シナリオ : Team Foundation Server のアップグレード

更新 : 2010 年 10 月

このトピックを使用して既存の配置を Visual Studio Team Foundation Server 2010 にアップグレードすることを計画できます。 アップグレードする前に、アップグレードできるリリース、その他の要件、およびアップグレード前に考慮する必要のある Team Foundation Server 2010 のオプションの機能について理解する必要があります。

アップグレードが完了したら、このトピックの最後にあるリンクを参照し、アップグレード後のタスクと考慮事項を理解する必要があります。 たとえば、Team Foundation Server 2010 の特定の機能を使用できるように、アップグレードされたチーム プロジェクトでいくつかの手順を手動で実行することが必要になる場合があります。さらに、異なるバージョンの Team Foundation Server と Team Foundation のクライアント間における特定の互換性の問題についてさらに詳しく理解しておくと役立ちます。

次のリリースから、Team Foundation Server 2010 にアップグレードできます。

  • Team Foundation Server 2010 のリリース候補バージョン

  • Team Foundation Server 2010 の Beta 2 バージョン

  • Visual Studio Team System 2008 Team Foundation Server Service Pack 1 (SP1)

  • Team System 2008 Team Foundation Server

  • Visual Studio 2005 Team Foundation Server

  • Visual Studio 2005 Team Foundation Server SP1 

開いている接続がある Team Foundation Server のインストールをアップグレードすることはできません。 アップグレードの実行時には、ダウンタイムが必ず発生します。

インプレース アップグレード パスまたは移行アップグレード パス

2 つのアップグレード パスのうちのいずれかを選択できます。 両方のパスの説明と図、および一方のパスを他方のパスの代わりに使用する場合の例と論拠を以下に示します。

インプレース アップグレード パス

インプレース アップグレードは、旧バージョンの Team Foundation Server を実行していたハードウェア上でアップグレードを行うことで実行できます。このパスを使用する場合は、Team Foundation Server の以前のバージョンをアンインストールし、Team Foundation Server 2010 をインストールしてから、アップグレード ウィザードを実行する必要があります。インプレース アップグレードを次の図に示します。この図では、アップグレード後の単一の Team Foundation Server 2010 環境を示しています。 

インプレース アップグレードの図

埋め込みアップグレード

インプレース アップグレードを実行すると、アップグレード後は単一の Team Foundation Server 2010 環境になります。 以前にシステムに構築されていた環境はなくなります。 この場合の環境とは、1 つのバージョンの Team Foundation Server (Team Foundation Server 2010 または以前のバージョンの Team Foundation Server) を構成するすべてのサーバーを指します。

移行アップグレード パス

データを別のハードウェアに移行することで移行アップグレードを実行することもできます。 このパスを使用する場合は、データを別のハードウェアにコピーし、Team Foundation Server 2010 をインストールしてから、アップグレード ウィザードを実行する必要があります。 移行アップグレードを次の図に示します。

移行アップグレードの図

移行アップグレード

新しい Team Foundation Server 環境と以前の環境の両方を同時に稼働させる場合は、新しいハードウェアへの移行アップグレードを実行する必要があります。 2 つの環境を同時に稼働させることにより、新しいバージョンの運用を始める前に、アップグレードによるデータへの影響をテストすることもできます。 既存のデータを新しいハードウェアに移動して復元すると、そのデータは独立したデータとなり、アップグレードによって別の環境を作成することができます。その場合でも、クライアントは引き続き以前の環境を使用できます。 "移行アップグレードの図" は、アップグレード後に 2 つの環境が作成される移行アップグレードを示しています。これらの環境は、別々のコンピューターで同時に並行して稼働します。

アップグレード ウィザードによってアップグレード時に古いデータが削除されます。 実行するアップグレードの種類または稼働させる環境の数に関係なく、開始する前にデータをバックアップする必要があります。

使用するアップグレードの種類

チームのゴールに最も適したアップグレードの種類を使用する必要があります。 通常、インプレース アップグレードは複雑度が低めですが、移行アップグレードでは、スケーラビリティとテストを向上できる可能性があります。

以下に、異なる種類のアップグレードの例、および使用するのに最適なチェックリストを示します。 これはすべてを列挙した一覧ではなく、それぞれの種類のアップグレードを使用して実現できるいくつかの例のみを示しています。

インプレース アップグレードの例

移行アップグレードの例

  • 現在の環境に、アップグレードでサポートされる Team Foundation Server のバージョンが含まれていて、同じサーバーにすべての必須コンポーネントがある。 別のハードウェアに移行するか、現在のトポロジを変更して、アップグレード後に 1 つ以上の必須コンポーネントがそれ自身のサーバーで実行されるようにする必要がある。 「チェックリスト: 複数のサーバーでの Team Foundation Server のアップグレード」を使用してください。

  • 現在の環境に、アップグレードでサポートされる Team Foundation Server のバージョンが含まれていて、別のサーバーに 1 つ以上の必須コンポーネントがある。 アップグレード後に 2 つの Team Foundation Server 環境を使用する必要がある。 「チェックリスト: 複数のサーバーでの Team Foundation Server のアップグレード」を使用してください。

新しい必要条件

アップグレードを開始する前に、SQL Server または SharePoint 製品をアップグレードし、新しい Team Foundation Server の要件を満たすことが必要になる場合があります。

Team Foundation Server に必要なデータベースをホストするには、SQL Server 2008 を使用する必要があります。 以前のバージョンの Team Foundation Server では、"データ層サーバー" という用語で、Team Foundation Server のすべてのデータをホストするサーバーを表していました。 このバージョンでは、Team Foundation Server インストールのデータを複数の SQL Server インスタンスに分散できますが、各インスタンスには SQL Server 2008 が必要です。

このバージョンの Team Foundation Server では、レポート機能とポータル サーバーはオプションの機能となります。 いずれかの機能を使用するには、特定のバージョンの必須ソフトウェアを使用する必要があります。

  • レポート機能: レポート機能を使用する場合は、SQL Server Reporting Services および SQL Server Analysis Services の SQL Server 2008 インスタンスを使用する必要があります。

  • SharePoint 製品: ポータル サーバーを使用する場合は、Windows SharePoint Services 3.0、Microsoft Office SharePoint Server 2007、または Microsoft SharePoint Server 2010 を使用する必要があります。 Windows SharePoint Services 2.0 はサポート対象から除外されました。

ポータル サーバーおよびレポート機能のアップグレード オプション

Team Foundation Server のアップグレード時に、既存のポータル サイトを使用するか、または異なるサイトを指定することができます。 SharePoint 製品は、アップグレード時にインストールすることはできません。 アップグレードされたすべてのプロジェクトでは、アップグレード時に指定したサイトが使用されます。

ポータルを別のハードウェアに移行する場合は、Team Foundation Server のアップグレード ウィザードを開始する前に、既存のポータル サイトのデータをバックアップし、そのデータを新しいハードウェアに移行する必要があります。

  • ポータルが Team Foundation Server と同じサーバー上にある場合は、アップグレード中に拡張機能が自動的にアップグレードされます。

  • ポータルが Team Foundation Server と異なるサーバー上にある場合は、アップグレードを実行する前に拡張機能をポータルにインストールする必要があります。

アップグレードされたプロジェクトのデータをポータルとレポートに表示する場合は、アップグレードされたプロジェクトがポータルおよびレポート機能に自動的にリンクされるように、アップグレード時にこれらの機能を追加する必要があります。 アップグレード後にポータルまたはレポート機能を追加する場合、アップグレードされたすべてのプロジェクトとポータルの間にリンクを作成するのは容易ではありません。

ヒント

アップグレード後はアップグレードされたプロジェクトにこれらの機能を容易に追加できないため、アップグレード時にレポート サーバーまたはポータルを追加する手順はスキップしないでください。

レポート機能のアップグレード

レポート サーバーは、このトピックで前述した新しい必要条件を満たしている必要があります。 複数の Team Foundation Server 環境を実行する場合は、それぞれの環境に専用のレポート サーバーが必要です。 以前のバージョンの Team Foundation Server と異なり、Team Foundation Server を実行しているサーバーでレポート サーバーを実行する必要はありません。

既存のデータの移行に必要な時間は、レポート ウェアハウス データベースの初期サイズや、移行を実行するハードウェアの処理能力など、さまざまな要因によって異なります。 移行が終了すると、以前のバージョンの Team Foundation Server と同様にレポートが表示されるようになります。

アップグレード後の考慮事項

Team Foundation Server 2010 にアップグレードした後で、すぐにアクセスできる新機能もありますが、新機能にアクセスするために追加のタスクの実行が必要な場合もあります。詳細については、Microsoft Web サイトの「Updating an Upgraded Team Project to Access New Features (アップグレードされたチーム プロジェクトを更新して新機能にアクセスする)」を参照してください。 

Team Foundation Server 2010 における機能の追加に伴い、ユーザーが以前のバージョンのチーム エクスプローラーを使用して Team Foundation Server 2010 に接続した場合に生じる制限について知ることが必要になります。 詳細については、Microsoft Web サイトの「Updating an Upgraded Team Project to Access New Features (アップグレードされたチーム プロジェクトを更新して新機能にアクセスする)」を参照してください。

参照

参照

チェックリスト: 複数のサーバーでの Team Foundation Server のアップグレード

その他の技術情報

チェックリスト: シングルサーバーでの Team Foundation Server のインプレース アップグレード

履歴の変更

日付

履歴

理由

2010 年 10 月

アップグレード時にレポートおよびポータルの構成をスキップしないよう推奨する記述を追加。

情報の拡充