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レコードセット: パラメーターを利用したレコードセット (ODBC)

  • [アーティクル]

このトピックの内容は、MFC ODBC クラスに該当します。

場合によっては、ユーザー入力または計算結果に応じて実行時にレコードを選択できるようにする必要があります。 このような場合は、レコードセット パラメーターを使います。

このトピックでは、次の内容について説明します。

  • レコードセットをパラメーター化する目的

  • レコードセットをパラメーター化するタイミングと理由

  • レコードセット クラスでパラメーター データ メンバーを宣言する方法

  • パラメーターの情報を実行時にレコードセット オブジェクトに渡す方法

パラメーターを利用したレコードセット

パラメーター化したレコードセットでは、実行時にパラメーター値を渡すことができます。 これには、次の 2 つの利点があります。

  • 実行速度を向上できます。

  • デザイン時に得られない情報 (実行時のユーザー入力や計算結果など) に基づき、実行時にクエリを構成できます。

Open を呼び出してクエリを実行すると、パラメーターの値を使って SQL SELECT ステートメントが作成されます。 どのレコードセットでもパラメーターを使用できます。

パラメーターを使用する状況

通常、パラメーターは以下の場合に使います。

  • 定義済みのクエリに実行時の引数を渡す場合

    ストアド プロシージャにパラメーターを渡すには、完全なカスタム ODBC CALL ステートメントを渡します。つまり、Open を呼び出すときに、パラメーター プレースホルダー付きの完全なカスタム ODBC CALL ステートメントを指定して、レコードセットの既定の SQL ステートメントをオーバーライドします。 詳細については、『MFC リファレンス』の「CRecordset::Open」、および「SQL : レコードセットの SQL ステートメントのカスタマイズ (ODBC)」と「レコードセット : 定義済みクエリを利用したクラスの宣言 (ODBC)」を参照してください。

  • そのつどパラメーター情報を変更して、クエリを繰り返し実行する場合

    たとえば、学生の登録情報データベースを検索して特定の学生の情報を検索するたびに、学生の氏名または ID パラメーターに、ユーザーが値を入力できるようにします。 レコードセットのメンバー関数 Requery を呼び出すと、指定された学生のレコードだけが選択されます。

    m_StrFilter に保持するレコードセット フィルター文字列は、次のように設定します。

    "StudentID = ?"

    学生の ID を変数 strInputID に格納するとします。 strInputID に学生 ID の値として 100 を代入すると、この変数の値は、フィルター文字列内の "?" で示されるパラメーター プレースホルダーに結び付けられます。

    パラメーター値を次のように代入します。

    strInputID = "100";
...
m_strParam = strInputID;

    フィルター文字列は、次のように設定しないでください。

    m_strFilter = "StudentID = 100";   // 100 is incorrectly quoted
                                   // for some drivers

    フィルター文字列の引用符の使い方については、「レコードセット : レコードのフィルター処理 (ODBC)」を参照してください。

    クエリを再実行するたびに、パラメーターの値を新しい ID 値に設定します。

    ヒント

    パラメーターを使用すると、単にフィルターを使用するより効率的です。 パラメーターを使ったレコードセットでは、SQL SELECT ステートメントを作成するのは 1 回で済みます。 パラメーター化されていないフィルターを使ったレコードセットでは、新しいフィルター値を設定して Requery を呼び出すたびに、SELECT ステートメントを作成する必要があります。

フィルターの詳細については、「レコードセット : レコードのフィルター処理 (ODBC)」を参照してください。

パラメーターを利用したレコードセット クラスの作成

注意

ここで説明する内容は、バルク行フェッチが実装されていない CRecordset の派生オブジェクトを対象にしています。 バルク行フェッチを使用するレコードセットでも、パラメーターを実装する方法は基本的に同じです。 詳細については、「レコードセット : バルク行フェッチ (ODBC)」を参照してください。

レコードセット クラスを作成する前に、どのパラメーターが必要か、パラメーターのデータ型を何にするか、パラメーターをどのように利用するかを決める必要があります。

パラメーターを利用したレコードセット クラスを作成するには

  1. クラスの追加の MFC ODBC コンシューマー ウィザード を実行して、クラスを作成します。

  2. レコードセットの列に対応するフィールド データ メンバーを指定します。

  3. ウィザードがプロジェクト内のファイルにクラスを出力したら、その .h ファイルを編集してクラス宣言に 1 つ以上のパラメーター データ メンバーを直接書き込みます。 このようにしてパラメーターを追加したスナップショット クラスの例を次に示します。この例では、"上級生を選択せよ" というクエリを作成します。

    class CStudentSet : public CRecordset
{
// Field/Param Data
    CString m_strFirstName;
    CString m_strLastName;
    CString m_strStudentID;
    CString m_strGradYear;

    CString m_strGradYrParam;
};

    ウィザードによって生成されるフィールド データ メンバーの後にパラメーター データ メンバーを追加します。 命名規約として、ユーザー定義のパラメーター名の末尾には "Param" を付けます。

  4. .cpp ファイル内の DoFieldExchange メンバー関数定義に変更を加えます。 追加したパラメーター データ メンバーごとに RFX 関数呼び出しを追加します。 RFX 関数の記述方法については、「レコード フィールド エクスチェンジ : RFX の動作のしくみ」を参照してください。 すべてのパラメーターに対する RFX 呼び出しの前に、次の関数呼び出しを 1 回だけ行います。

    pFX->SetFieldType( CFieldExchange::param );
// RFX calls for parameter data members

  5. レコードセット クラスのコンストラクターで、m_nParams のパラメーター数をインクリメントします。

    詳細については、「レコード フィールド エクスチェンジ : ウィザード コードの操作」を参照してください。

  6. このクラスのレコードセット オブジェクトを作成するコードを記述する場合は、SQL ステートメントの文字列の、パラメーター値に置き換える箇所に、プレースホルダーとして "?" (疑問符) を配置します。

    プレースホルダーは、実行時に、パラメーター値に順番に置き換えられます。 SetFieldType 呼び出しの後で設定した最初のパラメーター データ メンバーは、SQL 文字列の最初の "?" プレースホルダーと置き換わります。以降のパラメーターと "?" プレースホルダーも同じように置き換わります。

注意

パラメーターの順序は重要です。DoFieldExchange 関数のパラメーターに対する RFX 呼び出しの順序は、SQL 文字列のパラメーター プレースホルダーの順序に一致させる必要があります。

ヒント

最も多く使用される文字列は、クラスの m_strFilter データ メンバーに指定した文字列ですが、ODBC ドライバーによっては、他の SQL 句のパラメーターも使用できます。

実行時にパラメーター値を渡す方法

パラメーター値は、メンバー関数 Open (新規作成したレコード オブジェクトの場合) またはメンバー関数 Requery (既存のオブジェクトを再利用する場合) を呼び出す前に設定します。

パラメーターの値を実行時にレコードセット オブジェクトに渡すには

  1. レコードセット オブジェクトを構築します。

  2. m_strFilter など、SQL ステートメント (またはその一部) を含む文字列を 1 つ以上用意します。 後でパラメーター値を代入するプレースホルダーには "?" を書いておきます。

  3. 実行時にパラメーター データ メンバーに値を代入します。

  4. メンバー関数 Open を呼び出します。既存のレコードセットを再利用する場合は Requery を呼び出します。

たとえば、実行時に得られたデータに基づきフィルター文字列を作成する場合を考えてみます。 CStudentSet クラスのレコードセット rsStudent が既に生成されている場合は、次のクエリを再実行して特定の情報を取得できます。

// Set up a filter string with 
// parameter placeholders
rsStudents.m_strFilter = "GradYear <= ?";

// Obtain or calculate parameter values 
// to pass--simply assigned here 
CString strGradYear = GetCurrentAcademicYear( );

// Assign the values to parameter data members
rsStudents.m_strGradYrParam = strGradYear;

// Run the query
if( !rsStudents.Requery( ) )
    return FALSE;

これにより、レコードセットには、実行時にパラメーターによって指定されたフィルター条件に合致するレコードだけが格納されます。 この場合、レコードセットには上級生のレコードだけが格納されます。

注意

必要に応じて、SetParamNull を使用して、パラメーター データ メンバーの値を Null に設定することもできます。 パラメーター データ メンバーの値が NULL かどうかを調べるには IsFieldNull を使います。

参照

概念

レコードセット (ODBC)

レコードセット: レコードの追加、更新、削除 (ODBC)

レコードセット: レコード選択のしくみ (ODBC)