Reporting Services のシナリオ

Reporting Services は、幅広い実装シナリオに適合するエンタープライズ レポート ソリューションです。Reporting Services に含まれているツールやアプリケーションを使用して、レポートを作成、管理、および配布できます。ツールやアプリケーションはすぐに使用できるため、専門のレポート デザイナーやインフォメーション ワーカーは、簡単に独自のレポートを作成したりビジネス データを調査したりできます。開発者の場合は、Reporting Services の機能をカスタム アプリケーション内で統合したり、必要な種類の機能をサポートするように拡張したりできます。

Reporting Services のツールとアプリケーションを使用したエンド ツー エンドのレポート処理と管理

Reporting Services のツールとアプリケーションには、エンタープライズ レポート機能の要件をサポートするための機能がすべて用意されています。Reporting Services では、よく使用される多数のデータ ソースの種類に対して追加設定なしでレポートを作成でき、また、Microsoft Office Word、Excel、Adobe PDF など、一般的に使用されているさまざまな形式でレポートを表示および配布できます。レポート定義はプログラムで変更できますが、Reporting Services のツールおよびアプリケーションを使用する際にプログラミング経験は必要ありません。

  • レポート サーバーの管理者およびコンテンツ管理者は、SQL Server Management Studio、レポート マネージャー、および Reporting Services 構成ツールを使用して、レポート サーバー コンテンツを配置および管理できます。また、モデル デザイナーを使用して、レポート データ ソースとして使用する、ビジネス データのレポート モデルを作成できます。

  • レポートの作成者は、レポート デザイナーまたはレポート ビルダーを使用して、従来の形式や対話機能を備えた形式でビジネス データを視覚化するレポートを作成できます。

  • ビジネス ユーザーは、レポート マネージャー、SharePoint Web パーツ、または Web ブラウザーを使用して、レポートを必要なときに表示したり、電子メールで配信されるレポートをサブスクライブしたりできます。

使用できるツールの詳細については、「Reporting Services の機能」、「Reporting Services のコンポーネントとツール」、および「Business Intelligence Development Studio の Reporting Services (SSRS)」を参照してください。エンタープライズ レポート ソリューションの開発および管理の詳細については、「レポートのデザインと実装」および「管理」を参照してください。

SharePoint 統合

レポート サーバーを SharePoint 製品またはテクノロジの配置内で実行し、コラボレーション機能や集中ドキュメント管理機能を使用するように構成できます。詳細については、「Reporting Services と SharePoint テクノロジの統合の概要」を参照してください。

レポート ビルダーとモデルドリブン データ探索を使用したアドホック レポート機能

インフォメーション ワーカーは、臨機応変にビジネス データにアクセスしてレポートを作成できる使いやすいツールを必要としています。Reporting Services には、2 つのバージョンのレポート ビルダー (レポート ビルダー 1.0 およびレポート ビルダー 3.0) とモデル デザイナーが付属しており、これらは、あらかじめ生成されたビジネス データのモデルとレポート テンプレートによって、アドホック レポートの作成プロセスを省力化します。レポート モデルは、Reporting Services のすべての作成ツールで使用できるデータ ソースとして、レポート サーバーに格納され、セキュリティで保護されています。レポート ビルダー 1.0 で作成されるレポートは常にレポート モデルをベースとしており、より直感的なモデルの使用と、より簡単なアドホック レポートの作成が実現されています。レポート ビルダー 3.0 では、モデルを使用できるだけでなく、リレーショナル データ ソースや多次元データ ソースに直接アクセスすることもできます。レポート ビルダー 1.0 およびレポート ビルダー 3.0 で作成されたレポートは、レポート サーバーに保存することもできます。レポート サーバーに保存したレポートは、Reporting Services の他のレポートと同様に管理および配布できます。

レポート ビルダー 1.0 のレポートには、クリックスルー機能も用意されています。この機能を使用すると、ユーザーはレポート内のデータをクリックして、レポート モデル内の関連するデータを即座に確認することができます。カスタマイズされたレポートは、データ フィールドをクリックしたときにポップアップで表示されるレポート モデルにアタッチできます。このシナリオで使用されているレポート ビルダーまたはモデル デザイナーの詳細については、「Reporting Services のコンポーネントとツール」を参照してください。

企業内の開発者とサード パーティの開発者の開発シナリオ

Reporting Services では、企業のアプリケーションやサード パーティの商用ソフトウェアにレポート機能を追加する開発者向けに、さまざまなシナリオをサポートしています。

アプリケーションの統合

開発者は、Reporting Services を使用して、レポート機能をアプリケーションに含めることができます。アプリケーションによっては、レポート機能を追加することで、アプリケーションが追跡、作成、または監視したデータの表現手段が提供され、機能セットが完成します。アプリケーションで指定されたデータ ソースまたは公開されているデータ ソースに基づいてレポートを作成するには、レポート デザイナーを使用します。レポート サーバーの組み込み機能へのアクセスを定義したりサポートを追加したりするには、API を使用します。詳細については、「開発者ガイド (Reporting Services)」を参照してください。

また、レポート サーバーのすべての機能を必ずしも必要としないアプリケーションの場合は、Microsoft Visual Studio 2005 以降で ReportViewer コントロールを含めることができます。Reporting Services とは異なり、ReportViewer コントロールはアプリケーションと共に配布できます。

カスタム アプリケーションにレポートを埋め込むための Visual Studio の ReportViewer Web サーバー コントロールと Windows フォーム コントロール

Visual Studio では、他のアプリケーションに埋め込むことのできる ReportViewer コントロール、および Visual Studio に含まれているバージョンのレポート デザイナーとレポート ウィザードを介して、Reporting Services 機能が提供されています。このコントロールを使用すると、レポートの処理および表示の機能を直接アプリケーションに埋め込むことができます。Visual Studio のレポート デザイナーおよび ReportViewer コントロールの詳細については、「Visual Studio 2010 の Reporting Services および ReportViewer コントロール」を参照してください。

SQL Server Express with Advanced Services を使用した再配布

カスタム アプリケーションに SQL Server Express を含めると、内部データベース エンジンを提供してアプリケーション データの格納および管理を行うことができます。カスタム アプリケーションでレポート機能を再配布する場合、SQL Server Express with Advanced Services に含まれている Reporting Services の機能のサブセットをアプリケーションと共に使用または配布できます。SQL Server Express は、Web から無償でダウンロードでき、別途 Web からダウンロード可能な SQL Server Express Toolkit と共に使用できます。SQL Server Express Toolkit には、レポート作成ツールが用意されています。SQL Server Express は ReportViewer コントロールと共に使用できます。レポート サーバーの SOAP エンドポイントに関しては、いくつかの制限があります。詳細については、「SQL Server Express with Advanced Services の Reporting Services」を参照してください。

カスタム ダッシュボードと SharePoint サイトにおけるレポートのホスト

レポートはさまざまなソースからのデータに対応して表現できるため、多くの組織では、Reporting Services の対話型レポート機能を使用して、ポータル アプリケーションで表形式、グラフ形式、およびゲージ形式のデータを配信しています。複数のレポート、グラフ、ゲージ、およびデータ ドリブン画像を 1 つの自由形式レポート レイアウトに埋め込むことによって、ポータル ページでレポートをホストしたり、ダッシュボード スタイルの Web アプリケーションに似たレポートを作成したりできます。表形式またはグラフ形式のデータを基幹業務アプリケーションに組み込む必要がある場合は、代わりに Reporting Services レポートを追加することを検討してください。詳細については、「データ領域の入れ子化 (レポート ビルダー 3.0 および SSRS)」を参照してください。

カスタム レポート デザインおよびレポート管理ツールの構築

Reporting Services に含まれているツールおよびアプリケーションは、すべてのユーザーが利用できるプログラム インターフェイスに基づいています。つまり、Reporting Services に含まれているアプリケーションやツールは、カスタム ツール セットを使用して拡張したり、カスタム ツール セットに置き換えることができます。たとえば、Business Intelligence Development Studio 作成環境の代わりにカスタム レポート作成ツールを開発して、レポート デザイナーで使用することができます。カスタム Web ポータルまたはレポート管理ツールを構築するには、API を参照して、サポートする必要のあるレポート サーバーの管理機能について調べます。Reporting Services には、サーバーの管理に使用する Windows ベースのツールを開発する際に使用できる WMI (Windows Management Instrumentation) プロバイダーが含まれています。詳細については、「開発者ガイド (Reporting Services)」を参照してください。

Reporting Services 機能の拡張

Reporting Services は拡張性を考慮して設計されています。カスタム拡張機能を作成して、サポートするデータ ソース、配信方法、セキュリティ モデル、およびレポート アイテムの種類を追加できます。カスタム拡張機能を作成する場合、作成する拡張機能の種類とサポートする機能によって、難易度が大きく異なります。データ処理拡張機能は、通常、最も簡単に作成できます。これに対して、表示拡張機能でレポート スキーマ全体をサポートする場合は、非常に難しいことがあります。Reporting Services 機能の拡張の詳細については、「Reporting Services の拡張機能」および「レポート定義言語リファレンス」を参照してください。