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直接 SIP 展開のオプション

 

トピックの最終更新日: 2012-10-17

ここでは、直接 SIP 接続を展開するトポロジの例について説明します。

Lync Server スタンドアロン

このセクションで説明する展開のいずれかを組織で使用する場合は、組織の一部または全体の唯一のテレフォニー ソリューションとして Microsoft Lync Server 2010 通信ソフトウェアを使用します。ここでは、次の展開について詳しく説明します。

  • 段階的な展開: このオプションは、既に PBX インフラストラクチャが存在し、組織内の小規模グループやチームを対象に徐々にエンタープライズ VoIP を導入していく場合を想定しています。

  • Lync Server VoIP のみの展開: このオプションは、従来のテレフォニー インフラストラクチャが存在しない場所でエンタープライズ VoIP を展開する場合を想定しています。

段階的な展開

段階的な展開では、Lync Server 2010 が個々のチームまたは部門にとって唯一のテレフォニー ソリューションになり、組織内の他のユーザーは引き続き PBX を使用します。このような段階的な展開方法により、管理されたパイロット プログラムに従って、IP テレフォニーを組織に導入することができます。 ワークグループの通信ニーズを満たすときに Microsoft 統合コミュニケーションが最適な場合、そのワークグループはエンタープライズ VoIP に移行され、他のユーザーは引き続き既存の PBX を使用します。 他のワークグループは、必要に応じてエンタープライズ VoIP に移行できます。

段階的オプションは、通信要件が共通し、集中管理に適したユーザー グループが明確に定義されている場合にお勧めします。また、このオプションは、チームまたは部門が地理的に広範囲な地域に分散しており、長距離通話料金を大幅に節約できる場合に適しています。このオプションは、メンバーが世界各地に分散している仮想チームを作成する場合に有効です。ビジネス要件の変化に対応して、このようなチームをすばやく結成、変更、または解散することができます。

次の図は、PBX の背後でエンタープライズ VoIP を展開する一般的なトポロジを示しています。 これは、段階的な展開で推奨されるトポロジです。

段階的な展開のオプション

部門別移行オプションの図

note注:
Lync Server の展開を、認定された直接 SIP パートナーに接続する場合は、仲介サーバーと PBX 間の PSTN ゲートウェイは必要ありません。認定された直接 SIP パートナーの一覧については、Microsoft Unified Communications Open Interoperability Program の Web サイト (https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=203309&clcid=0x411) を参照してください。
note注:
この図に示されたメディア パスは、メディア バイパスを有効にしています (推奨される構成)。 メディア パスを無効にした場合、メディア パスは仲介サーバー経由でルーティングされます。

このトポロジでは、一部の部門またはワークグループでエンタープライズ VoIP を有効にします。 VoIP 対応のワークグループを PSTN ゲートウェイによって PBX にリンクします。 リモート作業者などのエンタープライズ VoIP 対応のユーザーは、IP ネットワークを介して通信します。 エンタープライズ VoIP ユーザーによる PSTN の呼び出しや、エンタープライズ VoIP に対応していない同僚の呼び出しはそれぞれ、適切な PSTN ゲートウェイにルーティングされます。 PBX システムを使用している同僚または PSTN を使用する発信者からの通話は、PSTN ゲートウェイにルーティングされ、そこから Lync Server 2010 に転送されてルーティングされます。

相互運用性を確保するためにエンタープライズ VoIP を既存の PBX インフラストラクチャに接続する場合は、PBX の背後のエンタープライズ VoIP と、PBX の前面のエンタープライズ VoIP の、2 つの構成が推奨されます。

PBX の背後のエンタープライズ VoIP

エンタープライズ VoIP が PBX の背後に展開される場合は、PSTN からの通話が PBX で着信されると、エンタープライズ VoIP ユーザー宛ての通話が PSTN ゲートウェイにルーティングされ、PBX ユーザー宛ての通話は PBX にルーティングされます。

PBX の前面のエンタープライズ VoIP

エンタープライズ VoIP が PBX の前面で展開される場合は、すべての通話が PSTN ゲートウェイで着信されると、エンタープライズ VoIP ユーザー宛ての通話が Lync Server にルーティングされ、PBX ユーザー宛ての通話は PBX にルーティングされます。 エンタープライズ VoIP ユーザーおよび PBX ユーザーからの通話は、IP ネットワークを介して、最も費用効率の高い PSTN ゲートウェイにルーティングされます。 次の図は、この構成の利点と弱点を示しています。

エンタープライズ VoIP を PBX の前面で展開する場合の利点と弱点

利点 弱点

エンタープライズ VoIP に対して有効になっていないユーザーは、引き続き PBX を使用できます。

既存のゲートウェイでは、必要な機能や処理能力が得られない場合があります。

PBX は、すべての従来のデバイスを処理できます。

ゲートウェイから PBX までと、ゲートウェイから仲介サーバーまでのトランクが必要です。 サービス プロバイダーからさらにトランクを得る必要がある場合があります。

エンタープライズ VoIP ユーザーはこれまでの電話番号を使用できます。

 

Lync Server VoIP のみの展開

新企業を設立する場合、または既存の企業が新しいオフィスを開設する場合でも、エンタープライズ VoIP を使用すると、PBX 統合や IP-PBX インフラストラクチャの展開および保守に要する多大な費用を心配することなく、すべての機能を備えた VoIP ソリューションを導入できます。このソリューションでは、オンサイト作業者およびリモート作業者の両方がサポートされます。

この展開では、すべての通話が IP ネットワークを介してルーティングされます。 PSTN への通話は、適切な PSTN ゲートウェイにルーティングされます。 Lync 2010 または Lync 2010 Phone Edition は、Softphone の役割を果たします。 ユーザーが制御する PBX 電話はないため、リモート通話コントロールは使用不能であり、また不要です。 ボイス メール サービスと自動応答サービスは、Exchange ユニファイド メッセージング (UM) を任意で展開することによって提供できます。

note注:
VoIP のみの展開では、Lync Server 2010 をサポートするために必要なネットワーク インフラストラクチャを構築するだけでなく、さらに小型の認定ゲートウェイを使用すると、FAX 機器やアナログ デバイスなどもサポートできます。

次の図は、VoIP のみの展開の一般的なトポロジを示しています。

VoIP のみの展開オプション

Greenfield 展開オプション

note注:
この図に示されたメディア パスは、メディア バイパスを有効にしています (推奨される構成)。メディア パスを無効にした場合、メディア パスは仲介サーバー経由でルーティングされます。