableEvents = False
            End With

            MySplit = Split(MyFiles, ",")
            For N = LBound(MySplit) To UBound(MySplit)

                ' Get the file name only and test to see if it is open.
                Fname = Right(MySplit(N), Len(MySplit(N)) - InStrRev(MySplit(N), Application.PathSeparator, , 1))
                If bIsBookOpen(Fname) = False Then

                    Set mybook = Nothing
                    On Error Resume Next
                    Set mybook = Workbooks.Open(MySplit(N))
                    On Error GoTo 0

                    If Not mybook Is Nothing Then
                        MsgBox "You open this file : " & MySplit(N) & vbNewLine & _
                               "And after you press OK it will be closed" & vbNewLine & _
                               "without saving, replace this line with your own code."
                        mybook.Close SaveChanges:=False
                    End If
                Else
                    MsgBox "We skipped this file : " & MySplit(N) & " because it Is already open."
                End If
            Next N
            With Application
                .ScreenUpdating = True
                .EnableEvents = True
            End With
        End If
    End Sub

    Function bIsBookOpen(ByRef szBookName As String) As Boolean
    ' Contributed by Rob Bovey
        On Error Resume Next
        bIsBookOpen = Not (Application.Workbooks(szBookName) Is Nothing)
    End Function

次に、Cmd キーを押しながら Q キーを押すか、[Excel]、[閉じる] の順にクリックし、Visual Basic Editor を閉じます。
[ツール]、[マクロ]、[マクロ] の順にクリックし、マクロダイアログボックスを開き、マクロを実行します。

注意

また、[開発者] タブをリボンに追加して Excel 2011 のマクロを実行することもできます。Excel を起動して、メニューバーの [Excel] をクリックし、メニューの [基本設定] をクリックします。[Excel 環境設定] ウィンドウが開いたら、[リボン] をクリックします。[リボン] ページが開いたら、[カスタマイズ] リストを下にスクロールし、[開発者] を選択します。[OK] をクリックして、変更内容を保存します。

このコードは、xls ファイルでのみフィルター処理を実行します。他には次のオプションがあります。
- xlsx: org.openxmlformats.spreadsheetml.sheet
- xlsm: org.openxmlformats.spreadsheetml.sheet.macroenabled
- xlsb: com.microsoft.Excel.sheet.binary.macroenabled
- xls: com.microsoft.Excel.xls
- csv: public.comma-separated-values-text
- docx: org.openxmlformats.wordprocessingml.document
- docm: org.openxmlformats.wordprocessingml.document.macroenabled
- doc: com.microsoft.word.doc
- pptx: org.openxmlformats.presentationml.presentation
- pptm: org.openxmlformats.presentationml.presentation.macroenabled
- ppt: com.microsoft.powerpoint.ppt

Windows または Mac で適切なマクロを実行する

Windows ユーザーと Mac ユーザーの両方がいる場合、各オペレーティングシステムでファイルの検索をプログラムで実行するには、前に示した両方のマクロを Excel プロジェクトに追加し、次のマクロを使用して、特定のオペレーティングシステムをテストしたうえで、適切なマクロを実行します。

    Sub WINorMAC()
    ' Test for the operating system.
        If Not Application.OperatingSystem Like "*Mac*" Then
            ' Is Windows.
            Call Select_File_Or_Files_Windows
        Else
            ' Is a Mac and will test if running Excel 2011 or higher.
            If Val(Application.Version) > 14 Then
                Call Select_File_Or_Files_Mac
            End If
        End If
    End Sub
    
    Sub WINorMAC_2()
    ' Test the conditional compiler constants.
        #If Win32 Or Win64 Then
            ' Is Windows.
            Call Select_File_Or_Files_Windows
        #Else
            ' Is a Mac and will test if running Excel 2011 or higher.
            If Val(Application.Version) > 14 Then
                Call Select_File_Or_Files_Mac
            End If
        #End If
    End Sub

まとめ

この記事では、GetOpenFilename メソッドについて説明し、このメソッドを Windows バージョンと Mac バージョンの Excel で実装する方法の違いについて説明しました。また、Mac におけるメソッドの制限を解消する方法も確認しました。こうした情報を把握することで、どの方法が、使用しているアプリケーションに適しているかについて適切な判断を下すことができます。

その他の技術情報

この記事に記載されているトピックの詳細については、次の追加情報を参照してください。