新機能と強化された機能

更新 : 2007 年 11 月

ここでは、以前は独立したインストールとして利用可能であった機能で、現在は .NET Framework Version 1.1 に組み込まれた技術について説明します。また、既存の技術に対する主な変更についても説明します。

ASP.NET モバイル コントロール

ASP.NET モバイル コントロール (以前は Microsoft Mobile Internet Toolkit) は、携帯電話や携帯情報端末 (PDA) などのモバイル (ワイヤレス) デバイスのサポートを提供し、.NET Framework と Visual Studio を拡張します。.NET Framework Version 1.1 では、モバイル コントロールが .NET Framework 配布パッケージと Visual Studio 配布パッケージに組み込まれています。

モバイル コントロールが .NET Framework の一部になったことに伴い、.NET のドキュメントで使用されている表記に合わせて用語が変更され、モバイル コントロールのドキュメントは広範な .NET Framework ドキュメント セットに統合されました。Mobile Internet Toolkit という名前は ASP.NET モバイル コントロールに変更されました。

ASP.NET モバイル コントロールは、Web アプリケーションがレンダリングされるモバイル デバイスに合わせて ASP.NET サーバー コントロールを拡張します。ブラウザの検出機能によって、モバイル コントロールは、あらゆる機能を持つ PDA のブラウザから小型の 5 行 × 20 文字の携帯電話のディスプレイまで、個々のデバイスの機能に対応します。このさまざまなデバイスに対応するレンダリング機能により、面倒なデバイス固有のレンダリングの問題の多くが解決され、Web アプリケーション ロジックの開発に専念できます。

ADO.NET の変更点

.NET Framework ODBC 用データ プロバイダは、以前は Web からのダウンロードでのみ入手可能でしたが、.NET Framework の System.Data.Odbc 名前空間に含まれるようになりました。

h88tthh0.alert_note(ja-jp,VS.90).gifメモ :

.NET Framework Version 1.0 を使用する場合は、.NET Framework ODBC 用データ プロバイダを https://www.microsoft.com/downloads/search.asp?langid=13&langdir=ja からダウンロードする必要があります。名前空間は Microsoft.Data.Odbc です。

.NET Framework Oracle 用データ プロバイダは、現在 .NET Framework に付属しています。名前空間は System.Data.OracleClient です。.NET Framework Version 1.0 を使用する場合は、.NET Framework Oracle 用データ プロバイダを https://www.microsoft.com/downloads/search.asp?langid=13\&langdir=ja からダウンロードする必要があります。

また、ADO.NET には次の機能も追加されました。

  • DataReader オブジェクトは行が返されたかどうかを調べる HasRows プロパティを公開するようになり、Read を呼び出す必要がなくなりました。詳細については、「DataReader によるデータの取得」を参照してください。

  • Connection オブジェクトに、分散トランザクションへの手動での参加を有効にする EnlistDistributedTransaction メソッドが追加されました。詳細については、「トランザクションの実行」を参照してください。

side-by-side 実行

.NET Framework Version 1.1 では side-by-side 実行をサポートしています。side-by-side 実行は、アプリケーションやコンポーネントの複数のバージョンを同じコンピュータに格納して実行する機能です。つまり、ランタイムの複数のバージョンと、特定のバージョンのランタイムを使用するアプリケーションおよびコンポーネントの複数のバージョンを、同一コンピュータ上に共存させることができます。また、.NET Framework やコンポーネントの別のバージョンをインストールしても、既にインストールされているアプリケーションには影響しません。詳細については、「side-by-side 実行」を参照してください。

side-by-side 実行は、マネージ アプリケーションが他のバージョンのランタイムやコンポーネントと互換性があるということを意味しません。side-by-side 実行とは、マネージ アプリケーションが実行に使用するランタイムやコンポーネントを選択でき、複数のバージョンのランタイム、アプリケーション、およびコンポーネントが同一コンピュータ上で共存できることを意味します。特定のアプリケーションが使用するランタイムのバージョンやコンポーネントは、開発者が決定する必要があります。

.NET Framework のセキュリティの変更点

バージョン 1.0 および 1.1 では、ランタイム コード アクセス セキュリティ システムから完全に信頼されていないアプリケーションは、ライブラリの作成者が AllowPartiallyTrustedCallersAttribute 属性を使ってそれを許可しない限り、共有マネージ ライブラリを呼び出すことができません。部分的に信頼されたコードからライブラリを使用する場合は、コードで一部のライブラリが使用できないことに注意してください。バージョン 1.1 では、AllowPartiallyTrustedCallersAttribute が設定されたアセンブリのリストに System.Web.dll、System.Web.Mobile.dll、および System.Web.RegularExpressions.dll が含まれており、部分的に信頼されたコードからこれらを呼び出すことができます。詳細については、「部分信頼コードからのライブラリの使用」を参照してください。

既定のセキュリティ ポリシーが変更され、インターネット ゾーンから実行されている、Internet Zone コード グループに割り当てられたアプリケーションに、Internet アクセス許可セットに関連付けられたアクセス許可が付与されるようになりました。この結果、インターネットから実行されるアプリケーションに、実行に必要なアクセス許可が付与されるようになりました。.NET Framework 1.0 Service Pack 1 および Service Pack 2 では、このようなアプリケーションには Nothing アクセス許可セットに関連付けられたアクセス許可が付与され、アプリケーションを実行できませんでした。詳細については、「既定のセキュリティ ポリシー」を参照してください。

ホストされる環境での ASP.NET のセキュリティ

ASP.NET では Web ベースのアプリケーションで部分的な信頼がサポートされるようになり、単一の Web サーバーでホストされる複数のアプリケーションのセキュリティが向上しました。アプリケーションが実行されるオペレーティング システムのアカウントによって、アプリケーションにセキュリティの制限が課されます。さらに、共通言語ランタイムのコード アクセス セキュリティ システムによって、指定したポリシーに基づいて、選択したアプリケーション リソースに対して追加の制限を課すことができます。この機能を共有サーバー環境で使用して個々のアプリケーションを分離したり、この機能をスタンドアロン サーバーで使用して必要最低限の権限でアプリケーションを実行したりできます。

ASP.NET には、アプリケーションのコード アクセス セキュリティ レベルを構成するのに役立つ <trust> 構成ディレクティブが用意されています。部分的に信頼された ASP.NET アプリケーションが共有マネージ ライブラリを呼び出す場合、これらのライブラリには、部分的に信頼されたコードからの呼び出しを許可する AllowPartiallyTrustedCallersAttribute 属性が含まれている必要があります。詳細については、「部分信頼コードからのライブラリの使用」を参照してください。

.NET Framework での IPv6 のサポート

.NET Framework Version 1.1 では、一般的に IP Version 6 または単に IPv6 と呼ばれる最新のインターネット プロトコルをサポートしています。このプロトコルを使用すると、インターネットでの通信のエンドポイントを識別するために使用するアドレス空間を大幅に増加させることができるため、増大するアドレスの需要に対応できます。IPv6 は、System.Net 名前空間、ASP.NET、および XML Web サービスでサポートされています。詳細については、「インターネット プロトコル Version 6」を参照してください。

参照

概念

既定のセキュリティ ポリシー

部分信頼コードからのライブラリの使用

DataReader によるデータの取得 (ADO.NET)

ASP.NET モバイル コントロールの内部

ASP.NET を使用して作成する XML Web サービスの構成オプション

インターネット プロトコル Version 6

参照

AllowPartiallyTrustedCallersAttribute

System.Data.Odbc

その他の技術情報

ホストされた環境での ASP.NET アプリケーションのセキュリティ

トランザクションと同時実行 (ADO.NET)

side-by-side 実行

安全なコーディングのガイドライン