Microsoft Solutions Framework (MSF) プロセス

Microsoft Solutions Framework (MSF) は、定義された一連の原則、モデル、規範、概念、ガイドライン、および Microsoft の実証済みのプラクティスに基づく、ITソリューション提供プロジェクトのための熟慮され鍛えられたアプローチです。

価値あるビジネス ソリューションを与えられた期間および予算内で作成するためには、実証済みのアプローチが必要です。MSF は、ITソリューションをより早く、より少ない人数、より低いリスク、より高い品質で構築するための、適応性の高いフレームワークを提供します。MSF を利用することにより、チームは、ITプロジェクト失敗の最も一般的な原因に直接対処することができ、プロジェクトの成功率を改善し、ソリューションの品 質を向上させて、より大きなビジネス インパクトをもたらすことができます。MSF は、ITプロジェクトや環境の動的な性質に対処するように作られているため、プロジェクトの経過に伴う度重なる変化に対応できるようになります。

MSF が方法論ではなくフレームワークと呼ばれるのには理由があります。規定的な方法論とは対照的に、MSF は、柔軟でスケーラブルなフレームワークを提供します。このフレームワークは、規模や複雑さに関係なく、あらゆるプロジェクトのニーズに対応できます。こ れにより、ビジネス主導型のITソリューションを計画、構築、および展開することができます。MSF は、すべてのプロジェクトの要件や環境に完全に当てはまるような単一の構造やプロセスは存在しないという思想に基づいています。その一方で、それでも手引 きが必要とされているという認識もあります。MSF では、フレームワークとしてこの手引きを提供し、細かな規定によって適用可能なプロジェクト シナリオの範囲を狭めてしまうことはありません。MSF のコンポーネントを個別に適用したりまとめて適用したりすることによって、以下のようなタイプのプロジェクトの成功率を上げることができます。

  • ソフトウェア開発プロジェクト (モバイル アプリケーション、Web アプリケーション、電子商取引アプリケーション、Web サービス、メインフレーム、n 階層など)。
  • インフラストラクチャ展開 (デプロイメント) プロジェクト (デスクトップの展開、オペレーティング システムのアップグレード、エンタープライズ メッセージングの展開、構成/運用管理システムの展開など)。
  • パッケージ化されたアプリケーション統合プロジェクト (個人の生産性スイート、エンタープライズ リソース プランニング (ERP)、およびエンタープライズ プロジェクトマネジメント ソリューションなど)。
  • 上記を任意に組み合わせたもの。

こうしたさまざまなタイプのプロジェクトに対応する MSF の手引きは、ほとんどのプロジェクトが直面する技術要素はもちろん、『人とプロセス』 の管理にも重点を置いています。技術チームのニーズやプラクティスは絶え間なく進化しているため、MSF に集められているマテリアルも、それに合わせて継続的に変化し、拡張されています。さらにMSFは、Microsoft Operations Framework (MOF) との相互作用により、プロジェクトの長期的な成功に不可欠な、運用環境へのスムーズな移行をもたらします。

以上をまとめると、Microsoft Solutions Framework (MSF) は、さまざまなITソリューションの計画、構築、および展開するための実証済みのプラクティスを提供し、ソフトウェアのデザインおよび開発の側面と、イン フラストラクチャの構築および展開の側面を 1 つのプロジェクト ライフサイクルへと結び付ける、あらゆる種類のITソリューションのためのガイドであると言えます。

Microsoft Solutions Framework の主要な用語定義

MSF はフレームワークであるため、複数のコンポーネントから構成されており、各コンポーネントを個別に使用することも統合して採用することもできます。これら のコンポーネントをひとまとめにして、IT プロジェクトを実行するための堅固でしかも柔軟なアプローチが作成されます。以下にこれらのコンポーネントの定義を示します。

  • MSF の基本原則 フレームワークのベースとなる主要な原則。フレームワークのすべての要素に共通する価値や標準を表します。
  • MSF のモデル プロジェクト チーム及びプロセスの編成についての枠組み、あるいは 「メンタル マップ」 (チーム モデル および プロセス モデル - フレームワークを定義する主要な 2 つのコンポーネント)。
  • MSF の規範 特定の方法論、用語、アプローチの集合を使用するプラクティスの領域 (プロジェクト マネジメント、リスク マネジメント、レディネス マネジメント - フレームワークを定義するもう一方の主要コンポーネント)。
  • MSF の主要コンセプト MSF の原則と規範を支援する考え方で、具体的な実証済みのプラクティスを通じて示されます。
  • MSF の実証済みのプラクティス 実際のさまざまな状況におけるIT プロジェクトで有効であることが実証されたプラクティス。
  • MSF の推奨事項 モデルや分野の利用における推奨 (オプション) プラクティスおよびガイドライン。

MSF のより詳しい内容については、下記のホワイトペーパーをご参照ください。

Microsoft Solutions Framework (MSF) のホワイト ペーパー

Microsoft Solutions Framework Version 3.0 の概要 (MSF_v3_Overview_Whitepaper.pdf, 374 KB)
Microsoft Solutions Framework (MSF) は、定義された一連の原則、モデル、分野、概念、ガイドライン、および Microsoft の実証済みのプラクティスをベースとした、技術プロジェクトに対する、よく考えられ、統制されたアプローチです。MSF を紹介するこのホワイト ペーパーでは、MSF の基礎となる原則、コア モデル、および基本分野の概要を、それらを適用することがどうして技術プロジェクトの成功につながるのかという観点から説明します。  

MSF チーム モデル v. 3.1 (MSF_Team_Model_v31.pdf, 534 KB)
MSF チームモデル は、プロジェクトを成功に導くための、人とその活動の組織化に対する Microsoft のアプローチを記述したものです。このモデルでは、ロール、機能領域、責務、および手引き (チームのメンバーがプロジェクト ライフサイクルの中でそれぞれの目標を達成するための手引き) が定義されています。  

MSF プロセス モデル v. 3.1 (MSF_Process_Model_v31.pdf, 613 KB)
MSF プロセスモデル は、IT ソリューションの構築および展開のためのアクティビティの、高レベルのシーケンスを記述します。特定の手順を規定するものではなく、広範な IT プロジェクトに対応できる柔軟性を持っています。この新しいバージョンの MSF プロセスモデル の画期的な点は、プロジェクトの開始から実際に展開された後まで、ソリューションのライフサイクル全体をカバーしているということです。ソリューションは 実際に展開および運用されてからでないと何の価値も生み出さないため、このことは、プロジェクト チームが顧客のビジネス バリューに焦点を絞るのに役立ちます。

Microsoft Solutions Framework - MSF Risk Management Discipline v.1.1 (英語)
Risk Management は、Microsoft Solutions Framework の中核分野の 1 つです。MSF では、変更とそれに伴う予測不可能性を、IT ライフサイクルに付きものの側面として認識しています。MSF Risk Management Discipline では、この予測不可能性に対して予防措置的なアプローチをとることを提唱し、リスクを継続的に評価して、それをライフサイクル全体にわたって意思決定に反 映させます。

Microsoft Solutions Framework - MSF Project Management Discipline v. 1.1 (英語)
MSF では、プロジェクト管理に対して、分散されたチームのアプローチをとっています。これにより、責任の所在が明確になるだけでなく、小さなプロジェクトから 大規模で複雑なプロジェクトに至るまでの広範なスケーラビリティが可能になります。このホワイト ペーパーでは、この分散アプローチと、MSF チームモデル におけるプロジェクト管理の役割について説明します。

MSF Readiness Management Discipline (英語)
Readiness Management は、MSF の中核分野の 1 つです。ソリューションの計画、構築、および管理に必要な知識、技術、および能力の管理方法の概略が示されています。

MSF Sample Project Lifecycle Deliverables (英語)
MSF のサンプル提出物と IT Occupation Taxonomy では、サンプル プロジェクト ライフサイクル テンプレートを見つけることができます。これらのファイルはサンプルとして提供されており、現状のままで使用するものであるため、サポートの対象外になり ます。プロジェクトの作業に合わせてカスタマイズするための出発点 (土台) として、これらのファイルを使用できます。

MSF Datasheet: MSF v3 and the MSF Practitioner Program Datasheets (英語)
Microsoft Solutions Framework (MSF) の最新のバージョンと新しい MSF Practitioner Program についての高レベルの情報です。

Microsoft Solutions Framework (MSF) の事例

U.S. Air Force, Pacific Air Forces (PACAF) (英語)
米 国空軍の太平洋空軍司令部 (PACAF) は、Microsoft .NET Framework のツールと技術を使用して新しいシステムを作成しました。このシステムは、重要な指揮情報への適時のアクセスを可能にし、指揮決定のために、正確で信頼性 の高い、一貫性を持ったデータを提供します。「このプロジェクト全体の成功は、MSF の採用と、Microsoft で統一されたソリューションを使用するという政府の決定の直接の成果だと考えています」と米国空軍二等軍曹の Paul R. Fimano 氏は語っています。

Keylogix (英語)
ニュー ジーランドのオークランド市議会は、非効率的で時代遅れのイベント ブッキング/スケジューリング システムに対するソリューションを、Microsoft 認定パートナーの Keylogix に依頼しました。これに対して Keylogic は、MSF のプロセスとチーム モデルを使用して、CENTO というシステムを作成しました。これは、Microsoft SQL Server、Microsoft Transaction Server、および COM (Common Object Model) 技術を、使いやすく多機能でスケーラブルな製品へと結集させた予約管理システムです。

Transat A.T. (英語)
競 争力の強化と顧客ベースの拡大をねらっていたカナダの旅行会社 Air Transat は、オンラインの宿泊予約を他社に先駆けて提供するために、Cactus Communications にそのシステムの開発を依頼しました。現在同社は、MSF の知識の基に効率的な Web サイトを運営しており、およそ 50 パーセントの開発コストの削減を実現しました。

United Airlines (英語)
United Airlines は、同社のソフトウェア プログラム United Connection を MSF のチーム モデルに沿ってデザイン、構築、および導入するために、Microsoft Consulting Services にその支援を依頼しました。この製品は、航空券の予約をより迅速かつ便利にすることによって、顧客との距離を縮めるのに役立っているほか、従業員の時間の 節約や、販売コストの削減も実現しています。

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