アップグレード前チェック ツールを実行する (SharePoint Server 2010)

 

適用先: SharePoint Server 2010

トピックの最終更新日: 2016-11-30

Microsoft SharePoint Server 2010 へのアップグレードを実行する前に、アップグレード前チェック ツールを使用して環境および SharePoint サイトの状態を調べることができます。サーバー管理者がアップグレード前チェック ツールを実行し、アップグレードをスケジュールする前に解決できる問題はすべて解決しておくことを強くお勧めします。

アップグレード前チェック ツールは、アップグレードに伴う潜在的な問題を見つけ、推奨事項とベスト プラクティスを確認するために Microsoft Office SharePoint Server 2007 環境で実行する Stsadm 操作です。この操作は、Office SharePoint Server 2007 Service Pack 2 で使用可能であり、Windows SharePoint Services 3.0 および Office SharePoint Server 2007 用の 2009 年 10 月の累積的な更新プログラムで更新されました。2009 年 10 月の累積的な更新プログラムは、「October 2009 Cumulative Update Packages for SharePoint Server 2007 and Windows SharePoint Services 3.0 are published (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=169179&clcid=0x411) (英語) からダウンロードし、インストールできます。

注意

アップグレード前チェック ツールを、何度も実行する必要が生じる場合があります。たとえば、ツールを使用してサーバー ファームの評価を行うが、アップグレードは数週間行わないという場合は、アップグレードを行う直前にツールを再実行して新しいサイトをチェックし、その間に新たな問題が発生していないことを確認する必要があります。

この記事の内容:

  • アップグレード前チェック ツールのレポートについて

  • アップグレード前チェック ツールを実行する

注意

アップグレード中によく起こる失敗の 1 つは、カスタマイズした機能、ソリューション、またはその他の要素が環境から失われることです。必要なカスタム要素がフロントエンド Web サーバーにインストールされていることを、アップグレード プロセスを開始する前に確認してください。アップグレード前チェック ツールを使用し、データベース接続アップグレードの場合は test-spcontentdatabaseWindows PowerShell コマンドレットを使用して、サイトで使用しているカスタム要素を識別できます。詳細については、「試用版のアップグレードを使用して潜在的な問題を発見する」の「カスタマイズを識別してインストールする」を参照してください。

アップグレード前チェック ツールのレポートについて

アップグレード前チェック ツールのレポートには、以下を含む、環境およびその環境内の SharePoint サイトの各状態についての情報が出力されます。

  • アップグレードの準備状況およびサポートされているパス   ファーム内のすべてのサーバーおよびコンポーネントのリストと、サーバーがアップグレード要件を満たしているかどうかについての情報を取得します。

  • 代替アクセス マッピングの設定   ファームで使用されている代替アクセス マッピング URL のリストを取得します。

  • インストール済みの要素   サイト定義、サイト テンプレート、機能、およびファームにインストールされている言語パックをすべて含むリストを取得します。インストールまたは使用されているサイト テンプレートを認識して、アップグレードまたはデータベース接続後にそれらが使用できることを確認できるようにする必要があります。また、カスタマイズされている要素を認識して、アップグレード後にカスタマイズを再び確認できるようにすることも必要です。たとえば、サイトが、SharePoint Server 2010 には存在しない Office SharePoint Server 2007 の言語パックに依存しているかどうかを認識して、アップグレードの際にそのサイトの処理方法を計画できるようにすることが必要です。

  • サポートされていないカスタマイズ   サポートされていないサーバー側のカスタマイズ (データベース スキーマの変更など) がファームに存在するかどうかについてのレポートを出力します。

  • 切り離されたオブジェクト   ファーム内のすべての切り離されたデータベースまたはサイトのリストを取得します。リスト アイテム、リスト、ドキュメント、Web サイト、サイト コレクションなどのオブジェクトは、切り離されている場合があります。つまり、オブジェクトが存在するが、特定のサイトに関連付けられていない場合があります。切り離されたオブジェクトは以前のバージョンでは動作しないため、アップグレード後も動作しません。一括アップグレードを実行した後も、切り離されたアイテムは存在しますが、動作しません。アップグレードを行う前に、切り離されたオブジェクトを修復することをお勧めします。

    ヒント

    フロントエンド Web サーバーの Administrators グループのメンバーは、サポート技術情報の記事 918744「Windows SharePoint Services でのコンテンツ データベースを修復するために、使用できる新しいコマンドライン操作の説明」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=69958&clcid=0x411) に記載されている手順に従って作業することにより、アップグレード前に切り離された項目を修復できます。

  • 無効な構成設定   ファームでの不足している構成設定または無効な構成設定 (Web.config ファイルがない、ホスト名が無効、サービス アカウントが無効など) についてのレポートを出力します。

  • データベース要件   データベースがアップグレード要件を満たしているかどうか (たとえば、データベースが読み取り/書き込みに設定されていること、Windows Internal Database に格納されているデータベースおよびサイト コレクションがすべて 4 GB のサイズを超えていないことなど) についてのレポートを出力します。

アップグレード前チェック ツールで収集した情報を使用して、以下のことを決定します。

  • 一括アップグレードと段階的なアップグレードのどちらを実行するか。

    アップグレード方法を決定する (SharePoint Server 2010)」に、どの種類のアップグレードを実行するか決定するのに役立つ情報があります。この決定を行う際には、アップグレード前チェック ツールによって生成されたレポートを検討することが重要です。サーバーが一括アップグレードの要件を満たさない場合は、データベース接続アップグレードの使用を検討してください。

  • カスタマイズされたサイトを含むサイト コレクションの一部をアップグレードするか、すべてをアップグレードするか。

  • アップグレード後にカスタマイズを再適用または再実行する必要があり、そのため他のサイトよりレビュー段階に長い時間を要する可能性があるのはどのサイトか。

アップグレードを準備するときに環境についての情報を記録できるワークシートが用意されています。ワークシートは、https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=179928&clcid=0x411 (英語) からダウンロードしてください。

アップグレード前チェック ツールを実行する

この手順を実行する前に、次の点を確認してください。

  • システムで Office SharePoint Server 2007 Service Pack 2 が実行されていること

アップグレード前チェック ツールを実行するには

  1. 次の管理者の資格情報を持つことを確認します。

    • Stsadm を使用するには、サーバーのローカル Administrators グループのメンバーである必要があります。
  2. [スタート] をクリックし、[コマンド プロンプト] を右クリックして、[管理者として実行] をクリックします。

  3. コマンド プロンプト ウィンドウで、次のディレクトリに移動します。

    %COMMONPROGRAMFILES%\Microsoft Shared\Web Server Extensions\12\bin

  4. 次のコマンドを入力し、Enter キーを押します。

    STSADM.EXE -o preupgradecheck

    このコマンドを実行すると、ローカル サーバーとファームレベル設定の両方がチェックされます。この操作で使用できる他のパラメーターのリストについては、「Preupgradecheck: Stsadm 操作 (Office SharePoint Server)」を参照してください。アップグレード前チェック ツールに含まれるルールのリストについては、「将来のリリースに備えたアップグレード前スキャンとレポート (Office SharePoint Server)」を参照してください。

アップグレード前のチェッカーを実行すると、レポートが既定のブラウザーで自動的に開かれます。%COMMONPROGRAMFILES%\Microsoft Shared\Web Server Extensions\12\LOGS ディレクトリにあるレポートを開いて表示することもできます。レポートの名前は、PreUpgradeCheck_YYYYMMDD-HHMMSS-SSS-<ランダムな数>.htm という形式になっています。YYYYMMDD は日付、HHMMSS-SSS は時刻です (24 時間制での時、分、秒、およびミリ秒)。また、アップグレード前チェッカーの実行が同時に試みられる可能性もあるため、各試行を区別するためにランダムな番号が使用されます。同じ場所にレポートの TXT 版と XML 版もあります。

レポートを使用して、問題を見つけて解決します。必要に応じて、結果をアップグレード チームの他のメンバーと共有することもできます。たとえば、カスタマイズしたサイト テンプレート、カスタム Web パーツなどの問題があれば、アップグレードのスケジュールを立てる前に適切なサイトの所有者、Web 作成者、または開発者に報告し、問題を解決する時間を与えることができます。