全体的な設計を計画する

この章には以下の記事が含まれます。

この記事の内容 :

  • この計画ガイドの使用方法

  • Microsoft Office SharePoint Server 2007 について

  • Office SharePoint Server 2007 に基づくソリューションの例

  • 計画作成チームを編成する

  • ガバナンスを計画する

この計画ガイドの使用方法

この計画ガイドの内容は、Microsoft Office SharePoint Server 2007 に基づいた新しいソリューションの計画および展開の手順を通じて、チームを主導することを目的としています。このガイドの対象読者は、Office SharePoint Server 2007 に基づくソリューションを計画する、ビジネス アプリケーション スペシャリスト、業務スペシャリスト、情報アーキテクト、IT ジェネラリスト、プログラム マネージャ、およびインフラストラクチャ スペシャリストです。このガイドを使用する前に、以下のことをお勧めします。

  • Office SharePoint Server 2007 製品評価」を確認して、Office SharePoint Server 2007 の機能を理解します。これで、Office SharePoint Server 2007 によって機能面と IT 面のニーズを確実に満たすことができると共に、ソリューションを構想して計画することもできます。

  • Office SharePoint Server 2007 に基づくソリューションを使用して達成する組織の目標を定義します。

  • ソリューションの構想とスコープを定義します。

この計画ガイドは、以下の 2 つの段階で構成されています。最初の段階では、手順に沿って、組織に必要な Web サイトの種類、各サイトの機能、および企業の目標を達成するサイト間の相互関係を決定します。計画のこの段階とは別に、サイトと機能のニーズに関する詳細を決定するのに役立つ一連のワークシートを作成します。これらのワークシートによって、以下のような情報を記録することができます。

  • サイトとサイト階層

  • サイト間の関係

  • サイトの機能

  • サイトのカスタマイズ

このドキュメントに付属するワークシートに記入するだけでなく、次のような内容の概念設計ドキュメントにサイトと機能の計画に関する決定をまとめることをお勧めします。

  • 計画しているソリューションの目的の定義

  • ソリューションの実装の記述

  • ソリューションの展開を計画するために必要なデータ、フローチャート、図、およびその他の情報の提供

ソリューションがどのように機能するかを決定した後は、次の計画段階の手順に沿って、一連の展開計画に関する決定を行います。この段階では、展開の実装を決定するのに役立つ一連のワークシートを作成します。これらのワークシートによって、以下のような情報を記録できます。

  • 展開設計

  • 物理的なトポロジ

  • データベースの設計

  • セキュリティの設計

  • サービスレベル アグリーメント

このドキュメントに付属するワークシートに記入すると共に、展開計画の決定事項を、以下に示すような内容の設計仕様書に取り込むことをお勧めします。

  • ハードウェア要件の定義

  • 物理的なシステム設計の記述

  • 展開を実装するチームに有用なデータ、図、およびその他の情報の提供

サイトと機能を計画し、展開を計画した後は、「Office SharePoint Server 2007 の展開」ガイドによって、Office SharePoint Server 2007 の展開の実装が示されます。次の図はこのプロセスを示したものです。

計画プロセス

このガイドには、計画と展開の作業に関連する情報を記録するための一連のワークシートが付属しています。 設定したソリューションの計画と展開の目標を確実に達成するには、用意されているワークシートを使用して、このガイドを使用しながら計画に関する決定事項の結果を記録してください。

注意

既存ソリューションの Office SharePoint Server 2007 への移行および展開を計画するために必要な手順の説明については、「Office SharePoint Server 2007 にアップグレードする」を参照してください。

Microsoft Office SharePoint Server 2007 について

Microsoft Office SharePoint Server 2007 は企業向けの豊富な機能を備えたサーバー アプリケーションであり、グループ作業を容易にし、コンテンツ管理のフル機能を提供し、ビジネス プロセスを実装し、組織としての目標やプロセスに不可欠な情報へのアクセスを提供します。 企業の内部および外部にあるイントラネット、エクストラネット、およびインターネットのアプリケーションを計画、展開、管理するための統合プラットフォームを提供します。

Office SharePoint Server 2007 を利用すると、組織のポータル サイト、インターネット プレゼンス サイト、チーム コラボレーション サイト、およびコンテンツ リポジトリ、ミーティング ワークスペースなどの専用サイトを含む、機能とコンテンツが充実した Web サイトを容易に作成して展開できます。Office SharePoint Server 2007 はカスタマイズ可能で、豊富なオブジェクト モデルも備えてはいますが、すぐに使用できる Web サイトとポータル テンプレート、Web パーツ、リスト、ライブラリ、ワークフロー、および異なる文化、市場、地域に合わせてコンテンツを調整するためのサイト バリエーションなど、完備した機能セットが付属しています。

Office SharePoint Server 2007 を使用すると、XML ベースの電子フォームとビジネス データ カタログによって既存のシステムと統合するビジネス プロセスを計画して実装できます。 Office SharePoint Server 2007 に含まれるワークフローは、ドキュメントのレビューと承認、問題追跡、署名の収集などの一般的なビジネス プロセスを自動化します。Office SharePoint Server 2007 のワークフローは、Windows Workflow Foundation が基になっています。また、Office SharePoint Server 2007 は企業固有のビジネス プロセスを実装するためのカスタム ワークフローの開発と展開をサポートします。

Office SharePoint Server 2007 に基づくソリューションでは、Office SharePoint Server 2007 または SAP などの業務システムに格納されているビジネス インテリジェンスやその他の情報に、企業全体からアクセスできます。 ビジネス データ カタログを使用すると、バックエンド システムのデータを、リスト、Web パーツ、ページ、および検索結果に含めることができます。Microsoft Office SharePoint Server 2007 の Excel Services は、Web ブラウザから Office Excel 2007 のスプレッドシートに対するリアルタイムで対話形式のアクセスを提供します。 ソリューションへのレポート、主要業績評価指標、およびビジネス ダッシュボードの統合を計画できます。Office SharePoint Server 2007 の検索機能は、情報、人、専門知識へのアクセスを提供します。

Office SharePoint Server 2007 に基づくコンテンツ管理ソリューションを計画して実装できます。Office SharePoint Server 2007 には、Microsoft Content Management Server 2002 の機能が統合され、監査、ステージング、およびカスタム Web サイトの公開をサポートするように拡張されています。Office SharePoint Server 2007 のドキュメント管理機能は、テンプレート作成からドキュメントのオーサリング、レビュー、共有、監査、そして最終的なアーカイブまたは破壊まで、ドキュメントのライフサイクルの各段階をサポートします。Office SharePoint Server 2007 に組み込まれているレコード管理機能は、企業のポリシーに基づく整合性のある一貫した方法で、企業レコードの収集、管理、および破棄を支援します。

Office SharePoint Server 2007 は、Windows SharePoint Services 3.0 に基づいて構築され、その全機能を組み込んでいるので、グループ作業に理想的なツールです。Windows SharePoint Services 3.0 は、リストとドキュメント ライブラリ、サイト管理、およびサイトのカスタマイズのための一貫性のある使い慣れたフレームワークを提供します。 拡張可能な Windows SharePoint Services 3.0 のフレームワークは、複数のサイトと複雑なアーキテクチャを対象とするカスタム ソリューションの構築を容易にします。

Office SharePoint Server 2007 の全製品および全機能の概要については、「Office SharePoint Server 2007 製品評価」ガイドを参照してください。

Office SharePoint Server 2007 に基づくソリューションの例

次に、Microsoft Office SharePoint Server 2007 を使用して構築できる一般的なソリューションの例を紹介します。

  • オンライン ニュース マガジン ある出版会社は、Office SharePoint Server 2007 を使用して自社ブランドのオンライン マガジン サイトを構築しています。 社内および社外から送られてくる記事は、スタッフ エディタがレビューして受け付けます。 このインターネット サイトは、ユーザーが個人用に設定された情報にログオンできるので強力なコミュニティ プレゼンスを持ち、広範な検索コンポーネントを備えています。

    このインターネット サイトには、最新のニュースと論説、ブログ、および政治、ビジネス、健康、人、個人マネー、科学技術に関する定期コラムのためのサブサイトが含まれます。 また、ユーザーは、サインインして相互に会話したり、サイトで公開されている記事にコメントしたりすることもできます。

  • クライアントとビジネス パートナーに対する財務データの配布管理 ある銀行は、Office SharePoint Server 2007 に基づくソリューションを展開して、Excel Services を利用しています。 このソリューションにより、銀行のマネージャは、表示のみの権限があれば Web ブラウザで表示できる指定のワークブックに対する管理されたアクセスを提供することで、クライアントと効率よく通信できます。 ワークブックには、ポータルのドキュメント ライブラリでアクセスできます。これにより、銀行は、ポータルに対する認証されたアクセスが可能なクライアントだけに、財務データの利用を制限できます。

  • オンライン許可申請 ある地方自治体の機関は、Office SharePoint Server 2007 と Microsoft Office InfoPath 2007 を使用して、インターネットで請負業者に対する許可申請と承認のサービスを提供しています。 請負業者は、Web サイトからオンライン サービスを使用して許可を申請します。 許可申請の Web フォームに入力されたデータは、地方自治体の建物査察部門のネットワークにあるデータベースに送信されます。

    申請データが提出されると、新しい許可要求 (マルチパートの Office InfoPath 2007) が自動的に作成されます。 フォームが開かれると、要求を出している請負業者の会社および許可申請データが、フォームのフィールドに設定されます。 要求が承認されると、要求者の連絡先データと関連情報も設定された電気工事の許可が HTML で作成されて、建物査察部門の許可サイトにポストされます。請負業者はこの許可を表示し、仕事のサイトに掲示するために印刷できます。

  • 部門ポータル サイト ある中規模の会社の製品開発部門は、Office SharePoint Server 2007 を使用して、検索、コンテンツ集約、ビジネス アプリケーション統合、グループ作業、および個人設定の機能を利用しています。 この部門が開発したポータル サイトは、製品開発プロセスになくてはならない部分になっており、知識ベース、製品仕様、組織図、チーム メンバの個人用サイト、およびスケジュール情報、製品の成功談、他の重要なニュースをブロードキャストするホーム ページがホストされています。 インストール環境は、小さな独立したサーバーファームから、よく発達した中規模のサーバー ファームの実装に拡大しており、そこでは、より大きい全社的な展開の中のファーム内およびファーム間の共有サービスの組み合わせを使用しています。

  • 株式調査 ある大規模な投資銀行は、Office SharePoint Server 2007 を使用して、さまざまな形式の株式調査メモ、レポート、およびモデルを短時間で作成、レビュー、および公開する Web サイトのセットを開発しています。 統合された Office SharePoint Server 2007 プラットフォームを使用して、ソリューション設計者は、調査メモやモデルをオーサリングしてレビューするためのポータル サイト、コンテンツを顧客に提供するためのインターネット サイト、インターネット サイトをテストするためのステージング サイト、規制の要件を満たすためにモデルや調査メモを保持するためのレコード リポジトリ サイトを実装しています。 一連のサイト (複数のサーバー ファームに分散されている) では、カスタム機能を使用して、コンテンツが公開に向けた段階を移動するのに合わせた、サイト間およびチーム メンバ間の迅速で自動化されたコンテンツのフローをサポートしています。

  • レコード管理 あるアプリケーション開発会社の法務部門は、Office SharePoint Server 2007 のレコード リポジトリ サイト テンプレートを使用して、レコード管理ソリューションを実装しています。 この部門は、ファイル計画に基づいて、ポリシー、コンテンツ タイプ、およびドキュメント ライブラリを実装して構成し、部門が管理する各タイプのレコードを保持しています。 レコード マネージャは、レコード リポジトリ サイトの使いやすい SharePoint インターフェイスに簡単に適応し、組み込まれているレコード管理機能を利用しています。 これらの機能は、受信したレコードの格納、法律で定められている期間の各レコード タイプの保持、レコードの保留、および廃棄の承認を適切にサポートします。 レコード管理のプログラム可能なインターフェイスにより、組織内のチームは、Web サービス API を使用して、それぞれのドキュメント管理と電子メール システムを、レコード リポジトリ サイトと統合しています。

  • 企業インターネット プレゼンス サイト ドイツに本社のある世界的な自動車メーカーは、ミシガンに北米市場向けの大きな現地法人があり、ヨーロッパ、アジア、および北米の全域に現地事務所を設けています。 製品は全世界で販売され、地域市場ごとに製造が行われています。 この会社のインターネット プレゼンス Web サイトは、Office SharePoint Server 2007 を使用して構築、管理、および作成されています。 このサイトは企業のマーケティング活動の重要なポイントであり、製品ラインごとのサブサイトと共に、プレス リリース、投資情報、企業情報、および求人に関するサブサイトがあります。

    各企業ブランドには、独自のマーケティング部門があり、そのブランドのコンテンツの作成および Web サイトの更新を行う担当者がいます。 企業のコミュニケーション部門は、サイトのルック アンド フィールを管理し、ブランド戦略とメッセージの一貫性を維持します。 サイトには、異なる言語、文化、市場、地域に合わせてコンテンツを調整するためのサイト バリエーションが含まれます。

    Office SharePoint Server 2007 の Web サイトを使用して、各ブランドの作成者は、サイトのコンテンツを作成して、レビューと承認のためにそれを送り、一方で多言語コンテンツ バージョンの作成を管理します。 スケジュール済みのワークフローを使用して、承認後ローカライズされたコンテンツはステージング サイトにコピーされ、そこでテストされて、最終的にパブリック サイトに展開されます。

計画作成チームを編成する

適切に計画された Microsoft Office SharePoint Server 2007 ベースのソリューションは、よりよいグループ作業、コンテンツ管理、知識発見、およびビジネス プロセスを組織全体に普及させ、一方で IT 部門にとっては、安全性、費用効果、および管理可能性が向上します。この広範な目標を実現するには、すべての関連部門から主要な関係者を識別し、計画作成チームに参加させることが重要です。 これには以下の関係者が含まれます。

  • Office SharePoint Server 2007 を使用して実装するビジネス プロセスの要件を理解しているマネージャおよび他の組織リーダー。

  • 目的のビジネス プロセスを実装するソリューションを提案し、1 つまたは複数のサーバー ファームにソリューションを展開して維持することが役割である、IT プロおよび業務部門の IT スペシャリスト。

  • ソリューションを構成するサイトのユーザー環境とビジュアル設計およびテンプレートを計画するサイト設計者。

  • ワークフロー、フォーム、Web パーツなどの必要なカスタム機能の範囲と設計を決定する開発者。

  • サイトの機能が正しく、サイトの展開と管理が指定どおりに機能することを確認するテスト担当者。

ガバナンスを計画する

ガバナンスとは、ビジネス目標の達成を目指すにあたって、テクノロジの使用方法を案内、方向づけ、制御するために、企業内に導入する一連のポリシー、役割、責任、およびプロセスです。企業内に Office SharePoint Server 2007 を展開することにより、オンライン グループ作業、ドキュメント管理、ビジネス インテリジェンス、Web パブリッシングなどの豊富な新機能を利用できるようになります。Office SharePoint Server 2007 のユーザーとこれを展開および運用する IT プロフェッショナルとのニーズの間で適正なバランスを取るために、Office SharePoint Server の展開において、すべての関係者からの代表者を構成員とするガバナンス機関を構成することをお勧めします。 この機関を通じて、企業内で Office SharePoint Server の使用を管理するルールを策定および実施することができます。

Office SharePoint Server 2007 の展開で管理する側面を判断するのに役立つ方法、およびガバナンス技術の詳細については、「ガバナンスを計画する」を参照してください。

ガバナンス計画および実装に役立つ追加情報については、「Governance Information for SharePoint Server 2007 (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=90916&clcid=0x411) を参照してください。ここには、次のような SharePoint 製品とテクノロジのガバナンスに関する一連の豊富なリソースが掲載されています。

  • ガバナンスに関する機能についての記事およびホワイト ペーパー

  • ガバナンスに関する内容 (IT プロ向け)

  • ガバナンスに関する内容 (開発者向け)

  • ガバナンス関連ツールへのリンク

  • ガバナンス関連のサービスおよび製品を提供するパートナー企業へのリンク

  • ガバナンス関連のコミュニティ リソースへのリンク

SharePoint Server 2007 向けのガバナンス情報に関するページは、新機能に関する記事およびその他のリソースにより頻繁に更新されます。

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このトピックは、簡単に読んだり印刷したりできるように、次のダウンロード可能なブックに収められています。

入手できるすべてのブックの一覧については、「Office SharePoint Server 2007 のダウンロード可能なブック」を参照してください。