アップグレードの問題のトラブルシューティングを実行する (SharePoint Foundation 2010)

 

適用先: SharePoint Foundation 2010

アップグレード プロセスをテストして潜在的な問題を特定した後でも、Windows SharePoint Services 3.0 から Microsoft SharePoint Foundation 2010 へのアップグレード時に予期しない問題が発生することがあります。アップグレード後に問題が発生した場合は、その発見と修正が早いほど、良好なエンド ユーザー エクスペリエンスが得られます。

ここでは、アップグレードの問題の特定と解決に関する一般原則を説明し、よくある問題の一覧を示します。問題の特定と解決を完了したら、アップグレードを再開できます。アップグレードの再開方法の詳細については、「アップグレードを再開する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。

この記事の内容 :

  • 問題の特定に関する一般原則

  • よくある問題

    • 不足している、または廃止されているサーバー側ファイルあるいはカスタマイズ

    • サーバー ファーム、Web アプリケーション、またはサービスの正しくない構成あるいは足りない設定

    • 整合していない、または正しくない更新レベル

    • 不足しているブログのグローバル ナビゲーション

    • データの問題

    • UI の変更

    • 領域の不足

    • フォーム ベース認証

    • セキュリティと権限

    • 更新後 .Stp ファイルが動作しない

    • 新しいバージョンの Fabulous 40 アプリケーション テンプレートが見つからない

問題の特定に関する一般原則

まず、アップグレード状態をチェックしてアップグレードが (停止した場合は) どこで停止したかを確認し、ログ ファイルにエラーや警告が記録されていないかチェックします。次に、見つかった問題を解決したうえでアップグレードを再開します。

最初にアップグレード状態とログ ファイルをチェックする

アップグレード状態インジケーターとログ ファイルには、アップグレード プロセスで発生した問題が表示されます。アップグレード ログ ファイルに記録されたすべてのエラーを注意深く確認することをお勧めします。警告は、必ずしも問題を示すものではありませんが、より大きな問題を引き起こしそうなものがないかを判断するためにすべてを確認するようにしてください。

  1. 次のどちらかまたは両方を実行して、アップグレード状態をチェックします。

    • SharePoint サーバーの全体管理 Web サイトにあるアップグレード状態のページを確認します。

    • Stsadm.exe の操作 localupgradestatus を使用してアップグレード状態を確認します。

    アップグレード状態の確認方法の詳細については、「アップグレードされたサイトを検証および確認する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。

  2. 以下のログ ファイルを確認します。

    • Setup.exe ログ ファイル。

    • SharePoint 製品構成ウィザード (Psconfig.exe) ログ ファイル。

    • アップグレード エラー ログ ファイルとアップグレード ログ ファイル (アップグレード エラー ログ ファイルよりも詳細な情報が含まれる)。

    • ULS または トレース ログ ファイル。

      これらのファイルは、%COMMONPROGRAMFILES%\Microsoft Shared\Web Server Extensions\14\LOGS フォルダーに保存され、<サーバー名>_YYYYMMDD-MMSS.log という名前になっています。

    • アプリケーション イベント ログ ファイル。

      このファイルは、イベント ビューアーで表示できます。

    Setup.exe、PSconfig.exe、およびアップグレード ログ ファイルの詳細については、「アップグレードされたサイトを検証および確認する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。トレース ログ ファイルの詳細については、MSDN の「トレース ログ」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=182380&clcid=0x411) を参照してください。

次に問題を順に解決する

一部の問題は、他のものよりも大きな影響を及ぼします。たとえば、サーバー側のファイルの不足によって、それとは無関係に思われる多くのエラーがサイト レベルで発生することがあります。

以下の順で問題を解決します。

  1. サーバー側のファイルまたはカスタマイズの不足 (機能、Web パーツなど)。

  2. サーバー ファーム、Web アプリケーション、またはサービスの構成の問題 (管理パス、開始されていないサービスなど)。

  3. サイト単位で見つかったその他の問題 (影響力が大きく、注目度の高いサイトから着手する)。

トップレベルの問題を特定して修正した際には、もう一度アップグレードの実行を試して、アップグレード プロセスの別の問題も一緒に修正されていないかどうかを確認できます。

よくある問題

以下の問題がアップグレードのエラーまたは警告の原因になっていないかどうかを確認します。

サーバー側のファイルまたはカスタマイズの不足や重複

アップグレード時によくあるエラーの 1 つは、サーバー側ファイル (Windows SharePoint Services 3.0 と共にインストールされたファイル、またはカスタマイズされたファイル) の不足です。アップグレードの準備が完了したときには、サイトに必要なサーバー側のカスタマイズ (サイト定義、テンプレート、機能、Web パーツ、アセンブリなど) の一覧が作成されているはずです (これらの項目の確認には、アップグレード前チェック ツールが役立ちます)。この一覧をチェックして、カスタマイズに必要なすべてのファイルがアップグレード環境にインストールされていることを確認してください。

データベース接続アップグレードを実行する場合は、データベースのアップグレード前に test-spcontentdatabaseWindows PowerShell コマンドレットを使用して、不足しているファイルを特定できます。また、Stsadm.exe の enumallwebs 操作を使用して、使用中のサーバー側カスタマイズを特定することもできます。

アップグレード ログ ファイルには、次のようなエラーが記録される場合があります。

  • エラー: ContentDatabase <コンテンツ データベース名> に不足している Web テンプレート <サイト テンプレート ID> (lcid: <サイト テンプレート言語コード>) を使用する <参照数> 個の Web が見つかりました。

  • エラー: 不足している機能 ID が見つかりました = [機能 ID]

  • エラー: ファイル [相対ファイル パス] がデータベースで [参照回数] 回参照されていますが、現在のファームにはインストールされていません。

  • 警告: WebPart クラス [Web パーツ ID] がデータベースで [参照回数] 回参照されていますが、現在のファームにはインストールされていません。

  • 警告: アセンブリ [アセンブリ パス] がデータベースで参照されていますが、現在のファームにはインストールされていません。

  • 警告: 機能をアップグレードできませんでした。例外: 機能定義 ID '機能 ID' が見つかりませんでした。

不足しているサーバー側のファイルまたは依存関係を取得できる場合は、それをインストールしたうえで、影響を受けたサイトのために再度アップグレードを実行します。そのファイルまたは依存関係 (Web パーツなど) が廃止されている場合は、サイト、ページ、または Web パーツの再構築によって、別のテンプレート、機能、または Web パーツの使用が必要かどうかを調査する必要があります。まだ廃止されていない依存関係を使用してカスタマイズを再実行できる場合は、影響を受けたサイトのために再度アップグレードを実行できます。依存関係を削除できない場合は、そのサイトをアップグレードできません。

不足しているファイルまたは依存関係をインストールした後、test-SPContentDatabase という Windows PowerShell コマンドレットをテスト サーバーで使用して、そのデータベースに不足しているファイルがほかにないかどうかを判断します。アップグレード前チェック ツールを実行したり、アップグレードを再実行したりするだけでは、たとえエラーがまだ発生していてもログ ファイルにそのエラーが記録されないことがあります。

サーバー ファーム、Web アプリケーション、またはサービスの設定の誤りや不足

ファームと Web アプリケーションの設定を確認し、不足しているサービスがあれば作成して開始します。

すべての管理パス (管理対象または非管理対象パス) が Web アプリケーションごとに正しく構成されていることを確認します。

アップグレード ログ ファイルには、次のようなエラーが記録される場合があります。

  • エラー: テンプレート <テンプレート ID>: SPSite Id=<サイト ID> に例外のためアクセスできませんでした。テンプレートのアップグレードで SPWeb Id=<Web ID> をスキップします。例外: System.IO.FileNotFoundException: ID <サイト ID> のサイトが見つかりませんでした。

    このエラーは、管理パスがないことを示しています。サイト コレクションの管理パスを Web アプリケーションに追加し、このサイト コレクションを含むコンテンツ データベースのアップグレードを再開してください。

更新レベルの矛盾または誤り

アップグレードを実行するには、Windows SharePoint Services 3.0 Service Pack 2 を実行している必要があります。この最小要件を満たしていない場合は、エラーが発生し、アップグレードは実行されません。

不足しているブログのグローバル ナビゲーション

アップグレードされたブログでグローバル ナビゲーションが不足しているというエラーもよくあります。このエラーは、アップグレード中に MySiteNavigation (6adff05c-d581-4c05-a6b9-920f15ec6fd9) 機能が有効になっていない場合に発生します。この機能を有効にするには、Enable-SPFeatureWindows PowerShell 2.0 コマンドレットを実行します。

詳細については、「Enable-SPFeature」を参照してください。

データの問題

以下に示すデータの問題によって、アップグレード中にエラーや警告が発生することがあります。

  • データ ソースへの接続性。データベースに接続できないサービスは、アップグレードできません。

  • 孤立したサイトやリスト、またはその他のデータベースの破損。詳細については、「アップグレード前の環境のクリーンアップ (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。

  • 表示されない列データ。アップグレード プロセスによってリスト内の既存のカスタム列と同じ名前の列が追加される場合は、カスタム列の名前が変更されます。アップグレード後、名前が変更された列を含めるためにビューの再調整が必要になることがあります。

アップグレード ログ ファイルには、次のようなエラーが記録される場合があります。

  • 警告: 孤立したサイトがあるとアップグレードでエラーが発生する場合があります。

  • エラー: データベース [コンテンツ データベース名] に含まれるサイト (ID = [サイト コレクション ID]、URL = [サイト コレクション URL]) がサイト マップに見つかりません。

孤立したアイテムまたはデータベースの破損を修正し、再度アップグレードを実行します。

UI の変更

Fluent UI (リボンとも呼ばれます) の追加など、ユーザー インターフェイス (UI) の追加や、XHTML 標準の順守によって、サイトに問題が発生することがあります。ときには、カスタム要素 (コンテンツ タイプなど) の名前が新しいバージョンにおける名前と競合する可能性があります。また、ページを標準のサイト定義に戻したり、大規模なリストに対して新たなビューを作成したりすることが必要になる場合もあります。

サイト内の UI の問題を確認する方法の詳細については、「アップグレードされたサイトを検証および確認する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。

アップグレード ログ ファイルには、次のようなエラーが記録される場合があります。

  • サイト <サイト URL> でサイト コレクション機能をアクティブにできませんでした。例外: 重複するコンテンツ タイプ名 "名前" が見つかりました。

    このエラーは、o12 の指定サイトに追加された、サードパーティによる "Summary Info" コンテンツ タイプの名前が、o14 へのアップグレード時に、すぐに使用できる状態にある "Summary Info" コンテンツ タイプと競合することを示しています。この場合は、指定サイト内にあるサードパーティによるコンテンツ タイプを削除するか、その名前を "Summary Info" 以外のものに変更して、アップグレードを再実行してください。

領域の不足

領域 (データベース サーバー上にあるトランザクション ログ ファイル用の領域など) を使い果たした場合は、アップグレードを続行できません。領域を解放するか、トランザクション ログ ファイルのサイズを増やしたうえで、アップグレードを再開してください。詳細については、「トランザクション ログ ファイルのサイズの管理」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=124882&clcid=0x411) を参照してください。

フォーム ベース認証

フォーム ベース認証を使用している環境をアップグレードする場合は、追加の手順が必要になります。フォーム ベース認証プロバイダーをアップグレードするには、「クレーム ベースの Web アプリケーション用にフォームベースの認証を構成する (SharePoint Foundation 2010)」の手順に従ってください。

セキュリティと権限

不明なアカウントに関するエラーや、データベースがアップグレードされないというエラーが発生する場合は、以下のことを確認してください。

  • 一括アップグレードの場合は、SharePoint 製品構成ウィザードを実行するのに使用するアカウントが、アップグレードするすべてのデータベースについて、db_owner 固定データベース ロールのメンバーである必要があります。このロールのメンバーでない場合、ウィザードがデータベースのアップグレードを開始するときに、不明なユーザー アカウントに関するエラーが表示されます。

  • データベース接続アップグレードの場合、SQL Server のインスタンス間でデータベースを移動しているのであれば、そのセキュリティが正しく構成されている必要があります。使用しているアカウントが、データベース上で適切な固定ロールと権限を持ち、ドメイン間でアップグレードしていても引き続き有効なアカウントであることを確認します。

更新後 .Stp ファイルが動作しない

サイト テンプレート (.stp ファイル) は SharePoint Foundation 2010 で廃止され、新しいサイトの作成に使用できません。.stp ファイルを使って作成した既存のサイトについては、通常どおり引き続き機能します。SharePoint Foundation 2010 でテンプレートに基づいたサイトを作成するには、ソリューション パッケージ (.wsp ファイル) を使用します。.stp ファイルを .wsp ファイルに変換すると、アップグレード後も引き続きテンプレートを使用することができます。

.stp ファイルを .wsp ファイルに変換するには

  1. Windows SharePoint Services 3.0 で、テンプレートに基づいてサイトを作成し、そのサイトを SharePoint Foundation 2010 にアップグレードします。

  2. SharePoint Foundation 2010 のアップグレードされたサイトで、[サイトの操作] メニューの [サイトの設定] をクリックします。

  3. [サイトの設定] ページの [サイトの操作] で、[テンプレートとしてサイトを保存] をクリックします。

  4. [テンプレートとしてサイトを保存] ページでファイル名テンプレート名を入力し、[OK] をクリックします。

    サイト テンプレートは, .wsp ファイルとしてそのサイト コレクションのソリューション ギャラリーに保存されます。これで、そのソリューションに基づいたサイトを新しく作成できます。

新しいバージョンの Fabulous 40 アプリケーション テンプレートが見つからない

多くのユーザーが、Windows SharePoint Services 3.0 に対して作成された "Fabulous 40" テンプレートを使っていました。これらのテンプレートの中には、サイト管理テンプレート (.stp ファイル) として作成されたものや、サーバー管理テンプレート (.wsp ファイル) として作成されたものがありました。SharePoint 2010 Products 用の新しいバージョンのテンプレートは、まだリリースされていません。また、SharePoint Foundation 2010 にアップグレードすると, .stp ファイルは廃止され、このファイルでは新しいサイトを作成できなくなります。

これらのテンプレートに基づいたサイトをアップグレードできます。ただし、潜在する問題を検出できるように、これらのサイトのアップグレード作業はテスト環境で試してみてから運用環境で行うようにしてください。問題を検出するには、アップグレード前チェック ツールを使用します (カスタム ワークフロー、テンプレートの CAML ベース ビューなどで問題が検出されます)。アップグレード後は, .stp ファイルでは新しいテンプレートを作成できなくなることに注意してください。

次の表では、テンプレートを使用する方法について説明します。

テンプレートの種類 このテンプレートから作成したサイトのアップグレード アップグレード後のテンプレートの使用

サイト管理 (.stp ファイル/サイト テンプレート)

不可

サーバー管理 (.wsp ファイル/ソリューション パッケージ)

可*

可*

*アップグレード後, .wsp ファイルに関する問題がいくつか発生します。具体的には、アップグレードを行うと、お客様によっては仮払承認および休暇スケジュール管理テンプレート、コール センター テンプレート、ヘルプ デスク テンプレート、IT チーム ワークスペース テンプレート、サポート技術情報テンプレート、および物的資産管理テンプレートを使って新しいサイトを作成できない場合があります。これらのテンプレートを使用しているときに問題が発生した場合は、TechNet フォーラム「SharePoint 2010 - Setup, Upgrade, Administration and Operation (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=201600&clcid=0x411) (英語)」に問題を投稿するか、製品サポートにご連絡ください。

SharePoint Foundation 2010 でサイト管理テンプレート (.stp ファイル) に基づいて引き続きサイトを作成するには、そのテンプレートをソリューション パッケージ (.wsp ファイル) に変換する必要があります。詳細については、この記事の「更新後 .Stp ファイルが動作しない」を参照してください。

See Also

Concepts

試用版のアップグレードを使用して潜在的な問題を発見する (SharePoint Foundation 2010)
アップグレードされたサイトを検証および確認する (SharePoint Foundation 2010)
アップグレードを再開する (SharePoint Foundation 2010)