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複数のゲートウェイのサポート

 

トピックの最終更新日: 2012-01-25

Lync Server 2010 の仲介サーバーには、単一仲介サーバーで複数のゲートウェイを制御できる新機能が備わっています。 以前のリリースでは、仲介サーバーとゲートウェイの比率は 1 対 1 でした。 1 つの特定ゲートウェイを複数の通話ルートに割り当て、1 つの仲介サーバーまたは複数の仲介サーバーから成るプールに関連付けることができるようになりました。複数のゲートウェイを 1 つの仲介サーバーまたは複数の仲介サーバーから成るプールに関連付けることもできます。このリリースでは、1 つの特定仲介サーバーで処理できるゲートウェイの数は、そのサーバーの使用ピーク時における処理能力によって決まります。 「サポート」ドキュメントの 「サポートされるハードウェア」で説明されている Lync Server 2010 の最小ハードウェア要件を超えるハードウェアに仲介サーバーを展開すると、1 つのスタンドアロン仲介サーバーで約 1000 件のアクティブ通話を処理できます。 これらの仕様を満たしているハードウェアに展開された仲介サーバーでは、コード変換が実行されますが、ゲートウェイによってメディア バイパスがサポートされていない場合であっても、複数ゲートウェイの通話がルーティングされます。

通話ルートを定義するときには、そのルートに関連するゲートウェイを指定しますが、どの仲介サーバーがそのルートと関連するかについては指定しません。 代わりにトポロジ ビルダーを使用して、ゲートウェイとルートを仲介サーバーに関連付けます。つまり、通話に使用されるゲートウェイはルーティングによって決まり、そのゲートウェイに関連付けられている仲介サーバーで通話が処理されます。

Lync Server 2010 には、仲介サーバーをプールとして展開する新機能もあります。このプールをフロントエンド プールと併置するか、またはスタンドアロン プールとして展開できます。 仲介サーバーをフロントエンド プールと併置した場合には、プール サイズは最大 10 (レジストラー プール サイズの限度) になります。 これらのすべての新機能によって仲介サーバーの信頼性と展開の柔軟性が向上しますが、新機能には次のピア エンティティの関連機能が必要になります。

  • **PSTN ゲートウェイ。**Lync Server 2010 向けに認定されたゲートウェイによる DNS 負荷分散の実行が必要です。これにより、認定 PSTN ゲートウェイが仲介サーバーの 1 つのプールに対するロード バランサーとして機能し、そのプール全体に通話の負荷を分散します。

  • **セッション ボーダー コントローラー。**SIP トランクの場合には、ピア エンティティはインターネット テレフォニー サービス プロバイダーのセッション ボーダー コントローラー (SBC) です。 仲介サーバープールから SBC への方向では、SBC はそのプールのどの仲介サーバーからの接続でも受信できます。 SBC からプールへの方向では、そのプールのどの仲介サーバーにもトラフィックを送信できます。 サービス プロバイダーと SBC で DNS 負荷分散がサポートされている場合には、DNS 負荷分散でこれを実現できます。 ほかには、プールのすべての仲介サーバーの IP アドレスをサービス プロバイダーに提供し、サービス プロバイダーがそれらの IP アドレスを各仲介サーバーの個別 SIP トランクとして SBC にプロビジョニングする方法があります。 この場合、サービス プロバイダーのサーバーに対してサービス プロバイダーが負荷分散を処理します。 サービス プロバイダーや SBC によっては、これらの機能をサポートしていないことがあります。 さらに、サービス プロバイダーによってはこの機能に別料金を課すことがあります。 一般的には、SBC への SIP トランクごとに月額料金が発生します。

    サービス プロバイダーが利用者サイトへの単一 SIP トランクを構成し、利用者が SBC と仲介サーバープール (またはフロントエンド プールに併置されている仲介サーバー) の間にハードウェア ロード バランサーを配置するという方法もあります。この構成で新しい仲介サーバーを追加する場合には、サービス プロバイダーの構成を変更する必要はありません。SBC の IP が、さまざまな物理 SBC で終了できる仮想 IP (VIP) である場合には、SBC の冗長を実現できます。そのような場合には SBC が利用不可になったときの回復メカニズムがあります。

  • **IP-PBX。**仲介サーバープールから IP-PBX SIP 終端への方向では、IP-PBX はそのプールのどの仲介サーバーからの接続でも受信できます。 IP-PBX からプールへの方向では、そのプールのどの仲介サーバーにもトラフィックを送信できます。 ほとんどの IP-PBX では DNS 負荷分散がサポートされていないため、IP-PBX からプールの仲介サーバーごとに個別の直接 SIP 接続を定義することをお勧めします。 トランク グループにトラフィックが分散されることで、IP-PBX により IP-PBX の負荷分散が処理されます。 このトランク グループには IP-PBX での一貫したルーティング ルールがあることが前提とされています。 仲介サーバークラスターが IP-PBX と正常に対話できるかどうかを判断するには、特定の IP-PBX でこのトランク グループ コンセプトがサポートされているかどうかを明らかにし、特定の IP-PBX が IP-PBX 自体の冗長アーキテクチャまたはクラスタリング アーキテクチャとどのように交差するのかを決定する必要があります。

仲介サーバープールには、対話するピア ゲートウェイの統一ビューが必要です。 つまり、プールのすべてのメンバーが、ピア ゲートウェイの同一定義に構成ストアからアクセスし、発信通話のために同様にピア ゲートウェイと対話するということです。 そのため、発信通話のために一部の仲介サーバーが特定のゲートウェイ ピアとだけ通信できるように、プールをセグメント化することはできません。 そのようなセグメント化が必要な場合には、仲介サーバーの別のプールを使用する必要があります。 たとえば、このトピックでこれまでに詳しく説明した、プールと対話するための関連機能が PSTN ゲートウェイ、SIP トランク、または IP-PBX にない場合がこれに当てはまります。

Lync Server 2010 の展開では、PSTN ゲートウェイ、IP-PBX、または SIP トランクの特定のピアは単一仲介サーバープールだけに依存することが前提とされています。通話がゲートウェイ ピアに到達できるように、Lync Server 2010 のフロントエンド プールによって通話がその仲介サーバー プールにルーティングされます。

別の仲介サーバープールを使用する必要がある SIP トランク、IP-PBX、および PSTN ゲートウェイには、次のスキームを適用して、冗長を実現できます。

  • 複数の仲介サーバーが同一のゲートウェイ ピア エンティティと対話する状態を解消するには、複数の仮想ゲートウェイを構成する必要があります。 ゲートウェイごとに関連付けられる FQDN が異なり、FQDN は DNS によって同一 IP アドレスに解決されます。

  • 個別のスタンドアロン仲介サーバー (例: 1 つの仲介サーバーから成るプール) が使用され、仲介サーバーから仮想ゲートウェイへのトランクが定義されます。各冗長仲介サーバーで、それぞれの仮想ゲートウェイへのトランク接続が処理されます。

  • TLS をサポートするゲートウェイ ピアでこのスキームが機能するには、各仮想ゲートウェイの FQDN がゲートウェイ ピアから提供される証明書のサブジェクト名またはサブジェクトの別名部分に含まれている必要があります。

  • ゲートウェイ ピアとの対話に適用されるポリシーは、一致する構成ストアの最初のゲートウェイ オブジェクトに関連付けられているポリシーです。 同じポリシーがすべての仮想ゲートウェイに関連付けられているはずであるため、これで問題が生じることはありません。 (すべての仮想ゲートウェイは同じ物理ハードウェアに対応します)。

  • Lync Server 2010 のルートでは、さまざまな仮想ゲートウェイが使用されます。 仮想ゲートウェイごとに異なる仲介サーバーに依存します。

特定の仲介サーバープールで制御できるゲートウェイの数は、メディア バイパスを使用する通話の数によって決まります。 多くの通話でメディア バイパスが使用される場合には、シグナリング層の処理だけが必要になるため、プールの 1 つの仲介サーバーで処理できる通話数が増えます。