チュートリアル: 使用法から生成機能のテストファーストのサポート

[アーティクル]
08/09/2011

このトピックでは、テストファースト開発をサポートする使用法から生成機能の使用方法を示します。

テストファースト開発は、最初に製品仕様に基づいて単体テストを記述してから、テストを成功させるために必要なソースコードを記述するソフトウェア設計のアプローチです。 Visual Studio では、新しい型とメンバーを定義する前に、テストケースで最初に参照するときにそれらをソースコードに生成することで、テストファースト開発をサポートします。

Visual Studio では、ワークフローの中断を最小限にして新しい型とメンバーが生成されます。現在のコード位置から離れずに、型、メソッド、プロパティ、フィールド、またはコンストラクターのスタブを作成できます。ダイアログボックスを開いて型生成のオプションを指定すると、ダイアログボックスを閉じたときに、現在開いているファイルにフォーカスがすぐに戻ります。

使用法から生成機能は、Visual Studio と統合されるテストフレームワークで使用できます。このトピックでは、Microsoft 単体テストフレームワークについて説明します。

注意

このチュートリアルは、Visual Basic 開発設定または Visual C# 開発設定を考慮して記述されています。チュートリアルでは、他の設定も扱います。

推奨設定を変更するには、次の手順を使用します。[ツール] メニューの [設定のインポートとエクスポート] をクリックします。 [設定のインポートとエクスポートウィザード] の最初のページで、[すべての設定をリセット] をクリックします。 [設定の既定のコレクションの選択] ページで、[Visual Basic 開発設定] または [Visual C# 開発設定] をクリックします。

Windows クラスライブラリプロジェクトとテストプロジェクトを作成するには

Visual C# または Visual Basic で、新しい Windows クラスライブラリプロジェクトを作成します。使用している言語に応じて、プロジェクトに GFUDemo_VB または GFUDemo_CS という名前を付けます。
ソリューションエクスプローラーの上部にあるソリューションアイコンを右クリックし、[追加] をポイントして [新しいプロジェクト] をクリックします。 [新しいプロジェクト] ダイアログボックスの左側にある [プロジェクトの種類] ペインで、[テスト] をクリックします。
[テンプレート] ペインで、[テストプロジェクト] をクリックし、TestProject1 という既定の名前を受け入れます。次の図は、Visual C# に表示されるダイアログボックスを示しています。 Visual Basic でも、ダイアログボックスは同様の外観になります。

[新しいプロジェクト] ダイアログボックス
[OK] をクリックして、[新しいプロジェクト] ダイアログボックスを閉じます。これで、テストの記述を開始できるようになりました。

単体テストから新しいクラスを生成するには

テストプロジェクトには、UnitTest1 という名前のファイルが含まれています。 ソリューションエクスプローラーで、このファイルをダブルクリックしてコードエディターで開きます。テストクラスとテストメソッドが生成されています。
UnitTest1 クラスの宣言を検索し、名前を AutomobileTest に変更します。 C# では、UnitTest1() コンストラクターが存在する場合は名前を AutomobileTest() に変更します。

注意

現在、IntelliSense のステートメント入力候補には、入力候補モードと候補提示モードの 2 種類があります。まだ定義していないクラスやメンバーを使用する場合は、候補提示モードを使用します。 IntelliSense ウィンドウが開いているときに Ctrl + Alt + Space キーを押すと、IntelliSense の入力候補モードと候補提示モードを切り替えることができます。詳細については、「メンバーの一覧」を参照してください。候補提示モードは、次の手順で「Automobile」と入力する場合に役立ちます。
TestMethod1() メソッドを検索し、名前を DefaultAutomobileIsInitializedCorrectly() に変更します。次の図に示すように、このメソッドの内部に、Automobile というクラスの新しいインスタンスを作成します。コンパイル時のエラーを示す波線が表示され、型名の下にスマートタグが表示されます。スマートタグの厳密な場所は、Visual Basic と Visual C# のどちらを使用しているかによって異なります。

Visual Basic

Visual C#
スマートタグの上にマウスポインターを置くと、Automobile という名前の型がまだ定義されていないことを示すエラーメッセージが表示されます。スマートタグをクリックするか、Ctrl キーを押しながら . (Ctrl + ピリオド) キーを押して、次の図に示す [使用法から生成] ショートカットメニューを開きます。

Visual Basic

Visual C#
ここで、2 つの選択肢があります。 ['Automobile クラス' を生成] をクリックすると、テストプロジェクトに新しいファイルを作成し、Automobile という空のクラスを設定できます。この方法では、現在のプロジェクトの新しいファイル内に既定のアクセス修飾子を持つ新しいクラスをすばやく作成できます。 [新しい型の生成] をクリックして、[新しい型の生成] ダイアログボックスを開くこともできます。これには、既存のファイルへのクラスの挿入や別のプロジェクトへのファイルの追加などのオプションがあります。

[新しい型の生成] をクリックして、次の図に示す [新しい型の生成] ダイアログボックスを開きます。 [プロジェクト] の一覧で、[GFUDemo_VB] または [GFUDemo_CS] をクリックして、テストプロジェクトではなくソースコードプロジェクトにファイルを追加するように Visual Studio に指示します。

[新しい型の生成] ダイアログボックス
[OK] をクリックしてダイアログボックスを閉じ、新しいファイルを作成します。
ソリューションエクスプローラーで、GFUDemo_VB または GFUDemo_CS プロジェクトノードの下を参照し、新しい Automobile.vb ファイルまたは Automobile.cs ファイルがあることを確認します。コードエディターでは、フォーカスがまだ AutomobileTest.DefaultAutomobileIsInitializedCorrectly にあります。最小限の中断で、テストの記述を続行できます。

プロパティスタブを生成するには

Automobile クラスに、Model および TopSpeed という名前の 2 つのパブリックプロパティがあることを示す製品仕様があるとします。これらのプロパティは、既定のコンストラクターによって "Not specified" および -1 の既定値で初期化されている必要があります。次の単体テストでは、既定のコンストラクターがプロパティを適切な既定値に設定することを検証します。

DefaultAutomobileIsInitializedCorrectly に次のコード行を追加します。
```
Assert.IsTrue((myAuto.Model = "Not specified") And (myAuto.TopSpeed = -1))
```
```
Assert.IsTrue((myAuto.Model == "Not specified") && (myAuto.TopSpeed == -1));
```
コードは Automobile の 2 つの未定義プロパティを参照するので、スマートタグが表示されます。 Model のスマートタグをクリックし、[プロパティスタブの生成] をクリックします。 TopSpeed プロパティのプロパティスタブも生成します。

Automobile クラスでは、新しいプロパティの型がコンテキストから正しく推論されます。

スマートタグのショートカットメニューを次の図に示します。

Visual Basic

Visual C#

ソースコードを検索するには

新しいプロパティが生成されていることを確認するために、[移動] 機能を使用して、Automobile.cs または Automobile.vb のソースコードファイルに移動します。

[移動] 機能を使用すると、型名や名前の一部などのテキスト文字列をすばやく入力し、結果の一覧の要素をクリックして目的の場所に移動できます。

[移動] ダイアログボックスを開くには、コードエディター内をクリックし、Ctrl キーを押しながら , (Ctrl + コンマ) キーを押します。テキストボックスに「automobile」と入力します。一覧で [Automobile] クラスを選択し、[OK] をクリックします。

次の図に [移動] ウィンドウを示します。

[移動] ウィンドウ

新しいコンストラクターのスタブを生成するには

このテストメソッドでは、指定した値を持つように Model プロパティおよび TopSpeed プロパティを初期化するコンストラクタースタブが生成されます。後でコードを追加してテストを完成させます。次の追加テストメソッドを AutomobileTest クラスに追加します。

<TestMethod()> Public Sub AutomobileWithModelNameCanStart()
    Dim model As String = "Contoso"
    Dim topSpeed As Integer = 199
    Dim myAuto As New Automobile(model, topSpeed)
End Sub

[TestMethod]
public void AutomobileWithModelNameCanStart()
{
    string model = "Contoso";
    int topSpeed = 199;
    Automobile myAuto = new Automobile(model, topSpeed);
}

新しいクラスコンストラクターの下のスマートタグをクリックし、[コンストラクタースタブの生成] をクリックします。 Automobile クラスファイルで、新しいコンストラクターが、コンストラクター呼び出しで使用されているローカル変数の名前を調べ、同じ名前のプロパティを Automobile クラスに見つけ、引数値を Model プロパティおよび TopSpeed プロパティに格納するためのコードをコンストラクター本体に指定したことがわかります (Visual Basic では、新しいコンストラクターの _model フィールドおよび _topSpeed フィールドは、Model プロパティおよび TopSpeed プロパティの暗黙に定義されたバッキングフィールドです)。
新しいコンストラクターを生成した後で、DefaultAutomobileIsInitializedCorrectly の既定のコンストラクターへの呼び出しの下に波線が表示されます。エラーメッセージには、Automobile クラスに 0 個の引数を受け取るコンストラクターがないことが示されます。パラメーターを持たない明示的な既定のコンストラクターを生成するには、スマートタグをクリックし、[コンストラクタースタブの生成] をクリックします。

メソッドのスタブを生成するには

仕様で、Model プロパティおよび TopSpeed プロパティが既定値以外の値に設定されている場合に新しい Automobile を実行状態にできることが規定されているとします。 AutomobileWithModelNameCanStart メソッドに次の行を追加します。
```
myAuto.Start()
Assert.IsTrue(myAuto.IsRunning = True)
```
```
myAuto.Start();
Assert.IsTrue(myAuto.IsRunning == true);
```
myAuto.Start メソッド呼び出しのスマートタグをクリックし、[メソッドスタブの生成] をクリックします。

IsRunning プロパティのスマートタグをクリックし、[プロパティスタブの生成] をクリックします。 Automobile クラスには次のコードが含まれています。

Public Class Automobile
    Sub New(ByVal model As String, ByVal topSpeed As Integer)
        _model = model
        _topSpeed = topSpeed
    End Sub
    Sub New()
        ' TODO: Complete member initialization 
    End Sub

    Property Model() As String
    Property TopSpeed As Integer
    Property IsRunning As Boolean
    Sub Start()
        Throw New NotImplementedException
    End Sub
End Class

public class Automobile
{
    public string Model { get; set; }
    public int TopSpeed { get; set; }

    public Automobile(string model, int topSpeed)
    {
        this.Model = model;
        this.TopSpeed = topSpeed;
    }

    public Automobile()
    {
        // TODO: Complete member initialization
    }

    public void Start()
    {
        throw new NotImplementedException();
    }

    public bool IsRunning { get; set; }
}

テストを実行するには

[テスト] メニューの [実行] をポイントし、[ソリューションのすべてのテスト] をクリックします。このコマンドでは、現在のソリューションに対して記述されたすべてのテストフレームワークのすべてのテストが実行されます。

この場合は、2 つのテストがあり、予想どおりどちらも失敗します。 DefaultAutomobileIsInitializedCorrectly テストは、Assert.IsTrue 条件が False を返すため失敗します。 AutomobileWithModelNameCanStart テストは、Automobile クラスの Start メソッドが例外をスローするため失敗します。

次の図にテスト結果ウィンドウを示します。

テスト結果ウィンドウ
[テスト結果] ウィンドウで、各テスト結果の行をダブルクリックして、テストが失敗したそれぞれの場所に移動します。

注意

ダブルクリックしても、コード内の、テストが失敗した場所に移動しない場合は、次の手順を実行してこの機能を有効にできます。[ツール] メニューの [オプション] をクリックし、[テストツール] を展開して [テストの実行] をクリックします。 [失敗または結果不確定の単体テストの結果をダブルクリックした場合にテストの失敗箇所を表示する] チェックボックスをオンにします。

ソースコードを実装するには

次のコードを既定のコンストラクターに追加して、Model、TopSpeed、および IsRunning の各プロパティがすべて "Not specified"、-1、および True (true) の適切な既定値に初期化されるようにします。
```
Sub New()
    Model = "Not specified"
    TopSpeed = -1
    IsRunning = True
End Sub
```
```
public Automobile()
{
    this.Model = "Not specified";
    this.TopSpeed = -1;
    this.IsRunning = true;
}
```
Start メソッドが呼び出されると、このメソッドは、Model プロパティまたは TopSpeed プロパティが既定値以外の値に設定されている場合にのみ IsRunning フラグを true に設定します。メソッド本体から NotImplementedException を削除し、次のコードを追加します。
```
Sub Start()
    If Model <> "Not specified" Or TopSpeed <> -1 Then
        IsRunning = True
    Else
        IsRunning = False
    End If
End Sub
```
```
public void Start()
{
    if (this.Model != "Not specified" || this.TopSpeed != -1)
        this.IsRunning = true;
    else
        this.IsRunning = false;
}
```

テストを再実行するには

[テスト] メニューの [実行] をポイントし、[ソリューションのすべてのテスト] をクリックします。今回はテストが成功します。次の図にテスト結果ウィンドウを示します。

テスト結果ウィンドウ

参照

チュートリアル: 使用法から生成機能のテスト ファーストのサポート

Windows クラス ライブラリ プロジェクトとテスト プロジェクトを作成するには

単体テストから新しいクラスを生成するには

プロパティ スタブを生成するには

ソース コードを検索するには