■ アップグレードウィザードの効果

  • コードのアップグレード
  • フォームのアップグレード
  • その他のアップグレード (リソースファイル、ADO など)

コードのアップグレード

データ型、構文などは、意味的に同じになるように適切にアップグレードされます。たとえば、Variant は Object に、整数型はその大きさを保つ違う名前のオブジェクトに変換されます。

また、デフォルトが変更になっている場合なども、Visual Basic 6.0 でのデフォルトを明示的に付加することで、元のプログラムの意図を引き継ぎます。たとえば、Visual Basic 6.0 では引数になにも指定しないと ByRef でしたが、Visual Basic .NET では ByVal がデフォルトになっています。そこで、Visual Basic 6.0 でなにも指定がない場合、Visual Basic .NET にアップグレードするとウィザードが ByRef を追加してくれます。

詳細は、第 4 章を参照してください。

フォームのアップグレード

VB の Form は、Windows フォームに置き換えられます。VB Form のメソッドやプロパティも、できる限り対応するメソッドやプロパティに置き換えられます。

標準コントロールの多くも、対応する新しいコントロールに置き換えられ、ActiveX コントロールを利用している場合も、必要なラッパークラスや設定が自動的に追加されるため、ほとんどそのまま利用可能です。

詳細は、第 5 章を参照してください。

その他のアップグレード

リソースファイル (.res) は、国別の XML 形式のファイル (.resx) に変更になります (従来の res ファイルが使えなくなったというわけではありません) 。

Web Class デザイナを利用しているプロジェクトは ASP.NET にアップグレードされます (ただし、Visual Studio .NET ベータ版ではエラーになり、変更はできません) 。

ADO は ADO.NET ではなく、ADO 2.7 にアップグレードされます。ADO のコードやコントロールとバインディングされているデータなども適切にアップグレードされます。さらに、DataEnvironment で実現していたものも、Visual Basic .NET に変更されます。

詳細は、第 3 章を参照してください。

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アップグレードウィザードの本当の活用法、それは、ずばり、

プログラムの移行より、プログラマの移行 (!?)

アップグレードウィザードを利用すると、Visual Basic 6.0 のプログラムを Visual Basic .NET にアップグレードできます。すでに紹介したように、フォームや、コードをできる限りアップグレードしてくれて、さらに、レポートやコメント (詳細は、「アップグレードレポートとアップグレードコメント」を参照) まで付けて、手で修正すべき部分を指摘してくれます。もちろん、この機能を利用して、プログラムをスムーズにアップグレードすることができます。

アップグレードウィザードのもうひとつの使い方として、これを Visual Basic .NET 学習のためのツールとして利用することができます。既存のプログラムをアップグレードウィザードにかけてみると、既存のコードのどの部分が変わらず使えて、どこを変更すべきかが一目瞭然です。また、どのように直せばよいか、あるいは、根本的に変更しなくてはいけないところはどこかを知ることもできます。

そのような観点から、アップグレードウィザードを活用してみてください。さっそく、今お持ちの Visual Basic 6.0 プロジェクトを Visual Basic .NET にアップグレードしてみてください。グッとイメージがわき、効果的な Visual Basic .NET の予習ができます。