Outlook フォーム領域の作成

[アーティクル]
04/28/2010

更新 : 2007 年 11 月

対象
このトピックの情報は、指定された Visual Studio Tools for Office プロジェクトおよび Microsoft Office のバージョンにのみ適用されます。プロジェクトの種類アプリケーションレベルのプロジェクト Microsoft Office のバージョン Outlook 2007 詳細については、「アプリケーションおよびプロジェクトの種類別の使用可能な機能」を参照してください。

このトピックの情報は、指定された Visual Studio Tools for Office プロジェクトおよび Microsoft Office のバージョンにのみ適用されます。

プロジェクトの種類

アプリケーションレベルのプロジェクト

Microsoft Office のバージョン

Outlook 2007

詳細については、「アプリケーションおよびプロジェクトの種類別の使用可能な機能」を参照してください。

フォーム領域を使用することにより、Microsoft Office Outlook フォームをカスタマイズできます。Visual Studio Tools for Office には、フォーム領域のデザイン、開発、デバッグに役立つ高度なツールが用意されています。

ここでは、次の情報について説明します。

フォーム領域の利点
プロジェクトへの Outlook フォーム領域の追加
フォーム領域デザイナの使用方法
Outlook でデザインしたフォーム領域の使用方法
フォーム領域へのカスタムコードの追加
プロジェクトのビルド
フォーム領域のデバッグ
フォーム領域の配置

フォーム領域の利点

フォーム領域は、従来の Outlook フォーム開発に多くの機能強化をもたらします。

標準フォームの既定のページをカスタマイズする。
標準フォームに 12 ページまで追加する。
標準フォームを置換または拡張する。
閲覧ペインとインスペクタにカスタム UI を表示する。

詳細については、「Customizing Form Pages and Form Regions」を参照してください。

プロジェクトへの Outlook フォーム領域の追加

新しい Outlook フォーム領域ウィザードを使用して、新しいフォーム領域をデザインしたり、Outlook でデザインしたフォーム領域をインポートしたりできます。また、別の Visual Studio Tools for Office アドインプロジェクトで使用した既存のフォーム領域を再利用することもできます。

ウィザードによる新しいフォーム領域の作成

フォーム領域を作成するには、Outlook アドインプロジェクトに Outlook フォーム領域アイテムを追加します。これによって、新しい Outlook フォーム領域ウィザードが起動します。

このウィザードでは、新しいフォーム領域をデザインするか Outlook でデザインしたフォーム領域をインポートするかを指定します。新しいフォーム領域のデザインの詳細については、「フォーム領域デザイナの使用方法」を参照してください。Outlook でデザインしたフォーム領域の使用方法の詳細については、「Outlook でデザインしたフォーム領域のインポート」を参照してください。

ウィザードを使用して、作成するフォーム領域の種類を指定します。フォーム領域の種類について次の表で説明します。

フォーム領域の種類	説明
分離	フォーム領域を Outlook フォームの新しいページとして追加します。
隣接	フォーム領域を Outlook フォームの既定のページの下部に追加します。
置換	フォーム領域を Outlook フォームの既定のページに代わる新しいページとして追加します。
すべて置換	Outlook フォーム全体をフォーム領域と置き換えます。

このウィザードでは、表示条件を指定し、拡張するフォームの種類を選択することもできます。詳細については、「方法 : フォーム領域を Outlook アドインプロジェクトに追加する」を参照してください。

このウィザードで行った選択は、他のウィザードページで使用できるオプションに影響します。たとえば、[フォーム領域を作成する方法の選択] ページで [隣接] または [分離] を選択すると、[説明用のテキストを指定し、表示設定を選択します] ページの [タイトル] フィールドと [説明] フィールドは使用できません。これは、種類が隣接または分離であるフォーム領域を表示するときに、Outlook ではこれらのフィールドを使用しないからです。

フォーム領域ファイル

新しい Outlook フォーム領域ウィザードを完了すると、Visual Studio Tools for Office によって自動的に以下のファイルがプロジェクトに追加されます。

フォーム領域コードファイル。このファイルには、[新しい項目の追加] ダイアログボックスで Outlook フォーム領域アイテムに指定した名前が付けられます。このファイルには、フォーム領域イベントを処理するコードを追加します。
フォーム領域デザイナコードファイル。このファイルにはフォーム領域デザイナによって生成されたコードが含まれており、直接編集することはできません。
Outlook Form Storage (.ofs) ファイル。

メモ :

このファイルがプロジェクトに追加されるのは、Outlook でデザインしたフォーム領域をインポートした場合だけです。

メモ :
このファイルがプロジェクトに追加されるのは、Outlook でデザインしたフォーム領域をインポートした場合だけです。

フォーム領域ファクトリクラス

フォーム領域コードファイルには、IFormRegionFactory インターフェイスを実装する部分クラスが含まれています。これがフォーム領域ファクトリクラスです。フォーム領域ファクトリクラスは、フォーム領域の新しいインスタンスの作成に使用します。

このクラスにアクセスするには、[フォーム領域ファクトリ] 領域を展開します。

このクラスには、新しい Outlook フォーム領域ウィザードによって、フォーム領域の内部名とフォーム領域を表示するメッセージクラスを指定する属性が追加されます。これらの属性は、ファイルがプロジェクトに追加された後、手動で変更できます。

フォーム領域ファクトリクラスの大部分は、フォーム領域デザイナファイルに実装されます。ただし、FormRegionInitializing イベントハンドラはフォーム領域コードファイルに公開されます。このイベントハンドラによって、Outlook がフォーム領域を表示するかどうかを指定できます。詳細については、「フォーム領域イベントの処理」を参照してください。

プロジェクトへの既存のフォーム領域の追加

別の Visual Studio Tools for Office プロジェクトで使用したフォーム領域がある場合は、[既存項目の追加] ダイアログボックスを使用して、そのフォーム領域を現在の Outlook アドインプロジェクトで再利用できます。

既存のフォーム領域にはコードファイル (.vb または .cs) が必要です。[既存項目の追加] ダイアログボックスで Outlook Form Storage (.ofs) ファイルを追加することはできません。ただし、Outlook Form Storage ファイルをインポートすることによって新しいフォーム領域を作成できます。詳細については、「方法 : フォーム領域を Outlook アドインプロジェクトに追加する」を参照してください。

フォーム領域デザイナの使用方法

フォーム領域デザイナでは、フォーム領域のレイアウトと外観をデザインできます。マネージコントロールをデザイナ画面にドラッグしたり、コントロールをダブルクリックしてイベントハンドラを開いたりできるほか、[プロパティ] ウィンドウでプロパティを設定することもできます。

メモ :
Outlook でのフォーム領域の表示方法を設定するプロパティは、[プロパティ] ウィンドウの [マニフェスト] ノードの下にあります。

フォーム領域デザイナは、新しい Outlook フォーム領域ウィザードの [フォーム領域を作成する方法の選択] ページで [新しいフォーム領域のデザイン] を選択した場合にのみ使用できます。

フォーム領域デザイナを開くには、次の 3 つの方法があります。

ソリューションエクスプローラでフォーム領域コードファイルをダブルクリックする。
ソリューションエクスプローラでフォーム領域コードファイルを右クリックし、[デザイナの表示] をクリックする。
ソリューションエクスプローラでフォーム領域コードファイルを選択し、[表示] メニューの [デザイナ] をクリックする。

フォーム領域デザイナでは、マネージコントロールのみ使用できます。ネイティブな Outlook コントロールを追加することはできません。

Outlook でデザインしたフォーム領域のインポート

Outlook でデザインする場合は、ネイティブな Outlook コントロールをフォーム領域に追加できます。ネイティブな Outlook コントロールは、デザイン時に Outlook データにバインドできます。ただし、フォーム領域デザイナを使用してマネージコントロールを追加したりフォーム領域のデザインを変更したりすることはできません。

新しい Outlook フォーム領域ウィザードを使用して、フォーム領域を Outlook アドインプロジェクトにインポートできます。[フォーム領域を作成する方法の選択] ページで [Outlook Form Storage (.ofs) ファイルのインポート] を選択します。次に、Outlook Form Storage (.ofs) ファイルの場所を参照します (フォーム領域は .ofs ファイルとして保存されます)。

新しい Outlook フォーム領域ウィザードは、.ofs ファイルをプロジェクトディレクトリにコピーし、コントロール参照をフォーム領域デザイナファイルに追加します。これにより、フォーム領域コードファイルでコントロールイベントを処理できます。

Visual Basic プロジェクト内のイベントを処理するには、コードエディタの上部にある [メソッド名] リストでイベントを選択します。詳細については、「方法 : Visual Basic コードエディタでのイベントハンドラの作成」を参照してください。

C# プロジェクト内のイベントを処理するには、FormRegionShowing メソッドでコントロールイベントにサブスクライブします。詳細については、「方法 : イベントサブスクリプションとサブスクリプションの解除 (C# プログラミングガイド)」を参照してください。

フォーム領域のプロパティは、フォーム領域ファクトリクラスの InitializeManifest メソッドで変更できます。

インポートしたフォーム領域のデザインの更新

フォーム領域に対して、コントロールの追加、削除、変更を行うことができます。これらの操作を行う場合は、フォーム領域コードファイルに追加したコードのバックアップを事前に作成します。そのうえで、Outlook で .ofs ファイルを開き、フォーム領域を変更し、変更内容を保存します。新しい Outlook フォーム領域ウィザードを使用して、変更した .ofs ファイルをインポートします。その後で、コードを新しいフォーム領域コードファイルに貼り付けることができます。

フォーム領域へのカスタムコードの追加

Microsoft.Office.Tools.Outlook 名前空間では、フォーム領域、フォーム領域を表示する Outlook アイテム、およびその他の役に立つアイテムを表すクラスにアクセスできます。Outlook フォーム領域アイテムをプロジェクトに追加すると、このアセンブリへの参照が自動的に追加され、using ステートメントまたは Imports ステートメントがフォーム領域コードファイルの先頭に挿入されます。

Microsoft.Office.Interop.Outlook 名前空間のクラス、メソッド、およびプロパティを使用すると、ほとんどの Outlook プログラミングタスクを実行できます。Outlook オブジェクトモデルの詳細については、「Outlook オブジェクトモデルの概要」を参照してください。Outlook オブジェクトモデルを使用する Visual Studio Tools for Office の一般的なタスクの例については、「Outlook ソリューション」を参照してください。

フォーム領域イベントの処理

Outlook フォーム領域アイテムをプロジェクトに追加すると、自動的に次の 3 つのイベントハンドラがフォーム領域コードファイルに追加されます。

イベント	説明
FormRegionInitializing	フォーム領域が初期化される前に発生します。このイベントハンドラの状態をチェックすることにより、Outlook がフォーム領域を表示する必要があるかどうかを判断できます。詳細については、「方法 : Outlook にフォーム領域が表示されないようにする」を参照してください。
FormRegionShowing	フォーム領域のインスタンスが作成された後、フォーム領域が表示される前に発生します。
FormRegionClosed	フォーム領域が閉じられる前に発生します。