Excel 2007 での移行に関する考慮事項

更新日: 2007年3月

適用対象: Office Resource Kit

 

トピックの最終更新日: 2015-03-09

Microsoft Office Excel 2007 は、いっそう堅牢さを増した多くの高度な機能を提供します。Office Excel 2007 に移行する前に、これらの変更について理解し、個々の変更が移行の範囲と期間にどのように影響するかを判断する必要があります。最も大きい機能の違いと、それぞれの違いに対応する動作を以下に要約して示します。

Microsoft Office Migration Planning Manager (OMPM) が、移行と移行の計画時に役立ちます。OMPM には、ファイルをスキャンするツールと変換するツールが含まれています。これらのツールは、組織が既存ドキュメントの一覧を取得し、ドキュメントの 2007 Microsoft Office system への対応状況を分析し、移行に影響を及ぼす可能性のある互換性の問題に関するレポートを作成するのに役立ちます。OMPM の詳細については、「Office Migration Planning Manager を使用して環境を評価する」を参照してください。

Office Excel 2007 での変更点

以前のバージョンの Office Excel と Office Excel 2007 との間の 3 つの基本的な違いを次に示します。

  • 新しいオープン XML 形式

  • 大幅に拡大されたシート サイズ

  • 多くのシングルクリック コマンドを提供する結果指向のユーザー インターフェイス。

新しいファイル形式

Microsoft Office Word 2007、Microsoft Office PowerPoint 2007、および Office Excel 2007 では、新しいオープン XML 形式が使用されます。オープン XML 形式は、以前のバージョンの Microsoft Office のバイナリ ベースのファイル形式とは異なり、ドキュメントとバックエンド システムとの間のデータ統合を促進するコンパクトで堅牢なファイル形式です。

Open XML 形式は、Ecma International が多数のテクノロジ ベンダと協力して策定したオープン スタンダードです。この標準により、異種混在環境において最大限の相互運用性が実現し、テクノロジ プロバイダは 2007 Office system で作成したファイルを自社のソリューションに統合できます。

2007 Office system をインストールした後でも、引き続き、以前のバイナリ ファイル形式で生成されたブックを開いたり、編集したり、保存したりできます。これらのブックをオープン XML 形式に変換することもできます。これにより、さまざまなベンダのアプリケーション間での相互運用性が高まります。このため、オープン XML 形式は長期的なソリューションとして適しています。ブックを以前の形式からオープン XML 形式に変換するには、[Microsoft Office ボタン] をクリックし、[変換] をクリックします。ファイル形式の詳細については、「2007 Office system のファイル形式リファレンス」を参照してください。

Caution注意
組織で既存のブックをオープン XML 形式に変換する前に、ブック間の既存のリンクを考慮する必要があります。以前のバージョンの Office Excel ではオープン XML 形式で保存されたブックへのリンクを更新できないため、リンクされたブックはすべて同時に変換する必要があります。

シート サイズの拡大

Office Excel 2007 では、シートのサイズが拡大されており、より精巧で詳細なブックを作成できます。拡大されたシートでは、16,000 を超える列および 1,000,000 を超える行を収容できます。ただし、拡大されたシート サイズは以前のバージョンの Office Excel とは互換性がありません。以前のシート サイズ (A1:IV65536) の外側にあるセルに入力されたデータは、ブックが Office Excel 97-2003 ブックとして保存されると完全に削除されます。以前のシート サイズの外側にあるセルを参照するすべての数式も無効になります。

以前のバージョンを使用しているユーザーとブックを共有することを予定している場合、Office Excel 2007 のユーザーは以前のバージョンのシート サイズの外側にデータを入力しないようにする必要があります。別の方法として、互換モードを使用できます。このモードを使用すると、シート サイズが以前のバージョンの Office Excel のシート サイズに制限されるため、これらの問題を回避できます。

新しいユーザー インターフェイス

Office Excel 2007 では、新しい Microsoft Office Fluent ユーザー インターフェイスの利点を活用して、簡単にアクセスでき、生産性を高める強力なツールを提供しています。ほとんどのメニュー、ツールバー、および作業ウィンドウは、操作の対象またはシナリオ別に並べたコマンドをタブでグループ分けしたリボン インターフェイスに置き換えられています。リボン インターフェイスを使用すると、少ない手順で多くの機能にアクセスできます。Office Excel 2007 に移行した後では、Office Excel 2007 よりも以前のバージョンで作成されたブックを操作している場合でも、新しいユーザー インターフェイスを利用できます。

Office Excel 2007 で Excel 97–2003 ブックを開く

以前のバージョンの Office Excel で使用可能な機能のほとんどは、ブックを Office Excel 2007 で開いた場合にも引き続き利用できます。ただし、ブックで使用されている機能が削除または変更されていたり、数式がブックを作成したときに使用されたファイル形式または特定のバージョンの Office Excel に関連付けられていたりするために、ブックの動作が期待とは異なる場合があります。

ここでは、Office Excel 2007 で利用できないか、または大きく変更されている、以前のバージョンの Office Excel の以下の領域の機能について説明します。

  • 互換性ツール

  • ファイル形式の変更

  • 視覚効果とデザイン

  • リストとピボットテーブル

  • 参照と名前

互換性ツール

Office Excel 2007 には、以前のバージョンの Office Excel で使用されていた一般的な機能のほとんどに対して、互換性サポートが用意されています。以前のバージョンの Office Excel で使用されることが少なかったいくつかの機能は、廃止または削除されました。常に使用する機能のほとんどは、Office Excel 2007 でも使用できます。Office Excel 2007 には、異なるバージョンの Office Excel 間での移行時にデータの損失を防ぐ互換性の保護手段も追加されています。

互換モード

互換モードは、Office Excel 97-2003 ファイル形式に関連付けられており、以前のバージョンの Office Excel と互換性のない Office Excel 2007 の新機能を無効にします。たとえば、互換モードで実行されている Office Excel 2007 でブックを開くと、拡大されたシート サイズは無効になり、以前のバージョンの Office Excel の小さいシート範囲を超えてデータ、数式、または参照を入力することはできません。

Office Excel 97-2003 ファイル形式 (.xls) で保存されたブックを開くと、ブックは自動的に互換モードで動作します。同様に、以前のバージョンの Office Excel で使用する予定の新しいブックで作業するときは、互換モードをオンにすると (ファイルを Office Excel 97-2003 ファイル形式で保存して閉じ、再度開く)、以前のバージョンの Office Excel と互換性のない機能の意図しない使用を防止できます。このオプションは、Office Excel 2007 に移行していない他のユーザーとブックを共有する予定である場合に重要です。

互換モードで作業しているときも、Office Fluent ユーザー インターフェイスを使用してほとんどの新機能にアクセスできます。そのブックでは、拡大されたシート サイズのような互換性のない機能のみがオフになります。同様に、Office Excel 97-2003 ファイル形式で新しいブックを保存すると、そのブックは、次回開いたとき自動的に互換モードに設定されます。互換モードを終了するには、新しいファイル形式のいずれかにブックを変換してから、ブックを再度開きます。[変換] コマンドを使用すると、これを 1 つの手順で実行できます。[Microsoft Office ボタン] をクリックし、次に [変換] をクリックするだけです。

互換性チェック

既定では、ブックを Office Excel 97-2003 ファイル形式で保存するときに互換性チェックが自動的に機能し、以前のバージョンの Office Excel でサポートされていない機能や特性が使用されているかどうかがスキャンされます。互換性チェックを無効にすることもできます。その場合、ブックを以前のファイル形式で保存するときに、互換性チェックは自動実行されません。

互換性チェックにより、2 種類の互換性の問題が検出されます。以前のバージョンの Office Excel から継続して実装されているが動作が異なる機能と、互換モードでは無効な、以前のバージョンの Office Excel では動作しない機能です。問題が検出された場合はダイアログ ボックスが表示され、ユーザーはデータや機能が失われる前に問題を認識し対処することができます。互換性チェックでは、ブック内で検出された問題が一覧で表示され、問題ごとの出現数が集計して示されます。問題の特定に役立つツールと、検出された問題の種類に応じた追加ヘルプも示されます。

ファイル形式の変更

Office Excel 2007 のオープン XML 形式は、以前のバージョンの Office Excel のバイナリ データ形式を正確に反映し、表現します。つまり、以前のバージョンの Office Excel で作成されたほとんどのブックの読み取りと変更を、Office Excel 2007 で行うことができます。

より堅牢なオープン XML 形式には、より多くのファイルの種類が含まれます。いつくかのファイルの種類は、一般的に使用されなくなっています。このため、名前と拡張子に対して次の変更が行われました。

  • 一部の古いファイルの種類がサポートされなくなりました。

  • Office Excel 97-2003 のファイル形式名は、混乱を避けるために変更されました。

  • 新しい Office Excel 2007 ファイル形式には、新しい名前と新しいファイル名拡張子が割り当てられました。

ファイル名およびファイル名拡張子の追加または名前変更

Office Excel 2007 で利用できる新しいファイル形式には、新しいファイル名拡張子が割り当てられました。これらの新しい名前付け規則は、複数のバージョンの Office Excel で作業する場合に、混乱を避けるのに役立ちます。新しいファイル名オプションを次の表に示します。これらは、[名前を付けて保存] ダイアログ ボックスで表示されます。

ファイルの種類 ファイル名拡張子

Office Excel 2007 ブック

.xlsx

Office Excel 2007 マクロ有効ブック

.xlsm

Office Excel 2007 バイナリ ブック

.xlsb

Office Excel 2007 テンプレート

.xltx

Office Excel 2007 マクロ有効テンプレート

.xltm

Office Excel 2007 アドイン

.xlam

一部のファイル形式に対するサポート終了

いくつかの古いファイル形式は、使用されることがあったとしても、ごくまれです。このため、Office Excel 2007 では、そのような形式をサポートしていません。Office Excel 2007 への移行後、次のファイル形式に基づくブックは開くことも保存することもできません。

  • WK1 (1-2-3)

  • WK4 (1-2-3)

  • WJ3 (1-2-3 日本語) (.wj3)

  • WKS (1-2-3)

  • WK3 (1-2-3)

  • WK1、FMT (1-2-3)

  • WJ2 (1-2-3 日本語) (.wj2)

  • WJ3、FJ3 (1-2-3 日本語) (.wj3)

  • DBF 2 (dBASE II)

  • WQ1 (Quattro Pro/DOS)

  • WK3、FM3 (1-2-3)

  • Microsoft Excel グラフ (.xlc)

  • WK1、ALL (1-2-3)

  • WJ1 (1-2-3 日本語) (.wj1)

  • WKS (Works 日本語) (.wks)

発行専用の HTML ファイル形式

主要なファイル形式としての使用が制限されるので、Office Excel 2007 では、HTML ファイル形式に Excel の機能に関する情報を保存しません。発行用の形式として、[Web ページとして保存] コマンドが主に使用されるため、Web ブラウザで表示するためのドキュメントを作成する方法として、この形式は引き続きサポートされます。HTML ファイルは、引き続き Office Excel 2007 で開くことができます。以前のバージョンの Office Excel で作成されたファイルに Office Excel 固有の機能が含まれている場合、その機能は保持されます。これらのファイルは、ドキュメントの主要なバージョンとして新しいファイル形式のいずれかで保存し、必要なときに HTML に発行するようにしてください。

Microsoft Script Editor

再現性が高いファイル形式としての HTML のサポートを終了する判断の過程で、Office Word 2007、Office PowerPoint 2007、および Office Excel 2007 から Microsoft Script Editor の統合が除去されました。この変更により、Office Excel 2007 では、スクリプトのデバッグ用コンポーネントが既定ではインストールされません。ただし、Microsoft Script Editor を Microsoft Office スイートと共にインストールし、スタンドアロン プログラムとして実行して HTML ファイルを編集することはできます。

視覚効果とデザイン

2007 Office system では、視覚効果とデザインのツールの機能が著しく向上しています。Office Excel 2007 で最も大きな違いのある領域を次に示します。

  • オートフォーマットとスタイル ギャラリー

  • グラフ

  • 図形

オートフォーマット

Office Excel 2007 には、テーブル スタイルおよびピボットテーブル スタイルと呼ばれるギャラリーと機能が含まれています。これらは両方とも、以前のバージョンの Office Excel にあるオートフォーマット機能に比べて、大幅に向上しています。オートフォーマット機能はリボン インターフェイスには含まれていませんが、クイック アクセス ツール バーに追加できます。クイック アクセス ツール バーはアイコンで実行するツール セットです。リボン インターフェイスの上部に表示され、ユーザーがカスタマイズできます。

グラフ

2007 Office system では、グラフは共有の Microsoft Office 描画レイヤの一部になっています。つまり、以前のバージョンの Office Excel に固有のグラフ機能の一部は、Office Excel 2007 では使用できません。ほとんどの場合、それらの機能は、より堅牢な機能に置き換えられています。

一部のグラフ機能は削除または変更されましたが、Office Excel 2007 ユーザーは、以前のバージョンの Office Excel で作成されたとおりにグラフを表示できます。ただし、Office Excel 2007 で使用できなくなったグラフ機能に変更を加えようとすると、問題が発生する場合があります。Office Excel 2007 で使用できない固有のグラフ機能と、これらの違いに対する回避策を以下に示します。

  • 複数のグラフのサイズ変更。 複数のグラフに対してグラフの種類を同時に変更することはできません。 各グラフを個別に変更する必要があります。

  • **F11 キーを押すことによる設定済みのグラフ シートの複製。**設定済みのグラフ シートを表示した状態で F11 キーを押しても、同じデータを持つグラフ シートは作成されません。Office Excel 2007 では、この操作で空白のグラフ シートが作成されます。

  • 3-D グラフを直接に回転。 以前のバージョンの Office Excel では、マウスを使用してグラフの 3-D 表示を直接操作できました。Office Excel 2007 では、この操作を行うには [3-D 回転] ダイアログ ボックスを使用する必要があります。

  • パターンの塗りつぶし。 図形オブジェクト用のパターンの塗りつぶし機能は削除されました。図の塗りつぶしおよびテクスチャの塗りつぶしを使用してください。既存のファイルを読み込むと、以前と同じように表示されます。新しい描画機能の導入の過程で、以前のパターンの塗りつぶしを使用した新しい図形を作成する機能は削除されました。

  • ウィンドウに合わせる。 以前のバージョンの Office Excel には [ウィンドウに合わせる] コマンドがあり、ウィンドウ サイズが変更されたときに、グラフ シートに配置したグラフのサイズを自動的に変更できましたが、この機能は削除されました。[選択範囲に拡大] コマンドを使用して、同様の結果を得ることができます。

  • 入力時のテキスト ボックス自動作成。 選択したグラフに文字を入力するときに、テキスト ボックスは自動作成されなくなりました。 テキスト ボックスを挿入するには、[テキスト ボックスの挿入] コマンドを使用します。

  • Word および PowerPoint での既定の貼り付け動作。 Office Excel 2007 からグラフをコピーして Office Word または Office PowerPoint プレゼンテーション グラフィック プログラムのどちらかに貼り付ける場合の既定の選択肢が、[グラフ (Excel データにリンク)] に変更されました。 この設定は、グラフを貼り付けた直後に表示される [貼り付けのオプション] メニューで [図として貼り付け] または [Excel グラフ (ブック全体)] に変更できます。

  • **データ ソースとしての Word の表。**以前のバージョンの Office Word とは異なり、Office Word 2007 では、表は新しいグラフのデータとして使用できません。選択した Office Word の表のデータではなくサンプル データが表示されます。サンプル データを置き換えるには、実際のデータをコピーして新しいグラフに貼り付けます。

  • 印刷するグラフのサイズ。[ページ設定] ダイアログ ボックスの [グラフ] タブから [印刷するグラフのサイズ] オプションが削除されました。Office Excel 2007 では、動作は Office Excel 2003 の [指定] の設定に一致します。

  • **データをグラフにドラッグ。**以前のバージョンの Office Excel では、データを選択してグラフにドラッグすることで、グラフにデータを追加できました。この機能は、Office Excel 2007 では使用できません。Office Excel 2007 では、データをグラフに追加するその他すべての一般的な方法がサポートされています。

  • **グラフ上のデータ ポイントの直接操作。**以前のバージョンの Office Excel では、グラフ上のデータ ポイントをドラッグすることで、ワークシート上のソース値を変更できました。ほとんど使用されなかったこの機能は、Office Excel 2007 から削除されました。

図形

2007 Office system のすべてのプログラムでは、新しいバージョンの図形を採用し、新しい書式設定機能、アップグレードされたユーザー インターフェイス、新しい Microsoft Office 2007 スタイルおよびテーマとの統合、以前のバージョンの OfficeArt にない他の機能との互換性を提供しています。2007 Office system では、OfficeArt の名前は SmartArt に変更されました。

Office Excel 2007 で Excel 97-2003 ブックを開くと、そのブック内のほとんどの図形は自動的に新しいバージョンの図形に変換されます。これにより、Office Excel 2007 の SmartArt の図形ギャラリーに用意されている機能を活用できます。

自動アップグレードには少数の例外があり、その場合、OfficeArt 図形は以前の形式のまま完全で使用可能な状態を維持します。該当する機能として、コメント、フォーム コントロール (ダイアログ シートの背景など)、Microsoft ActiveX オブジェクト、Office Excel 2007 のさまざまな機能に内部的に使用されている図形 (フィルタ ドロップダウン リスト、監査および循環参照の矢印、データ検証の楕円など)、OLE オブジェクト、カメラ ツール オブジェクト、インク注釈、ヘッダーの図、組織図、古いダイアグラムなどがあります。

以前のバージョンの Office Excel で描画されたアップグレードされない図形は、Office Excel 2007 で描画された図形またはアップグレードされた図形とグループ化することはできません。同様に、アップグレードされたグラフとアップグレードされていないグラフを同時に選択することはできません。その結果、オブジェクトの種類を混在させると、オブジェクトは複数層に重ねられます。このとき、以前のバージョンの図形が、新しいバージョンのすべての図形の上に描画されます。つまり、新しいバージョンのグラフを古いバージョンのダイアログ シートの上に表示することはできません。

グラフは存在していますが、ダイアログ シートの下に重ねられたグラフは表示されません。新しい図形にアクセスするには、[オブジェクトの選択] コマンドを使用する必要があります。以前のバージョンの Office Excel の図形を選択するには、[ユーザー設定] ウィンドウの [複数オブジェクトの選択] コマンドを使用する必要があります。

リストとピボットテーブル

Office Excel 2007 での変更により、リストとピボットテーブルの次の項目が影響を受けます。

  • オートフィルタ

  • AutoFilterMode プロパティ

  • リスト (テーブルに呼称が変更されました)

  • 新しいレコードのテーブルへの追加

  • テーブル名

  • Office SharePoint Server リストおよび Office SharePoint Server 2007 への書き戻し

  • ピボットテーブル

オートフィルタ

フィルタは、データのサブセットまたはブックの一部を表示し、残りの部分を非表示にするために使用します。この機能は Office Excel 2007 で変更され、よく使用されるフィルタのタスク (3 つ以上の条件によるフィルタと書式によるフィルタ) に簡単にアクセスできるようになりました。

AutoFilterMode プロパティ

Office Excel 2003 では、AutoFilterMode プロパティを確認するマクロを作成して、リスト (Office Excel 2007 ではテーブルと呼ばれる) 内に選択があった場合にそのリストでオートフィルタがオンになっていたかどうかを判断できました。Office Excel 2007 では、AutoFilterMode プロパティは、ワークシートのオートフィルタでのみ使用でき、テーブルの構成要素であるオートフィルタでは使用できません。これは、Office Excel 2007 のプロパティが各テーブルに独自の AutoFilter オブジェクトを指定し、そのオブジェクトがテーブルの使用を通じてワークシートごとに複数のオートフィルタを有効にするためです。

リスト (テーブル) の AutoFilterMode プロパティを確認するマクロを含む Office Excel 2003 ブックを開いた場合、AutoFilterMode プロパティは正しく動作しない可能性があります。これは、Office Excel 2003 より前のバージョンの Office Excel で作成されたブックまたはマクロには影響しません。

この問題を修正するには、マクロ レベルではなく List オブジェクトからオートフィルタ タスクを有効にします。

リストからテーブルへの呼称変更

リスト機能は、連絡先、注文などのデータのリストを簡単に管理する方法として、Office Excel 2003 で導入されました。リストは、Office SharePoint Server サイトに保存されているリストまたはデータを Office Excel 2003 に表示するメカニズムでもあります。Office Excel 2007 では、この機能の名前は、Office Word、Office PowerPoint などの他の Microsoft Office プログラムでの名前と一致するように、"テーブル" に変更されました。

この機能は、その他にも変更が加えられ、組織向けツールとしての堅牢性が向上しています。Office Excel 2007 では、以前のバージョンの Office Excel で作成された、リストを含むブックで作業する場合、テーブルの機能にいくつかの動作の違いがあります。それらの違いについて、以下に説明します。

テーブルへの新しいレコードの追加

Office Excel 2003 では、新しいレコードをリストに追加するために使用する特別な行が、リストの下部にあります。この特別な行は Office Excel 2007 のテーブルからは削除されていますが、新しいレコードを追加するのは非常に簡単です。ほとんどの場合、テーブルの直後に入力すると、その行がテーブルに追加されます。テーブルの直後にデータまたは別のオブジェクトが既にある場合は、[テーブル] メニューの [行の挿入] コマンドを使用してください。

テーブル名

Office Excel 2007 では、テーブルを作成すると、同じ範囲に対して定義済みの名前も作成されます。この名前は、新しい構造化された参照機能を使用する数式でテーブルを参照するために使用されます。

以前のバージョンの Office Excel でピボットテーブルおよびテーブルに使用されている名前は、Office Excel 2007 の範囲名の要件を満たさない場合があります。このようなオブジェクトの名前は、数式やその他の場所での使用に適した名前にするために、Office Excel 2007 で開いたときに変更する必要があります。

参照に使用される種類のテーブル名は、Office Excel の既存の機能である "定義された名前" 機能を基礎に構築されているため、スペースを含めることができない、特定の文字が使用できないなど、定義された名前と同じ制約を継承しています。以前にオブジェクト モデルを通じてのみ使用可能であったテーブル名には、同じ制約は適用されません。そのため、2 つの機能は切り離されました。

Office SharePoint Server リストおよび Office SharePoint Server 2007 への書き戻し

Office Excel 2003 では、Office SharePoint Server 2007 サイトに存在するリストへの接続 (読み取り) と更新 (書き込み) がサポートされます。Office Excel 2003 で作成され、Office SharePoint Server 2007 サイトに接続されたリストは、Office Excel 2007 で開いても、引き続き従来どおりに機能します。つまり、ユーザーは Office SharePoint Server 2007 サイトを更新できます。ただし、更新機能は Office Excel 2007 から削除されているため、Office SharePoint Server 2007 サイトに接続された新しいテーブルでは、書き戻しがサポートされません。

1 回限りの書き込みオプションを使用して、Office SharePoint Server 2007 サイトにテーブルを発行することは引き続きできます。発行後、リストへのリンクは、読み取り専用になります。つまり、ユーザーは Office Excel でテーブル データを最新の情報に更新することによって Office SharePoint Server 2007 リストを更新できますが、Office SharePoint Server 2007 サイト上のデータを直接更新することはできません。

これらの新しい動作に加えて、Office SharePoint Server 2007 サイトへの読み取り/書き込み接続は、ブックを新しい Office Excel 2007 ファイル形式に保存するときに読み取り専用接続に変更されます。保存を実行するときに警告メッセージが表示され、操作を取り消して未確定の変更を処理することができます。

Office SharePoint Server 2007 サイトへの読み取り専用接続は、他の外部データ クエリと同様に動作します。たとえば、ID 列は表示されなくなりました。ID 列は、そのリストのビューに含まれる場合にのみ表示されます。ID 列または他の任意の列は削除することができます。また、既存の列を使用して計算した列を途中に挿入したり末尾に追加したりすることができます。さらに、ヘッダーの名前変更、非定型分析のためのデータ値の変更、ワークシート行の挿入または削除、およびカスタム データ検証ルールの適用を行うこともできます。

これらの操作は、Office SharePoint Server 2007 サイト上のデータに影響しません。ユーザーはこれらの変更を保存したり、Office SharePoint Server 2007 サイトを更新したりできないからです。言い換えると、Office SharePoint Server 2007 サイトに接続されたテーブルで作業するときに、読み取り専用モードで動作する通常のブックで作業するのと同じ快適な操作性が得られます。

ピボットテーブル

Office Excel 2007 では、ピボットテーブルの動的な表示の数式とアーキテクチャに多くの変更が加えられています。これらの変更により、ピボットテーブルでより多くの処理を実行できるようになりましたが、以前のバージョンの Office Excel から移行する際に問題が発生する可能性があります。

ピボットテーブルを完全で機能する状態に維持するために、ピボットテーブルのバージョン プロパティは Office Excel のバージョン プロパティから完全に切り離されました。Office Excel 2007 のピボットテーブルは、Version 12 (xlPivotTableVersion12) になりました。以前のバージョンの Office Excel で作成されたピボットテーブルは、異なるバージョン番号になります。たとえば、Version 10 のピボットテーブル (xlPivotTableVersion10) は、Excel 2002 または Office Excel 2003 のどちらかで作成されたものです。

Office Excel 2007 を使用する場合、ピボットテーブルのバージョンは、ユーザーが互換モードで作業しているかどうかによって異なります。現在のブックが互換モードになっている場合、そのブックで作成した新しいピボットテーブルは Version 10 になります。現在のブックが互換モードになっていない場合、新しいピボットテーブルは Version 12 になります。

ブックを互換モードから新しいファイル形式のいずれかに保存した場合、そのブック内のピボットテーブルは、アップグレード対象としてマークされます。各ピボットテーブルを最新の情報に更新すると、テーブルは Version 12 にアップグレードされ、新しい機能がそのテーブルに対して有効になります。

Version 12 のピボットテーブルは、以前のファイル形式を使用してブックを保存する場合でも、Version 10 にダウングレードできません。つまり、Office Excel 2007 で作成された Version 12 のピボットテーブルは、以前のバージョンの Office Excel で開いたときに、変更することも最新の情報に更新することもできません。ただし、Version 12 のピボットテーブルは機能を 1 つも失うことはなく、Office Excel 2007 で再度開いたときには変更または更新できます。

以前のバージョンの Office Excel を使用しているユーザーとピボットテーブルを共有することを計画していて、かつ、それらのユーザーがピボットテーブルを更新する必要がある場合は、ピボットテーブルを必ず Version 10 のピボットテーブルとして作成することが重要です。これを最も簡単に行う方法は、互換モードを使用することです。

バージョンの違いに加えて、ピボットテーブルの動作に影響する他の機能変更も行われています。次の機能は、ユーザーから関心を持たれなかったため、Office Excel 2007 では削除されたか、大幅に降格されています。中には、より堅牢なピボットテーブル ツールによって置き換えられた機能もあります。

集計メンバ

Microsoft OLAP (Online Analytical Processing) キューブに定義された集計メンバは、既定では Version 12 のピボットテーブルに表示されません。これは、集計方法 (メジャー ディメンションの集計メンバ) には適用されません。集計方法は常に表示されます。Office Excel 2003 では、集計メンバは既定で表示されます。ただし、この機能は、Office Excel 2003 および Office Excel 2007 の両方において、オブジェクト モデル (PivotTable.ViewCalculatedMembers) で制御できます。この設定は、Office Excel 2007 の [ピボットテーブル オプション] ダイアログ ボックスにある [表示] タブにも追加されており、集計メンバを必要なときに簡単に表示できるようになっています。

SQL Server 2005 Analysis Services でのフィルタ

OLAP ピボットテーブルの新しいフィルタ機能では、OLAP サーバーで副選択式がサポートされている必要があります。Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services では副選択式がサポートされるため、新しいすべてのフィルタ オプションを使用できます。以前のバージョンの SQL Server Analysis Services は副選択式をサポートしませんが、以前のバージョンで作業するときは、Office Excel 2003 ピボットテーブルで使用できるフィルタ機能だけが Office Excel 2007 ピボットテーブルで使用可能になります。

OLAP キューブ ウィザード

以前のバージョンの Office Excel では、OLAP キューブ ウィザードを使用してリレーショナル データ ソースから OLAP キューブ ファイルを作成し、階層データ組織をリレーショナル データに追加できました。リレーショナル データをピボットテーブルに表示したり、データを別個のファイルに保存したりすることもできました。この機能はまれにしか使用されなかったため、Office Excel 2007 から OLAP キューブ ウィザードは削除されました。今回のバージョンでリレーショナル データに基づくピボットテーブルを作成するには、リレーショナル データに直接接続するか、Office Excel ブックにインポートするという一般的な方法を使用します。

ピボットテーブル ウィザード

Office Excel 2007では、ピボットテーブル ウィザードはピボットテーブル作成の主要なユーザー インターフェイスではなくなりました。ピボットテーブルを作成する際には、ほとんどの場合、よりシンプルな新しいワンステップ ダイアログ ボックスを使用することができます。ピボットテーブル/ピボットグラフ ウィザードはクイック アクセス ツールバーに追加できます。以下に示す機能は、ウィザードでのみ利用できます。

  • サーバー定義のページ フィールド

  • メモリを最適化するオプション

  • ピボットテーブルを別のピボットテーブルに基づいて明示的に作成する機能

  • 複数の統合範囲

ユーザー設定の追跡

Version 12 OLAP ピボットテーブルでは、アイテムが一時的にピボットテーブルで非表示になっている場合でも、アイテムのユーザー設定が保持されます。これは、アイテムに設定した書式およびユーザー設定のアイテム ラベルに設定した書式の両方に該当します。これは Office Excel 2003 から改善された点です。Office Excel 2003 では、親フィールドを折りたたむとユーザー定義のラベルと書式設定が失われていました。Office Excel 2007 では、親フィールドの情報は保存され、折りたたみと展開の操作後も引き続き適用されます。Office Excel 2007 では、ユーザー設定ラベルはピボットテーブルからフィールドが削除されても保存され、後から親フィールドが再度ピボットテーブルに追加されたときに再び表示されるようになります。

参照と名前

Office Excel 2007 で機能や関数が変更されていない場合でも、以前のバージョンの Office Excel で作成したブックを Office Excel 2007 で開いたときに、数式について問題が発生することがあります。セル参照またはセル名と、拡大されたシート サイズによって実現された名前付けおよび参照の規則との間で、混乱が生じる可能性があります。既存のブックに以下の問題が存在する可能性があるかどうかを確認する必要があります。

全行参照または全列参照

以前のバージョンの Office Excel のブックを Office Excel 2007 のファイル形式に変換すると、すべての全行参照および全列参照で、Office Excel 2007 の拡大されたシート サイズの新しいセルが自動的に考慮されます。これは、=A:A という参照は、以前のバージョンの Office Excel では A1:A65536 のセルを参照しますが、Office Excel 2007 形式ではその同じ参照が A1:A1048536 のセルを指すためです。

全行参照または全列参照は、多くの場合、その行または列の範囲にあるすべてのデータを取り込むためのショートカットとして使用されます。この場合、その参照に含めることを意図していない列または行にまでデータが入力されると、問題が生じる可能性があります。さらに、全行または全列を参照する特定の関数の結果は、Office Excel 2007 に変換すると変わる可能性があります。例としては、参照に含まれるセル、行、または列の数を計算する COUNTBLANKROWS、および COLUMN の各関数があります。

名前と列ヘッダー ラベル

16,000 を超える列が追加された Office Excel 2007 の列ヘッダー ラベルは、XFD まであります。以前のバージョンの Office Excel で定義された名前 (例 : USA1、FOO100、MGR4) の多くが、有効なセル参照になっている可能性があります。さらに、Office Excel 2007 では、xl で始まる名前は内部で使用するために予約されています。

Office Excel 2007 ファイル形式への変換時に互換性のない名前が見つかった場合は、競合についての警告が表示されて、互換性のないすべての名前を一意にするために、名前の先頭にアンダースコア (_) が自動的に追加されます。外部のブックへの参照と、INDIRECT などの文字列参照を受け取る関数は、Office Excel 2007 ファイル形式への変換時に更新されないため、手動で変更する必要があります。

Office Excel 2007 は、Microsoft Visual Basic for Applications (VBA) コードを通して参照されている定義された名前を変更しません。互換性のない名前を参照している VBA コードは動作しないので、ユーザーまたは IT 担当者が更新する必要があります。これを行うには、古い名前に対して簡単な検索置換を実行します。

以前のバージョンの Office Excel で 2007 Office Excel ブックを開く

Office Excel 2007 への移行後、まだ以前のバージョンの Office Excel で作業しているユーザーと引き続きブックを共有することが予想されます。異なるバージョンの Office Excel 間でのファイル共有を可能にするには、2 つの方法があります。

ファイルが Office Excel 97-2003 ブックとして保存されているかどうか、またはユーザーが互換機能パックを使用してファイルを開いているかどうかにかかわらず、ブックの動作は同じです。ただし、Office Excel 2007 ブックで入力した一部の機能、関数、およびデータは、以前のバージョンの Office Excel では表示されない場合や、使用できない場合があります。Office Excel 2007 のブックを以前のバージョンの Office Excel で開いた場合、以下の問題が発生する可能性があります。

条件付き書式

Office Excel 2007 ユーザーは、堅牢性が向上した新しいビジュアル ツール、Office Fluent リボン ユーザー インターフェイス、新しい条件付き書式ルールなど、条件付き書式に対する多数の改善からメリットを得ることができます。同時に使用できる書式パラメータの数が増え、ピボットテーブルおよびテーブルの機能が追加されたことで、条件付き書式の使用時の操作性が向上しました。以前のバージョンの Office Excel を使用しているユーザーと Office Excel 2007 ブックを共有する場合は、以前のバージョンでの条件付き書式の動作を知っておくことが重要です。

書式の保持

一般に、Office Excel 2007 ブックで作成された条件付き書式は、以前のファイル形式で保存したときにすべて保持されます。条件付き書式は、セルに割り当てられたプロパティなので、ユーザーがデータ、フォント、罫線などを変更しても影響を受けません。ユーザーが条件付き書式を変更しない限り、ファイルを以前のバージョンの Office Excel で開いて保存しても、新しい条件付き書式は失われません。

以前のバージョンの Office Excel では、データ バー、アイコン セット、カラー スケールなど、追加された新しいデータ視覚効果を表示できません。視覚効果は失われるわけではなく、使用可能な状態を維持し、ブックを再度 Office Excel 2007 で開いたときに表示されます。ただし、以前のバージョンで開いた場合は、表示が行われないかわずかに異なる視覚効果があります。以前のバージョンの Office Excel では、新しい機能が使用できない場合に、互換性のある視覚効果に置き換えることがあるからです。たとえば、Office Excel 2007 では使用できる青色のバリエーションが増えています。使用できない青色を参照しているファイルを以前のバージョンの Office Excel で開くと、青色が表示されますが、色合いが異なります。

新しい条件付き書式を含むファイルを以前のバージョンの Office Excel で編集できます。ユーザーは条件付き書式設定を変更することなく、セルの値、並べ替え順、書式の追加、およびその他の数多くのタスクを実行できます。一般に、ユーザーがある範囲に設定されている条件付き書式を直接変更しない限り、ブックを再度 Office Excel 2007 で開いたときには、設計どおりに問題なく再表示されます。

複数バージョンで使用する書式を設計する

複数バージョンの Office Excel で共有するブックを作成し、どのバージョンの Office Excel を使用しても作成したブックが同じように表示されるようにするには、新しい視覚効果と新しいルールの使用を避けてください。

以下に示す新しい条件付き書式機能は、以前のバージョンの Office Excel で開いた場合にブックの外観に影響するため、次のような状況では使用を避けてください。

  • **書式設定での 4 つ以上の条件の使用。**以前のバージョンの Office Excel では、セルごとの条件は 3 つに制限されています。Office Excel 2007 ブックに 4 つ以上の条件が適用されている場合、以前のバージョンの Office Excel でブックを開くと、最初の 3 つの条件だけが表示されます。

  • **条件付き書式の重複。**Office Excel 2007 では、重複する条件付き書式を定義できますが、以前のバージョンの Office Excel では、一部のルールが評価されずにセルが異なる書式で表示されることがあります。

  • **新しい視覚効果。**データ バー、カラー スケール、およびアイコン セットは、以前のバージョンの Office Excel では表示できません。

  • **条件を満たす場合は停止。**Office Excel 2007 には、前の条件を満たす場合でも、追加の書式ルールを処理する新しい条件付き書式オプションがあります。以前のバージョンの Office Excel はこのオプションを認識しないため、最初の条件が満たされた時点でに停止します。

  • **トップ 10 または平均との比較。**Office Excel 2007 では、値のサブセットに条件を適用できます。以前のバージョンの Office Excel では、このような条件付き書式オプションはなく、すべての値を対象に条件が計算されます。

  • **非連続書式。**Office Excel 2007 は、互いに隣接していない範囲に対する追加の条件付き書式をサポートしています。この条件付き書式の種類は、以前のバージョンの Office Excel ではサポートされていません。

互換性のないシート サイズ

以前のバージョンの Office Excel のシート範囲 (A1:IV65536) より外のセルに格納されているデータ (セル データ、グラフ、およびその他すべてのオブジェクト) は、Office Excel 2003 および以前のファイル形式で開くか保存すると、ブックから完全に削除されます。そのため、以前のバージョンの Office Excel と新しい Office Excel 2007 との間でブックを共有する場合は、以前のバージョンの Office Excel でシートの範囲外になるセルにデータを入力したり、そのようなセルのデータを指す参照を作成したりしないようにすることをお勧めします。範囲外のセルは以前のバージョンで開くと失われるからです。互換モードを使用すると、以前のバージョンの Office Excel と共有できるように Office Excel 2007 の拡大されたシート サイズが制限され、この問題の防止に役立ちます。

Office Excel 2007 では、A1:IV65536 の範囲外にあるセルへの参照を含むファイルを以前のファイル形式で保存するとき、ブックを再度開いたときにブックを再計算するかどうかを指定するオプションが表示されます。また、セルの再計算の警告が表示されます。このオプションを選択すると、すべてのセルの数式および参照がブックの実際のデータに基づいて再計算され、A1:IV65536 の範囲外の参照が設定されたセルは、#REF! に変更されます。この警告が表示されたら、次のどちらかの操作を実行します。

  • この警告に [はい] と答えると、ブックを表示した場合に、ブック内のデータを正確に反映したセルの値が表示されます。たとえば、A100000 を参照し、そのセルの値を表示していたセルには、#REF! が表示されます (セル A100000 は既に存在しないため)。

  • この警告に [いいえ] で答えると、データが失われて一部の値が無効になる場合でも、A1:IV65536 の範囲内に表示される値のスナップショットが送信されます。Office Excel はセルの参照を再計算しないので、たとえば A100000 を参照し、そのセルの値を表示していたセルには、セル A100000 が既に存在していなくても引き続きその値が表示されます。

互換性のないテーブルとリスト

テーブル機能 (以前の名称はリスト) は、Office Excel 2003 で初めて導入されました。したがって、Office Excel 2003 より前のバージョンで Office Excel 2007 ブックを開いた場合、テーブル データはブックに表示されますが、それに対してテーブル機能を使用することはできません。ブックはテーブル内部のデータを含めて変更でき、ブックを Office Excel 2007 で再度開いたときに、テーブルは失われることなく維持されます。ただし、Office Excel 2003 より前のバージョンの Office Excel でブックに対して構造的な変更、たとえばセルまたは列の挿入や削除を行った場合、ファイルを Office Excel 2007 で開くと、テーブルが失われることがあります (データは失われません)。

外部データ クエリ

Office Excel 2007 で作成された外部データ クエリは、以前のバージョンの Office Excel でも外部クエリとして機能しますが、テーブル機能は使用できません。テーブル機能がなくても、外部データ クエリを最新の情報に更新したり、変更したりすることはできます。また、Office Excel 2007 でファイルを開いたときに、テーブル機能は再度有効になります。ただし、変更の種類によってはテーブルが失われる場合があります。そのような場合にも、データと外部データ機能は維持されます。

新しいセキュリティ機能

Office Excel 2007 には、データをセキュリティで保護する次の新しい機能が用意されています。

  • セキュリティ センターとメッセージ バー

  • 信頼できる場所

  • 空のマクロの禁止

  • セキュリティ レベルにおける変更

  • プログラム機能の強化

  • Office Excel 2007 と Internet Explorer の間の相互動作

セキュリティ センターとメッセージ バー

セキュリティ センターは 2007 Office system の新しい機能です。2007 Office system のすべてのプログラム全体で共通の場所に、各プログラムのすべてのセキュリティ設定を管理します。すべてのセキュリティ オプションを一元的な場所に集めたことに加えて、セキュリティ センターにはメッセージ バーがあります。メッセージ バーは、Excel ブックを開くときのセキュリティ プロンプトに取って代わるものです。このメッセージ バーは、インターネット ブラウザである Windows Internet Explorer で使用されるポップアップ ブロック メッセージに似ています。

既定では、ブック内の潜在的な危険性を持つすべてのコンテンツがブロックまたは無効化され、プロンプトは表示されません。したがって、ブックを開くときにセキュリティに関する判断は必要ありません。たとえば、ドキュメントにマクロ、ActiveX コントロール、またはデータ リンクが含まれていても、セキュリティの懸念の可能性についてプロンプトは表示されません。これらの機能は単に無効になります。ただし、何かがブロックされると、プログラム ウィンドウにメッセージ バーが表示されるので、ユーザーへの通知になります。ユーザーは、バーをクリックして、ユーザーのグループ ポリシーで許可されている場合にはブロックされたコンテンツを許可するなどの処置を実行できます。これまでは、スプレッドシートに関する情報がないか少ない状態でこの判断を行って、初めてドキュメントを表示できました。

この新しいセキュリティ モデルを使用すると、ドキュメントを保護した状態のまま読み取り、コンテンツを編集できます。マクロは、必要な場合にのみ、また、ドキュメントが期待されているものであるとしてセキュリティ センターおよびグループ ポリシーによって判定された後でのみ、有効になります。

マクロ、ActiveX コントロール、データ リンクなどの堅牢な機能はブックでよく使用されるため、Office Excel 2007 ユーザーはこれらの新しいセキュリティ機能に慣れる必要があります。

信頼できる場所

"信頼できる場所" は、IT 管理者に追加の管理機能を提供し、ユーザーに強化されたセキュリティを提供する新しい機能です。"信頼できる場所" は、メッセージ バーのような定義済みのフォルダです。このフォルダからは、アクティブ コンテンツ (マクロ、ActiveX コントロール) を含むドキュメントが、セキュリティに関する追加確認の対象になることなく実行されます。2007 Office system では、実行できるアクティブ コンテンツの種類、およびアクティブ コンテンツの実行が許可される条件を管理者がより厳密に管理できます。グループ ポリシーを使用して、その他すべての場所からのマクロの実行を禁止できます。

信頼できる場所は適切に管理する必要があり、安全なことがわかっているドキュメントのみを配置する必要があります。このフォルダに保存されているドキュメントはどれも完全に信頼できると見なされ、危険な可能性がある動作 (マクロの実行やデータへの接続) を実行する前にセキュリティ警告が表示されません。

空のマクロ

Office Excel 2003 では、Excel VBA (マクロ) コード内のコメントや宣言を維持できました。Office Excel 2007 では、コメントまたは宣言ステートメントのみを含むマクロ コードを保存することはできなくなりました。このような機能を維持するには、Excel VBA コードにサブルーチンまたは関数を追加する必要があります。

セキュリティ レベルにおける変更

Office Excel 2003 では、低、中、高、および最高という 4 つのレベルのマクロ セキュリティ設定を使用できました。2007 Office system では、信頼できる場所に新しいマクロ セキュリティ設定があります。これらの新しい設定は、以前の設定よりもわかりやすく、Office Excel 2007 に固有のセキュリティ設定に関しては柔軟性が増しています。

プログラミングの問題

既定では、オープン XML 形式で保存したすべてのドキュメントは、マクロなしのファイルと見なされます。したがって、コードを含むことはできません。この動作により、既定のドキュメント内に存在する悪意のあるコードが予期せず実行されることがなくなります。2007 Office system でもドキュメントにマクロを挿入して使用できますが、マクロ対応ドキュメントという種類で保存する必要があります。この防護策によって、開発者のソリューション構築に影響を与えることなく、組織がドキュメントを安心して使用できるようになります。

マクロ対応ファイルは、マクロなしファイルと同じファイル形式を使用していますが、マクロなしファイルにはない追加のパーツを含んでいます。追加のパーツは、ドキュメント内で検出される自動化の種類によって異なります。VBA を使用するマクロ対応ファイルには、VBA プロジェクトを格納するバイナリ パーツが含まれます。以前のバージョンの Office Excel で作成されたマクロを利用する Office Excel 2007 ブック、および操作ボタンを含む Office PowerPoint プレゼンテーションも、マクロ対応ファイルとして保存されます。コード固有のパーツがマクロなしファイル内に見つかった場合は、誤って配置されたか悪意を持って配置されたかにかかわらず、2007 Office system のプログラムは例外なくコードの実行を許可しません。

このため、Microsoft Office ドキュメントを開く前に、そのドキュメント内にコードが存在するかどうかを判断できます。以前は、Microsoft Office プログラムでファイルを開かずにこの判断を行うのは困難でした。現在では、Microsoft Office プログラムおよび危険な可能性があるコードを実行することなく、パッケージ ファイルを検査してコードベースのパーツやリレーションシップが存在するかどうかを確認できます。疑わしいファイルがある場合は、そのファイルからコードを実行できるパーツを削除して、コードが害を及ぼすことができないようにすることができます。

Office Excel 2007 と Internet Explorer の相互動作

以前のバージョンの Microsoft Office スイートでは、Internet Explorer から Microsoft Office ドキュメントに移動すると、ドキュメントは Internet Explorer プログラムの内部にホストされたプログラムで開かれていました。多くの開発者がこの機能を使用して、Web プログラムと、それらのプログラムによって生成されるデータとの間に、より統合の進んだ相互動作を作成していました (その場でブックを作成し、Internet Explorer にブックに移動するように指示するなど)。ただし、この機能によって、Web (インターネットまたはイントラネット) から実際にドキュメントで作業したい場合には、Internet Explorer 内からは完全な Office Excel のユーザー インターフェイスを使用できないため、混乱が生じていました。

この既定の動作は 2007 Office system で変更され、プログラムが Internet Explorer の内部で開かないようになりました。代わりに、適切な Microsoft Office プログラムが起動してドキュメントを開きます。これによって操作感が統一されますが、Internet Explorer を使用するカスタム プログラムが異なる動作をするようになる可能性があります。これは既定の動作ですが、必要に応じて以前のホストされた動作に戻すことができます。

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入手可能なドキュメントの詳細な一覧については、「2007 Office リソース キットのダウンロード可能なブック」を参照してください。