Outlook 2013 で迷惑メールの設定を構成する

 

適用先: Office 365 ProPlus, Outlook 2013

トピックの最終更新日: 2016-12-16

概要: 迷惑メールが Outlook 2013 のエンタープライズ ユーザーの受信トレイに到着する前に除去するリストを作成して展開する方法について説明します。

対象ユーザー: IT 担当者

ある人の迷惑メールは、実際には、ほとんどの人の迷惑メールでもあります。迷惑メールは、受信トレイに到着する前に削除するか、[迷惑メール] フォルダーに直接ルーティングすることによって、組織の Exchange Server を低速化させないようにしてください。

次のセクションで簡単に説明しますが、Outlook の組み込み迷惑メール フィルターが、既に、この作業の一部を担っています。迷惑メールを絞り込んで一掃するために、カスタマイズされた迷惑メール フィルター リスト (差出人セーフ リスト、宛先セーフ リスト、および受信拒否リスト) を作成できます。これらのフィルター リストのいずれかで特定された差出人から電子メールが届いた場合は、Outlook がそのメールをユーザーの受信トレイまたは [迷惑メール] フォルダーに振り分けます。この記事では、組織用のこのようなカスタム迷惑メール フィルター ファイルを作成して構成する方法について説明します。

ユーザーですか

この記事は管理者ではないユーザー向けではありませんが、迷惑メール フィルター リストに名前を追加する方法Outlook 迷惑メール フィルターの保護レベルを変更する方法など、Outlook の迷惑メール設定を構成する方法を理解するうえで役立ちます。

管理者ですか

あなたが管理者の場合は、この記事から Outlook の迷惑メール設定を組織規模で構成する方法と 3 つのカスタマイズされた迷惑メール フィルター リストを展開する方法を学ぶことができます。

この記事の内容

  • Outlook 組み込み迷惑メール フィルター — 何もしなかった場合にどうなるか

  • 迷惑メール フィルター リスト — 準備

  • 迷惑メール フィルター リスト ファイルを作成する

  • 画像の自動ダウンロードを構成する — Web ビーコンの保護

  • ユーザーに関する考慮事項

Outlook 組み込み迷惑メール フィルター — 何もしなかった場合にどうなるか

カスタマイズされた迷惑メール フィルター ファイルをセットアップして展開しなかった場合でも、Outlook は、自動的に、フィッシング、Web ビーコンの自動ダウンロード、およびその他の悪意のある悪戯から保護する独自の組み込みフィルターを使用して迷惑メールやスパム メールの受信からユーザーを保護します。

フィッシングの保護

Outlook の組み込み迷惑メール フィルターは、個人情報を共有させようとするスパム、安全性に疑いのあるメッセージ、およびフィッシング詐欺からユーザーを保護します。このフィルターは、安全性に疑いのあるメッセージを検出して、それらを自動的に [迷惑メール] フォルダーに隔離します。そこから、ユーザーは隔離された電子メール メッセージを確認して、それらが安全であると判断した場合は、それらを受信トレイに移動することによって、メッセージ内のリンクが自動的にブロック解除されます。

自動ダウンロードの保護

Outlook が、悪意のあるコンテンツがサーバーに過負荷を掛けないようにするもう 1 つの方法は、閲覧ウィンドウで画像の自動ダウンロードを禁止する方法です。実際に画像を表示するには、プレースホルダーを右クリックして、[画像のダウンロード] を選択しなければならないことはご存じのとおりです。帯域幅の損失のほかにも、画像の自動ダウンロードを阻止する理由があります。それが必ずしも画像ではなく、プログラム的に埋め込まれた (かつ目に見えない) Web ビーコンの場合があるからです。Web ビーコンは情報を差出人に送り返すことによって、彼らに電子メールがプレビューまたは開かれたことを通知します。既定の設定では、画像と非表示の Web ビーコンのダウンロードが阻止されるため、Outlook でそれらを自動的にダウンロードさせたい場合は、[[画像の自動ダウンロード] のセーフ ゾーンにインターネットを含める] グループ ポリシー設定を有効にする必要があります。

組み込み電子メール フィルターの詳細

Microsoft では、公式のスパム対策ポリシーとユーザーの受信トレイの安全性と関連性を維持する Microsoft の取り組みに関するさまざまな情報を公開しています。

迷惑メール フィルター リスト — 準備

Outlook 組み込み迷惑メール フィルターは、自動的に、受信メッセージをチェックしますが、作成とカスタマイズが可能な電子メール フィルター リストを使用すれば、スパムまたは疑わしいと判断されたものに対するより効果的な制御が可能になります。このリストには、名前、電子メール アドレス、およびドメインを追加できます。フィルターは、信頼されている発信元からのメッセージを許可し、未知のまたは信頼されていない特定の電子メール アドレスやドメインから到着したメッセージをブロックします。

作成して展開が可能な迷惑メール フィルター リストを以下に示します。

  • 差出人セーフ リスト – 差出人セーフ リスト内のアドレスまたはドメイン名から送信されたメールは、その内容に関係なく、絶対に処理されません。Exchange を使用している組織の場合は、グローバル アドレス一覧 (GAL) 内のすべての名前とアドレスが自動的に安全と見なされます。そのため、それらを差出人セーフ リストに追加する必要はありません。アドレスが差出人セーフ リストと受信拒否リストの両方に存在する場合は、差出人セーフ リストの方が優先され、メッセージは受信トレイに配信されます。

  • 宛先セーフ リスト – このリスト内のアドレスまたはドメイン名に送信されたメールは、アドレスが配布リストに含まれている場合やアドレスまたは配布リストが Cc 行または Bcc 行に含まれている場合でも、絶対に受信者の [迷惑メール] フォルダーに送信されません。

  • 受信拒否リスト – 特定の差出人の電子メール アドレスまたはドメイン名を受信拒否リストに追加することによって、その差出人からのメッセージをブロックします。名前または電子メール アドレスをこのリストに追加すると、Outlook がその発信元からの受信メッセージを [迷惑メール] フォルダーに移動します。このリスト内の人物またはドメイン名からのメッセージは、その内容に関係なく、必ず、迷惑メールに分類されます。アドレスが差出人セーフ リストと受信拒否リストの両方に存在する場合は、差出人セーフ リストの方が優先され、メッセージは受信トレイに配信されます。

迷惑メール フィルターでサポートされる電子メール アカウントの種類

迷惑メール フィルター リストは、次の種類の電子メール アカウントと一緒に使用できます。

  • Exchange キャッシュ モードの Exchange アカウント

  • POP3 アカウント

  • IMAP アカウント

以下のアカウントは Outlook 迷惑メール フィルター リストをサポートしていません。

  • オンライン モードの Exchange アカウント

  • サード パーティ MAPI プロバイダー

迷惑メール フィルターと自動コンテンツ ダウンロードの設定を確認するには、「Outlook 2010 で迷惑メールの制限を計画する」の記事を参照してください。この記事は Outlook 2010 を対象にしていますが、この情報は Outlook 2013 にも適用されます。

グループ ポリシー テンプレート ファイルまたは Office カスタマイズ ツール ファイルを初めて使用する場合は、それらに精通する時間を設けてください。その上で、グループ ポリシーを通して迷惑メールを管理することにした場合は、グループ ポリシーの概要を読んで、迷惑メールだけでなく、さまざまな設定を理解してください。Office カスタマイズ ツール (OCT) を使用して迷惑メールを管理することにした場合は、OCT リファレンスから始めてください。

迷惑メール フィルター リスト ファイルを作成する

最初に、テスト コンピューター上でリストを作成します。これは、ユーザーが迷惑メール フィルター リストを作成するときに辿る手順と全く同じです。リストを作成したら、OCT を使用してそれらを構成し、ネットワーク共有を使用してそれらを展開します。

差出人セーフ リスト、宛先セーフ リスト、および受信拒否リストという 3 種類の迷惑メール フィルター ファイルを作成できます。

迷惑メール フィルター ファイル

既定の迷惑メール フィルター リストを作成するには

  1. テストコンピューターに Outlook 2013 をインストールします。

  2. Outlook 2013を起動します。

  3. Outlook 2013 で、[ホーム] タブをクリックします。[削除] グループで、[迷惑メール] をクリックし、[迷惑メールのオプション] をクリックします。

    [迷惑メール] メニュー、[迷惑メールのオプション] ドロップダウン リスト

    [迷惑メール] メニュー ドロップダウン

  4. [差出人セーフ リスト] タブで、[追加] をクリックします。

  5. 次のような電子メール アドレスを入力します。

    someone@exchange.example.com

  6. [OK] をクリックします。

  7. さらに電子メール アドレスを追加するには、手順 3 ~ 6 を繰り返します。

  8. [ファイルへのエクスポート] をクリックします (これは Outlook の外部で作成可能な .txt ファイルですが、そのような作成方法はお勧めできません。Outlook の内部でファイルを作成した場合は、ファイルの書式設定や改行などの要素がすべて正しい場所に配置されます)。

  9. 差出人セーフ リストの一意のファイル名を入力し、[保存] をクリックします。

  10. [宛先セーフ リスト] タブおよび [受信拒否リスト] タブで手順 3 ~ 9 を繰り返して、宛先セーフ リストおよび受信拒否リストを作成します。組織に必要な場合は、国際的なフィルター ファイルを作成することもできます。各リストには、必ず一意のファイル名を指定してください。

これで、構成して展開が可能な既定の迷惑メール フィルター ファイルが完成しました。

迷惑メールの設定を構成して、迷惑メール フィルター ファイルの変更を保存する

迷惑メール設定はグループ ポリシーと Office カスタマイズ ツール (OCT) のどちらかを使用して構成できます。どちらを使用すべきかは、ユーザーに作成したフィルター リストへの追加を許可するかどうかによって異なります。また、許可する場合は、ユーザーが Outlook を再起動した後や迷惑メール フィルター リストの更新を受け取った後も彼らの変更を維持するかどうかによっても異なります。

迷惑メール構成ツール決定木。OCT を使用するか、グループ ポリシーを使用するか。

迷惑メール フィルター ツールの決定木

ユーザーがフィルター ファイルをカスタマイズできるようにして彼らのカスタマイズを維持する場合は、OCT とグループ ポリシーのどちらかを使用して、[迷惑メール インポート リストの内容を上書き/追加する] オプションを無効にします。必ず、ユーザーのカスタマイズを無効にする場合は、グループ ポリシーを使用して [迷惑メール インポート リストの内容を上書き/追加する] オプションを有効にします。

フィルター ファイルのユーザー カスタマイズを許可するには — Office カスタマイズ ツール (OCT) を使用する

  1. OCT を使用してユーザー用の迷惑メール フィルター ファイルを構成します。

    OCT を使用した迷惑メール構成

    作成したばかりの 3 つの迷惑メール フィルター ファイルをネットワーク ファイル共有にコピーします。

  2. (オプション) リモート ユーザーをドメインに接続していない場合は、次の手順を実行します。

    1. OCT で、[ファイルの追加] > [追加] の順にクリックします。

    2. [MSP ファイルにファイルを追加] ダイアログ ボックスで、作成したばかりの 3 つの迷惑メール フィルター ファイルを参照して選択します (複数のファイルを選択する場合は、Ctrl または Shift キーを押したままにします)。

    3. [追加] をクリックします。

    4. [ファイルの保存先] ダイアログ ボックスの [ユーザーのコンピューター上での保存先] ボックスに、ファイルをインストールするユーザーのコンピューター上のフォルダーを入力し、[OK] をクリックします。

  3. OCT のツリー ビューで、[ユーザー設定の変更] をクリックします。

  4. 閲覧ウィンドウで、[Microsoft Outlook 2013]、[Outlook のオプション]、[ユーザー設定] の順に展開し、[迷惑メール] をクリックします。

  5. [迷惑メール リスト設定への適用の開始] をダブルクリックして、[有効にする] > [OK] の順にクリックすることにより、設定を適用し、ユーザー用の迷惑メール フィルター リストをインポートします。

  6. 重要: これは、展開した迷惑メール フィルター リストに対するユーザー カスタマイズがファイルに追加されたり、初めて既定のリストを展開した後に上書きされたりする手順です。

    ユーザーが Outlook を再起動した後と新しい電子メール フィルター リストが展開されたときの両方で既存の迷惑メール フィルターに対するユーザー変更を維持するには、[迷惑メール インポート リストの内容を上書き/追加する] をダブルクリックしてから、[有効にする] > [OK] の順にクリックします。

  7. 迷惑メール フィルター リストごとのパスを指定するには、各リストに対応する設定 ([[差出人セーフ リスト] のパスを指定する] など) を開いて、[有効にする] をクリックし、パスおよびファイル名をボックス ([[差出人セーフ リスト] のパスを指定する] リストなど) に入力します。

  8. [OK] をクリックするか、[次の設定] をクリックして別の迷惑メール フィルター リストのパスを指定します。

  9. 他の Outlook 2013 または Office 2013 の構成を完了し、[ファイル] メニューの [保存] をクリックして、ユーザーに展開可能なカスタマイズ ファイルを作成します。

後で、これと同じ手順に従って、更新した迷惑メール フィルター ファイルを指定することによって、迷惑メール フィルター リストを更新するように既存の Outlook 2013 インストールを変更できます。

Office 2013 の Office カスタマイズ ツール リファレンスでは、OCT を使用して、展開前に Office インストールを構成する方法に関する詳細を参照できます。

ユーザー フィルター ファイルのカスタマイズを無効にしてユーザーが加えた変更はすべて新しい Outlook セッションで上書きされるようにするには — グループ ポリシーを使用する

  1. グループ ポリシーを使用してユーザー用の迷惑メール フィルター ファイルを構成します。

    グループ ポリシーを使用した迷惑メール構成

    グループ ポリシーで、Outlook 2013 テンプレートを読み込み、[ユーザーの構成]\[管理用テンプレート]\[Microsoft Office Outlook 2013]\[Outlook のオプション]\[ユーザー設定]\[迷惑メール] を開きます。

  2. [迷惑メールの保護レベル] などの構成するオプションをダブルクリックします。

  3. [有効にする] をクリックします。

  4. 必要に応じて、設定する別のオプションを選択するか、ドロップダウン リストからオプションを選択します。構成可能な迷惑メール フィルター オプションについては、「Outlook 2010 で迷惑メールの制限を計画する」を参照してください。

  5. [OK] をクリックします。

注意

[迷惑メール インポート リストの内容を上書き/追加する] 設定は既定で無効になっているため、フィルター ファイルに対するユーザー カスタマイズを上書きするためにこの設定を変更する必要はありません。

画像の自動ダウンロードを構成する — Web ビーコンの保護

前述したフィルター ファイル設定と同様に、Outlook 2013 グループ ポリシー テンプレートを使用して Outlook による自動画像ダウンロードをカスタマイズする設定を無効にすることができます。または、これをユーザーが変更できるようにする場合は、OCT を使用してそのように設定します。

インターネット コンテンツの自動ダウンロードを禁止するには — グループ ポリシーを使用する

  1. グループ ポリシーに Outlook 2013 テンプレートを読み込みます。

  2. [ユーザーの構成]\[管理用テンプレート]\[Microsoft Office Outlook 2013]\[セキュリティ] で、[画像の自動ダウンロード設定] をクリックします。

  3. [セーフ ゾーンからのコンテンツのダウンロードを許可しない] を開きます。

  4. [有効にする] > [OK] の順にクリックします。

インターネット コンテンツの自動ダウンロードを許可するには — Office カスタマイズ ツールを使用する

  1. OCT の [ユーザー設定の変更] ページの [Microsoft Outlook 2013]\[セキュリティ]\[画像の自動ダウンロード設定] で、[[画像の自動ダウンロード] のセーフ ゾーンにイントラネットを含める] を開いて、[OK] をクリックします。

  2. [ファイル] メニューで [保存] をクリックして、ユーザーに展開可能なカスタマイズ ファイルを作成します。

ユーザーに関する考慮事項

Outlook プロファイルが変更されています。 ユーザーが迷惑メール フィルター リストをカスタマイズしてから、Outlook プロファイルを変更することにした場合は、彼らのカスタマイズが失われます。カスタマイズを維持するには、カスタマイズしたファイルを保存 (エクスポート) してから、プロファイルを変更し、迷惑フィルター ファイルを Outlook にインポートする必要があります。

Outlook 2013 RT を使用して Exchange 電子メールを確認しているエンタープライズ ユーザー。 ユーザーは、Microsoft Exchange Server または Office 365 メールボックス アカウントに接続されている場合に、迷惑メール オプションを開いて、差出人セーフ リストと受信拒否リストを設定できます。ただし、Outlook 2013 RT は、POP3、IMAP、または Outlook.com 電子メール アカウントに接続されている場合に、迷惑メール設定を無効にします。Outlook.com とその他の ISP ユーザーは、サービスがサーバー上で迷惑メール フィルタリングを提供しているため、迷惑メールから保護されます。

関連項目

Outlook 2010 で迷惑メールの制限を計画する
グループ ポリシーを使用して差出人セーフ リストなどの迷惑メール設定を展開する方法