@@IDENTITY (Transact-SQL)

更新 : 2006 年 12 月 12 日

最後に挿入された ID 値を返すシステム関数です。

トピック リンク アイコンTransact-SQL 構文表記規則

構文

@@IDENTITY

戻り値の型

numeric(38,0)

解説

INSERT ステートメント、SELECT INTO ステートメント、または一括コピーが終了すると、@@IDENTITY にはステートメントが最後に生成した ID 値が含まれます。ID 列のあるテーブルがステートメントによって影響されなかった場合、@@IDENTITY は NULL 値を返します。複数の行を挿入して、複数の ID 値を生成する場合、@@IDENTITY は最後に生成した ID 値を返します。ステートメントが、ID 値を生成する挿入操作を実行する 1 つ以上のトリガを起動する場合、このステートメントの直後で @@IDENTITY を呼び出すと、トリガにより最後に生成された ID 値が返されます。ID 列のあるテーブルで挿入操作を行った後に起動されるトリガによって、ID 列のない別のテーブルへの挿入操作が実行される場合、@@IDENTITY は最初の挿入の ID 値を返します。INSERT ステートメントか SELECT INTO ステートメント、または一括コピーが失敗した場合、あるいは、トランザクションがロールバックされた場合、@@IDENTITY 値は前の設定に戻りません。

失敗したステートメントやトランザクションにより、テーブルの現在の ID が変更され、ID 列の値にギャップが生じることがあります。ID 値がロールバックされることはありません。これは、テーブルに値を挿入するトランザクションがコミットされない場合でも同じです。たとえば、IGNORE_DUP_KEY 違反によって INSERT ステートメントが失敗した場合でも、テーブルの現在の ID 値は増分されます。

@@IDENTITY、SCOPE_IDENTITY、および IDENT_CURRENT は、すべてテーブルの IDENTITY 列に最後に挿入された値を返すという点で似ています。

@@IDENTITY と SCOPE_IDENTITY は、現在のセッション内の任意のテーブルで生成された最後の ID 値を返します。ただし、SCOPE_IDENTITY が返す値は、現在のスコープの範囲内に限られます。@@IDENTITY の場合は、特定のスコープに限定されません。

IDENT_CURRENT はスコープとセッションには限定されませんが、特定のテーブルに限定されます。IDENT_CURRENT は、任意のセッションとスコープの特定のテーブルに対して生成された ID 値を返します。詳細については、「IDENT_CURRENT (Transact-SQL)」を参照してください。

@@IDENTITY 関数のスコープは、実行されるローカル サーバーの現在のセッションです。この関数は、リモート サーバーまたはリンク サーバーには適用できません。別のサーバーで ID 値を取得するには、そのリモート サーバーまたはリンク サーバーでストアド プロシージャを実行し、(リモート サーバーまたはリンク サーバーのコンテキスト内で実行されている) そのストアド プロシージャが ID 値を収集し、ローカル サーバー上の呼び出し元の接続にこれを返すようにします。

@@IDENTITY の値はレプリケーション トリガやストアド プロシージャ内で使用されるため、レプリケーションによって影響を受けることがあります。列がレプリケーション アーティクルの一部である場合、ユーザーが作成した最新の ID として @@IDENTITY を信頼することはできません。@@IDENTITY の代わりに、SCOPE_IDENTITY() 関数の構文を使用できます。詳細については、「SCOPE_IDENTITY (Transact-SQL)」の「例」を参照してください。

ms187342.note(ja-jp,SQL.90).gifメモ :
SCOPE_IDENTITY() 関数を使用するには、呼び出し側のストアド プロシージャまたは Transact-SQL ステートメントを書き直す必要があります。この関数は、ユーザー ステートメントのスコープ内で使用された最新の ID を返します。レプリケーションで使用された入れ子トリガのスコープ内の ID を返すものではありません。

次の例では、ID 列 (LocationID) のあるテーブルに行を挿入し、@@IDENTITY を使用して新しい行で使用する ID 値を表示します。

USE AdventureWorks;
GO
--Display the value of LocationID in the last row in the table.
SELECT MAX(LocationID) FROM Production.Location;
GO
INSERT INTO Production.Location (Name, CostRate, Availability, ModifiedDate)
VALUES ('Damaged Goods', 5, 2.5, GETDATE());
GO
SELECT @@IDENTITY AS 'Identity';
GO
--Display the value of LocationID of the newly inserted row.
SELECT MAX(LocationID) FROM Production.Location;
GO

参照

関連項目

システム関数 (Transact-SQL)
CREATE TABLE (Transact-SQL)
IDENT_CURRENT (Transact-SQL)
INSERT (Transact-SQL)
SCOPE_IDENTITY (Transact-SQL)
SELECT (Transact-SQL)

ヘルプおよび情報

SQL Server 2005 の参考資料の入手

変更履歴

リリース 履歴

2006 年 12 月 12 日

追加内容 :
  • @@IDENTITY とレプリケーションに関する情報を追加。